企業・団体向け
学校・教育機関向け
企業・団体向け
学校・教育機関向け

自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 自治体を悩ませる経済活性化の課題とは?地域の資源を活用したビジネスの成功例

2021.03.18
地域マーケティング
地域マネジメント
戦略策定

東京一極集中を解消し、それぞれの地域で住みやすい環境を確保する「地方創生」。その理念は、地方の「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立し、その好循環を支える「まち」に活力を取り戻すことにあります。地域の活力のためには、地域内外の人材や資金を積極的に確保・育成しながら、地方の「平均所得の向上」を目指していくことが欠かせません。

今回は、平成29年3月に内閣府地方創生推進事務局が取りまとめた、稼げるまちづくり取組事例集「地域のチャレンジ100」から、地域資源を活用したまちづくりの事例を紹介します。地域の人口減少と経済縮小に悩む自治体担当者の方はぜひ最後までお読みください。

「稼げるまちづくり」で地域経済活性化を実現

人口の減少・高齢化に悩む地域には、空き家・空き店舗問題、地域経済の担い手不足、経済縮小に伴う税収減などさまざまな課題があります。「稼げるまちづくり」を考えるうえでは、これらの課題解決を目標としつつ、地域資源を最大限に活用する地域経済活性化の総合的な戦略・ビジョンが不可欠です。

自治体は地域に眠っている資源を活用しながら、収益力を高め、多様な民間投資を喚起する取り組みを検討しましょう。行政のみならず、地域住民や地元企業、まちづくり会社や商店街等の民間団体等の主体的な取り組みが広く展開・連鎖することで「稼げるまちづくり」が機能していきます。

「稼げるまちづくり」の実現を支える要素として挙げられるのは、①人材の確保・育成や協働体制の構築、②円滑な資金調達、③遊休資産の有効活用・リノベーション等の地域空間の形成・活用の3つです。以下では、先進地域の取り組み事例を見ていきましょう。

「稼げるまちづくり」で地域経済活性化を実現

事例01空き店舗・古民家等を活用した起業・移住促進による稼げるまちづくり

鳥取県鳥取市の「もちがせパワーアッププロジェクト」は、地域の大学生と住民有志による民間コミュニティが主体となり、空き家の活用や特産品の販売、域外との交流を通して、地域に資金循環モデルを構築した取り組みです。「都市部との住民交流事業」「特産品の磨き上げ事業」「もちがせコミュニティ広場事業」の3つの取り組みが連動し、稼げるまちづくりを進めました。民間主導ですが、鳥取県と日本財団の共同プロジェクトが支援を行っています。

「都市部との住民交流事業」は、都市部に住む百瀬町の出身者や賛同者が応援隊を結成し、ゲストハウスなどを活用した田舎暮らし体験を企画することで移住・定住を促進させるものです。また海外との交流で観光客の誘致も図りました。

「特産品の磨き上げ事業」では、特別栽培米を中心に地域の特産品のブランド化を行い、都市部に働きかけ販路拡大を行いました。また、都市部との住民交流事業の一環として、特産品の販売会員を募集することにも取り組み、特産品の販売を促進しました。

「もちがせコミュニティ広場事業」は、古民家をカフェやゲストハウスに改修し、食事を提供するものです。これにより地域住民と大学生の交流や、観光客の受け入れが活発になり、改修してオープンした古民家カフェ「川のhotori百瀬」には、1年間でおよそ9,000名の来客数がありました。

古民家はワーケーション施設としての活用も可能

風情ある古民家は、カフェやゲストハウスはもちろん、ワーケーション施設としても活用が可能です。茨城県結城市では、信金中央金庫が「企業版ふるさと納税」等を活用した寄附を行うことで、古民家や空き店舗の再生活用を支援しています。

結城市【企業版ふるさと納税】信金中央金庫創立70周年「SCBふるさと応援団」に採択されました

事例02伝統的な街並みを活かした集客拡大による稼げるまちづくり

京都府京都市には、官民連携による改修資金調達で京町家の保全・活用を成し遂げた事例があります。主体となったのは、公益財団法人京都市景観・まちづくりセンターで、年々減少の一途をたどる京町家を次世代に受け継ぐために「京町家まちづくりファンド」を設立し、京町家の改修や町並み修復のための工事費用に対して助成を行いました。その財源となったのは市民・企業からの寄附金のほか、市および国からの資金です。

資金調達と並行して、一定の要件を満たす京町家にカルテを発行し、京町家の価値等について所有者の認識を深め、京町家の活用や継承を促す「京町家カルテ」事業も進められました。「京町家カルテ」には専門家による調査のもと、京町家の価値が「基礎情報」「文化情報」「建物情報」「間取図」の構成でまとめられています。このカルテは建物価値の評価にも活用され、京町家の取得・改修資金の低利融資の実現に貢献しました。

京町家まちづくりファンド等を活用して改修した京町家の件数は、平成26年度に34件だったものが平成32年度には73件にまで増えています。

まちづくりイメージ

事例03観光需要を取り込む稼げるまちづくり

京都府北部地域の5市2町(福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町)は、平成27年4月に「京都府北部地域連携都市圏形成推進宣言」を行い、広域連携による持続的な経済・生活圏づくりを目指しました。これにより、30万人都市に匹敵する「京都府北部地域連携都市圏」が誕生。以来、観光、産業、移住定住、人材育成等の分野においてスケールメリットを活かした取り組みを推進しています。

公共交通
圏域全体を1時間以内で往来できる交通ダイヤの形成、都市圏と圏域を結ぶ高速鉄道網の誘致促進 等
公共施設
圏域内住民の相互利用が想定される各市町の公共施設の相互利用化による支出軽減 等

産業
通勤圏の拡大に伴う雇用支援、圏域内企業のビジネスマッチング 等
観光
「海の京都」の統一コンセプトの下、「海の京都DMO」を中心とする一体的な観光戦略の推進 等
教育
圏域全体での子どもたちの将来目標にあった質の高い教育環境づくり 等
医療
高度な医療が提供可能な医療機関群を活かし、大都市に行かずとも、この圏域内で必要な医療が受けられる環境づくり 等

平成28年に設立された「海の京都」DMOもそのうちのひとつです。DMOとは芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、魅力的な観光まちづくりをソフト・ハード両面から進める法人のこと。「海の京都」DMOは、天橋立や世界ジオパーク等の観光資源の広域周遊の促進に向け、観光プロモーションや観光地としての景観整備等を進めています。

JTBは「海の京都」DMOのパートナーとして、地域の住民・事業者の皆様とともに、観光戦略策定に必要なマーケティング調査や着地型プログラムの商品化をサポートしました。

詳細は事例ページでご確認ください。

「海の京都」DMO観光戦略策定及びコンテンツ開発・着地型旅行商品開発

まとめ

官民連携で地域に眠っている資源の活用を

まちににぎわいと活力を生み出し、民間投資の喚起や所得・雇用の増加等につなげる「稼げるまちづくり」には、地域の「稼ぐ力」や「地域価値」を洗い出す作業が必要です。自治体はまちづくり会社やDMOなどの組織と協力しながら、地域の魅力の分析や戦略策定を行ってみてはいかがでしょうか。持続的なまちづくりには地域住民の共感も大切ですので、地域の住民や事業者のコーディネート役として、企業をチームに加えることもおすすめです。

JTBは「企業版ふるさと納税」の活用に関するコンサルティングや、地域の課題に根差した観光戦略策定およびコンテンツ開発で「稼げるまちづくり」をサポートしています。ご要件に応じたご相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

関連サービス・ソリューション

JTBでは、様々なソリューションを組み合わせることで、それぞれのお客さまにあった課題解決⽅法をご提案いたします。

#Think Trunk

WEBマガジン「#Think Trunk」とは

人と人、人と組織、人と社会とのコミュニケーションのヒントをお届けする
WEBマガジンです。

人間・組織の悩みは、コミュニケーション・関係性の場づくりで解決できる。
〜JTBは、新しい形の交流のあり方を創造し、社会に貢献していきたいと考えています〜

JTB法人事業のお客様へお役立ち情報や課題解決のきっかけとなる知見、経験、アイデアを紹介するWebマガジンです。また産・官・学の皆さまとの接点があるJTBならではの垣根を越えた共創のヒントをお届けしたいと考えています。