学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【Global Link Online 2021開催記念】高校時代の課題研究が私を変えた!コンテスト出場経験者が語るその魅力

2021.06.11
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課題発見・解決力育成
グローバルマインド育成
チームワーク・協働力育成
中学・高校向け

昨今、大学では入試で高得点を取れる学生よりも、学ぶ意欲と目標を持ち、自ら課題を見つけて粘り強く学ぶことのできる学生を集めようとする動きが加速しています。高校時代に課題解決的な学びに取り組んできたか、またそこから何を学んだのかを、総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書や活動報告書に記入させる大学も増えてきました。

高校で進路指導や探究指導にあたる先生方は、こうした動きも意識しながら生徒一人ひとりと向き合った指導が求められていると言えます。そんな先生方のために今回は、高校時代に課題研究コンテストに出場した経験を持ち、現在も研究を続ける二人の大学生へのインタビューをもとに、課題研究に取り組むメリット、大学選びや大学受験への影響、先生に期待する役割などについてまとめました。

高校時代『Global Link Singapore』に出場

今回は、高校時代に課題研究に取り組み、『Global Link Singapore』に出場した二人の大学生にお話を聞きました。

『Global Link Singapore』

2014年からシンガポールで毎年開催されているアジア太平洋地域の中高生による国際課題研究コンテスト(2020年はコロナの影響により中止)。参加者は科学や国際課題に関する考えや研究成果を英語でプレゼンし、世界の中高生や研究者と交流を図る。国内連携コンテストからの推薦参加制度もある。

詳しくはこちら

東京大学 理学部 数学科3年佐藤ふたばさん

第11回千葉大学高校生理科研究発表会で千葉県高等学校長協会長賞を受賞しGlobal Link Singapore 2018 ポスターセッションに出場。

テーマ
「Extensions of the Lucas numbers related to bracelet models (ブレスレットモデルを用いたルカ数列の拡張)」

千葉県立船橋高校 理数科出身。趣味は書道。

慶應義塾大学 総合政策学部2年成瀬茉倫さん

第3回高校生国際シンポジウムで最優秀グランプリを受賞し、Global Link Singapore 2018 オーラルセッションに出場。

テーマ
「地域資源の活用による奄美の過疎対策」

鹿児島県立大島北高校 普通科出身。

イベントやFM出演などで奄美の島唄を広める活動を行っている。

コンテスト出場のきっかけをくれた先生のひと言

― 佐藤さんは数学への興味はいつ頃芽生えたのですか?

佐藤さん
中2の時です。ある日理科の先生に物理の質問に行ったら、先生が微積分の説明をしてくれたんです。その時「なんかよく分からないけど面白いなあ」と思ったのがきっかけで、高校は理数科を選びました。高校では物理をやろうと思ったんですけど、数学の証明を書いて先生に見せたとき、楽しそうに「次も見せてね」と言ってくださるので、調子に乗って書いているうちに数学にはまっていきました、笑。

― 成瀬さんはイベントなどで奄美の島唄を歌ってらっしゃいますね。

成瀬さん
はい。日本民謡協会の民謡アンバサダーとして様々な活動をしています。

― 課題研究でコンテストに出場しようと思ったきっかけは何だったのですか?

成瀬さん
私は奄美大島で、地域のお年寄りを尋ねて昔の暮らしや文化を聞いて文字に書き起こす活動をしていました。「とにかく何でもいいからやってみたい」と考えていた高1のあるとき、担任だった社会科の先生が、高校生国際シンポジウムの募集要項と奄美群島の人口減少のグラフを持ってきて言ったんです。「あなたのこれまでの活動や強みを活かして、どうしたら奄美を活性化できるか考えて、大会で発表してみたら?」その先生がいなければ課題研究は始めていなかったと思います。

高校生国際シンポジウムについてはこちら

佐藤さん
私の高校では課題研究はカリキュラムに組み込まれていました。全員が千葉大学高校生理科研究発表会には出場することになっていましたが、それ以外は任意でした。私はこれまでいくつかのコンテストに出場しましたが、やはりはじめは先生に紹介してもらわないと、何もないところから高校生が自分で探してくるのは難しいと感じました。

千葉大学高校生理科研究発表会についてはこちら

成瀬さん
私はコンテストには、高校生国際シンポジウムとGlobal Link Singapore(以下GLS)の2つしか出ていません。小さな島なので国際大会に行くだけでも大騒ぎで、壮行会までやってくれました。私は、そうして注目が集まるという状況をいい意味で自分の課題研究を普及するのに利用しようと考えていたので、島内外の新聞社にお声がけいただき、一高校生としての意見をちょっと偉そうに語ったりしていましたね、笑。

― おふたり対照的ですね。

佐藤さん
文系と理系の違いもありますね。文系の方が理系に比べると課題研究の大会は少ないのではないかと思います。

コンテスト出場を通して得た気づき、仲間、経験

― 国内コンテストと国際コンテストの違いを一番感じたのはどんな点ですか?

佐藤さん
国際コンテストは英語で発表しなくてはいけないので準備が大変でした。プレゼン後の質疑応答に英語で対応できなくて焦りました。そこから、決められた時間内で話すだけでなく、広い範囲で説明できる準備をするようになりました。大学では英語で発表しなければならない授業もあるのですが、そのときにシンガポールで発表した経験が生きていると思います。
成瀬さん
GLSで私は、まちづくりの分野では「地域資源」と呼ばれる、地域の人・もの・文化・景観などを活用して地域を元気にしたいという発表をしたのですが、審査員には今一つ伝わっていないと感じました。発表の後にシンガポールの企業トップの方と交流する時間があったのですが、高層ビル街で「これがシンガポールだ」と言われたときに、地域によって何が地域資源とされているのかが変わってくるので、伝え方に工夫がいると感じました。

― GLSに出場した際、研究発表以外の時間はどう過ごしていましたか?

成瀬さん

私は海外経験がなかったので、GLSのような機会を大事にしたいと思っていました。高校から一人だけの参加だったこともあり、せっかくだと思って目があった子全員に声をかけていたら、たくさん友達ができました。ある大学の受験で書いた英語のエッセイはそこで知り合った女の子に添削してもらったりもしました。GLSを通して世界中の優秀な高校生たちと触れ合えたのが自分の中でも財産になっています。

佐藤さん
私も高校からは一人での参加だったので、色々な人と話をしました。ベトナムやシンガポールからの参加者に数学が好きな女の子がいたのですが、日本の大会だと数学で出場する女の子が少ないので、違う国で同じ分野を研究している子に会って話ができるのはすごく楽しかったです。もちろん違う分野の研究をしている人の発表を聞くことも魅力的でした。実は、東大の数学科45人の中で女子は私一人なんです。なんで日本の女の子にとって数学はハードルが高いんだろう?数学に性別は関係ないはずなのに勉強しづらくしてしまう原因があるのではないかと思って、それも探していきたいと思っています。

課題研究の経験が進路選択と大学受験にもたらした影響

― 課題研究や国際コンテストへの出場経験は、進路選択にどんな影響を及ぼしましたか?

成瀬さん
GLSを通じてまちづくりに興味が湧いたのですが、まちづくりという、学問として存在しない分野に社会学や建築、経営学などを用いて多角的にアプローチしないといけない時に、豊富な授業や研究会がある慶應SFCなら、様々な学問領域を自分で組み合わせて学べると思ってこの進路を選びました。これまで奄美という場所に立っている自分の景色からしかまちづくりができなかった、ということに気づきかせてくれたのがGLSでした。それがあったからこそ、もっと視野を広げてまちづくりを考えていこうという考えに変わっていきました。
佐藤さん

東大の推薦入試では二次の面接審査で頭が真っ白になってしまい、結果は不合格でした。でも、あらためて自分が考えてきたことは何だったのかを探したいと思って、東大の一般入試を受験し合格しました。そのとき最後まで頑張り切れたのはGLSや課題研究があったからだと思います。大学では相転移現象のしくみなど、まだ理論的に解明されていない事柄を、数学の理論を使ってアプローチするための基礎的な勉強を進め、将来は大学院に進みたいと考えています。

― AO入試の準備をしながら一般入試の対策をするのは大変ではなかったですか?

佐藤さん
正直、大変でした!東大は英語の配点が大きいんです。英語ができたからGLSに出られたというのもありますが、GLSに出たから英語を頑張ったというのもありますね。GLSは英語を頑張る良いモチベーションだったと思います。

―成瀬さんはAO入試で慶應大のSFC(湘南藤沢キャンパス)に合格されたのですね。

成瀬さん
はい。AO入試では、これまでの人生で何をしてそこから何を考えて大学で何を学びたいかということが見られるので、高校生国際シンポジウムやGLSでの経験がなければ白紙だったと思いますね、笑。私の場合、オーラル発表部門だったので、ジェスチャーなど人への伝え方をとにかく考えました。その経験は面接試験に生きました。

高校生や先生方に伝えたい課題研究の魅力とメリット

― 課題研究をやっていて良かったことや大変だったことについて教えてください。

成瀬さん
大学に入ったら研究やレポート提出の機会が多くなります。高校生のうちに課題研究をすると、それらに早い段階で触れることができる点がメリットです。逆に大変なところは通常の授業との両立でした。私の場合、課題研究をしているのが学校で私一人だったので、時に孤独を感じることもありましたが、アットホームな学校だったので先生方は親身になって相談に乗ってくれました。
佐藤さん
結果が出ないのにずっと頑張り続けないといけないのが一番つらかったですね。学校でやらない範囲のことも自分で勉強しなくちゃいけないし、自分の時間を沢山使ってやっていかないといけなくて、楽しかったけど大変だと思う時もありました。でも、自主研究のために勉強したことが大学に入ってから役に立つなど、自分が何を勉強するのかという明確な方針が得られてよかったと思います。

― 最後に、高校生や先生方へのメッセージをお願いします。

成瀬さん
課題研究をすると色々な出会いがあって、自分の視野や大学入試の選択肢が広がるのでぜひ多くの高校生にチャレンジしてもらいたいと思います。大変なことは多いですけど、結局そこで頑張ったのが早かれ遅かれメリットにつながるので絶対にチャレンジしてほしいです。そのきっかけを作るのはやっぱり先生だというのは、自分の経験からも強く思っています。高校生にとって先生の力はそのくらい大きいです。先生方にはぜひきっかけづくりをお願いしたいと思います。
佐藤さん
GLSは文系と理系の両方の部門があるのが珍しくて、大会に出ると面白い人に出会えてすごく刺激を受けられます。審査の先生からいただいたアドバイスで研究が前に進められることもあって、大変でも研究を続けていこうと思えるので、高校生の皆さんにもぜひ挑戦してほしいです。ただ、賞にはあまりこだわりすぎずに、自分が楽しい面白いと思うことを大事に頑張っていただけたらと思います。

― ありがとうございました。


まとめ

二人のお話から、課題研究の取り組みを通して高校生が得られるメリットをまとめました。

  1. 学び本来の楽しさを知り、辛い時も最後まで頑張り抜く力がつく
  2. 国際コンテストで世界の同世代から刺激を受けられ、視野が広がる
  3. 大学で何を学びたいかが明確になり、それに基づいた大学選びができる
  4. 大学入試に役に立つ知識、能力、自信、経験を得られ、入試の選択肢が広がる
  5. 大学の学びのスタイルを先取りすることで、大学の授業や研究に役立つ

高校生がこうしたメリットを得られるようにするためには、生徒一人ひとりに寄り添った先生方の丁寧な指導が欠かせません。学外コンテストへの積極的な参加を促すことも大切ですが、その際 将来の進路に結びつくような研究テーマを生徒が自分で立てられるよう支援することが大きなポイントです。「自分の興味関心がどんな社会課題と関連するのか」、「それをどのような学術分野から研究するのか」を考えるヒントを提供してみるのも効果的ではないでしょうか。


セミナー情報

第2回 JTB次世代教育フォーラム 2021 学習者視点でみる課題研究とグローバルコンテスト
~バックキャスティングで考える課題研究の可能性~

開催日時
6月19日(土)17:00~18:30(90分) ライブ配信
内容
第1部 課題研究が学習者にもたらす効果
岡本 尚也 氏(一般社団法人 Glocal Academy 代表理事)
木村 健太 氏(広尾学園中学校高等学校)

第2部 先輩に訊く『実体験からひも解く課題研究の取組みとその未来』
佐藤 ふたば さん(東京大学 理学部 数学科3年)
成瀬 茉倫 さん(慶應義塾大学 総合政策学部2年)
参加費用
無料
定員
300名
申込締切
2021年6月17日(木)18:00

イベント情報

Global Link Online 2021

開催日時
2021年8月28日(土)、29日(日) オンライン開催
分野
Science(科学分野) / Social Science(社会科学分野)
部門
General (一般参加・推薦参加) / Advanced (招待参加)
発表形式
PowerPoint利用のプレゼン発表
申込締切
2021年7月14日(水)

詳しくはGlobal Link Online 2021 公式HP をご確認ください。


資料ダウンロード

『Global Link』に生徒を引率した先生のコメントが読める資料は以下よりダウンロードできます。

ホワイトペーパー(お役立ち資料)「世界とつながる 世界を知る」課題研究の成果を新たな気づきにつなげるために

課題研究で学びを深めた生徒をさらに成長させるためには、研究発表の場を校外へ向けることも重要です。生徒自身も、学校内の友人たちに向けて発表するのと、他校の生徒や先生、地域の大人、その道のスペシャリストに向けて発表するのとでは、自ずと心構えが違ってきます。また、海外で行われるコンテストでは英語による発表が海外の有識者に通じたという経験が自信となって、英語力や研究意欲の向上につながるケースもあります。そこで本資料では、発表の場を校外におくことで生徒に多くの経験をもたらすプログラムを紹介します。


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