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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 旅を通じて社会貢献と自己実現へ ボランティア・ツーリズムのススメ

2024.09.10
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海外との距離が近くなり、旅行を通じてさまざま場所へ行けるようになりました。旅行の目的も多様化し、特別な体験を求めて旅する人も増えています。

その土地の人や文化に触れ、唯一無二の体験をもたらしてくれる「ボランティア・ツーリズム」もそのひとつです。

本記事では、ボランティア・ツーリズムの基礎情報や事例、参加する際のポイントを紹介します。

はじめに、ボランティア・ツーリズムの意味やこれまでの歴史を簡単に紹介します。

ボランティア・ツーリズムとは

ボランティア・ツーリズムは旅行者でありながら、旅行の過程で何らかのボランティア活動を行うことを指します。

その活動内容や形態に明確な決まりはありません。参加者自身の考え方や自発性が重視されるため、多様性が尊重されるのです。そのため、経験が得られる・ステップアップできる・視野が広がる・新しい興味が生まれるなど、さまざまな可能性があります。

欧米を起源に世界へ広がる

ボランティア・ツーリズムは、1920年代にヨーロッパで発足した「国際市民奉仕団」が起源となり、本格的に展開されるようになったのは1990年代以降といわれています。

欧米を中心に活動が広がり、2008年には、世界におけるボランティア・ ツーリズムの参加者数が年間160万人を記録。2009年には、シンガポールで「ボランティア活動とツーリズムに関する国際的シンポジウム」(International Symposium of Volunteering and Tourism)が開催され、研究開発が進んでいます。

日本では、2011年の東日本大震災をはじめ、自然災害発生時に、復興支援として災害ボランティア・ツアーが広まっていきました。近年は、SDGsの達成に貢献する目的で開催されるケースもあり、地球規模の取り組みが期待されています。

参加者が得られる4つのメリット

ボランティア・ツーリズムは、旅とボランティアの2つの側面が重なり合うため、参加者にはさまざまなメリットがあります。

01旅をしながら社会貢献ができるる

最も大きなメリットは、旅をしながら社会貢献ができることです。

人は「〇〇に行きたい」、「〇〇を見たい」、「〇〇を食べたい」など、それぞれの目的を持って旅をすることが多いでしょう。自己の欲求を満たすことが主になっていることも少なくありません。

旅にボランティア活動が加わることで、旅の欲求を満たしながら、社会貢献を通じた気づきや学びなどを得ることができます。

02現地の人々や文化との深い交流

観光では出会うことがない人や文化と交流ができることです。ボランティア・ツーリズムでは、現地の生活に入り込んで活動を行うことが多いため、その土地の人や文化との接点が深くなります。その土地で数日間を過ごすこともあり、関係性はより強くなるでしょう。

さらに、地域の人と参加者が課題を共有し、解決のために一緒に活動をするため、気持ちのつながりが生まれやすくなります。

03グローバルな視点が身に付く

行き先を海外にすることで、グローバルな交流が生まれます。現地の人はもちろん、海外からボランティアで来ている人との交流もあり、日本とは異なる文化・思考に触れる機会が増えるでしょう。

04新たなスキル習得と自己成長

ボランティア・ツーリズムの多くは、地域や人が抱えている問題や課題を解決する目的で行われています。なかには、社会課題に向き合うことも少なくありません。そのため、課題を解決するための考え方・プロセス・行動を間近で体験しながら学ぶことができます。

また、現地の人や一緒に活動をする仲間などさまざま人との出会いがあります。お互いに素性を知らない間柄で活動をすることが多いため、自然とコミュニケーション能力が培われていきます。チームで動くこともあり、自身のチームワーク力向上にもつながるでしょう。

地域社会にもたらされるメリット

次に、ボランティアを受け入れる地域側から見てみましょう。地域が受けるポジティブなメリットを解説します。

ボランティア・ツーリズムでは、参加者が現地のさまざまなサービスを利用するため、ボランティアを受け入れる地域側には旅行消費による経済波及効果が見込めます。交通移動、飲食、土産、など旅を通じた消費により、地域の小売店・企業・自治体など多くの人々にポジティブな影響が及びます。

加えて、社会的効果も見逃せません。現地の人は、地域外・国外の人との交流が生まれるため、新しい価値観や情報に触れる機会が得られます。また、地域が抱えている課題を参加者と一緒に解決することで、現地の人のモチベーションアップにもつながっていくでしょう。

本活動が終わった後、参加者は自身が住んでいる国や地域に戻り、周囲の人に活動内容を広めることも期待できます。すると、新たなボランティア参加者や旅行者が訪れるきっかけになることでしょう。

事例紹介~ハワイの地で環太平洋地域の人々と交流~

ここからは、実際に行われたボランティア・ツーリズムの事例を紹介します。

ホノルルフェスティバル

太平洋の中心に位置するハワイを舞合に、環太平洋の国と地域が集い、文化や教育交流、環境保全を目的とする国際イベントです。3日間の会期のなかで、展示・実演、パフォーマンス、パレード・パーティなどさまざまプログラムが展開されます。

1995年に第1回目が開催され、現在では毎年3月に開催される恒例行事として定着。第29回目を迎える2025年は3/7(金)~3/9(日)の予定で開催されます。

ホノルルフェスティバルで体験できるボランティア活動

ホノルルフェスティバルは、ボランティアとして参加し、イベントの運営に関わることができます。複数のプログラムがあり、具体的には以下のような経験ができます。

英会話コミュニケーション

世界各地からの来場者に対して、英語を使ってプログラム内容を説明したり、会場内の誘導をしたりします。

異文化交流

地元ボランティアと一緒に行動したり、世界各国の来場者とコミュニケーションをとったりするため、異文化に触れることができます。

国際イベントの運営サポート

本イベントは、世界中の国と人が関わっています。国際イベントの運営にボランティアとして関わることができます。

ホスピタリティーを学ぶ

パーティでは、来場者への食事の提供サポートを行い、ホスピタリティーを学ぶことができます。

加えて、ボランティアを通じて、ハワイの歴史や文化を学び、観光では知ることのない国の魅力を知ることができます。

このような経験を通じて、現在の自分を見つめ直し、将来の自身の在り方やキャリアを考える機会になるでしょう。

ボランティア・ツーリズム参加者の声

ここからは、ホノルルフェスティバルにボランティアとして参加した人たちの声を一部紹介します。

Aさん
ボランティアに参加し、たとえ小さなことでも誰かがやらなければ物事は成立しないことを実感しました。そのため、ボランティアでも責任感を持って与えられたことを行うことの大切さを学びました。
Bさん
さまざまな国の人が参加し、それぞれの多様性を認め合っていることを間近に感じることできました。また、この経験がきっかけになり、ほかのボランティアにも挑戦しています。多岐に渡って沢山の事を学んだこの経験は、一生の思い出となりました。
Cさん
ボランティアの本質に触れることができました。仕事ではなく、責任を伴うボランティアの位置付けは難しいです。しかし、それ以上に自分自身が楽しめて、一緒にイベントを盛り上げる素晴らしさを再確認できました。今までにさまざまなボランティア活動をしてきましたが、ハワイの青い空や海を見ながらのボランティアは格別。これを機にイベント企画にも興味を持つことができ、自分の視野が広がりました。

ボランティア参加者たちは、それぞれの視点で気づきや学びがあるようです。非日常的な場所での体験は、人を大きく成長させるのです。

効果を最大限高めるポイント

ボランティア・ツーリズムは参加者自身の考え方や自発性によって、その活動内容や関わり方が大きく変わります。参加者にとって、より良い活動にするためのポイントを紹介します。

POINT01目的を明確にする

まずは、ボランティア・ツーリズムに参加する目的を明確にすることをオススメします。「特定の地域の課題解決の支援をしたい」、「英会話スキルを活かした活動をしたい」、「異文化の人と一緒に働く経験をしたい」など人によって異なりますが、その内容が明確であるほど有意義な旅行になるでしょう。

POINT02自分に合ったボランティア・ツーリズムを見つける

目的が明確になったら、その目的を達成できるボランティア・ツアーを見つけましょう。自分で直接現地の受け入れ先を見つけることも可能ですが、はじめての場合は旅行会社で用意している、ボランティア・ツアーから選ぶことをオススメします。

具体的には、以下の点を参考に選ぶと良いでしょう。

  • 目的地の文化や環境などに興味関心があるか。
  • 自分が求める体験やプログラムが含まれているか。
  • 誰が参加し、どんな人との交流があるのか。
  • コミュニケーション方法はどんな言語を使うのか。
  • 自分の状況と照らし合わせ、無理のないスケジュールが組まれているか。

申し込みをする際の注意点

申し込みの際、規約を必ずチェックしましょう。万が一のときのキャンセル規定をはじめ、最少催行人数が設定されている場合もあるため、しっかり確認する必要があります。

なお、旅先・ボランティア内容によって持ち物や準備内容が変わるため、注意が必要です

また、自分の健康状態を考慮することも大切です。少しでも不安がある場合は、どのようなヘルスサポートを受けられるか確認しましょう。ボランティア保険などもあるため、加入することをオススメします。


まとめ

本記事では、ボランティア・ツーリズムの基礎情報や事例、参加をする際のポイントを紹介しました。通常の観光旅行だけでは得がたい経験や学びがたくさん詰まっており、今後の人生を歩むヒントが見つかるかもしれません。

JTBでは、本記事で紹介したボランティア・ツーリズムに関するさまざまなプログラムを提供しています。参加者の目的に合わせた、行き先・体験内容をご用意しています。


参考文献
ボランティア ・ ツーリズム論の現状と動向

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