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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 日本の観光資源に世界が注目!「第4回アドベンチャーツーリズム・オンラインシンポジウム2021」開催レポート

2022.01.21
インバウンド
地域マーケティング
戦略策定
誘客促進

世界的に新型コロナの感染拡大が落ち着き、国境をまたぐ移動の解禁も見えてきました。そんな中、インバウンド復活の一手として注目されているのがアドベンチャーツーリズム(AT)です。この分野で日本はアジアの中でもポテンシャルの高い国として世界から熱い視線が注がれています。本記事では、インバウンド復活に向けたディスカッションなどが行われた「第4回アドベンチャーツーリズム・オンラインシンポジウム2021」の内容をお届けします。コロナ禍の影響により史上初のバーチャル開催となったAdventure Travel World Summit(ATWS)2021の概要報告をはじめ、これからの日本におけるAT推進の方向性が示されているため、インバウンド誘致に取り組みたい地域の方にはぜひご覧いただきたいと思います。

アドベンチャーツーリズム

アドベンチャーツーリズム(AT)とは

「自然」「アクティビティ」「文化体験」の3要素のうち2つ以上で構成される旅行形態

「第4回アドベンチャーツーリズム・オンラインシンポジウム2021」開催概要

日時
2021年10月14日(木) 15:00~17:15(135分)
場所
オンライン(ZOOMウェビナー)
主催
一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会
後援
Adventure Travel Trade Association(ATTA)
定員
500名

(1)開催挨拶・趣旨説明

一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会(以下、JATO) 事務局/株式会社JTB総合研究所 交流戦略部 研究員

玉井 賢治 氏

(2)第一部(基調講演①)

テーマ:「ATWS2021 開催報告」

JATO Global Marketing Director/ATTA,Ambassador

高田 健右 氏

(3)第二部(基調講演②)

テーマ:「ATWS2021誘致の背景と成果およびATWS2023に向けて」

北海道経済部観光局アドベンチャートラベル担当局長(ATWS2021実行委員会事務局長)

中島 竜雄 氏

(4)第三部(パネルディスカッション)

テーマ:「日本におけるアドベンチャーツーリズムの発展に向けて」

モデレーター

山下 真輝 氏 株式会社JTB総合研究所 交流戦略部長 主席研究員(JATO理事)

パネラー

  • ロッド・ウォルターズ 氏(四国ツアーズ株式会社 代表取締役社長)
  • 柿崎 茂 氏 一般社団法人長野県観光機構 販路・市場開拓部(インバウンド担当)課長
  • 高橋 秀次 氏 日本航空㈱ 地域事業本部支援推進部長(JATO 理事)
  • 中島 竜雄 氏 北海道経済部観光局アドベンチャートラベル担当局長(ATWS2021実行委員会事務局長)
  • 高田 健右 氏  JATO 事務局

Adventure Travel World Summit(ATWS)2021が日本に与えたインパクト

旅行会社やメディア、アウトドアメーカー、観光局・観光協会、ガイドなど、世界中のAT関係者が集うアジア初開催となったATWS2021。第一部、第二部の基調講演では高田健右氏よりATWS2021の開催概要が報告され、中島竜雄氏より開催地としての手ごたえと2023年の再開催に向け解決したいAT推進の課題が述べられました。

Adventure Travel World Summit(ATWS)2021開催概要

講演者
高田健右氏(日本アドベンチャーツーリズム協議会)

今回の参加国は58カ国(過去最多)、参加者合計は617名、総数2050ミーティングセッション、合計ウェブ閲覧数は9021ページに及びました。これまでは開催地にて実踏研修会、商談会、セミナー等が行われてきましたが、今年はバーチャル開催となった影響で、一部のプログラムがAT素材の動画配信やオンライン商談会に置きかえられました。

参加事業者ごとの参加者比率は以下の通りです。

Accommodation(宿泊関連事業者)
2%
ATTA Team ※
5%
Buyer:MP Participant(バイヤー:商談会参加者)
15%
Destination(地域関係者)
4%
Event Partner(協賛社)
20%
Event Partner:MP Participant(協賛社:商談会参加者)
2%
Industry Partner(旅行関連事業者)
6%
Media(メディア関係者)
8%
Speaker(登壇者・出演者など)
6%
Supplier(サプライヤー)
21%
Supplier:MP Participant(サプライヤー:商談会参加者)
11%

ATTA(Adventure Travel Trade Association)は世界最大のアドベンチャー・ツーリズム組織団体

ATWS2021誘致の背景と成果及びATWS2023に向けて

講演者
中島竜雄氏(北海道経済部観光局 アドベンチャートラベル担当局長/ATWS2021実行委員会事務局長)

ATWS2021の開催にあたっては、北海道と道内の官民20団体から構成される「ATWS2021北海道実行委員会」と観光庁が連携し、北海道に誘致した経緯があります。

その背景として以下の2点が挙げられます。

  1. ATの主な顧客は欧米豪の富裕層が中心で年々拡大しており、旅行者の観光消費額は一般旅行者の約2倍、市場の規模は70兆円を超えており、成長が見込める分野である。
  2. ATの振興により、北海道観光の更なるレベルアップにつながる。

中島氏は、北海道のATの魅力を世界に発信することができたとATWS2021の成果を振り返っています。また、その結果として、2年後のATWS2023も北海道での開催が内定。今後取り組むべきAT推進の課題として、以下の3点を示唆しました。

  1. 顧客ニーズに応えられるコンテンツづくり
  2. ガイドの育成
  3. 北海道内におけるATの認知度向上

パネルディスカッション「日本におけるアドベンチャーツーリズムの発展に向けて」

モデレーター
山下真輝氏(JTB総合研究所 交流戦略部長 主席研究員/JATO理事)
登壇者

柿崎茂氏(長野県観光機構 販路市場開拓部 インバウンド担当課長)
ロッド・ウォルターズ氏(四国ツアーズ(株)代表取締役社長)
高橋秀次氏(日本航空(株)地域事業本部支援推進部長/JATO理事)
中島竜雄氏(北海道経済部観光局 アドベンチャートラベル担当局長/ATWS2021実行委員会事務局長)
高田健右氏(JATO事務局)

第三部のパネルディスカッションでは、地域、DMO、交通事業者などそれぞれの立場から2023年までにできることについてディスカッションが行われました。

ロッド・ウォルターズ氏は、四国のATの課題として地方からの積極的な発信の必要性やガイドの育成、宿泊施設やインフラの整備(濡れた服を乾かす場所がない、サイクリングコースのトンネルが暗い)などがあることを挙げ、2023年までにこれらを解決すべきであると課題を提起しました。

柿崎氏からは、官民連携を主導するDMOの立場からAT推進の課題が述べられました。長野県の自然、歴史文化の豊かさがATのコンテンツ作りに有利に働いているものの、欧米で重視されているサステイナビリティへの取り組みが相対的に遅れていることや、コミュニケーションに言語の壁があることが課題として挙げられました。

北海道大会の振り返りと今後の取組案

良かった点

  • 都市、混んでいる場所よりも自然の中のアクティビティを重視
  • サステイナビリティなど長野県全体としては取り組みが遅れている分野の啓発
  • 他地域の取組を学べたこと

難しいと感じた点

  • 日本は新規かつロングホール(遠距離の旅行)の商品になるため、主力ではなく、コロナ期においては造成までに時間がかかる
  • 英語という語学の壁とサステイナビリティなど日本では想定的に取り組みが進んでいない概念の普及

今後の取組案

  • 雪というインバウンド向けに差別化が図れるコンテンツのPR(豪、中国、東南アジア)
  • 日本アルプスや中山道など外国人に向けたコンテンツのブランド化による集客(欧米豪をはじめとした全市場)
  • アドベンチャーツーリズムガイドの育成、地域ランドオペレーターの開拓・育成
  • デジタルプロモーションをより重視
  • JNTO、北海道をはじめとした各地域とも連携しながら引き続きアドベンチャーツーリズムを推進していきたい
  • 長野県にとっての主要市場も大切に

出典:柿崎 茂 氏の資料より抜粋

高橋氏からは、インバウンド復活のために交通事業者と自治体・DMOがどのように連携できるのか取り組みの一例が示されました。JALグループでは国際線利用客に対する感染症無料サポートのほか、魅力ある観光コンテンツ作りや効果的なプロモーションを可能にする「JAL Vacations(地域送客プラットフォーム)」の構築が進められています。

高田氏はATTAのガイドラインとマーケットのニーズに乖離がある実態に対し、原因の一つにはアドベンチャー、アトラクション、アクティビティの概念があいまいになっていることを挙げ、それぞれを整理する必要があるとコメントしました。これに対しロッド氏は過去に実施したモニターツアーの経験から、地域ごと、旅行客の好みに合わせて提供するコンテンツをアレンジすることも必要であるという気づきを述べています。

中島氏からは、受け入れ側のATに対する理解浸透の度合いについて北海道の市町村の例が挙げられました。市町村の間でも温度差があり、観光にどの程度力を入れているかの違いや、観光を優先させていてもATに対する理解が進んでない点に、足並みをそろえる難しさがあるとのこと。さらに、これまで安全性担保を目的としていたガイド制度をエンターテイメント性も含めてどう運用するのかという課題にも言及がありました。

アドベンチャーツーリズム

とはいえ、インバウンドに対して日本の地域資源の素晴らしさを十分に伝えきれていないのが現状です。ディスカッションでは地域の誘致戦略の中にATのエッセンスを入れていくことがこのギャップを埋める策となることが示唆されました。

世界的なロードマップにおいて、インバウンドの復活は2024年ごろと見られています。近年では地域資源を持つ自治体が飛び地で連携している事例も増えていますが、北海道でATWSの開催が予定されている2023年までに、地域間や事業者間の連携を強化することが日本全体のAT顧客にとってのディスティネーション化に欠かせない視点となりそうです。


まとめ

アジアのアドベンチャーツーリズムをけん引する国へ

2021年の北海道で開催されたATWSに対する反応や、2023年のATWSの開催地に北海道が選ばれたことからもATのフィールドとして日本に対する世界の期待が伺えます。

地域固有の資源や資産を生かすアドベンチャーツーリズムの推進は、東京一極集中の是正、持続可能なまちづくりを目指す「地方創生」にも通ずる取り組みです。インバウンド誘致の一手をお探しの方は、今回取り上げた北海道、長野県など先行地域の事例を参考に、アドベンチャーツーリズムのコンテンツ開発や人材育成、情報発信を考えてみてはいかがでしょうか。

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