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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 地域で磨いた魅力を届けるツールとして「JTB BOKUN」を導入。美馬観光ビューローが起こした変化とは?

2022.09.21
地域マーケティング
誘客促進
商品開発・販売
インバウンド
観光ICT

人口減少や少子高齢化が進む現在、観光振興による地域活性化は多くの自治体や観光地域づくり法人(DMO)にとっての大きな課題です。「観光客や関係人口を増やすにはどうすればいいのか?」という悩みを抱える地域も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、徳島県美馬市の観光振興を担う美馬観光ビューロー様が、「JTB BOKUN」(「O」はアキュート・アクセントを付した「O」)を導入し、美馬市の魅力が体験できる「体験型商品」をオンライン販売することで流通、販路を拡大し、さらには業務の効率化を達成した事例をご紹介します。

団体紹介

団体名
美馬観光ビューロー
企業サイト
https://mimakankou.or.jp/
所在地
徳島県美馬市脇町大字脇町92番地
職員
17名

日本一の清流穴吹川、江戸時代のような雰囲気が味わえるうだつの町並み、世界農業遺産に登録された「傾斜地農業」など、徳島県美馬市のさまざまな魅力の発信を目的に設立された一般社団法人。

取材に応じてくださった方

枋谷 郁弥(トチタニ フミヤ)氏

枋谷 郁弥(トチタニ フミヤ)氏

一般社団法人 美馬観光ビューロー マネージャー

お客様のニーズに応え、ツアーの販売をオンライン化 新規顧客層の開発へ

お話をお伺いしたのは、2018年に美馬観光ビューローに入社後、旅行業務取扱管理者資格を取得し、とくしま応援割を活用した「マイカーで巡る美馬市周遊ツアー」事業、イベント事業、ホームページ作成等など、幅広い業務を担当する枋谷郁弥氏。22年からは『にし阿波観光圏』の観光地域づくりマネージャーも兼任し、徳島県西部エリアの受入環境整備事業、情報発信事業なども手掛けています。

お客様からオンライン販売を求める意見があったことをきっかけに、美馬観光ビューロー様が観光DXの第一歩として「JTB BOKUN」の導入に踏み切った理由や活用方法、今後の展望など、さまざまなお話を伺いました。

― まずは、美馬観光ビューロー様が抱えていた課題からお伺いできればと思います。

枋谷氏

「とくしま応援割」という県民割を使ったツアーを販売していたのですが、販売チャネルが来店予約、または電話受付というアナログな方法しかありませんでした。お客様から「オンライン予約やキャッシュレス決済ができないか」という問い合わせが増えてきたこともあり、オンライン販売の方法を探っていました。

オンライン予約ではすべてクレジット決済をお願いできますが、電話予約の場合は、こちらから申込書を送って料金を振り込んでいただき、さらに申込書を返送してもらうという郵送作業が発生します。振り込みされているかどうかの確認も少人数で行っていたので、非常に手間がかかるんです。業務を効率化させるためにもオンライン化は必要だと考え、いくつかの候補の中から、「にし阿波~剣山・吉野川観光公式サイト」でも活用していた「JTB BOKUN」を導入することにしました。

JTB BOKUNとは?

自治体や観光地域づくり法人(DMO)などの体験アクティビティ事業者向けのオンライン予約システム。自社ホームページで販売できる他、事業パートナーと提携した相互販売、グローバルOTAを活用するなど、さまざまな流通方法で新たな顧客層の開拓、および販路拡大ができる。予約販売をオンライン化することによって業務の効率化の実現も可能。また、各流通先の予約・在庫が一括管理できるので、各社に専用在庫を提供する必要がなくなり、売れ残りのリスクも軽減。電話予約や現地受付などのオフライン予約も含めた予約販売データの収集・分析も可能で、商品の開発やブラッシュアップにも活用できる。

JTB BOKUN

導入の決め手は、自社サイトでの販売が可能な点と料金の手頃さ

― 「JTB BOKUN」を導入する決め手はどのようなところにあったのでしょうか?

枋谷氏

2つ理由があって、ひとつは、他社ポータルサイトと違い、自社のホームページ内でコンテンツの紹介から販売まで、お客様に違和感なく一貫して行ってもらうことができる点。そこが「JTB BOKUN」の魅力だと思います。自社サイトで販売できることによって離脱率も低くなりますし、お客様が購入するときに他社サイトのID登録やログインをする必要なく、購入者の情報だけで予約販売できるところに大きなメリットを感じました。もうひとつは、他社さんと比較して利用料が手頃な点です。限られた予算で運営している団体ですから、やはり利用料は決め手になりました。

「にし阿波~剣山・吉野川観光公式サイト」で販売した際に、JTBの担当の方からアカウントや商品を登録する方法を教えていただいていたので、新たな負担がかからなかったことも大きいです。「JTB BOKUN」への商品登録や、コンテンツの追加方法、修正方法についてもすべてオンラインでサポートしていただけるので、本当に助かっています。

「にし阿波~剣山・吉野川観光公式サイト」

公式ホームページ

体験予約サイト

― まわりの理解を得るためにはどのようなことをされたのでしょうか? やはり自治体やDMOなどでは周囲の合意が必要なことが多いですよね。

枋谷氏
「積極的にできないけれど、少しずつやらなきゃいけない」という認識が周囲の方々にもあったと思うんです。そこで私が、「担当してやります」と言い切ったので進められた部分は大きいです。また、2022年の4月から美馬観光ビューローに出向していただいているJTBの山本さんが、「業務を効率的に進めていくにはオンライン化が必要」と猛プッシュしてくださったことも大きかったと思います。

― 導入後、どのような効果を感じていらっしゃいますか?

枋谷氏
導入後の効果は、次の2点です。一点目は、これまでは来店や電話での予約のみだったので、美馬市に隣接しているつるぎ町や阿波市のお客様がメインだったのですが、導入後は、徳島市や三好市など、美馬市から車で約1時間離れた地域のお客様にも来ていただけるようになりました。
2点目は、営業時間を気にせず気軽に予約できるようになったので、新規の方はもちろん、日を改めて違うコースに複数申し込んでくださる、リピーターの方も増えました。オンラインを利用いただく方の年齢層は、来店と電話のみだったときよりは、若干低くなり、より幅広いお客様に注目いただけているのかなと思います。

― ツアーの内容が充実しているからこそのエピソードですね。先ほど話されていた業務の効率化に関しての効果はいかがでしたか?

枋谷氏
とてもラクになりました。郵送作業や振込確認、お客様ご自身が情報を入力してくださるので、郵送先の間違いなどもなくなりました。美馬観光ビューローは観光協会も兼ねていますので、お客様から問い合せや、イベント開催のための作業などの業務もあります。業務時間すべてをツアーの対応に当てることがむずかしいので、自分たちの好きな時間に予約処理ができることで、本当にラクになりました。お客様も営業時間の9時から18時を気にせずに、お客様のご都合の良い時間に申し込みすることもできますし、何日までに振り込みに行かなくちゃ…といった心配もなくなったと思うので、良かったのではないかなと思います。

― 現在は、オンライン予約と来店や電話での予約はどんな割合ですか?

枋谷氏

オンラインが3割で、来店や電話での予約が7割です。何ヶ月か運用してきた中で、このツアーは来店の方が多い、このツアーはオンラインの方に人気というように、ツアーごとの年齢層が見えてきたので、オンライン予約をされるお客様が多いツアーは、オンライン予約の比率を徐々に上げながら増やしていきたいです。

ただ、アクティビティを体験していただくお店の規模があまり大きくないので、オンラインを増やし過ぎると席数が足りなくなる可能性もあるんです。ですので増やしたいとは思いつつも、調整は必要かなと。現在は人数ベースで予約を取っていますが、組数ベースの予約に変えてみるなど、いろいろと試していきたいとは思っています。

コロナ禍の厳しい状況の中でも、回復の兆しは見えつつある

― これまでオンラインで販売されたアクティビティの中で、一番人気が高かったのはどんなツアーですか?

枋谷氏
徳島県の伝統工芸品の藍染を体験できるツアーが最も集客力が高いです。毎月、約200人のお客様に来ていただいています。もうひとつ人気なのが、美馬観光ビューローの事務所がある脇町の、「うだつの町並み」を散策したあとに古民家レストラン「PUNTA」で本格イタリアンが食べられるツアーもとても人気がありました。現在は、徳島県の新型コロナウイルス感染状況が良くないので、ツアーはお休みさせていただいていますが、状況が落ち着き次第、ツアーも再開できればと考えています。

― なかなか厳しい状況ではありますが、夏休みなどには美馬市に観光で訪れる方も多かったのではないでしょうか?

枋谷氏
ツアー自体は7月14日からお休みさせていただいていますが、お盆を含めて、夏はやはり観光客でにぎわっていました。ここ数年は徳島県内や香川県の方がほとんどでしたが、この夏は、関西方面からのお客様もだいぶ回復してきたかなという印象はあります。コロナ前は関西圏がメインターゲット層だったので、ようやく戻りつつあるのかなと。

― 海外の方も多く訪れていたと伺いました。今年は厳しいとは思いますが、今後回復するといいですよね。

枋谷氏
そうですね。台湾やフランスからいらっしゃるお客様が多かったんです。最近では、台湾の旅行会社から問い合わせをいただくなど、海外からの問い合わせも少しずつ増えてはいるので、回復の兆しは見えてきたのかなとは思っています。

ホームページのさらなる充実とSNSの活用が地域活性化のカギに

― 美馬観光ビューロー様の公式ホームページが素敵だなと思ったのですが、今後のデジタルに関する施策についてはどのようなことをお考えですか?

枋谷氏

今までは観光マップは紙のみだったのですが、サステナブルな取り組みのひとつとして、昨年、「うだつの町並み」のオンライン版のマップを作成しました。スマートフォンでQRコードを読み取れば見られる「うだつの町並み」の周辺マップには、飲食店や観光スポットの情報も掲載しています。市内には他にもさまざまな観光施設がありますので、剣山や穴吹川など、おすすめのスポットを入れ込んだ、美馬市全体のマップも今後は作っていきたいです。

うだつの町並み 周辺マップ

県外からのお客様はあまり現金を持って歩きたくないと思うので、キャッスレス決済への対応も進めていきたいことのひとつです。

今後は、InstagramなどのSNS広告も使ってみたいとは思っています。限られた人数や予算で観光プロモーションをやっていく上では、AIやオンラインの力は絶対に必要です。

私、個人として今年一番頑張りたいのは、ホームページのアクセス数を伸ばすことです。ホームページには、事前に雰囲気を味わっていただければと思い、360度カメラの映像も載せています。「こういうところですよ」ということが伝わりやすいので、掲載してからは多くの方に見ていただけています。

枋谷さんが作成したという美馬観光ビューローのHP

美馬観光ビューローのSNSのフォロワーもどんどん増やしていきたいです。実はもうひとつ僕が運用している仕事内容をアップしているSNSがあるのですが、現在、約3000人の方にフォローしていただいて、たくさんコメントやいいね!をいただけているんです。そのことを考えると、どちらかというと、企業SNSよりもスタッフ目線の生の情報をお客様が欲しがっているのかなと思うんです。

美馬観光ビューローインスタグラム

枋谷氏インスタグラム

― 枋谷さんの熱意が伝わります。ホームページもSNSもどんどん充実していきそうですね。

枋谷氏
私は自分が生まれ育った美馬市が好きなんです。美馬市の観光に関することだったら誰よりも詳しいと自負しています(笑)。ホームページやSNSを独学で学び、旅行業取扱管理者の資格も取得しました。「とくしま応援割」がはじまる際、美馬観光ビューローには旅行業取扱管理者の資格を持っている人がいなかったんです。だからまずは私が資格を取得して、約款や旅行の条件書、申込書など、すべて一から作成しました。これからも美馬市をPRするためにどんどんスキルアップしていきたいと思っています。自分が生まれ育ったところに多くの方が来てくださるのは嬉しいですし、もっと多くの人に知っていただきたいです。

― 「美馬愛」が日本一強い、枋谷様おすすめのスポットを教えてください。

枋谷氏
日本で唯一、川を借景に取り入れた「本楽寺」がおすすめです。四国で一番大きな吉野川沿いにある石庭が有名で、ツルとカメの長寿を表していて本当にキレイです。中で精進料理を食べたり、裏にこけ庭があったり、本格的なお茶室も構えていて、住職がとても観光に力を入れていらっしゃいます。今後は徳島県を代表する観光スポットになっていくのではないかなと。私が自信を持って紹介できる、見ごたえのある観光スポットです。
阿波山脈と吉野川を借景に取り込んだ美しい石庭のある「本楽寺」

お客様に常に情報発信するためには、ある程度の内製化も必要

― 美馬観光ビューロー様と同じような悩みを抱えている自治体やDMOは多いかと思います。なかなか業務オペレーションを変える一歩を踏み出せない方へアドバイスをお願いできればと思います。

枋谷氏
オンライン販売を導入することによって、近隣の方から全国へと募集販売の対象が広がるので、新規顧客層の開発もできますし、少人数で対応している団体であれば、業務軽減にもつながります。私たちが導入した「JTB BOKUN」であれば、安心して導入できるのではないかなと思います。

― デジタルに強い方がいらっしゃらない場合も多いですよね。

枋谷氏
私もデジタル系の学校を卒業したわけではなく、独学ですから。勉強しようと思ったきっかけは、ホームページで情報発信をする際、小さな修正のひとつでもWEB制作会社さんに依頼しなければならなかったときに、結構手間だなと思ったからなんです。当たり前ですが、ひとつひとつに料金がかかります。限られた予算の中でやっていますので、できないこともありますし、第一に効率的ではなかったので、じゃあ自分で勉強しようと思いました。他の自治体の方からも、「リンクを貼るだけでも制作会社さんに頼まないといけない」といった悩みはよく聞きます。私たち観光業界に携わる側の人間は、情報発信をすることがメインです。これからは、少しの内製化は必要ではないかなと思います。

― 最後に、美馬観光ビューロー様の今後の展望を教えてください。

枋谷氏
現状では、「とくしま応援割」ありきのツアーのみを販売していますが、「藍染体験」や「美馬和傘」といった伝統工芸品を体験していただくツアーは、今後はインバウンド向けにも売っていきたいと思っています。現状は日本の方をターゲットにしているので、日本語のみですが、状況が回復したときには多言語化して「JTB BOKUN」の機能をさらに活用していきたいです。
美馬市の伝統工芸品「美馬和傘」

もちろん、9月以降も国や徳島県が実施する観光キャンペーンを活用した、美馬市を周遊できるお得なツアーの販売は引き続き行います。近い予定としては、9月末から10月上旬にかけて、「うだつの町並み」にある市の指定文化財「吉田家住宅」で、徳島県伝統の遊山箱という可愛らしいお弁当箱とコラボしたイベント『うだつ花遊山』を計画しています。徳島の文化が感じられるイベント事業とアクティビティが体験できるツアーの、2本の柱で美馬の観光産業を盛り上げるため今後も頑張っていきたいと思っています。


まとめ

これまでまったくデジタルツールを使っていなかった美馬観光ビューロー様が、熱意あるご担当者様の引導によって、「JTB BOKUN」の導入やホームページの充実、SNS展開といったかたちで、地域の魅力を発信し、少しずつ、そして、確実に集客を実現しつつある過程を知ることができました。ご存じの通り、観光DXは現オペレーションを変更するハードルが伴うものの、観光庁が推進しているように、デジタル技術の活用は、新規顧客層の開発や、業務軽減にもつながり、観光振興による地域活性化を目指す自治体にとっていずれ必要になってきます。この記事が、デジタルツールの導入を考えているものの、業務フローの変更にまでなかなか第一歩が踏み出せない、そんなお悩みを抱える自治体やDMO、体験事業者のみなさまの参考になれば幸いです。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)オンラインプラットフォーム「JTB BOKUN」活用集

人口減少や少子高齢化が進む今、「観光客や関係人口を増やすにはどうすればいいのか?」とお悩みを抱える地域も少なくないのではないでしょうか。観光振興による地域活性化は多くの自治体や観光地域づくり法人(DMO)にとっての大きな課題の一つとなっています。観光DXは現オペレーションを変更するハードルが伴うものの、デジタル技術の活用は、新規顧客層の開発や、業務軽減にもつながり、地域活性化を目指す自治体にとっていずれ必要になってきます。本資料が、デジタルツールの導入を考えているものの、業務フローの変更にまでなかなか第一歩が踏み出せない、そんなお悩みを抱える自治体やDMO、体験事業者のみなさまの参考になれば幸いです。

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