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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 「企業版ふるさと納税」の寄付先に選ばれるのは、企業の“共感”を呼ぶプロジェクト

2022.03.08
地域産業支援
ポイント活用、マッチング

雇用の創出や、移住・定住の促進、結婚・出産・子育ての支援、まちづくり。地方創生を目指した地方自治体のプロジェクトは、さまざまな分野に渡って推進されています。

その中で注目を集めているのが、2016年に創設された「企業版ふるさと納税」。地方自治体が行うプロジェクトに対し、企業からの寄付を募ることができる制度です。近年、「企業版ふるさと納税」を活用した地方創生プロジェクトが増加しています。

企業版ふるさと納税

INDEX

  1. 地方自治体と企業がつながることで、双方の発展へ
  2. プロジェクトを選ぶ際に重視したこととは?
    ・第1位 「企業の目的に沿ったプロジェクト」を選定
    ・第2位 「企業と縁のある自治体のプロジェクト」を選定
    ・第3位 「自治体ありき」でプロジェクトを選定
  3. まとめ

地方自治体と企業がつながることで、双方の発展へ

「企業版ふるさと納税」の市場規模は年々拡大しており、2020年度には、寄付金額は前年比約3.3倍、寄付件数は約1.7倍に。これほどまでに活用が急増した理由は、地方自治体と企業がつながることで、双方にさまざまなメリットが生まれることにあります。

地方自治体のメリット

  • 地域課題の解決
  • 企業がもつ知識や技術の享受
  • 特典・返礼品が不要
  • 財政収入を県内外から確保

企業のメリット

  • 社会貢献を通した企業のPR効果
  • SDGs達成に向けた取組みの推進
  • 地域資源などを活かした新事業の展開
  • 法人関係税から最大で約9割の税額控除
企業版ふるさと納税 受入数、受入件数

「企業版ふるさと納税」を通して生まれるのは、地方自治体と企業のつながり。新たなパートナーシップが構築されることで、寄付にとどまらない、双方にとっての新しい価値の創出につながることから、この制度の活用が進んでいると考えられます。

では、企業が実際に自治体への寄付を行う際には、どのような基準で寄付先を選んでいるのでしょうか?実際に企業版ふるさと納税サイト「ふるコネ」を通して寄付を行った企業に、プロジェクトを選ぶ際に重視したことについて伺いました。

プロジェクトを選ぶ際に重視したこととは?

第1位「企業の目的に沿ったプロジェクト」を選定

寄付先を選んだ理由として最も多かったのは、「プロジェクトの内容が自社の目的に合致していたから」という回答。自治体の所在地や、企業とのもともとの関係性などは視野に入れず、社会貢献や自社のSDGs活動の推進など、自社が定めた寄付の目的に最も適したプロジェクトを選定しているケースです。

この場合、企業に選ばれるために重要なのは、プロジェクトのわかりやすさ。たとえば、社会貢献を目的として寄付を行いたいと考える企業は、自然災害からの復興・復旧支援や、新型コロナウイルス感染症対策への支援など、より時事性や緊急性が明確なプロジェクトに注目しやすいようです。

また、企業の目的が「SDGsの推進」であれば、子どもの教育のサポートや環境保全など、活動を通して地球の未来につなげることが期待できる事業が選ばれています。こうした「企業の目的に沿った寄付先」として注目を集めた2つのプロジェクトをご紹介します。

京都府・京都市 新型コロナウイルス感染症対策支援 支え合い基金

コロナ禍により、感染者の増加に伴う医療現場の逼迫を市の課題とする京都府・京都市。そこで設立されたのが、新型コロナウイルス感染症対策支援「支え合い基金」です。

感染症の治療や拡大防止・収束に向けて奔走する医療機関・医療従事者の方を支えるため、「企業版ふるさと納税」を活用し、企業からの寄付を募りました。

新型コロナウイルス感染症対策支援 支え合い基金

寄付金は、医療機関をはじめ、高齢者、障害、子どもの子育て支援に係る社会福祉施設・事業所等に「支え合い支援金」としての支給などに活用されます。

沖縄県・恩納村 PROJECT1 UNNA魂

国内屈指のリゾート地として知られる、沖縄県・恩納村。観光客が増える一方で、消費の伸び悩みや、オーバーツーリズムによる環境破壊などの課題を抱えていました。そこで、村内唯一の中学校「恩納村立うんな中学校」の3年生を主体に、海や山の豊かな地域資源を特産品として商品化するプロジェクトを開始しました。

PROJECT1 UNNA魂

「企業版ふるさと納税」を通して寄付を募るだけでなく、県内外の事業者の技術的な協力も得ながら、中学校の生徒たちが商品開発を実践。原材料についての学びから、コンセプトづくり、成分の配合、ネーミング、パッケージデザイン、プレゼンテーションまでを行い、「パッションフルーツビネガー」や「サンゴにやさしい日焼け止めクリーム」などの商品化を実現しました。

地方自治体とのつながりを作ることは、SDGsの推進のみならず、従業員のモチベーション向上、観光客へのPR効果など、会社にとってのさまざまな付加価値を生むため、多くの企業が寄付先として選定していると考えられます。

第2位「企業と縁のある自治体のプロジェクト」を選定

次いで多かったのが、寄付の目的に沿ったプロジェクトの中から、「企業と縁のある自治体」を寄付先に選んだという回答です。企業の近隣の自治体や、工場などの事業所がある自治体など、企業との縁が深い自治体のプロジェクトには、寄付がしやすいと考えているようです。

また、社員旅行や個人旅行などでよく訪れる自治体へ寄付をしたという回答も多く見受けられました。企業となじみのある自治体のプロジェクトは担当者の目を引きやすく、寄付先として選ばれる可能性が高いことが伺えます。実際に地方自治体が、「縁のある企業」から寄付を受けたプロジェクトをご紹介します。

群馬県下仁田町 ねぎとこんにゃく下仁田奨学ローン

群馬県・下仁田町と、町内にある金融機関が連携して運営する「ねぎとこんにゃく下仁田奨学ローン」は、町の将来を担う人材の育成と、進学などで転出した若者のUターンを応援するプロジェクトです。

ねぎとこんにゃく下仁田奨学ローン

町内の連携金融機関から奨学金を借りた場合に、返済相当額を町が補助。奨学生が在学している間は利息相当額が、卒業後に奨学生が町に戻った場合は元金と利息相当額が「ねぎとこんにゃく下仁田奨学金基金」から補助されます。この基金は行政に加え、「企業版ふるさと納税」などの寄付で成り立っています。

2017年度から制度を開始し、2020年3月までに申込者数118名、奨学金予定額234,630千円、就職20名(うち町内在住者12名)を達成。町の企業は、地元という縁のもと、次世代を担う子どもたちが故郷への愛着を深め、将来この地で活躍する人財となることに期待し、寄付を行いました。

第3位「自治体ありき」でプロジェクトを選定

プロジェクトの内容は考慮せず、特定の自治体を支援するために寄付を行うケースもあります。企業の中で寄付先の自治体を先に決め、その自治体が募集しているプロジェクトの中から支援したいものを選定します。

代表者や役員の生まれ故郷である自治体に寄付を行ったケースや、自治体から直接寄付を依頼されたという回答もあり、「故郷への恩返し」という意味合いで寄付先を選んでいる企業もあることがわかります。「自治体ありき」で企業が選んだプロジェクトには、次のようなものがあります。

長野県・小谷村 子ども×自然体験プロジェクト

スキー産業を中心に発展してきた長野県・小谷村。しかし、登山・スキー人口は減少傾向にあり、観光業の低迷が課題となっていました。そこで同村は、アウトドア人口の増加、子どもたちが自然とふれ合える機会の創出を目的に、「子ども×自然体験プロジェクト」を立ち上げました。

子ども×自然体験プロジェクト

「企業版ふるさと納税」を活用して寄付金を募り、2019年には沢登りや登山、ロッククライミング、いかだ作りなどを通して自然の「育む力」を発信する自然体験プログラム「キッズワイルドおたり」を開催。アウトドア用品メーカー・コールマンジャパンのサポートのもと、小学4~6年生を対象とした4泊5日の「キッズサマーキャンプ」の開催も予定しています。

さらに小谷市は、新たな自然体験プログラムの開発や、村内における働く場所や機会の創出などに向け、取り組みに賛同してくれる企業の募集を続けています。


まとめ

企業が寄付先を選ぶポイントとして最も大切にするのは、「プロジェクト内容への“共感”」。プロジェクトの目的や寄付金の使途が明確で、企業が定めた寄付の目的と合致しているのかわかりやすいものほど、多くの寄付が集まると考えられます。地域ならではのプロジェクトの魅力を明確にし、発信を続けることで、企業からの関心を集める。そして寄付を越えたつながりを築くことで、双方の発展に結び付いていく。「企業版ふるさと納税」の可能性は、広がり続けています。

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