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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 アドベンチャートラベルとは?メリットや必要要素、事例を徹底紹介

2023.03.01
地域マネジメント
戦略策定
誘客促進
インバウンド

アドベンチャートラベルは世界的に人気のある旅行形態です。訪日インバウンドの中でも大きな市場規模をもつため、地方創生にも効果があるとされており、日本国内でも取り組みを進める自治体が増えています。この記事ではアドベンチャートラベルについて、概要やメリット、必要要素、事例などを紹介します。ぜひ、ご覧ください。

アドベンチャートラベルとは

アドベンチャートラベルとは、自然の中でアクティビティや異文化体験など、地域の人々と触れ合いながら行う旅行形態です。省略してATと呼ばれることもあります。

アドベンチャートラベル業界最大の団体であるAdventure Travel Trade Association(以下ATTA)によると、アドベンチャートラベルは「アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行」と定義されています。

アクティビティでの触れ合いは一方向ではなく、観光客と地域の人々の双方向なのが理想的です。自然・文化・地域を大切にしながら、地域資産を観光により経済価値に結びつける取り組みが進められています。

参考:アドベンチャーツーリズムとは|一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会

アドベンチャートラベルの市場規模は成長中

国際的に、アドベンチャートラベルの市場規模は年々成長を続けています。

観光庁の「地域の自然体験型観光コンテンツ充実に向けたナレッジ集」によると、市場規模は2016年で約4,448億ドル(49兆円)、2023年には約1兆3,357億ドル(147兆円)まで拡大すると予測されています。

世界中のアドベンチャートラベル(AT)関係者が一堂に会する国際会議「アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)」の、2023年の開催地に北海道が選ばれ、国内でもアドベンチャートラベルへの注目がさらに高まっています。

参考:地域の自然体験型観光コンテンツ充実に向けたナレッジ集|国土交通省 観光庁

アドベンチャートラベルのメリット

アドベンチャートラベルのメリットは、地域に高い経済効果が期待できる点です。

ATTAの調査結果によると、アドベンチャートラベルの実態に関して、次のようなことが確認されています。

  • アドベンチャートラベルでは、旅行者消費額の約65%が地域に使われる。
  • 従来の旅行形態(マスツーリズム)では、約14%の旅行者消費額しかなかった。
  • 雇用創出効果も、アドベンチャートラベルの方が1.7倍大きい。

アドベンチャートラベルは、自然や文化だけではなく、中小企業事業者をはじめとした地域経済が潤うことを重視しています。

アドベンチャートラベルを推進するうえでの重要な5つの要素

ATTAでは、アドベンチャートラベルの体験価値として、5つの要素を掲げています。以下でその内容を紹介します。

01いままでにないユニークな体験要素

その場所でしか味わえない、その土地ならではの体験をアドベンチャートラベルでは重視しています。
アドベンチャートラベルを構成する要素は、アクティビティ・自然・文化体験です。ただしアクティビティや自然は世界各国に、すでに似たものが存在する可能性があります。

しかし、文化体験はその土地にしかない傾向が強いため、唯一無二の経験として参加者に提供可能です。
ローカルな文化に焦点を当て、アクティビティを組み合わせることで、他では味わえないユニークな体験を参加者に提供できると考えられています。

02挑戦要素

参加者がコンテンツを通して、体だけでなく心も含めて、さまざまな挑戦ができる要素も求められます。
挑戦要素は大きく分けると「体の挑戦」と「心の挑戦」の2つがあります。

体の挑戦とは、長距離の自転車コースやトレッキング、渓流下り、初体験のアクティビティなど、体を動かしながら自然や文化を体感することを指します。

心の挑戦とは、初めての食べ物を食べてみる、その土地の楽器に挑戦する、土地の言語で挨拶をするなどを指します。

どちらの挑戦も、達成感や成長を実感できる体験や感覚を伴うことが必要になります。

03自己変革要素

旅行を通して、自然や文化、歴史などに触れる中で自分自身が成長したり、変化を感じられる要素が必要です。具体的には以下のような経験を通して、自己変革が起こると考えられています。

  • いかに自然が雄大で、時間をかけて形成されたかを知る。
  • その土地の人が困難を克服してきた歴史を知る。
  • 自国等とは異なる宗教観やものの見方などを知る。

自己変革機会の提供には、自然やアクティビティのみの知識ではなく、ツアーガイドの歴史・文化の知識、感性や気持ちに共感できるコミュニケーション力が求められます。

04健康要素

旅行によって、心身どちらも健康になれたと感じられる要素です。健康要素は大きく分けて「身体」と「心理」の2つの観点があります。

身体的観点とは、例えば朝に自然の中でヨガをする体験や、温泉や岩盤浴など、参加者が健康的になった感覚が得られる体験です。

心理的観点とは、スマートフォンやパソコンなどから距離を置いたり、静かに自然のなかで瞑想する時間を得たりする体験を指します。

その他、その土地の文化として伝わっている伝統的な健康食品などを取り入れることも、アドベンチャートラベルの健康要素に含まれます。

05ローインパクト要素

ローインパクトとは、負の影響(悪影響)を意味します。アドベンチャートラベルではアクティビティを通して、自然や文化に対する負の影響を残さないような配慮が必要です。

例えば、トレッキングの場合、その山に年間何人の人が入山するのかを理解し、野生動物や植生にどのような変化・影響があるのかに注意を払います。ツアーガイドに環境保全の取り組みを紹介してもらい、旅行客にも自然や文化を守る意識をもってもらうことが大切です。

また文化に関するアクティビティでも、ローインパクトの要素は必要です。伝統民族がいる場合には、これらの文化を保護するために観光としてどのように関われるか、どのような配慮ができるかなど、ツアーを組み立てる際に配慮が求められます。

アドベンチャートラベルの事例

近年では日本各地でアドベンチャートラベルが実施されています。以下ではその事例について紹介します。

事例01広島県広島市

平和都市として認知度の高い広島で、「平和×アクティビティ」をコンセプトに、日本在住の外国人を招いてモニターツアーが実施されました。

例えば、広島市中心部から50分の立地にあり、美しい自然と清流が多く残されている湯来町は、アドベンチャートラベルの構築に力を入れており、近年では体験型コンテンツの開発も進んでいます。

また、平和や歴史にフォーカスをあて、コンセプトやストーリーを重視することで、観光客の自己変革を促す取り組みも行っています。

地域住民との交流会や、カヤックを使った宮島への移動、古民家への宿泊などコンテンツを磨き上げて、外国人観光客の興味を引く内容を提供しています。

■詳しくはこちら

広島でしかできないアドベンチャーツーリズムで目指す!通過型観光地からの脱却!

事例02北海道・東川町(大雪山国立公園)

北海道の東川町は手つかずの自然が多く残る地域で、その中の大雪山国立公園でアドベンチャートラベルの取り組みが進んでいます。

NPO法人大雪山自然学校では、地域の行政・団体・ガイドの方々と連携して、アドベンチャートラベルに取り組む上で欠かせない自然保護と観光地づくりを進めています。

例えば大雪山自然学校は、公園へ訪れる人々の満足度を下げずに自然環境も守っていくために、利用者に守るべきことをエンターテイメントにして伝えています。その取り組みで、利用者が自主的に環境に配慮した行動が取れる仕組みづくりを整えています。

■詳しくはこちら

Tourism1.5 ~ツーリズムフォワード~(Vol.3) 「アドベンチャーツーリズム」


まとめ

自然の中でアクティビティや異文化体験などを行い、地域の人々と触れ合いながら行う旅行形態のアドベンチャートラベル。地域に高い経済効果が期待できるため、取り組みを進める自治体が増えてきています。また、コロナ禍で延期となっていた「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット(ATWS)」の北海道開催が決定し、一層注目を集めています。

体験価値の提供に重要となるポイントは、「ユニークな体験」「挑戦」「自己変革」「健康」「ローインパクト」の5つの要素です。今回は、広島県と北海道の事例を紹介させていただきましたが、他の地域の取り組みを参考にしながら、地域でしかできない、地域ならではのアドベンチャートラベルに取り組んでみてはいかがでしょうか。

最後に、ホワイトペーパー(お役立ち資料)を2つご紹介します。1つ目の「Tourism1.5 ~ツーリズムフォワード~(Vol.3)」では、ハワイと北海道・阿寒湖のアドベンチャートラベルの取り組み事例をご紹介しています。2つ目の「地域に外国人を呼び込む!インバウンド向け施策」では、略立案から受入環境整備、販売まで、実際にJTBが自治体様に提供したインバウンド支援の事例を紹介しています。ぜひ、ご覧ください。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)Tourism1.5 ~ツーリズムフォワード~(Vol.3)「アドベンチャーツーリズム」

アフターコロナの旅行のあり方として、少人数でより付加価値の高い体験を提供できる旅行である「アドベンチャーツーリズム」へのニーズが高まっています。世界的に注目を集め、日本でも取り組みが進む今、アドベンチャーツーリズムを推進していきたいとお考えの自治体様も多いのではないでしょうか。
これからの観光への提言として、自治体のみなさまのお役に立つ情報をマガジン形式で発信している「Tourism1.5 ~ツーリズムフォワード~」。

本号では、「アドベンチャーツーリズム」をテーマに、アドベンチャーツーリズム市場の動向や日本におけるアドベンチャーツーリズムの可能性、アドベンチャーツーリズム商品の流通における課題についての有識者の見解をお示しするとともに、ケーススタディとしてスイスと北海道・東川町の取り組み事例をご紹介しています。自治体のみなさまの取り組みの参考としていただければ幸いです。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)地域に外国人を呼び込む!インバウンド向け施策

政府が「インバウンド消費5兆円」の達成を掲げ、本格的なインバウンド回復に向けて動き出す今、全国各地で地域経済活性化の切り札として、インバウンド誘致の機運が高まっています。JTBでは、多数のインバウンド事業、地域活性化に関する独自のノウハウ、ネットワークを活かし、専門性を持った外部パートナーと連携しながら、訪日事業のプロセスを総合的に支援します。

本資料では、戦略立案から受入環境整備、販売まで、過去実際にJTBが自治体様に提供したインバウンド支援の事例をご紹介しています。インバウンド誘致に向け、積極的に取り組む自治体のみなさまの参考になれば幸いです。ぜひ、ご覧ください。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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