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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【学校×企業】パラスポーツを通じて学びの機会を提供!企業連携プログラムによって拡がる新たな学びのカタチとは?

2021.12.08
校内プログラム
国内プログラム
中学・高校向け

東京2020パラリンピック競技大会開催に際し、東北の学校とパートナー企業4社の連携により『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。 』プロジェクトが立ち上がりました。障がい者スポーツという人間の可能性、日本をリードする企業の可能性、中高生という若い可能性が、パラリンピックを通じて出会い、日本に新しい可能性を見出してもらうことをビジョンに掲げ、アスリートとの交流、競技体験の場を通じて、困難な時代を生き抜くための力、そして自分自身の可能性を改めて見つめるきっかけを作ることを目的に企画されました。本来、2020年に開催予定だった東京2020パラリンピック競技大会は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期。本イベントも一度は延期となりましたが、2021年6月にプロジェクトの一部を実施することができました。今回は、本プロジェクトの開催意義や実施内容、参加した生徒の皆さんの感想などをご紹介します。

POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。

プロジェクト概要

『POTENTIAL MEETS YOU. 可能性に会いに行こう。 』

開催日
2021年6月10日(木)・12日(土)・26日(土)
実施内容
アスリートによる講演会、競技体験(ボッチャ、バドミントンスイングスピードチャレンジ)
プロジェクトロゴ

講演者

花岡 伸和 氏

マラソン男子:アテネ2004パラリンピック6位入賞/ ロンドン2012パラリンピック5位入賞

松田 丈志 氏

競泳:アテネ2004オリンピック/ 北京2008オリンピック銅メダル/ 2012ロンドンオリンピック銀・銅メダル

参加校
宮城県仙台市:東北高等学校、聖ウルスラ学院英智小・中学校
福島県郡山市:尚志学園尚志高等学校
岩手県一関市:一関学院高等学校

共催
味の素株式会社、TOTO株式会社、清水建設株式会社、株式会社JTB
メディア協力
朝日新聞社、毎日新聞社
協力

公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

公益財団法人 日本オリンピック委員会

公益財団法人 日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会

イベントの様子①
イベントの様子②
イベントの様子③

『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。』とは?

『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。』には、岩手、宮城、福島県から4校が参加、757名の生徒が競技を体験しました。本プロジェクト立ち上げのきっかけについて、本プロジェクトを担当したJTB新宿第三事業部 営業担当部長 大谷信喜にインタビューしました。

― どのような経緯で企画されたのですか?

大谷

4年に一度開催されるパラリンピック、そしてパラリンピックスポーツに、もっと多くの人に関心を持ってもらいたいという想いから、このプロジェクトを立ち上げました。2018年の東京都の調査によると、「障がい者スポーツ競技を生で観戦したことがある人」は全体の1.3%(※)という結果でした。また、パラリンピックスポーツ選手の認知度に関する質問では「1人も知らない」と答えた人が約43%という結果に。パラリンピックスポーツへの関心があまり高くない状態は決して喜ばしいことではなく、東京2020パラリンピック競技大会の成功を左右することにもなりかねません。

そこで4年ほど前、パラリンピックが持つ多様性や困難に打ち克つ力を子どもたちに伝えていくことを目的に、パラリンピックスポーツを介して教育現場と企業をつなげるイベントを社内で企画したのです。その企画趣旨に賛同いただいたのが岩手、宮城、福島県の4校と東京2020パラリンピックのパートナー企業である味の素株式会社様、TOTO株式会社様、清水建設株式会社様の3社です。

引用:オリンピック・パラリンピック開催、障害者スポーツに関する世論調査

― パラリンピアンの姿から学べることとは?

大谷
IPC(国際パラリンピック委員会)では、スポーツを通じ、障がいのある人にとってよりよい共生社会を実現することを理念とし、パラリンピアンたちに秘められた力こそがパラリンピックの象徴であるとして、以下の4つの価値を重視しています。
パラリンピックの4つの価値
※引用:オリンピック・パラリンピック教育の定義|N-COPE

パラリンピック教育の目的は、「障がいのある人々への理解や気づきを生み出す教育システムに、パラリンピックの理念と価値を統合させること」とされています。こうした教育理念は多くの子どもたちに伝えるべきものです。我々パートナー企業は子どもたちに対して何ができるのかを考えた際、企業と教育現場を結び、中高生たちにパラリンピックの素晴らしさを伝え、“レガシー(遺産)”として残していくことが重要ではないかと感じました。

また、コロナ禍でやりたいことができなくなり、閉塞感とストレスを感じている中高生たちに、障がいという困難にも負けず、努力を重ねているパラリンピアンの姿、チャレンジする勇気を見て、“コロナ禍でもできることに全力を注ぐ”“チャレンジすれば道は開ける”ということを学んでもらいたいという想いがあり、中高生たちにパラリンピックと障がい者スポーツを体験してもらう本プロジェクトを企画しました。

― 新型コロナウイルス感染拡大の影響は?

大谷

ところが、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、東京で開催されるパラリンピックは1年延期となり、『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。 』も実施内容の変更を余儀なくされました。

先が見えない状況の中で、学校の行事としてどのように計画を立てていけばいいのか、難しい状況でした。本来ならパラリンピックスポーツを体験した子どもたちを実際にパラリンピックの会場に招待して、パラリンピアンの活躍を観戦してもらう予定でした。無観客になってしまったことでそれも叶いませんでしたが、結果として、岩手、宮城、福島の3県4校にご参加いただくことができました。

体験競技の概要と参加生徒の声

大谷
コロナ禍で先々が見通せなくなり、思い通りにできないという影響はありましたが、2021年に『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。 』を開催することができました。参加した4校の生徒の皆さんには2競技を体験いただきました。

体験競技01ボッチャ

ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤青それぞれ6球ずつのボールを投げたり蹴ったり転がしたり、ほかのボールに当てるなど、いかに近づけるかを競う。

体験会の流れ

  • 各クラス代表チーム(6人1組×2チーム)を選出
    ※尚志高校は11の部活でトーナメントを実施
  • 総当たり戦でクラス対抗戦を実施
  • 各リーグ表を表示
  • 優勝チームが所属する参加者全員に記念品をプレゼント
ボッチャ

体験競技02バドミントンスイングスピードチャレンジ

ラケットに専用スイングスピードセンサーを取り付け、スイングスピードを測定し、速度を競う。

体験会の流れ

  • スイングセンサー付きラケットを座った状態で1回、立った状態で1回振っていただき、速度を計測。座った状態のスイングが記録となる。
  • 各々上位3位をパネルにて掲示
  • 各リーグ表を表示
  • 男女それぞれ上位3位、また1位には記念品をプレゼント
バトミントンスイングスピードチャレンジ

清水建設様にはボッチャ競技の道具をご提供いただき、味の素様、TOTO様からは両競技の上位入賞者への景品をご提供いただきました。

― 講演会の様子は?

大谷
講演会では、「可能性を見つけよう」をテーマに花岡さんと松田さんにご講演いただきました。花岡さんの講演の中では「出来なくなったことに気持ちを向けるのではなく、何が出来るかを必死に考え生きてきた」「なりたい自分の強いイメージを持ち、そのために今日できることを考えて実行する」「命は時間」というメッセージが強く印象に残りました。コロナ禍で部活動や大会が中止になるなど困難に向き合ってきた中高生の胸にも強く響いたことと思います。松田さんの講演では、競技活動を支えてくれている方への感謝の気持ちを持つことの大切さ、挫折を乗り越える力、パフォーマンスを発揮する上での食事の取り方についてお話しいただきました。スポーツに取り組んでいる生徒さんが多く、アスリートの方たちのケガ後のマインドや、体づくりとパフォーマンスに影響する食事に興味関心を持っていたようですね。
講演会の様子①
講演会の様子②

講演を聞いた生徒の皆さんの感想(一部紹介)

元パラリンピアンの花岡さんの話を聞くことができてよかったです。今日できることにチャレンジすることが大切だということがわかりました。(東北高等学校泉キャンパスの生徒)

私は普段、ネガティブに捉えてしまうことが多く、「もうできない」「向いてない」と自分の可能性を信じられずにいました。でも松田さんと花岡さんの話を聞いて可能性はまだまだあるんだと思えました。(尚志学園尚志高等学校の生徒)

自分を肯定することが大事と言うことを学びました。逆境と感じるのは、前に進もうとしている証拠。だから前に進もうとしている自分をまず肯定してから、次にできることを探す。すごく良い言葉だなと思いました。自分が頑張ったと思ったら自分を肯定し、それが今度の自信になるんだと思いました。(尚志学園尚志高等学校の生徒)

■『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。』体験会報告動画

「学校」×「企業」の新たな可能性とは ~サステナビリティ、SDGsに関する取り組みも~

大谷

新型コロナウイルスの影響で学校行事の多くが中止になる中、今回の企業主導による体験会イベントは、学校側から「非常にありがたい」というお声をいただきました。

文部科学省の学習指導要領に「社会に開かれた教育課程を重視する」と記載がありますが、これは、子供たちが社会と世界とつながり、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していける力を積極的に育もうとする考え方です。この教育の実現には、地域と学校の連携・協働の推進が重要とされていますが、学校側も企業も、お互いに接点がないことが課題となっています。この「社会に開かれた教育課程の実現」に沿ったカリキュラムを実施するため、学校は企業側との連携を望んでおられます。

また、企業側もいわゆるZ世代といわれる若者たちへのコミュニケーションに課題を感じており、今回のようなプロジェクトによって教育現場との接点を持てることに非常に価値を感じていらっしゃいます。まさに『POTENTIAL MEETS YOU.可能性に会いに行こう。 』というプロジェクトは、企業・学校・自治体3者を結び、新たな価値を生み出すものであったと確信しています。

今回はパラリンピックスポーツと企業、学校・生徒が出会ったわけですが、日本の将来を担う子どもたちに「社会の可能性」や「日本の未来」を見せていくプロジェクトやイベントをこれからも実現していきたいと思います。弊社が企業と学校の“橋渡し”をさせていただき、今後はキャリア教育やサステナビリティ、SDGsといった文脈なども含めさまざまな企画に挑戦していきます。


まとめ

今回のイベントの成功により、「学校」×「企業」のコラボレーションが学校・生徒に対して新たな学びの機会を提供できることがわかりました。企業連携プログラムには、さまざまな可能性があると言えます。JTBでは、全国の産官学に跨るネットワークを活かして学校の新たな学びの機会をサポートします。興味がある学校の皆さまは是非ご相談ください。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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