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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 地域活性化にDXを!ICTの活用で緻密な観光マーケティングが可能に

2020.11.27
地域マネジメント
戦略策定
観光ICT
地域マーケティング

観光スポットや宿泊施設だけでなく、交通、農林水産、小売などの地域内消費も喚起しうる観光産業。「観光による地域活性化」に注力する地域では、地域ならではの魅力(自然、伝統文化、食材など)を磨き上げ、観光資源としてアピールする動きが活性化しています。

コロナ禍によって観光産業が大打撃を受けたのは、「地域の魅力を観光客にどう伝えるか」が本格的に議論され始めた矢先のことでした。移動制限で途切れた客足を、混雑などの制御をしながら取り戻し、地域経済を活性化するには、観光施策の根拠となるマーケティング基盤が必要です。ここでは、観光による地域活性化にテクノロジーを活用する「地域DX(デジタルトランスフォーメーション)」の具体例を見ていきます。

今、「地域DX」が加速する理由

デジタル・トランスフォーメーション(以下DX)とは、データとデジタル技術を活用し、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することを指します。ここ数年、民間企業も公共事業も少しずつDXに力を入れ始めていましたが、コロナ禍での各種申請や給付金の手続きを素早く行わなければならないという差し迫った状況も、行政手続きのDXを加速させるきっかけとなりました。

2020年7月には内閣に設置された「まち・ひと・しごと創生本部」が、地方創生の政策の方向として「地方における、医療、福祉、教育など社会全体の未来技術の実装を推進することを通じて、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を強力に支援」することを明確に発信しました。さらに、総務省は2021年度予算の概算要求で、地方自治体のDXに向けて38億8千万円を計上。これは20年度当初の予算と比べて約5倍の額で、大幅な拡充となります。

政府のバックアップによって行政手続きのオンライン化や情報システムの仕様統一が進められる今後は、地域経済活性化においてもICTの活用が不可欠となるでしょう。

01 地域活性化におけるICTの活用例 マーケティング基盤の整理

地域における観光のプロモーション、コンテンツ制作、顧客の行動分析は事業ごとに進行することが一般的で、それぞれのアクションが消費にどうつながっているか、といった経済指標との連動が見えにくいという課題がありました。事業や施策を横断してデータを利活用すると、各部署、事業に散らばっているデータを連携し、地域内消費の相関関係を分析することが可能になるのではないでしょうか。

各事業で得られるデータを横断的に活用

マーケティング基盤でデータを連携することは、「誘客のためにどんな観光商材を開発・改善したらよいか」「地域内消費を喚起するには何に注力すべきか」という課題の解決に役立ちます。これからはICTを積極的に活用して、誘客や観光客の消費を促す手立てを論理的に検証していくことが必要と考えます。

02 地域活性化におけるICTの活用例 顧客主義の地域CRM

ここまでは「各事業に散らばったデータを連携すること」の重要性を解説しましたが、データを横断的に利活用する基盤を整備したうえで挑戦したいのが、集約したデータを観光施策立案に活かす地域CRM(顧客関係を管理・把握する仕組み=Customer Relationship Management)です。

地域CRMとは、観光客の予約行動やアンケートなど定量・定性データ、Webサイトから得られるデータ、公開されているビッグデータ(観光予報プラットフォーム、RESAS、各種統計など)のデータを統合することで一人ひとりの顧客を管理する手法のこと。一人ひとりの顧客を管理すると、次のような施策の実現が可能になります。

アフターコロナの観光の軸となる「One To Oneマーケティング」

従前から、プロモーションといえばテレビCMや看板広告などのマスマーケティングが行われていますが、最近では、スマートフォンなど個人へのデジタル端末の普及によって、顧客の嗜好や行動に合わせて告知を出し分け、案内をする、そうした配慮が当たり前になってきました。地域の観光マーケティングにおいても、個人の興味関心に合わせて情報を発信するOne To Oneマーケティングで、一人ひとりの旅行者が求める情報を最適なタイミング・チャネルで届けるアクションが重要になります。

One To Oneマーケティングの実践例

  • 位置情報を利用したメール・SMS・LINE配信
  • Web閲覧履歴に応じたメール配信

One To Oneマーケティングには2つの側面があります。ひとつは旅行者のエンゲージメントを高められる点です。情報を求めるお客様に対して、最適化された情報によって快適な旅行体験を提供することが、単純な広告では実現できない消費を促進し、地域へ「また来たい」「人に薦めたい」という関係性の向上につながります。もうひとつは、地域の観光主体者や事業者が来訪者の傾向・満足度・リピートを把握し、顧客の傾向・嗜好を踏まえた施策の策定・改善ができる点です。地域と顧客が旅マエから旅アトまでつながり、長期の関係性を構築する、このOne to Oneマーケティングは、今後、持続可能な観光地経営のカギとなります。

ターゲットを絞った情報発信が「オーバーツーリズム対策」にも

観光客に魅力が伝わっていない、消費されていない観光資源がある一方で、人気観光地ではオーバーツーリズムが起き、地域に負担をかけてしまう課題もあります。地域のひとつひとつのコンテンツの魅力を理解する人にその価値を伝えられているか、伝えられたとして訪れる地域のアクセスなど具体的な提案ができているか、そうした情報伝達能力こそが地域間格差の原因にもなっているのです。ニューノーマル時代の観光では、ますます観光地の混雑緩和や平準化が重視されていくので、「千客万来」ではなくターゲットを絞って魅力を伝え、来訪の誘導をコントロールしていくことも重要な取り組みになるでしょう。

地域CRMで顧客を知り、情報を発信するターゲットを絞れば、受け地のコンテンツ特性やキャパシティを考えたうえで来訪者にも、地域住民にも満足を生み出すことが可能になります。地域CRMの考え方は、新規顧客や見込み客の獲得だけでなく、地域住民への責任や観光の持続可能性を考えるうえでも重要です。


詳細はこちらをご確認ください。

WEBマガジン「#Think Trunk」

観光に顧客主義マーケティングを~地域CRMによる新しい観光の未来~


まとめ

これからの観光地経営はDXによる「データ連携」から始まる

観光を軸にした地方創生においては、瞬発的なイベント・施策への興味・来訪をきっかけにして来訪者とつながり、地域のファンになってもらう施策が必要です。今回紹介した「DXによるマーケティング基盤の整理」「顧客一人ひとりに最適化した情報を提供するOne To Oneマーケティング」で新規顧客の獲得とファン化、そして地域経済活性化を図りましょう。

観光資源の開発や改善には ICT を活用したマーケティング基盤による事業横断データ利活用が必須とはいえ、自治体担当者だけで観光マーケティングのICT化を進めるのには限界があります。そんな時は地域の事業者と組んでプロジェクトを進めれば、不足しているデータや経験からの知見を補い、計画的なDX推進が可能です。

JTBはsalesforce社と連携し、コンサルティングパートナーとして地域のDXを支援しています。その中で重要なことは「DX」を目的に推進するのではなく、地域の皆さんと共に地域が目指す目標設定の支援や手法の組み合わせ、ICTなど手法をどのように活用していくか、総合的に寄り添うこと、と考えています。例えば、地域の計画や観光戦略に基づき、目的に合わせたマーケティングロードマップを策定します。地域が合意したうえでの進行を目指すため、地域の方が参画するマーケティング協議会を組織し、戦略的な観光地経営を実行します。

また、地域観光資源への恒常的な観光来訪、イベント、施策への興味・参加をきっかけにして来訪者とつながり、地域のファンになってもらうための持続可能なICT基盤をご提案しています。地域で散逸的に保有しているデータを統合し、地域の現状把握⇒課題抽出・合意形成⇒戦略の立案⇒プロジェクト施策の実施⇒結果効果検証を循環させるお手伝いを行います。お気軽にご相談ください。


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