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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 「自治体DX推進計画」とは?デジタル庁設立に向けて知っておきたい地域の重点取組事項

2021.08.20
観光ICT
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2020年12月25日、閣議決定において「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が示されました。「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会 ~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」を実現するには、行政を担う自治体が積極的にDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進することが必要とされています。

2021年9月にデジタル庁が設立されると、ますます自治体のDXは加速していくことが予測されます。そこで今回は、総務省が発表した「自治体DX推進計画」の概要と、自治体が特に重点的に取り組むべき6つの事項についてご紹介します。

政府が進める「自治体DX推進計画」とは?

「自治体DX推進計画」は、2020年(令和2年)12月25日、「デジタル・ガバメント実行計画」の閣議決定に合わせて策定されました。総務省は自治体が取り組むべき事項・内容を具体化することにより、デジタル社会構築に向けた取り組みを自治体の足並みをそろえて進める方針です。

DX推進の軸となるのは、中央省庁に加えて地方自治体や独立行政法人などが共同で利用する、「Gov-Cloud(ガバメントクラウド)」。これは政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境を指しています。

Gov-Cloud(ガバメントクラウド)

​​​​​​図:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 地方自治体によるガバメントクラウドの活用について(案)より作成

Gov-Cloud(ガバメントクラウド)の活用が進めば、自治体はこれまでのように自らサーバ等のハードウェアやOS・アプリケーション等のソフトウェアを保有することなく、基幹業務等をオンラインで行えるようになります。

政府は「自治体DX推進計画」の対象期間を2021年1月から2026年3月までと定めており、自治体の意見を取り入れながら進捗管理を行うことでデジタル社会の構築を目指します。

地方公共団体の業務システムの標準化・共有化・「Gov-Cloud」の活用

図:デジタル・ガバメント実行計画(令和2年12月25日閣議決定)より作成

自治体が今知っておきたい6つの「重点取組事項」

「自治体DX推進計画」の中で「重点取組事項」として挙げられている6つの事項・KPIの要点を以下にまとめました。

01自治体の情報システムの標準化・共通化

これまで別々に整備・運用してきた自治体ごとのシステムですが、「Gov-Cloud(ガバメントクラウド)」の活用に向けた検討を踏まえ、17の基幹業務システムから、国の策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行します。17業務の標準化については2022年度から着手し、2025年度末まで終える予定です(作業量が多い大規模自治体などの特例を除く)。

標準化の対象となる17業務

住民基本台帳、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、国民健康保険、国民年金、障害者福祉、後期高齢者医療、介護保険、児童手当、生活保護、健康管理、就学、児童扶養手当、子ども・子育て支援

02マイナンバーカードの普及促進

政府は、オンラインでの本人確認ツールとして「マイナンバーカード」を普及させることが、デジタル社会の実現に欠かせないと考えています。普及促進の具体的な施策として、出張申請受付や臨時交付窓口の開設、土日開庁、マイナンバーカードの電子証明書の発行・更新等を自治体が指定した郵便局でも取り扱うことができるようにすることなどが計画に盛り込まれています。

03行政手続きのオンライン化

同計画書において政府は、①処理件数が多く業務効率化の効果が高い手続き、②住民のライフイベントに際し、多数存在する手続きをワンストップで行うために必要と考えられる手続きを優先してオンライン化を進めると明示しています。さらに住民に操作しやすく、時間がかからない申請受付システムの整備、UI(ユーザー・インターフェース)・UX(ユーザー・エクスペリエンス)を最適化することを目指しています。

04AI・RPAの利用促進

政府がAI・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の利用を推進する背景にあるのは少子高齢化による労働人口の減少です。本格的に人口が減少する2040年頃を見据え、稀少化する人的資源を重要な業務に振り向けるため、AIやRPAの活用で自治体の業務を改善すべく、国はAI・RPA導入ガイドブックを共有したり、AI・RPAなどの技術を活用した業務プロセス構築の実証事業を行うとしています。

05テレワークの推進

感染予防対策の観点だけでなく、非常時における事業継続の観点から、また育児・介護、あるいは障害等のために制約がある職員の能力発揮のためにもテレワークは有効です。前述のように自治体の情報システムが標準化・共通化され、行政手続きのオンライン化がさらに進めば、それに伴って自治体職員のテレワーク業務のさらなる拡大が可能になっていきます。

具体的な施策として、テレワーク実証実験の実施や、テレワーク導入事例や活用のノウハウをまとめて、国から自治体に提供することが計画書に盛り込まれています。

06セキュリティ対策の徹底

2015年以降に実施された、いわゆる「三層の対策」により自治体の情報セキュリティ対策は抜本的な強化が図られましたが、今後は行政手続きのオンライン化、テレワーク、クラウド化の方向性を踏まえ、新たなセキュリティ対策を推進する方針です。

具体的な取り組みとしては「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改正や、自治体ごとのセキュリティ水準に差があることが指摘されている「自治体情報セキュリティクラウド」を、高いセキュリティレベルを満たす民間のクラウドサービス利用型に移行することなどがあります。

「自治体DX」で住民サービスの利便性も向上

「Gov-Cloud(ガバメントクラウド)」を活用すれば、コスト削減はもちろん、情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張が可能です。下記は各所に散らばったさまざまなデータを統合、活用することで、観光振興や経済活性化を実現した施策の一例ですが、「自治体DX」の推進は住民サービスの利便性向上に大きく貢献すると考えられます。

位置情報を利用したメール・SMS・LINE配信

各所のデータを統合すると、住民が必要とする情報を最適なタイミング・チャネルで届けることが可能です。位置情報を利用したメール・SMS・LINE等の配信は、観光客への情報発信等ですでに活用されていますが、災害時の避難指示など住民向けのサービスに利用する自治体も増えています。

プレミアム付商品券の電子化

プレミアム付商品券をアプリで販売すれば、加盟店や事務局が担う「管理・確認・集計」作業の負担を軽減できます。また、自治体提供のアプリが住民に普及すれば、個人のIDに地域通貨や地域ポイントを連携するなど、住民サービスの新たなプラットフォームとして活用することもできます。

このほか、情報システムのクラウド化にはアプリ移行の際のデータ移行が容易になる、最新のセキュリティ対策を導入できるなどのメリットがあります。

「自治体DX推進計画」と「デジタル庁設立」の関係は?

「自治体DX推進計画」はニューノーマルへの対応はもちろんのこと、頻発する自然災害にも柔軟に対応し、誰一人取り残されないように、一人ひとりのニーズに合ったサービスを提供するための具体的な取り組みをまとめたものと言えます。

そして、デジタル庁は、強い実行権限を行使し、省庁を横断した施策の実行を可能にするために設置されます。実際、前述した自治体の主要17業務を処理するシステム標準仕様は、デジタル庁が策定する基本方針の下、関係府庁において作成することが決まっており、デジタル庁設立を機に自治体DXが本格的に動き出すと言っても過言ではありません。


まとめ

加速する「自治体DX」に対応するために

今回は「自治体DX」についてお届けしました。2021年9月にいよいよデジタル庁が設立されます。地域課題の複雑化や災害対応などで行政の業務量が増大する今、自治体のDX推進は待ったなしの状況です。自治体の行政手続きのオンライン化や、情報システムの標準化・共通化の進め方は、2021年7月に公表された「自治体DX推進手順書」にもまとめられています。自治体DXは住民サービスの向上はもちろんのこと、地域活性化や観光振興にも多くの可能性をもたらすと思われます。デジタル庁設立に向けて、「自治体DX推進計画」及び「自治体DX推進手順書」を改めてチェックしてみてはいかがでしょうか。

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