学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 地域・SDGs×探究活動の成果を“180秒動画”で高校生たちが魅せる! 「観光甲子園2020」【コンテストレポート】

2021.03.05
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新しい学習指導要領で「社会に開かれた教育課程」が掲げられたことを受け、学校現場でも地域と連携し、地域を題材にした学びが取り入れられるようになってきました。子どもたちが地域を題材にした探究活動を進める際に、中高生にも馴染みが深く、取り組みやすいテーマの一つが「観光」です。地域の観光資源を自分たちで掘り起こしその魅力を外部にPRする、または、持続可能な社会の実現に向けて地域の課題をツーリズムの力で解決する、といった活動が各地で進んでいます。

今回は、全国の高校生が地域、観光、SDGs等をテーマに日頃の探究成果を競う動画コンテスト「観光甲子園2020」の決勝大会の様子をレポートします!

地域PR・SDGs思考×探究活動の成果を動画で!

「観光甲子園」は、高校生が観光に関する魅力や課題を180秒の動画(観光動画)で紹介するコンテストイベントです。観光動画の出来栄えだけでなく、制作過程におけるSDGs思考の深まりや探究プロセスも審査対象になるのが特徴です。今回の2020年度大会は、全国から220校726チームと、前年の2倍を超えるチームエントリーで幕を開けました。その後、新型コロナウイルスの影響で活動が制限された学校等もありましたが、最終的に552チームが出場して予選が行われました。

予選出場校一覧はこちら

部門は、世界中のツーリストに日本(地元)の魅力を伝える「訪日観光部門」、米国ハワイ州を取材して観光のあるべき姿を構想する「ハワイ部門」、日本の文化財や伝統文化の活性化を考える「日本遺産部門」の3つ。SDGs思考やグローカルな視点を養いながら探究活動を進めることを目的に、今大会からは動画に加えて”持続可能な社会と旅の設計図”「未来RECIPE」の提出も求められました。

決勝大会は14チームの白熱戦

2021年2月7日に行われた決勝大会はオンライン中継配信され、予選を勝ち抜いた14チームがそれぞれ自己紹介に続いて5分のPR動画と、180秒の観光動画をプレゼンテーションしました。

5分のPR動画では、それぞれのチームがSDGsの視点から、探究活動の過程でどのような社会課題に着目したかを紹介しました。

課題の一例

  • ゴミ問題から「地元の海をいかにして守るか」
  • 循環型農業とパートナーシップ(SDGs12・17)
  • 地元産業と住み続けられるまちづくり(SDGs11)
  • オーバーツーリズムが地元地域にもたらす影響
  • ハワイに漂着する大量の海洋ゴミ問題
  • 若年層における環境問題の認知不足

14チームのプレゼンテーション後、審査員による最終審査を経て、3つの部門ごとにグランプリ、準グランプリそれぞれ1チームが発表されました。

決勝大会の結果、プレゼンテーションの様子、各チームの180秒動画作品は「観光甲子園」公式webサイトからご覧いただけます。

グランプリチームへのインタビュー

決勝大会を終えて、ハワイ部門のグランプリを受賞した本郷高等学校(東京都)・チームTigiUの二人(2年生・社会部所属:田中青空さん/瀬尾俊一朗さん)と、社会部顧問の松尾弥生先生に、この活動を通じてどんな学びがあったか等について伺いました。

写真左/瀬尾俊一朗さん 右/田中青空さん

―この活動の進め方は?

瀬尾
田中は企画を立て、プランを練るのが得意。私はそれらがあまり得意ではないので、リサーチを担当し、収集した情報を検討しながら田中に投げかけ、彼がそれを加えて練った内容をまた二人で吟味して…という流れで進めていました。

田中
課題設定は私が担当しましたが、常に瀬尾に確認しながら、最終的な決定は二人で行いました。なお、動画のシナリオは私が作成しましたが、動画編集の技術やセンスは瀬尾が上手なので、任せました!

―この活動で大変だったのは?

田中
課題設定をするための、リサーチの段階が最も大変でした。ゼロからイチを生み出す作業において、どんなテーマを選ぼうか、どんな情報を付け加えようかという段階で、とても悩みました。

―この活動を通して学んだことは?

田中
世の中には様々な政策やプランがあり、その始点には入念なリサーチがあるということ。またSDGsがテーマだったおかげで、社会の様々なことが交わり合って、1つの政策・プランが成立していることも学びました。社会課題を解決する施策の、”原型の構築”のようなものを学んだと思います。

瀬尾
私は、田中がつくってきたプランに対してこれまでにないくらい自分からアイデアを出すことができました。そのように、”自分から生み出す力”のようなものが身についたのではないかと感じます。

学校での活動が新型コロナウイルス禍で制限されていたため、打ち合わせにビデオチャットなどを活用していたそうです(写真右/社会部顧問 松尾弥生先生)

―この学びを進路などにどう活かしていきたいですか?

田中
「観光甲子園」を通じて社会の様々な事象や問題を学び、当事者意識というか、自分が社会を変えなくちゃいけない、そうした活動をして変えていかなければ、これからの社会が衰退していくという危機感を強く感じました。今後の進路や、社会に出た時の自分の活動の軸が見えてきたような気がしています。国際的なことに興味がわいているので、そうしたことを大学で学びたいと思います。

瀬尾
私は、科学者になりたいと考えています。「観光甲子園」を通じて、観光地としてのハワイの表層ばかりでなく、環境問題や文化等、深層的なところに目を向けることができました。将来、さらにそうした問題を深く掘り下げ、それらを解決する役目が果たせる人になりたいと思います。

指導担当教諭へのインタビュー

―松尾先生は、「観光甲子園」が二人に何をもたらしたと思われますか?

松尾先生
彼らは観光動画の中に、”同級生や後輩に、学んできたことを伝える事後のステップ(「共有会」)”を取り入れています。リーダーシップタイプの田中さんが、それを発想したということがうれしかったですね。良いリーダーには、良いフォロワー(仲間)が必要で、そうした仲間を増やしていくには”手持ちの情報を他者に受け渡していくこと”が必要。それを自然と考えられるようになったのは、彼の成長。また瀬尾さんにとっては、この活動が”自分は何ができるのか。自分には何が足りないのか”という内省のきっかけになったのではと想像します。リサーチを担当しながら、必要な情報やアイデアを選び、否定を恐れずに相手にそれを受け渡すという作業。それが彼の今後の成長につながるのは間違いありません。

「観光甲子園」統括プロデューサーへのインタビュー

「観光甲子園」の統括プロデューサーを務める江藤誠晃氏にも、田中さんと瀬尾さんのチームについて伺いました。

江藤誠晃氏
「決勝大会に進んだのは全国552チームのうちの14チームで、倍率は40倍近くです。決勝に進んだチームは“探究”の掘り下げがきちんとできていたチームではないかと思います。二人のチームでいえば、松尾先生も話されたように“共有会”という、“人に伝える仕組み”までフォローできていたことがすばらしい。“自分が観察したことを人に伝える・報告する”機会があってこそ、探究は一層深まっていきますよね。

「観光甲子園」統括プロデューサー
江藤誠晃氏(一般社団法人NEXT TOURISM)

まとめ

「観光甲子園2020」のテーマは、地域・SDGs×探究活動。高校生たちが約半年をかけて、地域の問題、自然保護・環境問題などをテーマに探究活動を行いました。インタビューに答えてくれた本郷高等学校の二人の成長は、ほんの一例です。552チームそれぞれの学びがあり、成長がありました。この探究活動がもたらした生徒の変化はどのようなものだったのか――今回、「観光甲子園」の事前・事後の教育効果検証も合わせて行っています。ぜひ探究活動の手法・改善のヒントに、こちらもご活用ください。


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