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コラム 森上展安の目

「さあどうかしら」

今年、埼玉県立浦和高校は東大合格実績で久々の上位ランク入りを果たした。
合わせて都立日比谷高校も大きく東大合格実績を伸ばしたから、首都圏での公立校の復活ぶりが強く印象づけられた。
言うまでもなく、その原動力は、この数年来のいわゆる学区制の廃止で、ほぼ全都・全県から優秀児を募ることが可
能な制度になったからである。

ところで、浦和高校については今春の入試で面白いニュースが報じられた。というのは、県立2番手に浮上していた共
学の県立大宮高校が、ついにトップの「浦高」(浦和高校の通称)を入試平均点で上回ったとのことだ。
これは男子の浦高志向がかわった、ということではないだろうから、女子の浦和一女志向が大宮志向にかわったのだと
推測するのだけれども、なぜなら「平均点」を押し上げるのはなんといっても女子生徒パワーに違いない、と思うから
だ。

一方で中高一貫校でみると、浅野であるとか、吉祥女子であるとか、渋谷学園渋谷とかが東大実績を伸ばしている。
男子校の主のところへ女子校あるいは女子パワーの強い共学校が上昇してきている構図である。
こうして思春期を前にした中学受験で生徒を募集すると、男子校、女子校で優秀児の集まる学校が出来るものの、
思春期ただ中の高校受験ではもはや共学校に勢いがある。また、中学受験の共学校は目覚めの早い女子に勢いがあ
る。

いや、ともかく男女の能力に違いはないのだから東大実績なども早晩女子生徒を擁する女子中高一貫校や共学の高校
が半数近くを占めてもおかしくはない。そうなっていないのは、女子の能力開発についてまだまだ未開拓な所があるの
だろう。

先日のTV番組「徹子の部屋」での話。故植木等さんが60歳台のころ、奥様の母親に植木等と結婚して奥様は幸せ
だっただろうか、と尋ねたところ、その義母様の答えがふるっていて、「さあ、どうかしら」というものだったそうだ。
伝えられるような篤実で高収入の夫・植木等さんであっても妻・女性の満足度はかくもはかり難いというべきか。果たし
て年頃の女子の満足を得るとはどういうことか。満足度が高くないと能力開発も覚束ないはず。「さあどうかしら」と女子
生徒の保護者にいわれないよう学校側も創意工夫に力が入るのか、概して男子校より女子校は伸びがよいのである。

森上先生プロフィール

1953年岡山県生まれ。
早稲田大学法学部卒業後、進学塾塾長などを経て、87年に森上教育研究所を設立。
私立受験の入試状況を分析し、その情報を提供するなど、幅広いかたちの教育評論活動を続けている。
私立中高の実態には特に詳しく、民間教育の立場から幾多の提言を行う私学教育研究の第一人者である。
新聞や雑誌への寄稿も多く、中学受験生をもつ父母などを対象とした各種勉強会や講演会も主催している。
著書に『中学受験 入りやすくてお得な学校』『中学受験図鑑』(いずれもダイヤモンド社)などがある。