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観桜期に30万人が来訪。交通渋滞・ゴミ処理など問題が山積
全国の主要な観光地では、休日やシーズン中に観光客が集中し、著しく交通量が増大してしまうといった課題を抱えているケースが多い。今後、持続可能な観光地であるためには、観光客のホスピタリティを高めるとともに、地域文化や自然環境を保全しながら、住民生活と経済活動の持続的両立を図ることが急務となっている。
全国屈指の桜の名所・奈良県吉野山もそのような課題を抱える観光地のひとつ。世界遺産にも登録され、観桜期には30万人もの観光客が訪れる人気の観光地だが、ピーク時には一気に数万人の観光客が押し寄せることから、以下のような問題が発生していた。
(1)交通渋滞⇒ピーク期には最大20〜30km
(2)観光客の残す多量のゴミ⇒地元住民の労力に限界
(3)吉野桜の維持管理⇒排ガスによる桜へのダメージ
(4)トイレ使用過多による水圧低下⇒旅館など夜間の水圧の低下
中でも山岳宗教の場である吉野の桜は「ご神木」であり、日本の重要な観光資源である。それが近い将来激減する可能性があるという深刻な状態に直面していた。
このような事態を受け、弊社は地域の方たちと共に対策を考えるようになった。
実際、吉野山ではこれまでにも何度か対策を講じてきた。例えば「パーク&バスライド(P&BR)」といって、郊外に自家用車を止める駐車場を置き、そこからシャトルバスで現地まで輸送するシステムを作ったり、自家用車の乗り入れを規制したり、吉野山内道路を歩行者専用にしたりと、渋滞緩和への取り組みは行ってきた。しかし、問題解決までには至らなかった。
渋滞最大3時間が平均8分に改善。(平成17年度実績)ゴミも10トン減!
そこで実態調査で原因を探り、弊社の持つイベント運営ノウハウや交通需要予測をもとにした実施計画を取り入れ、主に以下のような対策を試みた。
(1)P&BRの改善と機能強化
P&BR実施日の拡大、P&BR用駐車場の拡大、シャトルバスの運行方法の改善
(2)観光ツアーバスの完全予約制
時間帯ごとに予約台数を設定し、駐車容量にあった台数のコントロールと時間帯の振り分け
(3)協力金の徴収
対策の実施運営や吉野山桜の保全・環境保全を目的とした協力金を観桜客から徴収
(4)支援体制の構築
国土交通省や環境省、奈良県、吉野警察署、吉野町、吉野山自治会、吉野山観光協会、近鉄・奈良交通等交通事業者などの参画を得て、「吉野山環境・交通対策協議会」を設置。
道路情報板への掲示、マスコミへのプレスリリースなど広報活動を実施、これらの対策の結果、一定程度の成果をあげることができた。また、協力金により桜保全活動に使うこともできた。
一方、平成18年度以降吉野山の来客数はさらに増え続け、今年は現行体制だけではカバーできない新たな課題が発生した。そのため、平成21年の春のシーズンに向けての改善策が求められており、”持続可能な観光地づくり”の次なる戦いは、もう始まっている。
香りのお土産品『吉野山オードパルファム』で地域活性
また、弊社では観光地の環境保全活動をさらに拡大させるため、新しい取り組みをスタートさせた。それが地元・吉野桜のお土産品の開発である。吉野山観光協会と資生堂アメニティグッズと共同で、吉野桜から香りを採取した『吉野オードパルファム』を開発した。
自然な香りが好評で4月に発売開始して以来、順調に売り上げを伸ばしている。この売り上げの一部は、桜の苗木や肥料を購入するなど保全活動のために利用される
同じ悩みを抱える観光地から依頼が急増
こうした吉野山の事例は新聞・テレビなどでも大きく取り上げられ、話題を呼んだ。また、社会的にも功績を認められ、日本イベント大賞・制作者特別賞を受賞している(社団法人日本イベント産業振興協会)。このように広く話題になったことで、同じような悩みを抱える観光地からのコンサルティングの依頼も急増中だ。
一連のマネジメントの中核を担った、プロモーション営業局ジュニアエグゼクティブの柏木千春は昨年度より神戸国際大学経済学部都市環境・観光学科の准教授に就任。観光まちづくりサポートの実務経験を元に地域観光プロデュース論・観光マーケティングを専門としている。 弊社はこのような専門スタッフを中心に、今後も「持続可能な観光地づくり」を目指し、観光地が抱える問題解決のために“地域とともに”挑戦していく。