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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【事例あり】地方創生SDGsとは?持続可能性を重視した観光コンテンツ開発の要点

2021.10.25
地域マネジメント
商品開発・販売
誘客促進

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、国連加盟国が2016年から2030年の15年間に達成するように定めた開発目標を指します。観光も例外ではなく、2017年が国連「開発のための持続可能な観光の国際年」に指定されるなど、観光コンテンツを開発するにあたっても「持続可能性」は重要な視点のひとつです。

つまり、従来の人やモノの集中により環境負荷をかける観光から、地域の文化や歴史遺産、自然環境を守りながら、教育・福祉・コミュニティの活性化などの課題を解決し、地方創生へとつなげる「持続可能性」を重視した観光地経営へのパラダイムシフトがいま求められています。

地方創生SDGsとは?

地方創生とは、東京への一極集中是正、地方の人口減少に歯止めをかけることにより日本全体の活力を高めることを目指して打ち出された政策です。2014年に成立した「まち・ひと・しごと創生法」は地方創生を「国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成」と定義しています。

しかし、本来地域を構成する全員が一体となって取り組むべき地方創生において、官民の分断、世代の分断、ジェンダー間の分断が推進の課題となっています。この点、SDGsは地球上の誰一人として取り残さないことを誓っており、このアプローチが地方創生にも有効です。

これらを整理すると、地方創生SDGsとは住民、事業者、行政、NPO、自治会、商工会、農協、学校など、異なるステークホルダー間で地方創生に向けた共通認識を持ち、産業・環境・教育・医療・福祉・防災・まちづくりなどの領域を超えて、持続可能な地域の未来を実現するための活動と言えます。

地域産業の柱である観光も、人口減少と地域経済縮小の克服、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立を目指して、将来にわたって安心して住める持続可能なまちづくりのために地域の特色を生かす方法を考えなければなりません。

地域の観光地経営にSDGsの視点が必要な理由とは?

地域の持続可能性のために解決すべき課題を以下3つご紹介いたします。その課題いずれにおいても解決のためにSDGsの視点が必要なことがおわかりいただけると思います。

01観光の需要創出・平準化

地方創生、地域経済活性化のための1つの課題は、観光客の特定シーズン集中です。この状態が定常化すると、混雑で観光客の満足度が下がるだけでなく、騒音や渋滞が発生し住民生活にも支障をきたす「オーバーツーリズム」が引き起こされます。このオーバーツーリズムは、観光地の密を回避しなければならないコロナ禍においては大きな問題です。また、需要の平準化により、年間安定雇用にも寄与することから、これを解決するために一年を通じて安定的に観光需要を創出する魅力的なコンテンツ開発が必要です。

02観光人材の雇用・育成

地方の人口減少、若者流出に伴い、インバウンド等のFIT※1に対応できる観光人材の不足も大きな課題です。

  1. FITとは、団体旅行やパッケージツアーを利用することなく個人で海外旅行に行くこと。Foreign Independent Tourの頭文字の略。

これを解決するために各地で進められているのが、産官学の連携による観光人材の育成です。例えば、2022年より全国に約600校ある商業高校で「観光ビジネス」が追加教科になるほか、普通科でも「地域創生コース」が設置されたり、その検討がなされています。さらに地方創生や観光を学べる大学は全国で350超(2017年観光庁調べ)に増加するなど、教育にも観光や地方創生の視点を取り入れた取り組みがなされています。

03観光地本来の姿を持続的に保つ

SDGsの視点に立脚して、「サステナブル・ツーリズム」と呼ばれる新たな観光の形が注目されています。これは観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように、観光地の開発やサービスのあり方を見定めようという考え方です。具体的には入境する観光客数の制限、電気自動車の利用による排ガス規制、必要な搭乗客だけを対象にした機内サービスなどの取り組みも含まれます。

SDGsは自然環境保護をイメージする方が多いかもしれませんが、地域の歴史文化や伝統を含め「地域全体」を守る視点も包含されていることから、サステナブル・ツーリズムの考え方は重要です。そのため、これからは地域の自然や歴史文化を活かしたコンテンツ開発が求められていくでしょう。

事例「志賀高原×SDGs STUDY TOUR」

志賀高原は上信越高原国立公園の一部であり、スキーリゾート地として有名な観光地です。以前から「志賀高原=学習合宿や林間学校」というイメージは定着していました。また教育現場からは「探究学習の実践の場」としてのニーズが高まっていました。

そうした背景の中で、志賀高原に残されている手つかずの自然を生かし「自然と人間社会の共存」を学び、持続可能な社会づくりの担い手を育成することを目指すために開発された教育向けコンテンツ、すなわちサステナブル・ツーリズムの考え方が包含されているのが「志賀高原×SDGs STUDY TOUR」です。

着地コンテンツを活用した教育マーケット、地域への波及とマネタイズ化

このプログラムの特徴は、志賀高原のグリーンシーズン稼働率の向上により年間を通じた安定雇用を生み出すだけではありません。小学生から高校生までを対象とし、学校と連携することで将来のSDGsの担い手となる子どもたち、若者たちに、質の高い教育機会を提供し、地方創生を促進し、地域経済活性化を狙うサステナブル・ツーリズムに資するプログラムであるという点です。

志賀高原×SDGs STUDY TOURのねらい

具体的には志賀高原の貴重な自然資源を通じて学べる18のプログラムを用意し、各学校のスケジュールに合わせて組み立てることが可能です。代表的な4つのプログラムをご紹介します。

01志賀高原ユネスコエコパーク環境学習プログラム

このプログラムは事前学習、体験プログラム、事後学習から構成されています。事前学習では公益社団法人日本山岳ガイド協会公認のガイドによる約1時間の講義を通じて、自然と人の共生について理解を深めます。体験プログラムでは、時間やレベルに合わせてトレッキングコースを決めることが可能です。志賀高原ユネスコエコパークが対処している環境保全上の問題を学びます。事後学習ではディスカッション、ワークショップを開催し、レポートや感想文を作成します。参加者には終了証・ピンバッジが授与されます。

02天空のナイトゴンドラ

山麓からゴンドラに乗車し、約7分かけて山頂に登ります。山頂では星空レクチャーを開催。都会では経験できない満点の夜空は忘れられない経験になるはずです。プログラムの所要時間は全体で2~3時間です。

03農業体験

環境農業ではなく、本当の農業を経験するためのプログラムです。地元の農家の方と一緒に実際に農作業を行います。プログラムの時間は基本的に2時間ですが、長めに作業することも可能です。

04ECO飯盒炊飯

チームごとに分かれ、使う薪を最小限に抑えながら、工夫しておいしくご飯とカレーを作ります。このプログラムの目的は食べる大切さを体験することで、世界の食糧や水の問題について考えるきっかけを与えることです。プログラムは全体で3時間程度です。

「志賀高原 ×SDGs STUDY TOUR」は、2021年には長野県内5校(小学校1校、中学校3校、高校1校)、東京都1校(中学校)、埼玉県1校(高校)から予約の実績があります。


まとめ

持続性を考えた観光コンテンツ開発を

「志賀高原 ×SDGs STUDY TOUR」はSDGsへの取り組みであるだけではなく、関係人口の増加や地域経済の活性化に寄与する点で地方創生にもつながります。また、地域と教育現場、民間企業(JTB)と教育が連携する「産官学連携 」の試みとも言えます。こうしたコンテンツを通じて参加者が地域の資源や魅力を再認識することで、持続可能な観光地域づくりが促進されます。

ご紹介した「志賀高原 ×SDGs STUDY TOUR」は学校だけでなく企業向けにもアレンジが可能です。今後、地域が観光コンテンツやプログラム開発を行う上で「持続性」が一層重要になると考えられます。このプログラムの詳細に関してはデジタルパンフレットでご覧いただけますので、持続性を考えた観光コンテンツ開発のヒントとして活用してみてはいかがでしょうか?


関連情報

志賀高原 SDGs STUDYTOUR

志賀高原×SDGs STUDY TOURパンフレット

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