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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 観光DXを進めるメリットは?注意点・各地域の具体的な事例を紹介

2022.08.29
地域マーケティング
地域マネジメント
観光ICT
戦略策定
誘客促進

観光DXとは、観光資源とデジタル技術を組み合わせた新しい取り組みです。この記事では、自治体の各種施策の立案・企画者や決裁者に向けて、観光DXについて解説します。観光DXの基本をはじめ、取り組むメリットや注意点なども解説します。具体的な事例も紹介するため、ぜひご覧ください。

観光DXとは

観光庁は、観光DXについて、デジタル技術やICTの導入により観光の体験価値の向上を目指すものとしています。Society5.0時代に向けて、観光資源と新しい技術をかけ合わせて従来とは異なる観光モデルを構築するのが狙いです。デジタル化によって観光産業をさらに発展させるために、さまざまな試みが始まっています。

観光DXのために活用できる技術としては、5G高速通信、生体認証、GPSによる位置情報の取得などがあげられます。観光DXがさらに盛り上がれば、より幅広い技術を活用できる可能性も高いです。

観光DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進│観光庁

観光DXが注目される理由

観光DXは、なぜ注目されているのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。

観光DXが注目される理由01デジタルトランスフォーメーション(DX)の進行

観光DXが注目されている理由として、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進行があげられます。デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、新しい技術が人々の生活をより良い方向へ変化させることです。すでに日常生活やビジネスの中でITが幅広く活用されており、観光事業においても新しい技術がどんどん導入されています。観光における体験価値を向上させる、これまでにない観光コンテンツ及びエリアマネジメントの創出・実現で、観光業界を盛り上げられる可能性があります。

観光DXが注目される理由02新型コロナウイルスの蔓延

新型コロナウイルスの流行により、観光業界とって厳しい状況が続いていることも観光DXに注目が集まる理由のひとつです。「3密回避」や非接触のサービスが求められるなど、人々が旅に求める価値観が大きく変化しました。オンラインで予約や決済は新型コロナウイルスの蔓延前からの潮流ではありましたが、今までは個別に予約していた移動手段、観光施設などを一気通貫で予約できる仕組みが登場するなど、よりスムーズに旅行を楽しめるようになりつつあります。

JTBのサービス紹介

Tourism Platform Gateway™️

観光DXに取り組むメリット

観光DXに取り組めば、さまざまなメリットを期待できます。以下では、メリットについて具体的に解説します。

メリット01観光客の利便性が向上する

観光DXは、観光客にとっての利便性を高めます。たとえば、オンラインで24時間いつでも宿泊先を予約できるため、好きなタイミングで旅行の計画を立てられます。さらに、決済機能を充実させれば、観光において、よりスムーズに金銭のやり取りが可能です。ポイントを貯められる場合もあるため、観光客はお得に観光を楽しめます。

メリット02観光マーケティングにつながる

観光DXにより、観光客の属性や観光した場所などの情報を簡単に集められます。それらの情報をもとに観光地を整備すれば、観光客にとってより魅力的な施策やサービスを打ち出せます。根拠をもとにターゲットを絞れるため、地域の負担を抑えて効率的に観光を盛り上げることが可能です。

メリット03新たな顧客体験が生まれる

観光DXに力を入れると、それまでにない新しい顧客体験も提供できます。たとえば、オンラインツアーを実施すれば、実際に観光地へ足を運ばなくても貴重な体験ができます。また、AIを活用すると、その人にとって最適な旅行先の提案も可能です。その結果、多くの人がより積極的に観光したいと思うようになるでしょう。

メリット04「人ならではのサービス」に注力できる

観光DXに取り組めば、効率化によってスムーズに業務を進められるようになります。人が対応しなければならない業務に集中できるため、人材を有効活用しながらサービスを提供できます。きめ細やかな対応によって顧客満足度が高まると、売上アップにつながる可能性があります。

メリット05トラブルを減らせる

観光DXではさまざまなものをデジタル化でき、モノを管理する必要がありません。たとえば、チケットをデータで管理できるため、紛失のリスクも少なくなります。また、人が手作業で対応する機会も減り、入力ミスや手配ミスなどの人的ミスを防止できます。観光DXは、このようにトラブル防止にも役立てることが可能です。

観光DXの成功事例

すでにさまざまなところで観光DXが推進されています。ここでは、各地域の観光DXの成功事例を紹介します。

事例01ながの観光コンベンションビューロー

長野市では、持続可能な観光先進都市を目指して観光DXに取り組んでいます。従来はキャンペーンやイベントを開催して集客していましたが、デジタル技術による集客に力を入れ始めました。観光客の行動や考え方を分析して顧客満足度を向上させ、リピーターの増加を目標としています。データを集めるために、Webサイトだけでなくアプリも開発しています。

また、デジタルマップを導入し、観光客がリアルタイムでどこにいるのかすぐに分かるようにしました。近くのおすすめの場所を表示し、より観光を楽しめるようにしています。

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持続可能な観光先進都市を目指して。ながの観光コンベンションビューローの長野市観光DX推進プロジェクト

事例02大阪観光局

大阪観光局では、観光マーケティングの一環として観光DXに力を入れています。もともと海外からの観光客をターゲットとして積極的にアピールしてきたものの、効果検証をきちんと行えていない課題がありました。

そこで、海外からの観光客のデータを統合した「大阪観光局DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」を導入し、実態に即した施策を実行できるようにしています。その結果、課題が明らかになり、効果的な施策を打ち出せるようになりました。

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データに基づくマーケティングで集客・周遊促進!DMO『大阪観光局』の戦略から見る地域DXの要点

事例03北九州市 大渋滞の緩和

北九州市の河内藤園は、見頃を迎えるゴールデンウィークの大渋滞が大きな課題となっていました。そこでデジタル技術を活用し、渋滞を解消して滞りなく入園できる仕組みを構築しています。具体的には、チケットをコンビニやインターネット上で販売し、来場日時を区切って販売数の上限を設けています。これにより、来場者数の平準化に成功しました。

また、現在使用していない旧道を臨時のバス駐車場として利用し、スムーズに駐車できるようにしています。

事例紹介

「河内藤園」におけるチケットおよび駐車場管理業務

事例04京都市 観光人材不足の緩和

京都市は世界の中でも人気がある観光地であり、観光人材の不足が課題となっています。観光人材の不足を補うため、モバイル型コミュニケーションロボットを活用する取り組みを開始しました。観光客にロボットを貸し出し、観光案内や同時通訳などのサービスを利用できるようにしています。

また、各店舗にもロボットを設置しており、接客が可能です。ロボットによるもてなしによって、新しい付加価値を提供できるようになりました。

事例紹介

モバイル型コミュニケーションロボットを活用した観光ショーケース化事業

観光DXの予算と公募状況

ここでは、観光DX予算と、観光DX推進のための公募例について解説します。

観光DXに割かれる予算

令和4年度の観光庁関係予算では、観光DXに7億8,100万円の予算が計上されました。観光DXは、「観光産業の変革」の予算として計上されている2兆3億3,100万円に含まれています。その中では、観光DXの予算の割合が最も高いです。このことから、観光DXは特に重視されていると分かります。

観光DX推進のための公募例

観光DXを推進するため、観光庁は観光や地域経済活性化の実証事業に力を入れています。デジタル技術の活用によって、観光をより活性化する目的があります。公募により集まった提案が審査され、8つの事業がモデル実証として認定されました。内容は、データの活用による収益の向上や観光への音声ARの活用などさまざまです。

なお、この公募は、令和4年5月13日で締め切られています。

観光DXを進めるための注意点

観光DXを推進するうえでは、気をつけたいこともあります。ここでは、具体的な注意点を解説します。

注意点01課題を明確にする

観光DXを進めるうえでは、実際にどのような課題があるのか明確にする必要があります。地域によって抱えている課題はそれぞれ異なるため、他の地域の成功事例を真似しても必ずうまくいくとは限りません。課題を踏まえ、それに適したデジタルツールを取り入れて活用することが大切です。

注意点02観光DXの実績がある企業などと連携する

観光DXを得意としている企業と連携すれば、より効果的に観光DXの推進が可能です。また、自治体の中にも観光DXに関する相談を受け付けているところが増えてきました。観光庁も観光DXに力を入れており、さまざまな情報を提供しています。今後新しい情報が公開される可能性もあるため、こまめにチェックしておく必要があります。

注意点03セキュリティを重視する

観光DXにおいてはデジタル技術を活用するため、観光客の個人情報の取り扱いに注意が必要です。たとえば、データをIDで管理し、いつ誰がアクセスしたかすぐに分かるようにする必要があります。また、新しくシステムを導入する際は、設計段階からセキュリティを考慮しなければなりません。


まとめ

観光DXにはさまざまなメリットがあり、実際に力を入れている地域も増えています。観光客にとっての利便性を高められるだけでなく、新たな顧客体験の提供やリピーターの獲得につなげることも可能です。政府や自治体も観光DXに力を入れており、支援や情報提供を行っています。課題を明らかにしたうえで適宜相談しながら取り組むと、観光DXを成功させやすくなります。

観光による地域活性化のために、デジタル技術を活用する地域DXも注目されています。JTBのWebサイトでは、観光DXや地域DXの取り組みを始めるために役立つ資料をダウンロード可能です。観光客と永続的な関係を構築するためのポイントを紹介しているため、ぜひ活用してください。


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コロナ禍によって観光産業が大打撃を受けたのは、「地域の魅力を観光客にどう伝えるか」が本格的に議論され始めた矢先のことでした。移動制限で途切れた客足を、混雑などの制御をしながら取り戻し、地域経済を活性化するには、観光施策の根拠となるマーケティング基盤が必要です。そんな中、観光による地域活性化にテクノロジーを活用する「地域DX(デジタルトランスフォーメーション)」に注目が集まっています。本ホワイトペーパー(お役立ち資料)では、この「地域DX(デジタルトランスフォーメーション)」をわかりやすく漫画で解説します。ぜひ、ご覧ください。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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