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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 地域の魅力発掘発信をサポート 住民参加型「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」とは? ~ふるさと納税サイト「ふるぽ」から誕生した、関係人口拡大に向けた新たな試み~

2021.03.19
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ふるさと納税とは、応援したい自治体を選んで寄附ができる仕組みです。寄附をすると、自治体や地域産業に貢献できるだけでなく、寄附したお金のほとんどが税金控除・還付で戻ってくるうえ、寄附した自治体から返礼品を受け取ることができる制度です。2015年には税制改正があり、「ワンストップ特例」を利用すれば確定申告が不要になるなど、近年ますます注目が集まっています。

JTBが運営するふるさと納税サイト「ふるぽ」は、ポイント制(ポイントを発行して好きなタイミングで返礼品を選べる)を採用している自治体を多数扱うサイトです。寄附した自治体を旅行で訪れることができる旅行クーポンといった旅行会社としての強みを生かした返礼品が他との大きな違いです。

関係人口を増やすことでその地域を活性化させるためにふるさと納税サイト「ふるぽ」がスタートさせた“住民参加型”の新しいプロジェクトをご紹介します。

JTBふるさと納税サイト「ふるぽ」とは?

ふるさとを増やしていく新しい旅のかたちを提案

「ふるぽ」の最大の強みであり価値は旅行クーポン、つまり地域と寄附者の交流です。寄附の使い道は自治体が設定した選択肢の中から指定できるので、例えば災害で倒れた桜並木の復興支援を指定したら、桜が咲くころその土地へ復活した桜並木を見に行きたくなる。枝一本でも自分の寄附が役立っていると思えたら、その土地に愛着が生まれ、特別な場所になります。

生まれ故郷でなくてもふるさとのように感じられる大切な場所は、たくさんあるだけ幸せになれると思います。寄附をしてお礼の品をもらって終わりではなく、「ふるぽ」はふるさと納税をきっかけにその自治体に旅をする人を増やし、旅の数だけふるさとを増やすことまでを目指しています。

「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」とは?

その土地に暮らす人々とJTBが、自治体とともに、その土地のまだ知られていない魅力を発掘し、全国に発信する取り組みです。ふるさと納税を機に、その地域に行きたいと思った人とその自治体とをつなげたいと考えていたJTBと、地域の魅力を地域から発信する戦略情報発信エージェンシーの合同会社イーストタイムズがタッグを組んではじめました。

「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」WEBサイト

ここからは、この「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」を担当する株式会社JTB ふるさと開発事業部のメンバーにお話を聞いていきたいと思います。

株式会社JTB ふるさと開発事業部  
事業部長 松村 尚(右)
営業担当課長 中田 毅(中)
事業担当 久保田 洋也(左) 

東北から全国へ。地域の人にしか発信できない魅力がある

―中田
このプロジェクトは、イーストタイムズが講師となって地元の人が参加するワークショップを開催し、自分たちの地域の魅力を発表し合い、そこで発掘した地元の魅力を「ふるぽ」で発信するというものです。昨年の秋から宮城県の気仙沼市を皮切りに、秋田県の大仙市、秋田市と、これまでに3つの地域でワークショップを開催しました。

なぜ東北からスタートしたかと言えば、今年3月に東日本大震災から10年を迎える東北からスタートし、全国に広がる取り組みにしたいと、当初から松村(事業部長)と中野代表が考えていたからです。私は気仙沼の担当で、最初にこのプロジェクトを市役所に持ちかけたとき、復興事業もNPO法人もたくさんあるけれど、その取り組みを上手く発信できていないのが現状だとおっしゃっていました。その点で、地域情報発信のプロであるイーストタイムズが指揮を執り、「ふるぽ」という発信の場も確保できているこのプロジェクトは、自治体が抱える悩みに上手くフィットしたと思います。

ワークショップに参加した小学校の先生からは、「近くの川に10年ぶりに鮭が戻ってきた」という発表があり、それは同じ地元の人でも知らない情報で、参加した人にとっても驚きや発見が多く、地域の魅力を知る良い機会になったのではないかと思います。また、このワークショップを機に気仙沼で採苗から養殖して気仙沼産にこだわる「あきちゃん牡蠣」が返礼品に登録され、あっという間に完売するなど、このプロジェクトのひとつの基盤がつくれました。

―久保田
私は大仙市と秋田市を担当したのですが、高校生や大学生から70代の方まで幅広い世代に参加していただき、それぞれ目線の違う地域の新たな魅力というのがたくさん出てきました。返礼品の登録のためだけに地元の事業者や市の関係者に声をかけるのではなく、あくまで住民のリアルな地元愛を発掘発信するのがこのプロジェクトの目的です。そういった意味で、実際にワークショップを開催してみて、その地域の住民を巻き込みながら関係人口を拡大していく新しい場を提供できたのではないかと思います。

―松村
どのワークショップも、毎回感動して涙してしまう場面があります。ワークショップに参加して発信したからといって参加者に対価は出ないのですが、みなさん真剣に考えて、取り組んで、徹底的に調べて……、地元を想うその熱意にこみ上げてくるものがあります。また、参加された方も自分で調べ発信することでますます地元愛が深まっているように感じます。

プロジェクト参加者・関係者のコメント

自治体コメント

地元には気づかれていない、知られていない魅力が沢山溢れているんだということを学ばせていただけたワークショップでした。気仙沼市は初めての開催地ということで、最初お話をいただいたときはどのようなセミナーなのかイメージが沸かず、半信半疑だった部分もあったのですが、実際に開催してみると、多くの参加者が熱を持って気仙沼の魅力を語ってくれました。小学校の近くの川で野生の鮭が産卵する様子を収めた発表については、地元に長く住んでいた人すら知らなかったという声が多く上がりました。自治体担当者としては、大変貴重な機会となりました。開催いただいた皆様に感謝しております。

気仙沼市 震災復興・企画課 副参事 兼 けせんぬま創生戦略室長 赤坂 勇磨 様

参加者コメント

「地元のよいところを伝えたい気持ちをどうしたら伝わるか」その極意に触れることのできるワークショップでした。

魅力発信レポート(ハツレポ)の構成はとても斬新でした。自分が発見した魅力に見出しをつけ、一番の感動ポイントで読者の関心をひきつける。言いたい=伝えたいことは先に、そして想いを深める発信をこれからも実践したいです。また、参加者の皆さんからは近くてまだ知らない地元のよいところをたくさん教えてもらい嬉しく思います。

秋田市 ローカル魅力発掘発信ワークショップ 参加者
田畑 詞子 様

講師コメント

「その土地を、ふるさとと想う人をつくる・ローカル魅力発掘発信プロジェクト」は、私たちが震災以来東北で追求してきた「ローカルニュース」というものの可能性と、JTB様がずっと追求されてきた「旅」の可能性が組み合わさって生まれたものだと思います。地元の人が知る地元の魅力を全国に発信し、その魅力への共感者を生むという活動は、発信への共感がふるさと納税につながるという地方創生の新たな道筋だという手応えを感じました。

合同会社イーストタイムズ代表社員CEO 中野 宏一 様

今後の展望について

「その土地を想う人を増やす」ことで関係人口を増やす

―久保田
このプロジェクトはワークショップを開催した後、発掘発信された魅力を広く知っていただき、その地域に訪れる人を増やし、ゆくゆくはワーケーションや移住・定住まで、JTBとして自治体と深く関わってきたいと考えています。今回のワークショップを機に、少しずつそんなご相談もいただけるようになり、地方創生、関係人口拡大のパートナーとして私たちが選ばれるようになることが今の目標です。

―中田
そうですね。ふるさと納税の契約自治体だからではなく、まずはその地域にしっかり入り込んで関係性を築き、このプロジェクトを継続させていく。そのうえで、今後も福岡県の糸島市や岩手県の奥州市など、全国へ展開させながら2年目以降の変化や新しいチャレンジを考えていきたいと思います。

―松村
ふるさと≒生まれ故郷ではなく、大切な場所という意味で「ふるさと」と言える人を増やすことが、我々ふるさと開発事業部の使命でもあります。今すぐにとはいきませんが、いつか「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」での経験を生かして、「ふるぽ」のサイトを、地域産品の開発や発掘、その情報発信を地元の人と自治体と一緒につくるふるさと納税サイトにしていきたいと考えています。この取組みに賛同いただいた企業からのお声がけもあり、まずはタッグを組むなどして、このプロジェクトの発信力を上げていくことが目下の課題です。


まとめ

今回は、ふるさと納税サイト「ふるぽ」から生まれた住民参加型の地域魅力発信プロジェクトをご紹介しました。ワークショップでは地元の人々も知らない地域の魅力がまだまだたくさん眠っていることがわかりました。それを自ら掘り起こし、全国に発信、共感者を生む。そして生まれた共感がふるさと納税につながる。このサイクルが地方創生の新たな道筋です。ふるさと納税から旅へ、そしてその先の関係人口拡大へ。地域・住民を巻き込み、人の心と心をつなぐ、そんな交流を創造していきませんか?

社名・肩書きは取材当時のものです。

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