企業・団体向け
学校・教育機関向け
企業・団体向け
学校・教育機関向け

自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 Withコロナ時代における伝統芸能・伝統行事を活かした観光施策とは?

2021.05.28
地域マネジメント
地域マーケティング
誘客促進
戦略策定

新型コロナの収束が見通せない中、どの地域にも共通しているのは、観光客や地域住民の健康を守りながら、観光振興をどのように進めるかということです。人気のスポットやイベントで三密を避ける工夫はもちろんのことですが、「リアル」だけではなく、デジタルを活用した取り組みも大きなポイントです。これまでは緊急避難的な意味合いで行事などを延期・中止と「リアル」を縮小してきましたが、Withコロナ時代だからこそできる新しい施策を検討してみてはいかがでしょうか。以下では「伝統・文化・芸能」と「デジタル」を掛け合わせた観光振興の手法を、全国の事例を取り上げながら紹介します。

Withコロナ時代の観光施策で押さえるべきポイント

Withコロナ時代の観光施策のポイントは大きく2点あります。1つはこれまでのように「リアル」に足を運んでくださるリピーターやインバウンドの方々に安心して快適な時間を過ごしていただくための対策です。言うまでもありませんが、感染拡大防止の取り組みは最重要であり、その中には自治体や観光業者が換気や消毒、飛沫拡散防止対策を行うことに加えて、蓄積された知見や情報を観光客に対してわかりやすく提示し、旅のエチケットへの理解を得ることも含まれます。

そして、もう1つはWithコロナ時代だからこそやるべき取り組み、それは人が直接集まらなくても楽しめるデジタルを活用した施策です。地域のリアルタイム情報をSNSで発信することはもちろんのこと、これまでなかった形で伝統芸能を体験したり、地域のお祭りやイベントをオンライン上で「体験」できる取り組みが、後の「リアル」につながるはずです。

地域の伝統・文化や行事は重要な観光資源であり、地域経済やコミュニティの発展に大きく貢献しているため、コロナ禍をきっかけにその取り組みを減速させない工夫が必要です。

事例01歴史文化・伝統芸能・工芸体験で三密を避ける工夫

人気のスポットや体験で密を避けるには、事前予約で混雑を分散させる、オンラインで体験できるようにするなどの工夫が有効です。以下の事例を参考に具体策を考えてみてはいかがでしょうか。

事前予約で楽しむ京都旅

京都市観光協会は、京都の歴史や文化に触れるツアーを感染拡大予防のため事前予約制にしました。決済もオンラインのみで、マスク持参で体温チェックがツアーに参加する条件になっています。例えば、1日10名限定の臨済宗興聖寺のツアーは夕方17:30からスタートする3時間のプランで、苔庭のライトアップだけでなく、住職のマントラを聴きながら夜座禅を経験できるというもの。少人数の予約制だからこそ楽しめる特別な経験といえるでしょう。

さらに、世界無形文化遺産である「能楽」を鑑賞するだけでなく、能楽師から直接その歴史などについて詳しく学び、参加者が能舞台に上がって、謡(うたい)や舞(まい)を体験できるツアーも準備。鑑賞の際の座席は1席ずつ空席を設け、ソーシャルディスタンスを保ちます。コロナ禍においても伝統芸能を身近に感じられるツアーの好事例です。

オンライン会議システムを活用した金箔貼り体験

金沢市のとある金箔メーカーは、コロナ前に店舗で行っていた金箔貼り体験をオンラインで実施しています。参加者は事前にメーカーから送付されてきた金箔貼りキットを使って、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」にて専門スタッフの指導を受けながら、伝統工芸を自宅にて体験できます。

オンライン会議システムは、すでにさまざまなシーンで活用されています。伝統文化・伝統芸能などの地域の魅力を広く発信するための効果的な活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

事例02祭り・伝統文化の代替策・オンライン配信

毎年開催される祭りは、そこに住む人々が心を一つにして、地域の活力を高める大切な場です。また、こうした伝統行事は重要な観光資源でもあり、宿泊・飲食・物産・交通などの多様な業界を含めた地域経済が活性化する機会でもあります。リアル開催が難しい場合は、オンライン配信などの代替策を検討してみてはいかがでしょうか。

「相馬野馬追(のまおい)すごろく」

福島県の南相馬市博物館は、2020年にコロナの影響で中止になった国の重要無形民俗文化財である「相馬野馬追」の魅力を伝える「相馬野馬追すごろく」を市のホームページで公開しました。これは、すごろくで遊びながら3日間にわたる行事について学べるというもの。観光客だけでなく、地域経済の未来を担う子どもたちに対しても、伝統文化への関心を喚起している点が印象的です。

岐阜県郡上市「郡上おどり」

岐阜県郡上市の「郡上おどり」は約400年続く伝統行事ですが、実際に踊り手が集まれば密集は避けられないとして、2020年はコロナ拡大防止のために中止されました。郡上おどり運営委員会は代替策として地元の会員による踊りと囃子をYouTubeやケーブルテレビを使ってライブ配信。また、事前に申し込めば全国誰でもZoomの画面上で踊りに参加することができるようにしました。

7月11日から9月5日までの6日程で行われたライブ配信には、のべ50万人以上がアクセスし、オンラインで思い思いの「郡上おどり」を楽しみました。2021年度はリアル開催が予定されていますが、オンライン開催を成功させたノウハウは今後のイベント運営にも受け継がれていくことでしょう。

事例03観光客に魅力を発信するオンラインツアー

大阪の道頓堀商店会は、2021年3月に「大阪・道頓堀魅力発信事業実行委員会」を設立。大阪の魅力を広く発信する取り組みの第一弾として「大阪・道頓堀の魅力発信!会場&オンラインイベント」を開催しました。

参加者は会場参加とオンライン参加の2パターンで募集。会場参加は感染防止対策のため100名に限定されましたが、オンラインでは1,000名もの参加者を募集するなど、オンラインの可能性の大きさを垣間見ることができました。オンラインでも楽しめるプログラムとしては、上方落語唯一の寄席である「天満天神繁昌亭」内を見学できるオンラインツアーを用意。オンライン参加者は自宅にいながら大阪の名所や芸能文化を楽しむことができました。

Withコロナ時代はデジタルを駆使した観光体験の提供がカギに

Withコロナ時代は感染防止対策を徹底しつつ、今後回復していくと思われるリピーターやインバンド、MICEなどビジネス旅行の前後における旅行・消費需要に適切に応えていくことがポイントです。貴重な観光資源である歴史文化・伝統芸能・伝統工芸・伝統行事の火を消さないためにもデジタルの活用を検討してみてはいかがでしょうか?

それと並行して、付加価値を求める消費需要に応える工夫も重要です。コロナ禍を契機に加速し始めたワーケーションなどを推進することも効果的です。公開中のほかの記事もぜひご覧ください。


WEBマガジン #Think Trunkコロナ後の観光振興は「高付加価値サービス」がカギ!?地域が官民連携で稼ぐ方法

JTBが旅行・イベント運営で培ったノウハウが満載、「企画のポイント」や「マンネリ打開策」「事例」も盛り込んだホワイトペーパー(お役立ち資料)をダウンロードいただけます。

詳しくはこちら

観光による地域活性化にテクノロジーを活用する「地域DX(デジタルトランスフォーメーション)」について詳しく知りたい方は、こちらのダウンロード資料をご覧ください。

ホワイトペーパー(お役立ち資料)デジタルトランスフォーメーションで、1人ひとりに寄り添える仕組み! 地域DX ~地域DXの目指す未来は、観光客との永続的な関係づくり!~

JTBが旅行・イベント運営で培ったノウハウが満載、「企画のポイント」や「マンネリ打開策」「事例」も盛り込んだホワイトペーパー(お役立ち資料)をダウンロードいただけます。

資料ダウンロード

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

関連サービス・ソリューション

JTBでは、様々なソリューションを組み合わせることで、それぞれのお客さまにあった課題解決⽅法をご提案いたします。

#Think Trunk

WEBマガジン「#Think Trunk」とは

人と人、人と組織、人と社会とのコミュニケーションのヒントをお届けする
WEBマガジンです。

人間・組織の悩みは、コミュニケーション・関係性の場づくりで解決できる。
〜JTBは、新しい形の交流のあり方を創造し、社会に貢献していきたいと考えています〜

JTB法人事業のお客様へお役立ち情報や課題解決のきっかけとなる知見、経験、アイデアを紹介するWebマガジンです。また産・官・学の皆さまとの接点があるJTBならではの垣根を越えた共創のヒントをお届けしたいと考えています。