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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 小学生が「原体験」を得る「APU Global Camp」~英語を使って社会課題を考える3日間、そのねらいと活動内容とは?~

2022.06.24
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2022年8月、立命館アジア太平洋大学(APU)は、JTBと協働し、3日間にわたる「APU Global Camp」を実施します。対象は小学4~6年生の別府市と全国の小学生たち。全国的にも珍しい当プログラムに込めた「ねらい」や「活動内容」はどういったものなのでしょうか。その真意に迫るべく、立命館アジア太平洋大学副学長李燕先生とJTB大分支店支店長緒方保宜、JTB企画開発プロデュースセンター大森真美子とで鼎談を実施しました。

写真はイメージです。

プロフィール

李 燕(り えん)
立命館アジア太平洋大学(APU)副学長
李 燕(り えん)
立命館アジア太平洋大学(APU)副学長

南京大学、華東師範大学で都市と地域の計画・都市地理学を学んだ後、京都大学(工学研究科 交通工学)で博士号を取得。立命館大学助手やコンサルタント会社での研究員を経て、2000年の開学時より立命館アジア太平洋大学にて勤務。現在は、副学長として2023年設置予定のサステイナビリティ観光学部や地域連携を担当。主な担当授業は都市の環境と開発、都市の持続可能性。

緒方 保宜
株式会社JTB 大分支店 支店長
緒方 保宜
株式会社JTB 大分支店 支店長

1992年JTB入社。初任地の佐世保支店では11年間、主に教育旅行を担当し学校行事や、修学旅行の添乗や教育現場における課題解決に携わる。その後、総務人事や経営企画のMGR、宮崎支店支店長、一般社団法人九州観光推進機構副本部長を経て、2020年から株式会社JTB 大分支店支店長として勤務。

大森 真美子
株式会社JTB 企画開発プロデュースセンター 企画開発課 課長
大森 真美子
株式会社JTB 企画開発プロデュースセンター 企画開発課 課長

JTBで約18年間法人事業に携わった後、人財育成、ダイバーシティ推進担当を経て、現職。現個所の企画開発プロデュースセンターは、JTB法人事業のセンター機能として、「産・官・学」全てをサポート領域とし、全国のJTB個所と連携をしながら新たな提案、新たなソリューションの開発を行っている。

「APU Global Camp」に込めた思いとは?

― 2022年8月から、新たに「APU Global Camp」を実施します。その背景を教えてください。

立命館アジア太平洋大学(以下、APU)は、留学生と日本人学生が半数ずつ在籍する日本語と英語による日英二言語教育システムを展開している大学です。特徴的な教育プログラムを実施しているだけでなく、キャンパスが日本屈指の温泉地である大分県別府市に位置していることもユニークな点です。

「APU Global Camp」を立案したのは、こうした本学の特徴を活かして、地域や社会へ貢献をしたいと考えたからです。プログラムの立案には、大きく3つの背景がありました。

1つ目は、小学校英語が必修化した一方で、コロナ禍により海外旅行に行ったり外国人とコミュニケーションを取ったりする機会が大幅に減少したことです。こうした中で、小学生が英語を学ぶおもしろさを感じにくい状況となっています。そこで「世界の多様な人々と協力し、問題解決にあたるためには、英語でのコミュニケーションが必要だ」と実感できるような機会の提供が必要だと感じました。

2つ目は、海外経験を積みにくい情勢の中で、APUの1,000人~1,300人の留学生との交流機会は、日本の子どもたちにとって貴重な国際的な体験になるのではないかと考えたことです。

3つ目は、地域振興の観点です。別府市は観光の街なので、外部からたくさんの方々が訪れることは地域の活性化につながります。「APU Global Camp」を新しい観光資源として、別府市に訪れる方を増やしたいと考えました。

つまりグローバル教育と地域振興の両方に寄与し、それが本学の学生の学びになるというWin-Win-Winな発想のプログラムとなっています。とはいえ、大学や学生だけではこのプロジェクトを実現することは難しい。そこで、JTBに協力をあおぎ、今回のプログラムに伴走いただきました。

関連情報

APU Global Camp
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大森
APUに訪問した際、留学生の方々がホスピタリティ高く学内を案内してくださいました。留学生たちが心からAPUを愛し、地域に根付いていると感じられる経験でした。多様なバックグラウンドを持つ留学生が共生する大学を目の当たりにして、「ここに小さな地球がある」と感じ、ぜひ子どもたちを招く「APU Global Camp」の実現に向けご一緒したいと感じました。
緒方
地域の方々は、「APUは大分県の宝だ」「別府市の大きな資源だ」という認識を持っています。国際観光都市である別府市にとって、APUが新たな観光資源となり、地域の交流人口が増えることへの期待は大きいでしょう。

小学生を対象とし、グローバルな原体験を生む

― プログラムを小学生対象としたのはどうしてでしょう?

小学生向けのプログラムとしたのは、「原体験」を作れると考えたからです。同法人の立命館小学校では「ワールドウィーク」というプログラムを実施していて、APUの留学生が年間に1週間小学校を訪れ、1年生から6年生までと触れ合います。この経験は、児童にとって、海外への関心を育んだり学びへの意欲につながったりとたくさんの発見の場となっています。こうした輪を地域や社会にも広げたいと考えました。
大森

「原体験」というキーワードはとても重要ですね。グローバル社会に向けて、中高でも海外研修を取り入れている学校は増えています。小さい頃の原体験があり、関心の土壌ができていた方が、そうした機会を生かすことができるはずです。

一保護者としても「APU Global Camp」は、子どもへの効果が大きいと感じます。我が家では、留学生のホームステイを受け入れたり、海外の知人のもとへ遊びに行ったりと、子どもたちは小さい頃から多様な国の方と接してきました。振り返ると、それが子どもの関心や進路選択に大きな影響を与えていたと感じます。

緒方
学校によっては「英語キャンプ」を校内で実施しているケースもあります。もちろん意義深いことではありますが、交流はいつも一緒にいる仲間に限られています。しかし、今回のプログラムには別府市内の小学生はもちろん、全国から児童が参加します。安全な発着を弊社が下支えすることで、エリアを超えた学びを実現することが可能だと考えています。留学生との接点だけでなく、各地域の小学生が交流することで互いに刺激を与え合う好循環が生まれることを期待しています。

「ケンカから国際問題を考える」小学生の目線に立ったプログラム

― 「APU Global Camp」の3日間の実施内容を教えてください。

予測不可能な時代において、1人の力では問題解決できないことがたくさんあります。そこで、「APU Global Camp」では各地の小学生と留学生、日本人学生で1グループを作り、世界平和や地球温暖化といった社会問題について対話するワークを重視します。

小学生が学びやすいように、言語のサポートを日本人学生が行い、テーマは「ケンカをした時、どう仲直りをする?」や「地球温暖化を食い止めるドラえもんの道具」のように噛み砕いて提示します。どちらも世界の人々が真剣に考えても答えが出ていない問いです。小学生の段階でこうしたテーマに挑むことで、「自分の考えていることだけでは限界がある」「社会には多様な考え方がある」「課題解決のためには多面的なものの見方が必要だ」といったことを体験的に学んでもらいたいと考えています。

「APU Global Camp」3日間のアクティビティ

1日目  
13:00-13:30 オープニング
14:00-16:00 グループワーク「世界ふしぎ発見」
16:00-16:30 コミュニケーションタイム
2日目  
9:30-11:00 マハティール氏(元マレーシア首相)または松山さかのうえ日本語学校の山瀬先生による「ウクライナ支援を通して平和を考える」講演(予定) 
11:00-12:00 グループワーク「世界の国がなかよくするためには」
12:00-14:00 ミステリーキャンパスツアー
14:00-16:00 グループワーク「地球温暖化を食い止めるドラえもんの道具」
16:00-16:30 コミュニケーションタイム
3日目  
9:30-11:00 グループワーク発表「Shape your world」
11:00 クロージング
大森

挑戦度の高い問いに多様な人たちと挑む経験は大変貴重ですね。予測がつかない中で思い切り挑戦してみる体験からは、勇気が育まれるでしょうし、グループで協働したり表現したりする中で、「自分の意見を聞いてもらえる」「プレゼンテーションを頑張ったら拍手をもらえた」といった体験を経て、自己肯定感も高まっていくはずです。

何よりも、社会課題意識の高いグローバル人財であるAPUの学生たちと過ごすことで、世界への関心や学びへのモチベーションを育んでいくことができるでしょう。

APUの学生たちが就職して企業の方から一番評価いただくのは、自分たちの問題意識をきちんと語り、他者を否定せずに、解決に向かっていける力です。限られた時間ではありますが、小学生にもグループ活動を通して、共にその力を高めていってほしいと考えています。

「APU Global Camp」の狙いを実装するサステイナビリティ観光学部

― 新設するサステイナビリティ観光学部について教えてください。

「APU Global Camp」での学びを、恒常的に大学で学ぶことができるサステイナビリティ観光学部を2023年4月に開設します※。サステイナビリティ観光学部では、持続可能な開発と観光資源の発見について、理論だけでなく、問題解決について実践的に学んでいくことを重視します。つまり、学問的実務家を育てることに注力する学部です。

地域の資源を保護しながら価値創造し、世界に向けて発信していくことは、地域経済においてもグローバリゼーションの観点でも大きなインパクトがあるものです。まさに21世紀の世界に最も重要な学びを体現できる学部として創設を決めました。

2023年4月設置構想中。設置構想中のため、設置計画は変更になる場合があります。

大森
JTBでは、持続可能な観光や地域づくりを大きなテーマとしています。日本国内のみならずグローバルなネットワークがあるので、各地の魅力発見、あるいは課題解決について、地域と世界をつないで行動を起こすことをご一緒できると考えています。
はい、JTBに期待することは大きいです。当学部では、学問的実務家を育てるために、オフキャンパスプログラムを多く企画しています。しかし、時には大学の力だけでは実現が難しいこともあるでしょう。例えば、別府市の竹細工に興味がある方々を世界から集める「スペシャル・インタレスト・ツアー」などを企画したとしても、学生たちだけでは事業にまで落とし込むことができないかもしれません。そうした時に、JTBや地域の方々と連携し、実学を実現していきたいと考えています。企業としての視点が入ることで、ビジネスの観点からの実現可能性を吟味し、実装するまでを学びとしていくことができると期待しています。
緒方
 「地域課題を理解している観光人財の育成」は重要なテーマです。そうした意味でも地域の中でのAPUへの期待は非常に高まっていると感じます。学生たちの学びと地域振興を両立し、可能性をひろげていくために、JTBではトータルにサポートしていきたいと考えています。
APUという資源と別府市や大分県の地域資源をコラボレーションさせ、どう人を呼び込んでいくか。サステイナビリティ観光学部はその挑戦の一翼を担っていると感じます。そして、今回の「APU Global Camp」は、こうした可能性を体現する実践的教育プログラムの第一歩だといえるのです。

まとめ

今回は、立命館アジア太平洋大学(APU)とJTBの協働により3日間にわたって開催予定の「APU Global Camp」をご紹介しました。キーワードは「原体験」。留学生や他の地域の小学生と過ごす3日間は、参加する子どもたちにとって、海外への関心や学びへの意欲など、たくさんの発見の場となるのではないでしょうか。小学校英語が必修化した一方で、コロナ禍により海外旅行へ行く機会や外国人とコミュニケーションを取る機会が減少しています。そのような中、グローバル教育の観点で、いかに「原体験」を得る機会を創っていくのか。コロナ後のポイントになりそうです。

また今回の取り組みは、グローバル教育と地域振興の両方への寄与を目指しているのも大きな特徴でした。地域の大学と企業、そして自治体と地域ぐるみで学びの場を創り、新しい観光資源と位置づける。サステイナビリティ観光学部の設立趣旨である「地域の資源を保護しながら価値創造し、世界に向けて発信していくことは、地域経済においてもグローバリゼーションの観点でも大きなインパクトがある」という李副学長のお言葉が印象的でした。

「APU Global Camp」については、プログラム終了後に実施レポートを掲載予定です。ぜひ、ご期待ください。


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APU Global Camp
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