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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 地域のテレワーク拠点に企業を呼び込むポイントは?既存施設の改善点をチェック

2021.11.29
地域マネジメント
地域マーケティング
戦略策定
誘客促進

ワーケーション誘致を見越してテレワーク拠点を整備したものの、施設稼働率があまり上がらず、コストばかりが膨らんでいることでお悩みの地域もあるのではないでしょうか。地域のテレワーク拠点にワーケーション推進企業を呼び込むには、施設面、人材面の充足のほか、プログラム面、資金面にも工夫が必要です。本記事では、観光庁の「ワーケーション・ブレジャーにおける受入環境整備~チェックシート~」を参考に、地域のテレワーク拠点の整備や、企業(総務人事担当者)への訴求の要点をご紹介します。財源として活用したい「地方創生拠点整備交付金」や「企業版ふるさと納税」についても紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。

地域のテレワーク拠点に対する企業のニーズ

ワーケーションの実施形態は大きく「休暇型」と「業務型」の二つに分類されます。企業が地域のテレワーク拠点に求める要件は、この分類によって異なるため、まずはそれぞれの違いを見てみましょう。

「休暇型」はリゾート地や観光地などで余暇を楽しみながらテレワークを行うスタイルです。自由な働き方を求める従業員が自ら希望して行うこともあれば、企業が有給休暇の取得促進など、福利厚生を目的に推進することもあります。休暇型ワーケーションを積極的に誘致したい場合は、個人・家族単位で快適に滞在できる宿泊施設やプラン、滞在プログラムの磨き上げを図ることが有効です。

一方、「業務型」は仕事をメインとし、その前後などに休暇を楽しむワーケーション形態です。この場合はチーム単位での滞在を想定し、クローズドの会議ができるスペースや地域住民との交流の場など、人と人との交流を活性化する環境の整備が重要になります。

JTBが企業のワーケーション導入・推進担当者を対象に行ったアンケート調査※では、「サテライトオフィスにどんな設備があるか知りたい」「従業員に対し集中して仕事ができる環境を保証したい」といったニーズがあることがわかっています。企業に選ばれる地域になるには、ワーケーション拠点や宿泊施設の利便性を高めることと並行して、地域のテレワーク拠点整備状況をアピールする情報発信にも工夫が必要だと言えます。

【WEBセミナー】ワーケーション導入の効果と企業経営 参加者アンケート(株式会社JTB)

地域の受け入れ整備の進捗をチェック

テレワーク拠点の整備状況を客観的に把握するには、観光庁の「ワーケーション・ブレジャーにおける受入環境整備~チェックシート~」が役に立ちます。まだ取り組めていない項目が目立つ部分は、先進地域を参考に改善策を検討してみてはいかがでしょうか。

受入面・人材面

チェック項目

  • ワーケーション専用のサイト・SNSがある
  • ワーケーションについて、顧客からの問合せ機能がある
  • HP等で、サテライトオフィス、宿泊施設紹介、観光メニューの紹介がされている
  • ワーケーションに関する地域コーディネーターが存在する
  • ワーケーション・ブレジャーを実施する人々を迎え入れる地域側の意識の醸成がされている
  • ワーケーション・ブレジャーなどについて理解を深める勉強会や地域にとっての必要性を議論するワークショップを実施している
  • ユーザーのストレスをケアするホスピタリティ人材などが育成されている

ワーケーションには、企業、従業員、地域、事業者といった複数のステークホルダーが存在します。それぞれに情報を提供しマッチングを行うのが“ワーケーションに関する地域コーディネーター”の役割です。

和歌山県情報政策課 は、ワーケーションで和歌山に訪れる方、企業向けにサービスを提供される事業者などを「Wakayama Workation Networks(ワカヤマ ワーケーション ネットワークス)」で随時募集し、それぞれの取り組みを県が紹介することで県内の事業者と企業の相乗効果を生み出そうとしています。自治体主導でワーケーション誘致を進めるなら、マッチングの手段もセットで検討するのがポイントです。

施設・ハード面

チェック項目

  • エリア内にサテライトオフィスやコワーキングスペースがある
  • 宿泊施設にコワーキングスペースがある
  • コワーキングスペースや宿泊施設のWi-Fiなど通信環境が整備されている
  • コワーキングスペースや宿泊施設のWi-Fiなど通信環境のセキュリティが整備されている
  • ワークスペースでは、複合機、机、椅子、照明など、通常のオフィスで仕事をするものと同じ環境が整っている
  • オンライン会議用の個室・大型モニターなどが整備されている
  • エリア内に十分な宿泊施設が存在する
  • 宿泊施設では、長期滞在に対応できるようにスーパーや飲食店が十分にある
  • エリア内を自由に動き回ることが可能な交通手段がある
  • 地域の自然特性等を活かしたワークコーナーが整備されている

見落としやすい点は、オンライン会議に対応できる個室(ブース)と大手キャリアの通信環境です。Wi-Fiは通信容量が小さかったり、同時に接続できる台数に限りがあったりすると利用者の業務に支障が出ることもあります。

快適な通信環境を整えたうえで、椅子の背もたれや肘置きなど、ワークスペースの快適さを高めればより高い価値をアピールできます。宿泊施設とコワーキングスペースの行き来に使えるe-BIKEや自転車の設置も効果的です。

脱炭素化や災害時のレジリエンス強化がまちづくりのトレンドとなる中、今までにないテレワーク拠点の整備も始まっています。千葉県南房総市の「シラハマ校舎(運営:合同会社WOULD)」はレンタルオフィスやゲストルームを備える複合施設ですが、こちらに太陽光パネル、蓄電池、排水循環システムを整備することで「災害時における避難拠点としての役割を持つ新型ワーケーション施設」への転換を目指しています。

プログラム面

チェック項目

  • ワーケーションに関するモデル日程、コースが作られている
  • 地域課題解決型ワーケーションを推進する上でのプログラムが整備されている
  • 合宿型ワーケーションを推進する上でのプログラムが整備されている
  • アフターワーク、休日用に観光メニューが整備されていて、受付などのサポートも確立している
  • 長期滞在用の宿泊プラン、ワーケーションメニューがあり、利用者ニーズに応じた価格設定となっている
  • ユーザーの家族(特に子供など)を飽きさせないプログラムなどが整備されている

ハード面の設備が整ったら、次に取り組むべきは魅力的な体験プログラムや研修コンテンツの開発です。長野県の志賀高原では「SDGs」に着目した独自の滞在プログラム「志賀高原 SDGs STUDYTOUR」を開発し、学校や企業に対して良質な教育・研修旅行の場を提供しています。研修、宿泊、地域課題解決の場をワンパッケージで用意すれば、ワーケーション先での学びやイノベーションを求める企業へのアピールにもつながるのではないでしょうか。

資金面

チェック項目

  • エリアとしてワーケーションを推進するだけの資金を有している
  • 地域の事業者に対して支援するために助成金がある
  • ワーケーション・ブレジャーが地域事業者の収益事業に繋がることや税収アップに繋がることが明確になっている

さまざまな整備には導入・維持に費用がかかります。自治体は国の補助金を活用しつつ、地域の事業者に対する助成についても具体策を考えたいところです。

テレワーク拠点の整備に使える補助金・サービス

テレワーク拠点や宿泊施設の改善、高付加価値化には自治体財源のほか、国の交付金、民間財源、企業版ふるさと納税が活用できます。4つの財源を有機的に連動させ併用することで、地域課題の解決や新たな事業拡大につなげることができます。

地方創生拠点整備交付金

地方版総合戦略に定められた自主的・主体的で先導的な事業を記載して作成した地域再生計画に基づく施設等整備のために、国が交付する交付金です。補助率は事業費の1/2で、地方公共団体が対象となります。令和3年度の申請は1月と6月の二度ありましたが、令和4年度の動向にも注目です。地域のハード面の整備には、ぜひ活用したい交付金です。

企業版ふるさと納税

「企業版ふるさと納税」とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、寄附額の最大6割を法人関係税から税額控除する仕組みです。また、令和2年度の『企業版ふるさと納税』の税制改正により損金算入による軽減効果(寄附額の約3割)と合わせて、最大で寄附額の約9割が軽減されて実質的な企業の負担が約1割まで圧縮されるなど、より企業・自治体にとって活用しやすい仕組みとなりました。

自治体が「ワーケーション施設の改修」「ツアーの企画・設計」などの内容が含まれるプロジェクトを計画し、寄附を募れば、企業からの寄附で財源が確保できるうえ、ワーケーションを推進する企業とつながるきっかけを作ることができます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

WEBマガジン「#Think Trunk」

「企業版ふるさと納税を活用したワーケーションの取り組み方」開催レポート 働き方のトレンド・企業ニーズを押さえた環境整備と誘致のコツ


まとめ

国の施策を活用し、テレワーク拠点を魅力あるものに

令和4年度の概算要求において、観光庁は地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化や、ワーケーションやブレジャー等を「新たな旅のスタイル」として普及させる事業を推進する姿勢を示しています。地域のテレワーク拠点や宿泊施設を充実させるなら来年が大きな契機となりそうです。観光地としての魅力を高めるために、企業版ふるさと納税、国の交付金、民間財源の活用も視野に入れ、次年度の具体的なアクションを考えてみてはいかがでしょうか。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)ワーケーション受け入れ整備のヒントに!企業側のニーズは?
【WEBセミナー】ワーケーション導入の効果と企業経営 参加者アンケート 結果レポート

JTBは企業のワーケーション導入・推進担当者向けに開催したセミナ-の参加者にアンケートを実施。その結果をまとめたのが本レポートです。受け入れる地域側には何が求められているのか?皆さまのヒントになれば幸いです。

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