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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 新たな取り組み!福山市の医療版ワーケーション。地域の医師不足問題の改善と魅力の発信をサポート

2022.09.22
地域マネジメント
戦略策定
誘客促進
ポイント活用、マッチング

瀬戸内海に面し、豊かな自然や温暖な気候に恵まれた広島県福山市。新幹線のぞみの停車駅で交通のアクセスもよく、日本遺産に認定された「鞆の浦」や築城400年を迎える「福山城」など、さまざまな名所があります。その観光資源を活かし、いち早く「ワーケーション」に着目して地域活性化を目指してきた福山市の次なる取り組みは、「医療版ワーケーション」。地域の医師不足の改善とともに観光地としての魅力も発信していく試みです。

パートナーとしてともに取り組むのは、医療プラットフォームを提供し、医療人材の紹介を行うMRT株式会社と、全国に拠点を持ち、地域や観光事業者の課題解決に伴走してきた株式会社JTB。民間企業のネットワークとノウハウを活かし、地域課題の解決と医師の新たな働き方をサポート。今回は、2022年のゴールデンウィークに実施された「福山モデル」の実例をご紹介しながら、「医療版ワーケーション」の可能性を探ります。

楢原 秀朗 氏

福山市保健所総務課課長補佐
2011年4月から現職。保健所では大学や地区医師会などと連携し、医師や看護職員の確保対策、救急医療や周産期医療など様々な医療課題の解決のため、医療政策の企画・立案を担当。最近では新型コロナウイルス感染症対策なども中心的に取り組んでいる。

https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/

加藤 修孝 氏

MRT株式会社執行役員兼メディカルヘルスケア本部長
2017年、MRT大阪支社を立ち上げ、その後、西日本メディカルグループ部長として、福岡支店・名古屋支店含む西日本の医療機関に向けた医療人材プラットフォームサービスの拡大に寄与。2019年、MRT本社に戻り、事業部執行役員に就任。2021年、MRT事業本部であるメディカルヘルスケア本部長に就任。事業部・HR・マーケ・テクノロジー部門を管掌。医療人材プラットフォーム提供以外に、行政向け事業・HR関連事業・医療機関コンサル事業など複数の事業を生み出している。

https://medrt.co.jp/

岡﨑 充男

JTB福山支店 営業担当課長
主に法人営業を担当。高松支店、津山営業所(閉店)、岡山支店、公益財団法人鳥取県観光連盟(出向)を経て、現福山支店に2022年2月着任。法人、教育旅行、地域交流の営業、出向中は行政の誘致事業に携わる。

地域の問題に加え、コロナ禍で加速する医師不足

ワーケーションで訪れた医師が勤務する福山夜間小児診療所

―まずは福山市の課題である医師不足の状況についてお伺いできればと思います。

楢原
この圏域では、小児科医だけではなく、医師全体が不足しています。特に小児科医の不足は顕著です。2018年2月に示された厚生労働省調査によると、小児科医の偏在の状況を全国ベースで客観的に示すため、各二次保健医療圏の人口10万人単位の小児科医数や受療率などを考慮し、上位、中位、下位の3区分とした医師偏在指標を公表しました。この福山地域は、全国下位3分の1となる「医師少数区域」になっています。実際に事務をしていく中でも、小児科医の不足は切実に感じています。特に夜間休日の小児救急医療の提供体制を維持するのが難しくなっています。2020年度までは、中等症患者などの小児救急は、「輪番制」という当番病院を決めて対応していただいていたのですが、各医療機関の小児科勤務医不足のために当番病院が決まらない日もありました。また、軽症患者が受診する初期救急は福山市医師会が開設し地域の小児科開業医の先生方が診療を行う福山夜間小児診療所で対応していただいていたのですが、医師の不足や高齢化などにより昨年10月からは診療時間が22時30分までに30分短縮され、連休や冬場の休日などの患者さんが多い時期に勤務する医師も2名から1名に削減されるなど、医師不足が身近に実感できる状況となってきました。
加藤
福山市だけでなく、MRTの事業を通して、全国的な医療従事者不足をダイレクトに感じています。多くの求人依頼が来ている中、新型コロナウイルスの蔓延により、感染対策におけるワクチン接種、感染時における医療体制確保、重症化した際の高度な医療体制確保と、さらに医療従事者不足が加速しているのが現実です。

―今回、「医療」と「ワーケーション」を結びつけた「医療版ワーケーション」を福山市、MRT、JTBの3社で実施することになった経緯を教えてください。

楢原
元々、医師会の先生方からも、福山夜間小児診療所の出務医不足について相談を受けていました。そういったこともあり、まずは、喫緊の課題となっている夜間小児診療所の出務医の課題を解決できないかと考えました。実は、この医師不足の課題については、2019年から本市の企画部門と民間企業など連携したワーケーションを活用しての解決手法について議論や準備を進めてきていたのです。そこでこの度、実証実験として、観光と医療を結びつけた「医療版ワーケーション」ができないかと保健所において、人材派遣会社やコンサルタント業者など色々な業者に相談を持ち掛けたのですが、前向きな返事を頂くことはありませんでした。そういった中、コロナ患者の宿泊療養施設の運営をいただいているJTBさんに、福山を観光しながらご勤務いただく「医療版ワーケーション」ができないかと相談したところ、唯一、前向きにお話を聞いていただけました。相談をした業者の多くは,最初から難しいとのお答えでしたが、JTBさんだけはわざわざ保健所に来られ、真摯にお話を聞いていただき、最後に「検討しましょう」と言っていただきました。今から思えば、あの時のあの一言がこの事業のスタートでした。その後、MRTさんをご紹介いただき、3社で進めていくことになり、とんとん拍子に事が進んでいきました。

ワーケーションふくやま公式サイト

岡崎
JTBが福山市様のワクチン接種業務についても委託を受けていたこともあり、もともと保健所さんと繋がりがあったんです。その流れで今回ご相談をいただきました。そこからMRTさんをご紹介させていただいて、今回の「医療版ワーケーション」が実現しました。

前例のないことに対する理解と協力が成功を導いた

―2022年のゴールデンウィークに第1回を試行実施されたということですが、実施までのプロセスを教えてください。

楢原
皆さんに言われるのですが、実はそんなに大きな苦労はありませんでした。進めていく中で、福山市医師会、JTBさん、MRTさんの4者の連携が重要と考え、それぞれのご意見を十分聴取させていただき、意見を出し合って進めていきました。自治体は、前例のないことに対してはおよび腰になりがちですが、市の考えとして「ワーケーションの推進」といった明確なビジョンを持っていたので、医師の確保という解決に向けたチャレンジを、企画部門はもとより、財政部門までも支援をいただきました。こういった内部の理解があったことも実施に向け大きく前進ができた理由だと思います。ですので、ワーケーション事業は企画部門が中心となって実施してきたこともあり、我々保健所というよりは市全体で実施したというのが正直なところです。対外的には、医師会、MRTさん、JTBさん、内部的には、市の関係部署との連携、すべてがスムーズに情報を共有でき、十分な連携を図っていったことが大きかったと思います。私毎ですが、こういった新規事業にチャレンジさせてくれた上司や、いつも無理を言っても対応してくれる職場の仲間には本当に感謝しています。日頃、口には出せないので、この場をお借りし、お礼を言わせてください。
加藤
MRTのプロセスとしては、福山市様、福山市医師会様から医療版ワーケーション実施シーズや日程をいただき、医療人材プラットフォームで医療版ワーケーション参加希望の医師を募集し、候補の医師を福山市医師会様と連携して勤務の確定に向けた調整を行いました。勤務が確定した医師にJTB様から福山市観光プランをご提案、ご提供いただき、医師には当日、ご勤務と観光の医療版ワーケーションを体感いただいたという形です。
岡崎
JTBでは、医師の滞在日数、執務日、同伴の方がいらっしゃるか、福山市までの交通機関など、細かい部分を確認し、調整させていただきました。ゴールデンウィークに開催したときは、JRと自家用車という2パターンあり、同伴者もそれぞれ違うので、いらっしゃる方に合わせた交通手段やお部屋を手配します。観光については、福山市の観光課の方ともお話をして、観光やグルメに関する情報が掲載されているHPのリンクをお送りしたり、モデルコースを作成したりと、細かくていねいな提案を心がけました。

―まさにオーダーメイドのツアーですね。

岡崎
できるだけ楽しい滞在にしていただきたいという思いで情報を展開しています。「おいしいカレー屋さんを教えてください」とか、「日帰りで行ける温泉でいいところはありますか?」といったご質問にも細かく対応しています。

―ワーケーションに来られた医師は、どのようなスケジュールで過ごされるのですか?

楢原
診療所での勤務が19時~22時30分までなので、日中に福山市内をはじめとした、備後圏域の観光や食事を楽しんでいただき、良かった場所や印象に残ったことなど、福山市の魅力としてSNS等で発信していただいています。JTBさんから福山市や備後圏域の魅力を予め先生方にお伝えいただいていたので、スムーズに発信できているのかなと思っています。

ワーケーションスケジュール例

ワーケーションスケジュール例
岡崎
とてもご多忙な上にSNSをやっていない方も多いので、まずは観光地での写真だけでも撮っていただくようにお願いして、こちらでも発信するようにしていました。
加藤
医師同士のネットワークもあるので、そこでも広めてくださるといいですよね。

―ゴールデンウィークに2名の先生が来られましたね。そのあたりの状況はどうでしたか。

楢原
新年度が始まって非常に短い期間でしたが急ピッチに進めていき、JTBさんとMRTさんには迅速にご対応いただきました。新型コロナの第6波の真っただ中で多忙を極めていて、ゴールデンウィークからの実施は難しいかなあ…とも思った時期もあったのですが、JTBさん、MRTさん、医師会の皆さんから背中を後押してもらった状況で、あの時は本当に助かりました。初めてのことだったので、来ていただく小児科医の先生がどんな方なのか不安もあったのですが、MRTさんのご尽力のおかげで、実績のある小児科医2名の先生に来ていただきました。診療所の看護師さんもお話されていたのですが、初めての場所での診療には戸惑うものですが、非常にテキパキと対応いただけるスキルの高い先生だとお聞きしました。それが何よりも大きかったと思います。また、福山市内を観光いただいて良い感想もいただけたので、第1回としての一定の成果は挙げられたのかなと思います。
加藤
5月は事業スタートのタイミングということもあり、医師へサービス提供をおこなう一連の流れの中で確認やお時間をいただくケースがありましたが、8月に関しては、1カ月以上前から募集をして、5月から改善できるスキーム等を3者間で協議したこともあり、募集から勤務、観光まで一気通貫でスムーズなサービス提供を行い、医師がノンストレスで医療版ワーケーションの体験できたのではないかなと思っています。
また、楢原様がおっしゃったように、良い先生に来ていただけたことは手応えとして感じています。ただ、医師不足に伴い、医師は日常的に多忙を極めており、日程のご調整をして頂くか、長期的にお休みが取れるシーズン等を活用してご参加いただく必要があります。そのため、一般的なワーケーションのように長期滞在でのご勤務が困難なことを改めて実感しました。頻繁に連絡をとることも難しいので、JTBさんにはご苦労をかけてしまったのではないかなと思います。
岡崎
先生はお忙しいので、メールの返信はだいたい約1週間後です。なるべく一度にまとめて提案するようにしていました。

医師不足の中で奮闘する地域の医師の負担軽減に

―ワーケーションに来られた医師からはどのようなご意見や感想がありましたか?

楢原
2名の先生とお話をする中で、福山市の医師の不足の話になりました。医師の供給源である大学医学部が、市内にはないということが理由の一つではあるのですが、人口に対して小児科医が不足していることに関しては意外だったと仰っていました。福山市を観光された感想としては、瀬戸内海の美しい景観の鞆という地域や福山城など色々と行かれたようで、「海が綺麗で来てよかったです」とか、「自分の故郷と似ていて住みやすさを感じました」という良い感想をいただけたのは嬉しかったです。
福山夜間小児診療所は、福山市医師会が2000年に開設いただいたものですが、20年以上も続けて、地域の先生方が集まって診療するというスタイルは都会ではないこともあり、「地域の先生方の熱意を感じる」、「地域の先生方に頑張っていただきたいので、少しでも助けになれば…」など、嬉しいお言葉をいただきました。
この医療版ワーケーションは、地域の先生方の負担軽減につながる事業だと思っています。特に今はコロナ禍で、クリニックには多くの発熱者が受診されています。そういった厳しい状況の中で、少しでもご負担の軽減に役立てたのであれば嬉しく思います。また、医師の方はフェースブックなどを活用される方が多いとお聞きしているので、観光を通じた魅力発信の二本立ては大きな事業効果があると思っています。

―今後の医療版ワーケーションの展開などは考えておられますか。例えば、魅力を知った医師に移住していただくようなことも考えているのでしょうか?

楢原
今年度は試行的な形で実施しているのですが、次年度は本格実施に向けて検討していきたいと思っています。まだ発展段階なので、完成形をどう目指していくかが課題だと思っています。例えば、他の自治体と連携したワーケーションや、勤務されている病院の理解も必要ですが、オンラインを利用したワーケーションなど…。そして最終的には福山市に移住していただいて、医師として診療いただくことが最終的な目標です。今は短い期間の滞在の方が多いのですが、来年には1週間程度の夏季休暇などに来ていただいて、地域の方との交流や、外から見た我々が気づいていない魅力を引き出していただいて、それを発信していただけるような形になればいいですね。このあたりも、MRTさんやJTBさんとも相談して進めていければと思っています。
加藤
地域の魅力や医療体制の課題は、現地で実体験していただくことが気づくきっかけになりますよね。医療版ワーケーションがきっかけで将来的には移住、または二拠点勤務、地方医療との交流が生まれることによって、日常的に気をかけていただいたり、サポートしていただいたりと、関係性が築けるのではないかと感じました。実際に、ご参加いただいた1名の医師は、福山市に知り合いの医師がいたことを勤務が確定した後に知り、交流が再開したそうです。

―それは素晴らしいですね。MRT様としては何か新しい可能性は感じましたか?

加藤
MRTとしては、医療版MaaS事業にも取り組んでいて、もう一つの柱事業であるオンライン診療を、医療過疎地の医療現場へ提供したり、実証実験をおこなったりしています。ただ、オンライン診療でできる医療行為は、現時点ではビデオ通話を通した診断までと限定的で、実際に触れての処置ができないんです。今回の医療版ワーケーションでオフラインでの医療の提供が実現したので、オンラインとオフラインをうまく活用することで、地域医療の課題解決に大きく寄与できる可能性は感じました。

実は医師からのニーズが高い「医療版ワーケーション」

築城400年を迎える「福山城」 働きながら観光もできる「医療版ワーケーション」のニーズは高そうだ

―医師不足に悩んでいる地域は多いと思うのですが、このような施策をより広めるために、やってみたいと思う人のために何かアドバイスなどありますか?

加藤
医療においてワーケーションが、本当に実現可能なのか?という疑問をもたれている自治体様が多くいらっしゃるかと思います。期間限定的に医師を手配し、そのタイミングで医師にも地元の魅力を知ってもらいながらご勤務いただく。今回のように、夜間診療は医師不足が叫ばれているので、夜に勤務いただいて日中は観光といったかたちは、家族連れで行きたいという医師にはとても評判が良かったです。働きながらしっかり観光もできる。さらに働くことによって報酬を得られますので、いつもより観光に費用をかけて楽しめる。非常にいい取り組みではないかと思います。

―「来たい」と思う医師は多いのでしょうか?

加藤
今回、「医療版ワーケーションという勤務形式で働いてみたいですか?」というアンケートを取ったところ、300名近くの医師から「勤務したい」または「都合がつけば勤務したい」という回答でした。今回は小児科勤務経験医師に対してのアンケートだったので、他の診療科を加えるとかなり網羅性のある事業になるのではないかなと。

―「来てくれるのだろうか…」という心配はどうやらなさそうですね。

加藤
はい。福山市様も最初は「本当にくるの?」と思っている部分があったと思うのですが、希望される方は多かったですし、実際に参加してくださった先生も評判が良く、とてもありがたいです。別のケースでは、医療機関で交通費を負担して求人する場合もあるのですが、そういうケースは一瞬で埋まります。ですが、医療機関の赤字経営をしているところが多いので、交通費の負担は結構重たいんです。今回のように自治体と連携できることによってさらに可能性は広がると思います。

―小児科医以外でも展開できそうですか?

加藤
できると思います。MRTでは専門の診療科目別で、医師にご登録いただく仕組みになっており、7万人以上の様々な診療科の医師へアプローチすることが可能です。また医師免許証や身分証明書等をご提出いただき『医師と証明され、すぐにご勤務が可能な医師会員』という特徴も大きなアドバンテージです。
医療業界では「代診」(※主たる医者に代わって診察をすること)という文化があるのですが、MRTは上記記載した会員のプラットフォームを活用していただくことで、この「代診」や「非常勤」の先生の手配を強みにした事業をしております。これら「代診」や「非常勤」の文化がもともとある為、常勤の勤務先がある中で空いている日や休暇を、医療過疎地に行っていただくワークシェア的取り組みは非常に浸透しやすいと思います。各地域の自治体様や医師会様と連携させて頂くことができれば、小児科以外でも展開が可能だと確信してます。

同じ悩みを抱える自治体との意見交換のきっかけになれば

―同じような悩みを抱える自治体の方へのメッセージをお願いします。

岡崎
実は福山市様との事例を見て、JTB京都支店のスタッフから、スキームについてさっそく問い合わせがありました。京都市も医療課題を持っていて、ちょうど提案する準備をしていたようです。全国どこでも展開できる話だと思うので、MRTさんとともに、同じような課題を持っている地域のお役に立てればと思っています。
加藤
「医療」と「ワーケーション」はなかなか結びつかないかもしれませんが、1、2週間の長期休暇や2~3泊の短期間でのワーケーションは、医師から非常にニーズが高い事業です。医師に実際に来てもらうことにより、移住、または二拠点勤務、短期的にも現地医師の労働量の負担軽減、オーバーツーリズムに伴った地元医療提供体制の課題解決などにつながるのではないかなと。現地に来てくれた医師にそのままオンライン診療を担当いただくことができれば、現地医師とのリレーション強化も実現できる。ぜひ医療版ワーケーションの導入をご検討してみてください。
楢原
医師の偏在が進む中、医師不足は、地方の自治体であれば切実に感じている課題だと思います。特に2024年から始まる「医師の働き方改革」を踏まえ、大きな転換期にあるのは間違いありません。その解消のために、各自治体も色々な手段を考えられていると思います。その一つが、福山市にとってはワーケーションだったということです。これは、本市の企画部門が時間をかけてワーケーション事業を推進し、保健所が医療に結びつけた事例だと思っています。今回の「医療版ワーケーション」は、こういう手法もあるのだな…と他の自治体にも参考になればと思います。

全国のネットワークを持ちながら地元とも正対する

―最後に、今回の事業でのJTBの強みについて教えてください。

岡崎
今回、福山市さんとMRTさんを結びつけたことによって「医療版ワーケーション」を試行実施することができました。JTBの強みは、全国にあるネットワークの広さだと思います。MRTさんも首都圏の企業ですが、東名阪の企業とのつながりが強いのがJTBの特徴でもあるので、細かくていねいな対応が競合他社よりはできるのではないかなと。また、今回も広島支店ではなく福山支店が対応するといった、地元に正対しているところも強みだとは思います。医師の希望と福山市様の希望が違った場合でも折り合いをつけて、ユーザーの意見を反映しながら着地型の開発をしていく。地元密着型でさまざまな解決方法を探っていきますので、地域のお悩みをぜひご相談ください。

まとめ

同じように医師不足という課題を抱え、さまざまな対策に取り組む自治他様は多いかと思います。地域の医師不足の改善に加え、観光地としての魅力も発信していく試み「医療版ワーケーション」。初の試みで発展段階ではありますが、手法の一つとしてぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。医療従事者不足が深刻化する今、医療機関の負担軽減に少しでもお役に立てれば幸いです。

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