北海道上ノ国町は、函館空港から車で約1時間半、人口約4,000人弱の小さな町です。この町で、地域に眠る空き家を「滞在拠点」に変える、新しいまちづくりプロジェクトが始まりました。
全国的な課題である空き家は、防犯や景観悪化、災害リスクなど、時に地域の「負の遺産」と見なされがちです。しかし、見方を変え、適切に活用すれば、地域に新たな価値を生み出し、関係人口の創出や移住・定住など、幅広い地域課題の解決に繋がる「地域の資源」となり得る可能性を秘めています。
今回ご紹介するのは、まさにこの可能性を追求し、空き家を滞在資源へと変換させる上ノ国町の挑戦です。地域に新しい人の流れと活気をもたらす、その取り組みの全貌をご覧ください。

- 背景
-
北海道上ノ国町を含む檜山海域では、2025年に洋上風力発電の促進区域に指定され、環境に配慮したまちづくりの未来を見据え、動きが活発化していました。この地域には宿泊施設が数えるほどしかなく、宿泊できない人は函館など町外へ滞在するしかないのが現状です。この地域に様々な人が訪れてくれる機会を活用し、上ノ国町の素晴らしさを発信できないかという課題を抱えていました。
一方、洋上風力発電の設置については、町民への理解促進が必要不可欠であり、そのためには、洋上風力発電の恩恵を、上ノ国町民に還元できる仕組みが必要でした。洋上風力発電が新たな産業を生み、地域が活性化される循環を作りたいと考えていました。
- 課題
-
北海道上ノ国町では以下のような課題を抱えていました。
- 洋上風力発電による地域への還元の仕組み不足
- 人口減少・高齢化による働き手・担い手不足
- 宿泊施設不足と空き家問題
- 外部人材・関係人口を受け入れる受け皿の不足
- 観光が通過型に留まり、滞在・消費に繋がっていない
- 空き家活用に関するノウハウ・運営体制の不足
これらの課題が、このままでは地域が持続できないという危機感に繋がっていました。
- 実施内容
-
北海道上ノ国町とJTB、Airbnbが連携し、以下の取り組みを実施しました。
<実施した取組>
01 魅力抽出会議の実施
地元の高校生から大人まで、幅広い年代の町民にご参加いただき、計3回のセミナー・会議及び講演・ワークショップを通じて、町民の方々が自分たちの街の魅力を再発見していただくことをゴールに実施しました。
第1回:地域みらい会議
第2回:空き家利活用セミナー
第3回:民泊始め方セミナー
02 地域企画会議の実施
地域魅力抽出会議により可視化された「魅力」を、どのように町外の方々へ伝えるか等、ワークショップを通じて観光誘客の企画を立案。ワークショップには、町民以外の方も参加され、外部からの知見や情報、ネットワークを提供いただき、具体的な企画に仕上げました。



03 空き家&DIYイベントの実施
空き家への興味関心や理解を深めるために、地元の商工会、自治体、地域住民が連携し、空き家を地域としてどう資源に変えていくかなどをテーマに、空き家のDIYイベントを実施しました。これにより、上ノ国町での地域コミュニティ形成に繋がりました。



- 実施効果 今後の展望
-
まちづくりを推進するために、民間主導の社団法人を設立
セミナーや会議、ワークショップからイベントを通じて、地域のことを本気で考える機会を得たことで、これらの取組みを継続的に実施し、持続可能なまちづくりをしていきたいという若手4名及び地域活性化起業人が集まり、「一般社団法人e-NaKa(イーナカ)」が設立されました。空き家を地域の資源として活用し、地域に還元できる仕組みを作るためまずは2棟の空き家を滞在資源に変えるべく活動をしています。
滞在拠点が整備されたのち、地域企画会議で立案した企画の実行など、滞在の可能性を広げていく取組を行っていきます。
新たな産業が創出!公務員のキャリアデザイン開発も実施
今回のプロジェクトを通じて、町民の方々が、洋上風力発電を「機会」と捉え、地域にどう取り入れていくべきかを真剣に考え、町民のシビックプライドが醸成されました。
一方で、深刻な人口減少と人手不足に陥っている現状から、町民のキャリアモデルを開発しようという動きも出てきています。まずは、公務員のキャリアモデルの開発に向けて、現在は研修を実施しています。今後に向けて
新たな滞在拠点が生まれ、洋上風力発電の開発など、今後様々な人がこの地を訪れてくれると思います。その方々には、北海道上ノ国町のファンになり、応援団になってもらいたいと思っています。そのためには、町民みんなでおもてなしをする文化を醸成していきたいと思います。
- おすすめポイント
-
私たちは、地域の皆様が抱えている空き家を、負の資産ではなく、地域の価値を創出し、持続的なまちづくりに貢献する「拠点」として再設計しています。
同時に、そこに暮らす人々を主役と捉え、この地域の魅力とは何か、自分たちがこの地域に住み続けるために何が必要か、を考える機会を創り出し、地域の方々と共に進めていくプロジェクトです。結果、地域住民の主体性を引き出すことで、持続的な地域の循環を作り出しています。
地域により抱えている資源は様々であり、課題は異なると思います。
JTBは、交流を創造する企業として、今まで全国各地で、様々な地域交流事業に携わってまいりました。その実績やノウハウをもとに、皆様に寄り添い、地域に暮らす方々の声を聴きながら進めて参ります。
まずはお気軽にご相談ください。
【問い合わせ先】
地域未来にぎわい工房事務局 nigiwai_kobo@jtb.com
TEL:03-6737-9418 (9:30~17:30 ※12/30~1/3および土日祝休)
本プロジェクトの核心は、地域が主体となり、地域の眠っていた価値を呼び覚ますことにあります。地域の方々が紡いできた遊休資産を「まちの資産」へと再定義していきます。北海道上ノ国町では、本プロジェクトを通じて、2軒の空き家が宿泊施設へと鮮やかな転換を遂げました。これは単なる「滞在場所」の提供ではなく、地域経営の新たな足掛かりです。このモデルを全国へ展開し、地域と企業が共に育つ、持続可能な未来を築いてまいります。
上ノ国町に関わらせていただくようになり、早いもので2年が経過しました。上ノ国町役場・上ノ国町観光協会元会長 久末元様、地域活性化起業人 北名勝正様の熱い思いを“カタチ”にするためにサポートさせていただきますので、今後の進捗にご注目ください。