地域を活性化させるには地域資源を活かしたまちづくりが大切です。
この記事では、まちづくりや地域資源についての概要、事例などを解説します。ぜひご覧ください。
地域資源を活用したまちづくりはなぜ必要?
地域資源を活用したまちづくりの必要性について、日本全体の人口減少、そして人口集中の2つの点から解説します。
日本全体の人口減少
内閣府によると、日本の総人口は2006年の1億2,774万人をピークとして、それ以降は死亡数が出生数を上回り人口減少が進んでいます。15歳~64歳の生産年齢人口については2000年時点で8,622万人となっており、総人口に占める割合は68.1%でした。
しかし、2050年の生産年齢人口は5,389万人、総人口に占める割合は53.6%にまで低下することが予想されています。経済縮小や世界における競争力の低下、社会保障や財政の破綻、地域社会の過疎などは日本の社会課題となっています。
人口の東京圏集中
地域の人口や労働力が流出する一方、東京圏は人口集中によって過密が進んでいます。地方は高齢化によって社会保障費の増加が見込まれ、人口減少による税収減で財政が厳しい状態です。多くの自治体が消滅可能性都市に該当していて、地域の存続が危ぶまれています。
解決策は地域資源活用
たとえば、政府は都市部から地方への移住を促すため、地域資源を活用する地方創生に取り組んでいます。地域の活性化は行政が主導となって行う場合も少なくありませんが、地域住民が力を合わせて行うことで当事者意識が生まれ、有意義で効果的なものとなります。
地域資源を活かしたまちづくりの事例
今ある地域資源や個性を活かし、その地域や場所に行かないと体験できないようなまちづくりを行うことが大切です。ここでは、全国で実際に行っているまちづくりの事例のなかから2つご紹介します。
01 広島県アドベンチャーツーリズム
広島市中心部は平和都市として世界的に認知度が高く、欧米豪からも観光客が多く訪れています。広島市中心部は観光客の来訪自体は多いものの、中心部から1時間程度の近隣エリアへの来訪が伸びない通過型観光地であることが課題でした。
そこで広島県では、滞在型観光地へのシフトを目的に、平和都市ならではの「平和×アクティビティ」をテーマとしたアドベンチャーツーリズムを考案し、在日外国人を招聘したモニターツアーが実施されました。
アドベンチャーツーリズムとは「アクティビティ」「自然」「文化」といった3要素のうち、2つ以上の要素で構成される旅行形態です。旅行者が地域の方々と地域独自の自然や文化を体験することで、旅行者自身の自己変革・成長、地域経済への貢献を促すことを目的としています。
専門家、有識者からの意見をもとに、コンセプトやストーリー性を重視した高付加価値のアクティビティの体験や、体験のためには長期滞在が必要であることなどから、通常の旅行と比べて約2倍の消費が期待されています。
詳細はこちらからご覧ください。
02 山梨県観光MaaS
山梨県は首都圏からのアクセスも良好で、景勝地やワイナリーなどの魅力的な観光スポットがたくさんあります。しかし、それぞれの観光スポットは距離が離れていることが難点でした。合わせて観光客の7割はマイカーで訪れることから、移動の際に交通渋滞の原因になっていること、ワインの名産地であるにもかかわらず、観光客がワインを楽しめないことも課題となっていました。
そこで、交通・観光事業者と連携して「やまなし観光MaaS」を実施し、観光周遊性の向上や交通渋滞緩和などにつなげる取り組みを開始しました。
MaaSとはMobility as a Serviceの略で、複数の公共交通や移動サービスを一括で検索、予約、決済可能にし、最適に組み合わせられるサービスのことをいいます。
複数の交通手段、観光施設をスマートフォンで検索、予約できるシステムによって、観光地の課題の解決・観光客の満足度アップ・地域経済の活性化が見込めます。
詳細はこちらからご覧ください。
地域資源活用によるまちづくりのポイント
以上の事例をご覧いただいた通り、地域資源を活かしたまちづくりは、国や行政、企業だけではなく、地域住民との継続的な連携が不可欠です。ここでは、まちづくりを成功させるためのポイントを2つ紹介します。
POINT01地域住民を巻き込む
まちづくりは行政や企業が主導して進めることも多いですが、取り組む際には少人数で閉鎖的に行わず、多くの人を広く巻き込むことがおすすめです。関わる人が増えればそれだけ、思わぬアイデアが浮かび、力強いサポートを得られる可能性が高まります。
特に、地域に古くから住んでいる地域住民や、地域で比較的権力を持つ人物の理解を得ることが大切です。多くの人の賛同が得られれば、広範囲にまでまちづくりの影響が届けられます。
POINT02サステナブルな仕組みにする
まちづくりでは持続的な取り組みをすることが何より大切です。現在ではトレンドの流行り廃りが目まぐるしく、話題性の強い事業によって一時的に注目を集められても、維持できなければ本当の地域活性化は難しくなります。
大きく短期的な取り組みを1つ行うよりも、長期にわたって継続的な取り組みを積み上げることが、まちづくりにおいては重要です。観光客や移住者の獲得、雇用の創出を維持可能な、サステナブルな仕組みを作り上げることが必要だと言えます。
まとめ
人口減少や一極集中による社会問題は多岐に渡ります。地方と東京圏との格差を是正するためには、地域資源を活用したまちづくりが必要です。成功するまちづくりのためには地域交流の活性化が欠かせません。
JTBではさまざまな人流、商流、情報流を生み出し、交流を創造することによって地方創生に貢献する「地域交流事業」を推進してきました。各地域の皆さまと取り組んだ事例の一部は、7つのカテゴリーに分けて取り組みのポイントとともに紹介しています。詳しい事例を知りたい方は下記の記事をぜひご覧ください。