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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 探究活動で「地域」「観光」が注目される背景とは?地域との協働的な学びの進め方

2020.09.14
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中学・高校向け

2020年度より、文部科学省は「生きる力 学びの、その先へ」をテーマに、新しい 学習指導要領を段階的にスタートさせています。そのうち高等学校で重要視されているのは、生徒自身が「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・発表」を行うといった探究のプロセスです。

しかし実際の学校教育の現場では、主体的かつ深い学びをさせるために、「どのように取り組めばよいか」と検討されている先生も多いと思います。そのような中、探究活動のテーマとして「地域」「観光」に注目が集まっていることをご存知でしょうか。

探究活動のテーマとして「地域」「観光」が注目されている背景

高等学校では2022年度よりスタートする新しい学習指導要領において、「多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにする(※)」ことが求められています。そして、実際に社会との連携および協働によってその実現を図っていくために、学科の新設の検討や新たな科目の導入などが行われています。

※引用:高等学校学習指導要領(P1)|文部科学省

文部科学省が推進する「地域」や「観光」と高校生の学びとの連携

文部科学省の高等学校普通科再編の方針では、地域社会が抱える課題の解決に向けた学びに重点的に取り組む学科「地域探究学科(仮称)」の設置が示されました。

※参考元:新時代に対応した高等学校教育の在り方(論点整理)|文部科学省

そこでは自治体や産業界などと協働し、地域社会が抱える課題を解決するための学習など、探究的な学びを推進することを求められています。

同様な動きとして、商業科においては新科目として「観光ビジネス」の導入が決まっています。「観光ビジネス」科目追加の狙いは、商業の見方や考え方を働かせ、観光ビジネスの展開に必要な資質や能力を育成することにあります。また、実践的・体験的な学習活動として、観光ビジネスに関する課題を発見したり、科学的な根拠をもとに観光の振興策を考案したりするとあります。
このように教育政策面においても、地域と高等学校との協働的な学びを推進する動きが、ますます加速することが予想されます。

「観光甲子園2020」へのエントリーが倍増

観光甲子園とは、2009年から始まった「全国高校生観光プランコンテスト」を前身とする高校生のためのコンテストイベントです。
全国の高校生を対象に観光プランを募集、その後本選への出場を果たした学校がプレゼンテーションを行い、日頃の成果を競い合います。今では、文化庁の協力や観光庁の後援が得られるまでの一大コンテストとなりました。
「観光甲子園2020」はSDGsの考え方を取り込み、年間を通じた探究型活動プログラムとして開催。訪日観光部門、ハワイ部門、日本遺産部門の3つに分かれて、180秒の観光プロモーション動画制作を競う取り組みとなっています。

ここで注目すべきは、昨年から今年にかけてエントリー数が急激に増加した点です。2019年のエントリーは99校318チームだったのに対し、2020年は220校760チームと倍以上に増加しました。
加えて、今年は「1つの学校から多くのチームがエントリーしている」という状況が多数みられました。

以上を踏まえると、こうした探究型イベントが「一部の生徒が取り組む活動」から、「学校のカリキュラムの一部」として利用されている傾向が読み取れます。このように、実際の学校現場においても、「地域・観光×探究活動」の動きが加速してきているといえるのではないでしょうか。

「地域・観光×探究活動」を効果的に取り組むためのアイデア

探究活動に「地域」や「観光」といった視点を取り入れていきたいけれど、具体的にどう取り組めばいいのか悩む…という先生方も多いかもしれません。ここからは「地域」「観光」と連動した探究活動の取り組み方として、何に気をつければよいのか、生徒がより主体性をもって課題に取り組むためにはどうすればよいかのアイデアをご紹介します。

身近な地域と協働させることがポイント

ひとつの方法として、探究の課題を設定する際に、自分が実際に住んでいる地域など「身近な地域」を題材にすることがあげられます。身近な地域を通じて探究的な活動を実施することにより、生徒自身が「地域社会の構造や問題を把握・理解し、より良くすることができるとの実感を持つこと」につながるからです。それは同時に、自己効力感を高めるといった相乗効果も期待できそうです。
このような地域社会との協働経験を通して生徒の地域への貢献意識を高めることは、卒業後や将来の地元定着につながるだけでなく、自己のアイデンティティーの形成と共に、当事者として社会と関わることのできる人材を送り出すことにもなるのではないでしょうか。

自治体や大学、企業とコンソーシアムを構築する

高等学校が探究活動のために地域と生徒を協働させるうえで有効な手法のひとつが、コンソーシアムを構築することです。例えば、地域NPO法人や市町村、大学や専修学校、産業界などと協働してコンソーシアムを構築し、探究活動を推進することで、地域振興の核としての機能強化を図ることができます。また、「個対個」のつながりでは、その場限りの、その年限りの教育実践になる可能性が高くなりますが、コンソーシアムという「組織対組織」の形でつながりを作ることで、長きにわたり取り組みを続けていくことが可能になるというメリットもあります。
コンソーシアムを組んで、SDGsをテーマに地域社会のリーダーの育成を図った事例を紹介しておきます。

三重県立宇治山田商業高等学校|「観光都市with SDGs」~伊勢志摩!未来創造プロジェクト~
「持続可能な未来を創造できるグローバルな視点をもった地域社会のリーダーの育成」をテーマに、課題解決力・論理的思考力・地域への貢献力などを育てる「地球市民力の育成」や、企画力・調整力・実践力などを育てる「未来創造力の育成」についてのカリキュラム開発に取り組んだ。

※参照元:三重県教育委員会

【まとめ】

高等学校では2022年から段階的に導入する新しい学習指導要領のもと、「探究活動」の取り組みが進んでいきますが、そのテーマとして「地域」や「観光」を取り上げる学校がますます増えることが予想されます。
実際にこれまで一部の生徒が取り組んできた「探究型イベント」を、学校がカリキュラムの一部として取り入れる動きが出てきました。さらに地域と協働する取り組みや、大学・企業などとコンソーシアムを構築して活動を行う高等学校も増えてきています。

探究活動の取り組み手法を検討されている学校や先生方は、「地域」「観光」をテーマに取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
今回はより具体的な取り組み・事例がチェックできるダウンロード資料として、「学校が自治体、企業とコンソーシアムを構築して高校生のための国際イベントを開催した事例」を用意しました。

こちらもぜひ参考にしてください。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)SDGs高校生未来会議 ~私たちの未来は始まっている~ 2019年度開催報告

今回はより具体的な取り組み・事例がチェックできるダウンロード資料として、「学校が自治体、企業とコンソーシアムを構築して高校生のための国際イベントを開催した事例」を用意しました。

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