企業・団体向け
学校・教育機関向け
企業・団体向け
学校・教育機関向け

自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 企業版ふるさと納税で財源確保&地域課題解決!成功への戦略と活用事例

2026.01.08
地域産業支援
ポイント活用、マッチング
戦略策定

限られた予算の中で、加速する人口減少、高齢化、産業衰退といった地域課題の解決に頭を悩ませていませんか?「企業版ふるさと納税」は、単なる寄附制度ではありません。企業が最大約9割の税控除を受けながら地域貢献できるこの仕組みは、自治体にとって、新たな財源を確保し、停滞しがちな事業の推進力となる有効な手段となり得ます。

インフラ整備から教育環境の改善、産業振興まで、幅広い分野で地域の未来を切り拓く可能性を秘めたこの制度を、いかに戦略的に活用し、企業との「共創」による持続可能な地域づくりを実現するか。本記事では、その具体的な手法と成功へのヒントを詳しく解説します。

記事の最後には、企業版ふるさと納税マッチング支援 地域×企業の共創~企業版ふるさと納税を活用し地方創生を推進する~を紹介します。ぜひダウンロードいただき、取り組みの参考にしてください。

目次が表示されます。(編集禁止)

企業版ふるさと納税の概要

企業が地域社会の発展に貢献しながら、税制上のメリットも享受できる画期的な制度、それが「企業版ふるさと納税」です。地域課題の解決と企業の成長を両立させる、新たな社会貢献の形として注目を集めています。この制度が企業にもたらす具体的な価値と活用方法について、詳しく見ていきましょう。

ふるさと納税とは?

「ふるさと納税」とは、個人や企業が希望する地方自治体へ寄附を行うことで、税制上の優遇を受けられる制度です。この制度は、地域活性化を目的としており、自治体にとっては、全国の個人や企業から寄付を募り、地域課題解決のための貴重な財源を確保する機会となります。特に、個人版ふるさと納税では返礼品を通じて地域の魅力を全国に発信し、交流人口の増加にも繋がる可能性があります。一方、企業版ふるさと納税において返礼品は禁止されていますが、企業が自社のCSR戦略に合致するプロジェクトに寄附を行うことで、地域との連携を深めることができます。自治体は、寄附を呼び込むために、魅力的なプロジェクトを企画し、効果的に情報発信していくことが大切です。

企業版ふるさと納税とは?

「企業版ふるさと納税」は、自治体が認定した地域再生計画に基づく事業に対し、企業が寄附を行うことで、その企業が最大約9割の税額控除を受けられる制度です。これは、自治体が地域課題解決のための事業を推進する上で、企業からの新たな財源を確保し、事業の加速化を図るための強力なツールとなります。地域のインフラ整備、教育・子育て支援、環境保全、産業振興など、自治体が抱える多様な課題に対応するプロジェクトを企画し、企業に参画を促すことで、企業との連携を強化し、地域社会全体の発展を支援する「共創」の機会を創出できます。企業が社会貢献と税制メリットを両立できるこの制度を、自治体の戦略的な地域づくりに活用できます。

企業版ふるさと納税の目的と自治体の役割

自治体にとって「企業版ふるさと納税」は、単なる資金調達の手段に留まらず、地域課題解決に向けた戦略的なツールです。この制度を活用する目的は、大きく以下の3点に集約されます。

01 新たな財源の確保と事業推進の加速

限られた行政予算だけでは実現が困難な、地域の重要課題解決に向けたプロジェクトに対し、企業からの寄附という形で新たな資金を呼び込むことができます。これにより、教育・子育て支援、地域インフラの整備、環境保全、新たな産業の創出など、多岐にわたる事業の具体化や推進を加速させることができます。

02 企業との連携強化と「共創」関係の構築

企業は税制優遇を受けながら社会貢献を果たし、ブランドイメージ向上にも繋がるため、自治体はこれを企業誘致の強力なフックとして活用できます。企業が持つ資金力だけでなく、専門的な知見や技術、人材といったリソースを地域課題解決に活用するきっかけとなり、単なる寄附に留まらない、長期的なパートナーシップや「共創」の関係を築くことを目指します。

03 持続可能な地域社会の実現

企業からの支援を得て、地域経済の活性化や住民サービスの向上を図ることで、地域全体の魅力を高め、将来にわたって住み続けたいと思える持続可能な地域社会の実現を目指します。

自治体は、企業の寄附意欲を引き出すため、地域のニーズに深く根ざした、明確で魅力的なプロジェクトを企画し、その使途を透明性高く提示することが求められます。これにより、企業は自社のCSR戦略と合致するプロジェクトを選定しやすくなり、より効果的な連携が期待できます。

企業版ふるさと納税の経緯と進化

地域と企業が手を取り合い、新たな価値を創造する「企業版ふるさと納税」。この制度は、どのように生まれ、今日に至るまでどのような変遷をたどってきたのでしょうか。その歴史的背景と、現代における重要性を理解することで、制度の真価が見えてきます。ここでは、企業版ふるさと納税が歩んできた道のりと、その利用状況の推移について詳しく見ていきましょう。

企業版ふるさと納税の誕生とその背景

企業版ふるさと納税は、個人のふるさと納税制度を企業向けに拡充する形で、2016年に導入されました。この制度が生まれた背景には、地方の人口減少や高齢化といった深刻な課題に対し、企業の力を借りて地域活性化を図りたいという国の強い意図がありました。当初は認知度も低く、参加企業は限定的でしたが、地域課題解決への貢献と企業のCSR活動を結びつける新たな仕組みとして、徐々にその存在感を高めていきました。企業が自治体の特定のプロジェクトに寄付することで、税制優遇を受けながら地域に貢献できるという、双方にとってメリットのある制度として注目を集めています。

制度の進化と利用状況の推移

導入当初は緩やかなスタートだった企業版ふるさと納税ですが、制度の認知度向上と自治体による積極的なプロジェクト提案により、利用は年々拡大しています。特に、税制優遇措置の拡充や、企業が取り組みやすい多様なプロジェクトが生まれることで、多くの企業が社会貢献と事業戦略を両立させる手段として活用するようになりました。

具体的な寄附実績を見ると、2019年度には寄附総額が初めて300億円を超え、その後も右肩上がりの成長を続けています。これは、地域が抱える課題解決に企業が積極的に関与する動きが加速していることを示しており、地域経済の活性化や持続可能な社会の実現に向けた重要な役割を担っています。今後も、企業と地域の連携を深めるツールとして、さらなる発展が期待されています。

企業版ふるさと納税の仕組み

地域社会への貢献を目指す企業と、新たな財源を求める自治体の両者のニーズを結びつけ、双方にメリットをもたらすのが「企業版ふるさと納税」です。この制度は、企業が地方自治体と連携し、地域の課題解決を支援するための強力なツールであり、自治体が事業を推進する上で不可欠な資金を確保するメカニズムです。では、具体的にどのような仕組みで機能し、自治体が寄附を呼び込む上でどのようなポイントを押さえるべきか、詳しく見ていきましょう。

企業版ふるさと納税の税額控除シミュレーション:企業への情報提供と支援

企業が企業版ふるさと納税を検討する際、最も関心を持つのが「実際にどれくらいの税負担が軽減されるのか」という点です。そのため、税額控除のシミュレーションは、企業が寄附を決定する上で重要な判断材料となります。

自治体は、企業が安心して寄附を検討できるよう、このシミュレーションに関する情報提供や、必要に応じてサポートを行うことが求められます。例えば、自治体のウェブサイトで簡易的なシミュレーションツールを提供したり、具体的な事例を提示したりすることで、企業は自社の税額や寄附後の推定税額を把握しやすくなります。企業が寄附の最適化を図り、地域社会への貢献と企業利益の両立を実現できるよう、自治体は積極的に情報提供を行い、寄附へのハードルを下げる役割を担うべきです。

関連法令について:自治体の適切な制度運用

企業版ふるさと納税は、「地方税法」および「地方税法施行令」を主な法的基盤とする制度です。これらの法令により、企業が自治体の特定の地方創生プロジェクトに寄附を行う際、法人住民税や法人事業税などの減税措置が適用されます。

自治体は、この制度を適切かつ効果的に運用するために、関連法令を正確に理解し、遵守することが不可欠です。具体的には、寄附を募るプロジェクトが地方創生の要件を確実に満たしているかを確認し、企業からの寄附を受け入れるための必要な手続きを滞りなく行う必要があります。また、企業に対しては、制度の透明性を確保し、寄附の使途を明確に説明することで、信頼関係を構築することが大切です。法令に基づいた適切な運用は、企業からの寄附を呼び込み、制度の効果を最大限に引き出すための自治体の責務と言えるでしょう。

企業版ふるさと納税のプロセス

企業が地域社会に貢献し、自治体がその支援を最大限に活かすまでの道のりは、計画的で戦略的なプロセスを経て実現されます。企業版ふるさと納税は、単なる金銭の受け渡しに留まらず、自治体と企業が共に地域課題解決に取り組むための重要な枠組みです。

ここでは、企業からの寄附誘致からプロジェクトの実行、そしてその後の企業への成果報告まで、自治体が主導すべき一連のステップを分かりやすく解説します。

企業からの寄附を呼び込むためのステップ

自治体が企業版ふるさと納税を活用し、企業からの寄附を成功させるためには、以下のステップを戦略的に進める必要があります。

01 魅力的なプロジェクトの企画と情報発信

まず、自治体の地域課題を解決し、企業の社会貢献方針やCSR戦略に合致するような、具体的で魅力的なプロジェクトを企画することが大切です。国の認定要件を満たし、かつ企業の共感を呼ぶようなストーリー性のあるプロジェクトを立案し、ウェブサイトや広報資料を通じて積極的に情報発信を行いましょう。

02 企業との積極的な対話とニーズの把握

寄附に関心を持つ企業に対し、自治体から積極的にアプローチし、企業の事業内容や社会貢献への意向を深く理解することが不可欠です。企業のビジョンと貴自治体のプロジェクトがどのように連携できるかを具体的に提案し、寄附金の使途、期待される成果、報告体制などについて密に協議を行います。

03 円滑な寄附手続きと合意形成

企業との協議を通じて、寄附内容や条件が固まったら、自治体は企業がスムーズに寄附手続きを進められるようサポートします。合意した内容に基づき、正式な寄付手続きを案内し、企業が安心して寄附を行える環境を整えましょう。

これらのステップを丁寧に踏むことで、自治体は企業との信頼関係を構築し、より効果的な地域課題解決へとつながる寄附を実現することができます。

企業へのフィードバック

企業版ふるさと納税を通じて地域貢献を行った企業にとって、自治体からのフィードバックは、その貢献を実感し、継続的な支援を検討する上で極めて大切です。自治体は、以下の点を踏まえ、積極的かつ具体的なフィードバックを心がけましょう。

01 プロジェクトの進捗と成果の可視化

寄附を受けたプロジェクトの進捗状況や、具体的な成果について、定期的に企業に報告しましょう。例えば、「〇〇企業の寄附により、地域の子どもたちが〇〇の教育プログラムに参加できました」「〇〇企業の支援で、地域のインフラが改善され、住民の利便性が向上しました」といった具体的な事例を、写真やデータを用いて分かりやすく伝えることが効果的です。

02 企業への感謝と貢献の明確化

企業が自治体の地域にどのような影響を与えているかを具体的に示すことで、企業は自社の活動が社会に与えるポジティブな影響を確認できます。企業名やロゴを掲載した報告書、感謝状の贈呈、ウェブサイトでの紹介などを通じて、企業の貢献を明確に称え、感謝の意を伝えましょう。

03 継続的な対話と連携の促進

フィードバックの機会を通じて、企業との対話を深め、自治体の新たな課題や今後の展望を共有することも大切です。企業からの意見や提案を受け入れ、今後のプロジェクト企画に活かすことで、企業との長期的なパートナーシップを構築し、持続可能な地域づくりへとつなげることができます。

自治体からの丁寧なフィードバックは、企業が「この自治体を支援して良かった」と感じ、次の支援へとつながる重要な要素となります。

人材派遣型・企業版ふるさと納税とは?

自治体が抱える複雑な地域課題に対し、金銭的な寄附だけでなく、企業の持つ専門的な「知」や「経験」を直接活用できる画期的な制度をご存知でしょうか。それが「人材派遣型・企業版ふるさと納税」です。このユニークな制度は、企業の専門人材を自治体のプロジェクトに招き入れ、課題解決を加速させるための強力な手段となります。この制度がどのように機能し、自治体の未来にどのような価値をもたらすのか、その全貌を見ていきましょう。

人材派遣型・企業版ふるさと納税の仕組み

人材派遣型・企業版ふるさと納税は、自治体が抱える具体的な課題に対し、企業から特定のスキルやノウハウを持った社員を一定期間派遣してもらい、その解決を支援する仕組みです。企業は、この人的支援を行うことで、通常の金銭寄附と同様に税額控除のメリットを享受できます。これにより、企業は社会貢献と税制優遇を両立させながら、自治体のプロジェクトに直接参画することができます。例えば、自治体のデジタル化推進プロジェクトにIT企業の社員を派遣してもらい、行政サービスのDX化や地域企業のデジタルシフトをサポートする、あるいは観光振興策にマーケティングの専門家を招き、新たな誘客戦略を立案・実行するといった活用が考えられます。この仕組みを成功させるためには、派遣を受け入れる自治体が、派遣前に企業と具体的な業務内容、派遣期間、そして期待される成果を明確に共有することが不可欠です。事前の徹底した調整と連携により、企業と自治体の双方にとって有意義な成果を生み出し、地域課題の解決を大きく前進させることができます。

人材派遣型・企業版ふるさと納税のポイント:自治体が準備すべきこと

人材派遣型・企業版ふるさと納税を自治体で効果的に実施するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。自治体は、派遣元となる企業と連携し、以下の点を明確にすることで、派遣される人材が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることができます。

POINT01明確な目的と期待成果の共有

自治体が派遣された人材に何を期待し、どのような課題を解決してほしいのかを具体的に設定し、企業と合意形成することが最も大切です。これにより、派遣される人材の役割が明確になり、派遣期間中に適切な成果を上げるための基盤が築かれます。

POINT02必要なスキルセットの明確化

自治体のプロジェクトに貢献できる、特定の技術やノウハウを持つ人材を具体的に定義する必要があります。例えば、データ分析、広報戦略、システム開発、地域活性化の企画立案など、求める専門性を明確にすることで、企業は最適な人材を選定しやすくなります。

POINT03派遣期間と人員配置に関する合意

派遣期間(短期・中期・長期)や、派遣される人数、自治体側での受け入れ体制(執務スペース、担当部署、メンターなど)についても、事前に企業と詳細な合意を取り交わしておくことが不可欠です。

これらのポイントを押さえ、企業と自治体が密に連携することで、単なる一時的な支援に終わらず、自治体の職員が新たなノウハウを獲得し、組織全体の能力向上にもつながる、真に有益な結果を生み出すことができます。

企業版ふるさと納税がもたらす多角的なメリット

地域社会への貢献と企業の成長を両立させる「企業版ふるさと納税」。この制度は、単なる寄附に留まらず、関わるすべての人々に豊かな価値をもたらします。ここでは、企業版ふるさと納税が自治体と企業、それぞれにもたらす具体的な恩恵について、詳しく見ていきましょう。

自治体にとってのメリットとは?

企業版ふるさと納税は、自治体にとって多くのメリットをもたらします。まず、地域振興に必要な財源を確保するための有効な手段となります。企業からの寄附を通じて、自治体は地域のインフラ整備や教育、福祉など、様々な分野のプロジェクトを進めることができます。例えば、老朽化した公共施設の改修や新しい観光資源の開発など、寄付金を活用することで地域の活性化を図ることができます。さらに、企業との協力を通じて地域の知名度を向上させ、新たなビジネスチャンスを創出することもできます。企業が地域に関心を持ち、継続的な支援を行うことで、地元企業との連携が生まれ、新たな雇用機会が創出されることも期待できます。実践的なポイントとしては、自治体はプロジェクトの魅力をしっかりと企業に伝え、双方にとっての利点を明確にすることが大切です。地域の特性やニーズに基づいたプロジェクトを提案し、企業とともに地域の未来を共創する姿勢が求められます。

企業にとってのメリットとは?

企業版ふるさと納税は企業にとって多くのメリットをもたらします。まず、税制上の優遇措置が受けられる点が大きな魅力です。具体的には、寄附金額の約9割が法人住民税、法人事業税、法人税から控除されるため、実質的な負担を大幅に減らすことができます。次に、地域貢献を通じて企業のCSRを果たすことができ、企業イメージの向上にもつながります。例えば、地域の教育や環境保全プロジェクトに参加することで、社会的に評価される活動が可能です。また、地域との関係構築が進むことで、新たなビジネスチャンスの発掘にも寄与します。これらのメリットを最大限に活用するためには、企業は自治体と積極的にコミュニケーションを取り、互いに利益を得られるプロジェクトを選定することが大切です。

企業版ふるさと納税の注意点:自治体が知るべき運用上の留意事項

魅力的な税制優遇と地域貢献を両立できる企業版ふるさと納税は、自治体にとって貴重な財源確保の機会です。しかし、その効果を最大限に引き出し、企業との円滑な連携を築くためには、制度の特性と運用上の留意点を深く理解しておく必要があります。ここでは、企業からの寄付を確実に受け入れ、成功に導くための注意点や、事前に押さえておくべき事項について解説します。

企業が税額控除を受けるための条件と自治体の役割

企業が企業版ふるさと納税の税額控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。自治体は、これらの条件を企業に正確に伝え、寄附を検討する企業が安心して手続きを進められるようサポートする役割を担います。

01 プロジェクトの認定

自治体が寄附を募る事業は、国の認定を受けた「地域再生計画」に基づく事業であることが大前提です。自治体は、この認定を確実に取得し、企業に対してその旨を明確に伝える必要があります。

02 特別な利害関係の排除

寄附を行う企業と自治体との間に、本社所在地や主たる事業所が同一であるなど、特別な利害関係がないことが条件となります。自治体は、この点を企業に事前に確認し、誤解が生じないよう丁寧に説明することが大切です。

03 寄附金額の下限

企業からの寄附金額は、1件あたり年間10万円以上であることが制度上の要件です。自治体は、この金額を下回る寄付は対象とならないことを企業に明確に伝えましょう。

これらの条件を自治体が正確に理解し、企業に適切に案内することで、企業は税額控除を最大限に活用でき、自治体への寄附意欲を高めることにつながります。

企業版ふるさと納税では返礼品がないことの明確化

企業版ふるさと納税は、個人版ふるさと納税とは異なり、企業への返礼品提供は一切禁止されています。この点は、自治体が企業に明確に伝えるべき最も重要なルールのひとつです。

この制度は、企業が税制上のメリットを享受しつつ、純粋に地域活性化への貢献を目的として寄附を行うものです。返礼品がない代わりに、企業は寄付額の最大約9割という大きな税制優遇を受けられることを強調し、企業のCSR活動としての意義や、地域貢献によるブランドイメージ向上といった「無形の価値」を伝えることが大切です。自治体は、返礼品に代わる企業のメリット(感謝状贈呈、広報協力、成果報告など)を具体的に提示し、企業の理解と納得を得るよう努めましょう。

企業版ふるさと納税の運用における自治体の留意点

企業版ふるさと納税は、自治体にとって大きなメリットをもたらす一方で、運用上のいくつかの留意点が存在します。これらを事前に理解し、適切な対応策を講じることで、企業からの寄附を円滑に受け入れ、効果的に活用することができます。

01 プロジェクト選定と情報提供の透明性

企業にとって、寄附先のプロジェクト選定は時間と労力を要するプロセスです。自治体は、地域のニーズを的確に捉えた魅力的なプロジェクトを具体的に企画し、その内容、目標、期待される効果、予算規模などを透明性高く情報公開することで、企業の選定プロセスを支援すべきです。

02 企業負担への配慮と説明

寄附額の約9割が控除されるとはいえ、残りの約1割は企業の直接負担となります。自治体は、この税制メリットを正確に説明し、企業が資金計画を立てやすいよう情報提供を行うことで、企業の負担感を軽減し、寄附へのハードルを下げるよう努めましょう。

03 継続的な報告と成果の可視化

企業は、寄附が地域にどのような具体的な貢献をもたらしたかを知ることを強く望んでいます。自治体は、寄附金の使途、プロジェクトの進捗状況、達成された成果について、定期的かつ透明性のある報告を企業に行う義務があります。これにより、企業のCSR活動としての効果を最大限に引き出し、次なる寄附へと繋がる信頼関係を構築することができます。

これらの留意点を踏まえ、自治体が積極的に企業とのコミュニケーションを図り、制度を適切に運用することで、企業版ふるさと納税を地域課題解決のための強力なエンジンとして最大限に活用できるでしょう。

企業版ふるさと納税の成功事例

企業版ふるさと納税は、単なる資金調達の手段ではありません。自治体が抱える地域課題に対し、企業の持つ専門知識や技術、資金力が結びつくことで、想像を超える相乗効果を生み出し、地域に新たな価値を創造する強力なツールです。ここでは、実際にどのような地域で、どのような企業と自治体が連携し、どのような成果を上げているのか。具体的な成功事例を通して、自治体がこの制度をいかに活用し、地域を活性化できるか、その可能性を探ります。

交通課題解決と企業との「共創」で住民の暮らしを豊かに

自治体が抱える交通インフラの不足や公共交通機関の不便さは、住民の生活の質を低下させ、地域経済の停滞を招く深刻な課題です。企業版ふるさと納税を活用することで、自治体はこれらの交通課題解決に向けた具体的なプロジェクトを立ち上げ、企業からの資金提供や技術支援を得て、住民の暮らしを大きく改善することができます。例えば、ある企業からの寄附により、自治体内の公共交通の運行本数を増やす、デマンド交通システムを導入する、あるいは地域住民の移動を支援する新たな交通サービスを立ち上げるといったプロジェクトが実現可能です。これにより、高齢者の通院支援や学生の通学利便性向上、観光客の誘致促進など、多岐にわたる効果が期待され、地域全体の活性化につながります。自治体にとって重要なのは、地域の交通課題を明確に提示し、企業に対してその解決策と期待される効果を具体的に伝えることです。プロジェクトの進捗や成果を明確に企業や住民に公開することで、企業の貢献意欲を高め、自治体への信頼を一層強固なものにすることができるでしょう。

自治体の「地域資源」と企業の「力」が出会い、新たな価値を創造する

自治体には、独自の文化、豊かな自然環境、魅力的な特産品といった、かけがえのない地域資源が眠っています。しかし、これらの資源を最大限に活かしきれていないのが現状ではないでしょうか。企業版ふるさと納税は、自治体のこうした地域資源と、企業の持つ技術力、資本、ノウハウが出会うことで、地域の活性化と企業の成長を同時に実現する「共創」の機会を提供します。例えば、自治体の特産品を活用した新商品開発プロジェクトに食品メーカーや流通企業が参画し、新たな販路開拓やブランド力向上に貢献する。あるいは、豊かな自然環境を活かした体験型観光事業に旅行会社やIT企業が連携し、最先端の技術を用いた観光コンテンツ開発やプロモーションを展開するといったことが考えられます。自治体は、まず自地域の地域資源の価値を再認識し、それを活かしたどのような未来を描きたいのか、明確なビジョンを持つことが大切です。そして、そのビジョンに共感し、具体的な「力」を提供してくれる企業との出会いを積極的に創出しましょう。企業版ふるさと納税を通じて、自治体と企業が互いの強みを最大限に活かし、持続可能な地域づくりに向けた新たなビジネスモデルやサービスを生み出すことが期待されます。

まとめ

自治体にとって、企業版ふるさと納税は、地域社会と企業が強固なパートナーシップを築き、地域課題解決を加速させるための極めて有効な戦略です。この制度を通じて、自治体は企業のCSR活動を地域活性化に結びつけ、社会的価値を共創することができます。地域のインフラ整備、教育支援、環境保護といった多岐にわたるプロジェクトを推進し、企業の寄附による直接的な貢献を呼び込むことができます。成功の鍵は、自治体が企業のビジョンを深く理解し、地域の明確なニーズと合致する魅力的なプロジェクトを提示し、企業との継続的な連携を深めることにあります。この戦略的な取り組みこそが、企業と自治体の双方に長期的な利益をもたらし、持続可能な地域社会の実現につながるでしょう。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

関連サービス・ソリューション

JTBでは、様々なソリューションを組み合わせることで、それぞれのお客さまにあった課題解決⽅法をご提案いたします。

#Think Trunk

WEBマガジン「#Think Trunk」とは

人と人、人と組織、人と社会とのコミュニケーションのヒントをお届けする
WEBマガジンです。

人間・組織の悩みは、コミュニケーション・関係性の場づくりで解決できる。
〜JTBは、新しい形の交流のあり方を創造し、社会に貢献していきたいと考えています〜

JTB法人事業のお客様へお役立ち情報や課題解決のきっかけとなる知見、経験、アイデアを紹介するWebマガジンです。また産・官・学の皆さまとの接点があるJTBならではの垣根を越えた共創のヒントをお届けしたいと考えています。