学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 オンライン教育時代の修学旅行は、どこへ向かうのか?

2020.11.09
国内プログラム
課題発見・解決力育成
中学・高校向け

新型コロナウイルスの感染収束が見通せないなか、修学旅行の延期・変更や中止を決定する学校や自治体が相次いでいます。特に海外への修学旅行は、訪問先の入国制限措置や行動制限措置等により、事実上実施が困難な状況が続いています。国内の修学旅行については、実施時期の繰り下げ、方面を近場へ変更、航空機や新幹線利用の取りやめといった対策を講じた上で実施をする学校があるなかで、修学旅行自体を中止にした学校も少なくありません。

変わりゆく学校教育において、修学旅行は必要か?

2020年10月2日、文部科学省は修学旅行の教育的意義や、生徒・保護者の心情も考慮し、「新型コロナウイルスの影響で修学旅行を当面の措置として中止した場合も、感染症対策を検討したうえで、実施を再検討すること」を都道府県教委などに通知しています。併せて、中止ではなく延期とした場合も、目的地や日程短縮を再検討し、今年度末までに実施するよう求め、修学旅行への「GoToトラベル」事業の活用も推奨。萩生田光一文部科学大臣は2日の閣議後記者会見で、「修学旅行は子供にとってかけがえのない思い出であり、教育効果の高い活動である」として、積極的な実施を求めました。

参考元:萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年10月2日)|文部科学省

修学旅行の教育的意義をあらためて考える

そもそも、修学旅行の教育的意義とは何でしょうか。
学習指導要領では「旅行・集団宿泊的行事/平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすること」と定めています。今回の改訂(平成29・30年度)では、新しい時代を生きる子供たちに必要な「資質・能力の三つの柱」という観点が追加されたものの、修学旅行の根本的な意義は大きく変わってはいません。

参考元:平成29・30年改訂学習指導要領のくわしい内容 文部科学省

近年では学習指導要領が定めるねらいに加えて、独自の意義や目的を持たせた旅行行事を実施する学校が増加しつつあります。全員で見学や体験をするこれまでの修学旅行に代わり、テーマや方面を生徒が選ぶ選択制旅行や、訪問国の課題に触れそれを探究する海外スタディツアーを取り入れる学校などはその一例です。修学旅行の意義・目的と活動内容の多様化は今後ますます進展することが予想されます。

“新しい学びの時代”では、修学旅行がますます重要に

現代は、情報化やグローバル化といった社会的変化が想像を超えて進展し得る、まさに“予測困難な時代”です。これからの未来を創る生徒たちは、そうした予測できない変化に対して受け身で対処するのではなく、様々な情報やできごとを受け止めて、主体的に判断しながら解決し、新たな価値(社会)を創造していかねばなりません。

こうした時代の変化を背景に改訂された学習指導要領では、「何を学ぶか」のみならず、「何ができるようになるか」を重視します。そのために「どのように学ぶか(主体的な学び、対話的な学び、深い学び)」の視点 ―― 一つの物事を多様な視点から捉え、生徒たちが「気付かなかったことに気づく」「考えもしなかったことにまで考えを深める」―― アクティブ・ラーニングの視点での授業改善を求めています。

参考元:「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」|文部科学省

新しい時代に向け、修学旅行も「どこに行くか」ではなく、「何を体験させるか/何を考えさせるか」、そして「どんな資質・能力を身につけさせるか」が一層問われるようになります。修学旅行が、生徒にとって楽しい思い出づくりの場であることは変わらなくとも、これまで以上に教科等との連携を図り、多様なものの見方・考え方を働かせる「学びの場」として、より一層重要な活動になっていくことは間違いありません。

オンライン教育時代の修学旅行のあり方

文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」は、新型コロナウィルスの影響により期せずして加速、「1人1台端末・高速通信環境」といった日本の学校のICT環境の整備が急ピッチで進められています。学校におけるICT環境の整備とICTを活用した学習活動の充実の促進は学習指導要領でも示されており、学習者用デジタル教科書をはじめ、「調べ学習、表現・制作、遠隔教育、情報モラル教育」などの学習を可能にするアプリ・ツールが続々と登場しています。教育のオンライン化が進むなか、修学旅行のオンライン化はどのように進化していくのでしょうか。

オンラインツールを活用した、新たなつながり

コロナ禍により海外語学研修や留学など、主に希望制で実施する海外旅行行事の中止を余儀なくされた学校では、その代替策として、オンラインによる英語レッスンの受講、現地学校との交流、留学などを取り入れる動きが活性化しました。海外行事をオンライン化することにより、渡航に掛かる費用や海外でのリスクが大幅低減できる一方で「“リアルな体験”にはかなわない」と言われ続けてきました。

しかし“withコロナ”をうけて、オンライン・コミュニケーションが当たり前の世の中になり、従前とは異なる“オンライン化のメリット”も発見できるようになりました。それは、距離の壁を気にせずに誰とでもすぐにつながることが出来る点や、交流が難しい状況にある生徒でも友達と体験を共有できるなどです。こうした体験は「次は実際に行ってみたい/新しいことに挑戦してみたい」という子供たちの主体性を引き出すきっかけにもなります。旅行会社がオンライン修学旅行を企画したり、学校がオンラインツールを活用して独自に修学旅行先の方々と交流するなど、従前とは異なる“オンライン化のメリット”や“新たなつながり方”を、それぞれが発見しはじめているのです。

リアルとオンラインを融合させ、最適な学びを実現

オンライン旅行にも様々なメリットが見出され始めているなか、リアルな修学旅行の価値はどこにあるのでしょうか?
例えば、

  • “本物の社会”と出会う経験(地域や人の特色・魅力を五感で感じる)
  • 親元を離れて生活する経験(規律や自立の訓練)。
  • リアルな地域課題を知る経験(問いが生まれ、学びの動機付けとなる)

などです。
また、仲間や先生と非日常空間で寝食を共にする経験によって、強い絆が形成され、学校生活に彩りを添え、一生の思い出になることなどは、リアルな修学旅行ならではの価値と言えます。

こうした “リアルな修学旅行”の価値と、子供たちの主体性を引き出す“オンライン修学旅行”の価値。修学旅行の教育的意義に立ち返れば、自ら考え、自ら感じ、自ら気づいたことを他教科等へ複層的につなげて応用していくという点において、どちらも有用です。つまり、これからの時代はハイブリッド(最適な組み合わせ)で、修学旅行を計画・実施していくことが求められるのではないでしょうか。

例えば、修学旅行を総合的な探究の時間の一環に組み込んだうえで、リアルな旅行では現地の方々に出会って取材や交流を深める一方、旅行前の情報収集や意見交換、旅行後の研究発表会はオンラインツールを通じて現地の方々と行う、というのも効果的な手法です。こうした手法は、海外ホームステイや、学校交流などにも応用できるでしょう。

まとめ

生徒の資質・能力を育む重要な教育課程であり、各教科連携・教科横断型の学びの一角を占める修学旅行。現在のオンライン修学旅行は、“コロナ禍”で修学旅行が実施できないための代替策かもしれません。しかし今後、リアルな修学旅行が復活した際には、オンライン修学旅行とリアルな修学旅行ーそれぞれのメリットを踏まえたうえで、学校が「修学旅行で育みたい資質・能力」に基づき、最適な組み合わせを考え実施することがポイントとなります。まさに、新しい時代にふさわしい修学旅行のかたちを実現できる環境が整いつつあると言えるのではないでしょうか。今回は、リアルな修学旅行の代替策としてオンライン修学旅行を実施し、生徒の笑顔と主体性を引き出した学校の事例をご紹介します。


(お役立ち資料)
360度 VR 映像体験とリアル体験を組み合わせた “ 新感覚体験型旅行 ” プログラム
「バーチャル修学旅行360」導入事例

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、やむを得ず修学旅行中止の判断をする学校が増えるなか、「思い出づくりと学びの機会を生徒に提供したい」という思いで開発したプログラムです。実際に導入いただいた千葉県の学校の事例を紹介します。ぜひ、ご覧ください。

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