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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 JT“Rethink PROJECT”・JTB・イーストタイムズが協業 「地方創生ワークショップ」に自治体が参加するメリットとは?

2022.03.23
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2021年6月から日本たばこ産業株式会社(以下JT)のRethink PROJECT(リシンク・プロジェクト)と、株式会社JTB、合同会社イーストタイムズが協業し、地方創生プロジェクトを開始しました。プロジェクトの主軸としているのは地域の魅力を発掘・発信する「地方創生ワークショップ」。地元の情報発信に悩む自治体が多いことを踏まえ、このワークショップでは隠された魅力をいかに見出すかをレクチャーしています。本記事では、JTのRethink PROJECTを推進するご担当者に、プロジェクトの意義やワークショップが生み出す自治体のメリット、ワークショップの事例などを伺いました。

日本たばこ産業株式会社 渉外企画室 次長代理 加藤 達也 氏(右) 課長代理 一ノ瀬 亮 氏(左)
日本たばこ産業株式会社 渉外企画室 次長代理 加藤 達也 氏(右)、課長代理 一ノ瀬 亮 氏(左)

3社による地方創生プロジェクトとは?

それぞれの分野で地域課題の解決に取り組んでいた3社。JTはRethink PROJECTとして、これまでにない視点や考え方を活かして、社会課題と向き合ってきました。また、JTBは『感動のそばに、いつも。』をブランドスローガンに、イーストタイムズとともに「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」を通じて、地域の魅力を発信する取り組みを行っています。地域の魅力を再定義する活動をしていた3社は、SDGsに通じる地域の持続可能性の向上、実現したい地域社会の姿やアプローチに対する考えが一致し、今回の協業に至っています。

2020年9月から始まった「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」では、地域の魅力を発掘・発信するプロが、住民の方々とともに、地域の隠れた魅力を発掘し、発信するワークショップを開催してきました。発掘された魅力を発信するレポートである「ハツレポ」はふるさと納税ポータルサイト「ふるぽ」に多数掲載され、その魅力をふるさと納税の返礼品にする取り組みも行っています。

ここからは、実際のRethink PROJECTの活動内容や、地方創生プロジェクトでの取り組みについて、JTのご担当者にお話を伺います。(取材協力:日本たばこ産業株式会社 渉外企画室 加藤氏・一ノ瀬氏)

Q.JTが取り組む「Rethink PROJECT」とは?

加藤氏

Rethink PROJECTとは、私たちJTが日本国内で、パートナーシップを基盤に取り組む、地域社会の貢献活動の総称を指します。「視点を変えれば、世の中は変わる。」というメッセージを掲げ、パートナーの皆様と「新しい明日」をともに作り上げるために、社会課題と向き合うプロジェクトです。

「Rethink」という言葉は直訳すれば、「再考する」「考え直す」といった意味を持っていますが、私たちはこの「Rethink」を「視点を変えて考える」という意味で使っています。今回の3社協業プロジェクトで言えば、視点を変えることで地域の隠れた魅力を引き出すことができると感じています。

Rethink PROJECT公式サイト

Q.「Rethink PROJECT」での取り組みについて教えてください。

加藤氏

Rethink PROJECTでは「Rethink」の概念のもとに、地域での清掃活動や、森林保全活動、著名人を招いての文化イベントの開催など、さまざまな施策を展開しています。

代表的な例では2004年から「ひろえば街が好きになる運動」という市民参加型の清掃活動を実施しています。全国各地のお祭りや催事にブース出展をし、ご来場者の皆様と力を合わせて街をきれいにするプロジェクトです。「“ひろう”という体験を通じて、“すてない”気持ちを育てたい」そんな願いを込めて、清掃活動に参加するきっかけ作りをさせていただいています。

ひろえば街が好きになる運動①
(Rethink PROJECT公式サイトより)
ひろえば街が好きになる運動②

今回の地方創生プロジェクトの意義

Q.新たな地方創生プロジェクトに参画する意義は何でしょうか?

加藤氏

JTはRethink PROJECTの一環として、2018年から「Rethink Creator PROJECT(リシンククリエイタープロジェクト)」というプロジェクトに取り組んでいます。そのプロジェクトの中では「地元を誰かに任せない」というキーワードを掲げて、全国各地で、学びの場として、一般市民向けのクリエイティブセミナーと、挑戦の場として、地元の魅力を発信するポスターコンテストを開催しています。そこでは、視点を変えて考えたものを形にして世の中に発信できる人財を「リシンククリエイター」と呼び、地域の課題を各リシンククリエイターが解決する、いわば、クリエイターの地産地消による地方創生の実現を目指しています。

そのため、地域固有の魅力を全国に発信するという、JTBさんとイーストタイムズさんの取り組み主旨には同じこころざしを感じました。3社とも業種は異なりますが同じ目的を持つ企業としてパートナーになることで、それぞれの企業の良い面をさらに昇華できると思っています。

Rethink Creator PROJECT公式サイト

Rethink Creator PROJECT(リシンククリエイタープロジェクト)

ローカル魅力発掘発信ワークショップについて

Q.ローカル魅力発掘発信ワークショップの特徴は?

加藤氏

地域の魅力を発信するためのスキル学習が前半で、後半はそのエデュケーションを受けたうえで個々人が地元の魅力だと思うことを発表していただきます。それに対して、講師がコメントをフィードバックする流れです。ただこちらから一方的にレクチャーをするのではなく、実際に本人に地域についてお書きいただくことに力点を置いています。

「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」公式サイト

Q.ローカル魅力発掘発信ワークショップを開催する意義は何でしょうか?

加藤氏

「ふるさと」は、生まれた場所や住んでいる場所だけではなく、個々人が思いを寄せる街その全てが、「ふるさと」になりうるものであって、日本中、もっと言えば世界中の「ふるさと」は魅力にあふれているものだと私は思っています。ただ、その魅力を外に発信しなければ、その街のことを「ふるさと」と思う人が増えることはありません。その発信は、すでにその街のことを「ふるさと」だと思っている人が行うべきですし、その人の説得力にはどんなクリエイターさんも敵わないんじゃないかと思っています。

しかし、自分の住んでいる街の景色や、食べ物、文化は、長く住んでいるうちに当たり前のものになっていきます。いわば日常の風景となってしまって、初見の人から見たら光り輝くものであふれているのに、「この街に何もない」とおっしゃる街の方々が多いのです。ここでRethinkして視点を変えることで、その街には魅力があふれていることを改めて認識し、世の中に広く発信していただきたいと考えています。そのために魅力の再発見や発信につながる知見を提供することがワークショップの開催意義です。

ローカル魅力発掘発進ワークショップ
(JTBのふるさと納税サイト 「ふるぽ」ローカル魅力発掘発信プロジェクト『その土地を、 ふるさとと 想う人をつくる』より)

ローカル魅力発掘発信ワークショップが生み出すメリット

Q.JTがワークショップに参加するメリットは?

一ノ瀬氏

私たちは、地元の方やその街に愛着を持つ方など、さまざまな方々がPR手法や切り口を学び、その「街」の魅力を発信すること自体が、地域社会の発展に繋がると考えています。そういった施策にRethink PROJECTとして、ご協力させてもらうことにJTとしては大きなメリットを感じています。また、ワークショップを通して、共に活動するパートナーとの新たな出会いや活動していくうえでのヒントが得られることを期待しています。

Q.企業がワークショップに参加するメリットは?

一ノ瀬氏

セミナー開催地域に住む方々がRethinkして地域の魅力をPRしていくと、Facebookや記事を見て実際に行ってみたいと思う人が増えていきますし、JTBのふるさと納税サイト「ふるぽ」で地元の魅力である返礼品をPRできることは自治体にとってもすごく価値があるのではないかと思います。PRを通じて地元への関係人口が増えることで、自治体全体として恩恵を享受できるんじゃないかと考えています。

今までのワークショップの事例

Q.印象に残っているワークショップの事例はありますか?

一ノ瀬氏

もちろん全てのワークショップが印象的ではありますが、私は南魚沼市のワークショップが印象に残っています。Rethink PROJECTが取り組んでいる「Rethink Creator PROJECT」はどちらかというとクリエイティブ制作に関してはまだ知見がない方々をクリエイターとして育成していく面があるのですが、ローカル魅力発掘発信プロジェクトの特に南魚沼市ワークショップは地元にまつわるお仕事をされている方が多く、ご自身の店舗の餃子を持ってくる方もいればドレッシングを持ってくる方もいて、自分たちの商品をしっかりPRしたうえで、さらに街おこしをしていこうという明確な目的を持った方がワークショップに参加している印象でした。

ワークショップ事例①
ワークショップ事例②
(JTBのふるさと納税サイト 「ふるぽ」ローカル魅力発掘発信プロジェクト『その土地を、 ふるさとと 想う人をつくる』より)
加藤氏

私からは個別の事例ではなく総論を申し上げます。基本的にはワークショップを機にその自治体さんの土地に初めて足を踏み入れることが多いのですが、どこに行っても、私たちの願いでもある「どんな土地にも魅力的なものが眠っているけど、それが風景になってしまっているから見つけられないだけだ」という信念が間違ってなかったと感じさせていただきました。地元の方々からお話を伺うと、魅力的な景色や食べ物がたくさん出てくるんです。魅力がひとつもない地域はありませんでした。ワークショップでPRを学べば、自分の街の魅力に改めて気付くきっかけになるんじゃないかと思います。

プロジェクトの今後について

Q.今後のプロジェクトで実現したいことは何ですか?

一ノ瀬氏

私が参加させていただいたワークショップでは飲食店の方々と関わることが多く、JTとしてはさまざまな地域密着型の活動をしてきたので、今回の参加者のように飲食店の方や牧場経営者の方、商店街の方等、地元で頑張っている方と一緒に街おこしをやっていきたいです。ご一緒するパートナーを絞っているわけではもちろんなく、さまざまな施策をご一緒させてもらうことで可能性をどんどん広げ、地域社会における持続可能性の向上に貢献を果たしていければと考えています。

また、私たちは普段東京で仕事をしていますが、全国各地に事業所があるので、ワークショップで知り合った参加者の方と現地のJT社員が繋がり、何かひとつのものを作り上げていくことも今後は目指していきたいです。

Q.ワークショップは特にどんな自治体に参加いただきたいですか?

一ノ瀬氏

どんな方でも参加しやすいワークショップではありますが、特に自分の力で街おこしをしたい、地域をPRしたいという思いが強い方が参加すると、魅力的なアウトプットが出てくると思います。その地域にまつわる観光業や、飲食店といった仕事に従事している方が参加することによって、参加者と自治体ともにWin-Winの関係が作っていけるんじゃないかと感じるので、自治体の方も地元をPRするのに困っている、PRポイントが分からない、と思っている自治体の方は、参加することで新しい発見があると思います。


まとめ

長くその土地に暮らしていることで、地域の景色や食べ物を当たり前のものとして感じ、新鮮味がなくなることがあります。しかし、JTのお二人がおっしゃるように、どんな地域にも固有の魅力があるもの。その魅力を第三者の視点から引き出すとともに、自治体の皆さまにも視点を変えて魅力を再発掘していただくのが「ローカル魅力発掘発信ワークショップ」です。地元の街おこしをするために何から始めればいいのか、自分たちの地域にはどんな特色があるのか見つめ直したい自治体の皆さまは、ぜひ一度「ローカル魅力発掘発信ワークショップ」に参加されてみてはいかがでしょうか。


関連情報

「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」公式サイト

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