「非認知能力は新しい概念じゃない?」「非認知能力のために教師ができることは?」など、気になる話が盛りだくさんの第8回次世代教育フォーラム。今、教育現場で注目される「非認知能力」をどう育て、どう評価するか――そのヒントがここにあります。
本記事では非認知能力の第一人者である中山芳一先生による講演「教師のための非認知能力の育て方」をダイジェストでご紹介します。
第8回次世代教育フォーラムの内容を基に、一部編集してお届けしています。

【配信中】生徒の非認知能力を育てる実践と評価
~効果を高めるステップ5.0~
プログラム(視聴時間:約120分)
| 第1部・講演 | 『教師のための非認知能力の育て方』 All HEROs合同会社代表社員、IPU環太平洋大学特命教授 中山 芳一 先生 |
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| 第2部・プレゼンテーション | ①『非認知能力とその成長の評価の可能性』 Institution for a Global Society(IGS)株式会社 執行役員 教育ソリューション部 部長 矢部 一成 氏 ②『非認知能力を基盤とした教育活動の評価と改善』 株式会社JTB 企画開発プロデュースセンター 企画開発担当課長(J’s GROWデータ分析担当) 玉木 雄三 |
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| 第3部・クロストーク | 『生徒の非認知能力を育てる実践と評価』 | |
お申し込み締切
2026年1月9日(金) 23:59
詳細はこちらから
講演者

All HEROs合同会社代表社員、IPU環太平洋大学特命教授 中山 芳一 先生
岡山大学教育学部卒業後、学童保育指導員として9年間勤務。学童保育の充実には研究が不可欠と確信し、教育方法学の道へ進む。以降、幼児教育から学校教育まで幅広い教育現場と連携した実践研究を展開。岡山大学では学生のキャリア教育や課外活動支援を担当し、20年以上にわたる小学生・大学生への教育実践を通じて「非認知能力の育成」に着目。全国各地の学校や保育現場で教職員と協働し、授業や取組の質的改善、さらには学校の立て直しにも貢献。これまで継続的に関わってきた学校園は約400か所にのぼる。
「非認知能力」なんて別に新しい力じゃない!
「非認知能力」
たしかに最近のトレンドワードかもしれませんが、これは新しい力ではないんです。「非認知能力」という言葉は最近言われるようになったものですが、実は過去にはこう呼ばれてきたものです。「見えない学力・人間力」。更に昔は「心」。非認知能力を育むとは、心を育むと言ってきたこととほぼ同義なのです。また現在の学習指導要領においては「学びに向かう力・人間性等」も同様の意味として使われています。こう考えると、「知っているな」と思っていただけるのではないでしょうか。
ではこの「非認知能力」どう捉えればいいのでしょう?
よく誤解される部分なので、以下に整理します。
×認知能力は低くていいよ、非認知能力さえ高ければ!
○非認知能力を生かせば、認知能力も高められる!
そもそも非認知能力は人がコト(勉強に限らず、スポーツ・仕事・恋愛・趣味等を含む)に臨むうえで必要な力であり、認知能力と非認知能力はどちらか一方という関係ではないのです。
「非認知能力」を伸ばすってどういうこと?
そもそも「非認知能力」に含まれる力はなに?
「非認知能力」という言葉は、様々な力を含む総称です。この中には、以下のスライドに載っている力を含め、様々な力が含まれています。

どの力にフォーカスしたらいいの?
多すぎて、分からなくなりますよね。そこで私(中山)からご提案しているのが、「非認知能力」を3つのグループに分けて考えることです。これらは様々な学校の教育目標や、先生方がどのような力を育みたいと考えているかということを参考に作っています。

では、どう「非認知能力」は鍛えられる?
その前に「非認知能力」をどう評価していくかですが、これは先生方が普段からしていること、「見取り」です。生徒の行動を見取り、○○する力が伸びたねというようなことは普段からされていると思います。ではその行動を生み出しているのはなにか。それは「生まれつき持ち合わせた気質」と「自分の中でつくり出す意識」です。つまり、自分自身の意識で行動を変え、それを習慣にできれば、何らかの非認知能力を自ら伸ばすことができる!
教師にできることは?
よく言っているのは「非認知能力のピラミッドをつくるサポートをしてください」ということです。以下が非認知のピラミッドですが、土台となっている一層目の気質以外は、後天的に自ら変えられるレベルつまり、教師が働きかけられる部分になります。
つまり生徒が自分の意識で行動し、習慣化していくことで「非認知能力」が伸びていくわけですが、教師は生徒の意識へつながるように直接的及び間接的な意識づけを行うことで、そのサポートをしていくことができます。ここで大事なことは押し付けではなく意識づけであり、やらせるのではなくその気にさせるということです。
個人レベルでは実行している先生も多いと思いますが、これからはチームで取り組んでいくことが重要になります。

教育現場でチームとしてできること
チームとして取り組むための教育実践ステップ5.0
私(中山)が様々な学校でご提案しているのが以下スライドの5つのステップをチームとして取り組むことになります。そして今回第1部の中で取り上げているのは、学校の8割を占める授業にフォーカスをしているステップです。この授業の中で、間接的意識づけをどうできるかという内容になります。
様々な学校に伺っている中で、最終的に行き着くのは授業改善になってきます。つまり、授業の中でどう非認知能力を生かして、認知能力を高めることができるか。そのための合言葉が「ギミック」、感情を動かすための仕掛けです。
感情を動かす理由は?
非認知能力は感情と連動しているため、感情が動けば何かしらの非認知能力を意識するようになります。だからこそ、感情を動かすことが重要なのです。
そしてギミックのなかでも、感情を動かしやすいものがあります。それらは、現実性・ゲーム性・関連性・協働性・当事者性の5つです。このようなギミックに、難易度のマッチングと、教師によるパフォーマンス(発問・演出・工夫・支援など)を入れることで効果的に働かせることができます。

まとめ
本記事では第1部をダイジェストとしてお届けしておりますが、フォーラム第2部では、「非認知能力」を授業や行事を含む特別活動において、どのように育成し、評価していくのか。そして、その評価を踏まえ、今後の先生方の実践をいかに改善すべきかについてご紹介しております。
また、注目の「チームとして取り組むための実践教育ステップ5.0」のステップ3.0以外については、第3部のクロストーク内でも取り上げております。
【配信中】【第8回次世代教育フォーラム】生徒の非認知能力を育てる実践と評価
~効果を高めるステップ5.0~
本記事でご紹介した内容の詳細や具体的にギミックを使った授業設計の方法などもお話頂いています。