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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 ICT端末1人1台時代到来!ビッグデータを活用すると探究活動はこう変わる!

2021.02.15
校内プログラム
学校運営・総合
探究学習
STEAM教育
カリキュラム構築支援
中学・高校向け

コロナ禍の影響を受け、生徒1人1台のICT端末と高速大容量通信ネットワークの実現を目指す文部科学省のGIGAスクール構想が加速しています。教育のデジタル化が急速に進むなか、生徒用タブレット端末を前に、その活用方法にお悩みの先生も多いのではないでしょうか?今回の記事では、総合的な探究(学習)の時間に生徒がタブレットやパソコンを使って、観光予報DS(Data Science)からビッグデータにアクセスし、協働学習を通じて地域の課題発見・解決学習に取り組んだ学校の事例をご紹介します。

DXが進む社会に必要な「数理・データサイエンス・AI」リテラシー

DX※1により社会の大転換が進む将来に向け、デジタル社会の「読み・書き・そろばん」と言われる「数理・データサイエンス・AI」に関する知識・技能を身につけた人材(持続可能な社会の創り手)の育成が急務とされています。文部科学省は、年間100万人すべての高校卒業生にそれらの基礎的なリテラシーを習得させ、問題発見・解決学習の体験等を通じて創造性を涵養することを目標に掲げています。高校や大学においても文系・理系を問わず、数理や統計、AIの知識を使って課題を設定し、解決策を導き出せる力の育成がますます重要になってくるのです。

  1. デジタル・トランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

参考元:文部科学省「AI戦略等を踏まえたAI人材の育成について」

探究活動におけるICTの活用が課題発見・解決力を育む

文部科学省は、総合的な探究の時間においてICTを適切かつ効果的に活用し、情報を収集・整理・発信することを求めています。そして、ICTやデジタルデータの持つ強みを活かすことで、➀時間と空間を超えた学び、➁個と集団の学びの深まり、➂探究の高度化、が実現できると期待しています。

参考元:文部科学省「生活科・総合的な学習(探究)の時間の指導におけるICTの活用について」

経済産業省は、学びのSTEAM化と個別最適化をコンセプトに、時間を有効活用した学際研究的・協働的な学びの実現を提唱しています。それに欠かせないのが「1人1台端末」と「EdTech」の活用。2020年度中には、中高生の課題発見・解決能力育成につながる教育コンテンツを提供する学びのプラットフォーム「STEAMライブラリー」を開設する、としています。

参考元:経済産業省「未来の教室」プロジェクト –教育イノベーション政策の現在地点–

総合的な探究の時間などの課題発見・解決型学習においてICTやデジタルデータを効果的に活用することが、「持続可能な社会の創り手」に必要な基礎的なリテラシーを育む近道と言えるでしょう。

ICT端末で探究に必要なデータを収集・分析するツール

総合的な探究の時間に「地域探究」を行う学校が増えています。生徒が地域の魅力や課題を見つけ、解決アイデアを考える際に、主観的・定性的な視点だけでなく、客観的・定量的な学習時点の本物のデータを使って学習を進めることで、より多角的で説得力のあるまとめ・発表ができるようになります。とはいえ、生徒が必要なデータを効率的に収集・分析することは難しいもの。そんなときは、インターネットに接続したパソコンやタブレットを使って簡単にデータの収集・分析ができるツールの活用がおすすめです。中高生の地域探究での利用を想定して開発されたSTEAM学習アプリケーション「観光予報DS(Data Science))」を使うと、観光や地域に関する、その時々の多くの一次データを市区町村単位・一日単位等で検索でき、全国平均や他地域と比較できたり、複数のデータを掛け合わせながら分析することが簡単にできます。

観光予報DSで調べられるデータ(一例)

人口データ/観光データ/全産業データ/製造業データ/卸売・小売業データ/農林水産業データ/気象データ

観光予報DSからアクセスできる外部データ(一例)

データ収集ツールを使って地域探究に取り組んだ事例

「観光予報DS(Data Science)」を使ってデータにアクセスし、そこから地域の魅力や課題を掘り下げて解決アイデアを考える授業が『未来探究ゼミナール』です。『未来探究ゼミナール』は、EdTechを活用した学びの個別最適化・STEAM化を目指す経済産業省「EdTech導入補助金活用事業」の一環として、2020年度 全国23校の中学校・高校で実施されました。授業では生徒がグループに分かれて、地域の魅力を伝えるコンテンツ作りに取り組み、そのアウトプットとしてポスター制作に取り組みました。ポスターには根拠に用いたデータを掲載しなければならないため、生徒は「観光予報DS(Data Science)」を使って人口や宿泊、気象などに関するデータから仮説を立て、更に地域の課題や魅力を裏づけるデータを探し出し、それらを組み合わせてグループで結論を導き出す必要があります。アンケート結果からは、こうした活動を通じて生徒のデータリテラシーや協働性、そして表現する力が育まれたことが証明されました。

「観光予報DS(Data Science)」を活用したSTEAM&探究学習プログラム 『未来探究ゼミナール』

■授業構成(標準・全4回)- 各回の活動内容
1回目 データを調べる(50分)
  • 観光予報DSを使ってデータに触れる
  • 街や地域の魅力や課題を見つけ出す
2回目 ポスター制作(50分)
  • 街の課題解決のアイディアを絞り込む
  • 伝える内容を固める
3回目 プレ発表/ポスター改善(50分)
  • 他グループとの情報交換をする
  • 伝えたい内容をブラッシュアップする
4回目 最終発表会(50分)
  • 魅力を発信する
  • 他チームを評価し、他チームの評価を受ける


(全8回版を2021年春にリリース予定)

 
■授業の様子

(大分県立別府翔青高等学校)

 
■アンケート結果
(n=2,045)
調査期間2020年10月1日~2021年1月29日 調査対象:『未来探究ゼミナール』を受講した全国の中学校・高等学校の生徒合計3,317名
調査方法:Salesforce SurveyによるWebアンケート(4択式設問、フリーコメント)
回答状況:配布数:3,317、回答数:2,045、回答率:61.7%

ユーザーローカルテキストマイニングツールで分析

「Q18 未来探究ゼミナールの学習内容や学習活動に満足できた」と回答した552名の生徒のうち、フリーコメントを入力した389名の回答から、動詞、形容詞をテキストマイニングした結果

まとめ

これからの社会に必要なリテラシーを育むには、多様な学校教育活動のなかでも特に「探究的な活動」においてICT端末を積極的に活用することが重要と言えます。インターネットから様々なデータにアクセスして課題の設定と情報の収集を行い、仲間との協働学習でそれらを多角的に整理・分析して、客観的な根拠に裏付けられた課題解決アイデアをまとめて発表する、そうした探究プロセスにはICT端末やネットワークが欠かせません。パソコンやタブレットはデジタル社会の「文房具」。強みを知り、上手に付き合うことが活用の近道と言えるのではないでしょうか。



中学・高校向け 国内プログラム 未来探究ゼミナール

「未来探究ゼミナール」とは、観光や地域活性化をテーマとした協働型地域探究学習プログラムです。観光に関するビックデータが詰まったJTBオリジナルアプリケーション『観光予報DS(Data Science) 』を使って仲間と協働して地域の魅力や課題を深掘りし、未来に向けた課題やアイデアを考え、ポスターにまとめて発表します。

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