日本の少子高齢化問題の対策として外国人労働者数の雇用拡大と、観光立国に向けた政策による訪日外国人の急増。急激にグローバル社会へと変容する日本社会において、医療や看護がその変化に対応していくため、日本初の国際看護学部を開設。日本における国際看護の醸成、マインドチェンジを目的に、全員が履修する科目として国際看護学実習を設置し、7カ国8施設の学術交流協定校・施設との交換留学を実施した学校法人大手前学園様の事例をご紹介します。
- 背景
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外国人労働者の雇用拡大、訪日外国人の急増と急激にグローバル化が進む中で、医療や看護はその変化に対応できているのか。定住・在留外国人や訪日外国人、グローバル社会で暮らす日本人への対応が必要と考えた大手前学園様は、2019年4月、日本初の国際看護学部を開設。学部開設当初から出張手配等サポートさせていただいてきたJTB神戸支店と連携し、日本における国際看護の醸成、マインドチェンジを目指した交換留学を国際看護学実習として実施。航空券手配から手続き業務、危機管理まで、留学手配業務の一元管理により、大学業務の効率化にもつながりました。
- 課題
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- 大学職員の業務効率化、業務軽減
- グローバル化に対応した、国際看護学実習の安全確保
- 実施内容
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01国際看護学部の特徴
一般の看護学部との教育内容の大きな違いは国際看護学領域が開講していること。地球を多様な地域と捉え、そこに暮らす様々な人々への健康課題を理解し看護を提供する教育を行う。
- 1年次
- 国際看護学概論を設置。ブラジルコミュニティ等の定住外国人への看護を学ぶ国際看護学実習Ⅰ
- 2年次
- JICAや検疫所等で訪日外国人への看護を学ぶ国際看護学実習Ⅱ
- 3年次
- 多様な文化や医療・看護を実際に体験し、文化に沿った看護の必要性への理解を深める 国際看護学実習Ⅲ
- 4年次
- チェンマイ大学病院で行う統合看護学実習(2週間)
02「国際看護学実習」目的
国が2030年にインバウンド6,000万人の目標を掲げる中で、日本における国際看護の醸成、マインドチェンジ(積極性)をゴールとし、看護の枠組で交換留学を実施。
03実習期間・実習先
期間 実習国 実習施設 2023年9月18日~9月29日 タイ チェンマイ大学 2023年10月30日~11月3日 韓国 延世大学 2023年11月6日~11月10日 オーストラリア アデレード大学 2023年11月13日~11月17日 ベトナム ダナン大学 2024年1月8日~1月12日 台湾 慈済科技大学 2024年1月15日~1月19日 フィリピン フィリピン総合病院 2024年2月5日~2月9日 シンガポール ナンヤンポリテクニック 2024年2月5日~2月9日 シンガポール The Institute of Mental Health 2024年2月12日~2月16日 タイ チェンマイ大学 04実習内容
- 現地学生との講義・演習
- 現地学生との交流
- 病院での見学実習
- ダナン初のサービス付き高齢者向け住宅の見学
- 幼稚園での健康教育の実施
実習スケジュール例
1日目
- AM
- ダナン大学の看護学生との講義
ベトナム人の半数以上が罹患していると言われる痔の病態・治療・症状・看護と予防について - PM
- ダナン大学の看護学生との演習
栄養チューブの挿入、固定、管理に関する実技について
2日目
ダナン病院循環器病センターと外科病棟・手術室、ICUの施設の見学
ダナン大学の看護学生が行う医療行為を伴う看護技術の見学
地域の幼稚園を訪問し、ベトナム語を用いた手洗いダンスによる健康教育を実施ダナン大学における国際看護学実習の様子
学術交流協定校のダナン大学での国際看護学実習が5日間行われ、3年次生9名が参加しました。実習期間中、学生たちは日本との医療・看護の違いや、その国の文化に沿った看護が行われているかなど、考察を深めながら学修に取り組むことができました。そして、最終日の、カンボジア、ドイツ、ラオス等の留学生との交流会では、「英語をもっと学ぼう!」という熱意が感じられました。
渡航が初めての学生や、英語が苦手な学生は、英語による講義や説明が続き戸惑うこともありましたが、実習半ばには英語力が身に付き、現地の生活習慣や食文化にも馴染み、帰国時には「もっと学ぶことがある」という意識を高めていました。
05JTBのサポート
- 緊急時のサポート
→海外重大事故専用24時間フリーダイヤル、保険会社、危機管理会社、在外支店との連携による危機管理体制構築 - 参加者対応、査証取得フォロー
→専用窓口構築、支店内大学サポートチーム対応 - 留学生の滞在期間中のサポート
- 留学生サポートラインの設置
- 緊急時の事故、相談内容の情報共有、保険会社連携
- 留学生生活サポートサービス
- 航空券の予約・発券・変更、海外旅行保険の加入手続き
- 空港でのアシスト
→大手前学園様専用のスタッフをご用意し、トランジットやチェックインサポート、緊急対応、空港からホテルまでの現地スタッフによる送迎
- 実施後の声
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参加した学生からの感想
「初めて日本以外の国の大学や病院、幼稚園を訪れてみて、全てのことにはその国の歴史や背景が関係しているため、相手を尊重することの大切さを学びました。また、疑問も持ち、たくさん質問することで自分の視野が広がっていくのを実感しました。今後は人に関心を持ち、たくさんコミュニケーションを取ることを看護でも活用していきたいと思いました」
「実際に海外に行ってみないとわからないことがたくさんありました。この貴重な体験を無駄にしないように、帰国後も勉強に励んでいきたいと思います。」
「ベトナムの大学や病院を訪れ、日本と異なる点にすごく驚きました。今までは日本国内でしか医療について勉強していなかったのですが、今回の実習で、異文化を知り、国の文化や習慣が大きく関係していることがわかりました」
「ベトナムでは看護師が不足しているため、即戦力が求められることから、看護学生の技術レベルがすごく高いことが分かりました。また、社会主義国家であることが医療や看護の世界に大きく影響を与えていることが分かり、政治経済を学ぶことの重要性を痛感しました。」
大学職員からの感想
「本学国際看護学部では海外での看護実習を必修としており、様々な国へ学生を派遣しております。渡航の手配だけでなく緊急時の対応や渡航中のサポートなど幅広い対応が必要となる中、JTB様と連携しプログラム運営をすることで安心と業務効率に繋がっています。各渡航先に関する情報提供や学生個人への対応等も、素早く丁寧にしてくださり大変助かっています。」
設立当初から携わらせて頂き、大手前大学様が実現させたいことを念頭に何が出来るかを検討し、進めてまいりました。渡航業務、VISA取得管理、協定校との調整、危機管理面、参加者フォローなど当社がこれまで培ってきた知見を活かして、大手前大学様にとって価値のあるサービスを提供することが出来ました。今後もこのような事例を増やしていきたいと考えています。