修学旅行を実施する学校が、JTBと共同で航空会社から持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel※1)を購入し、生徒が搭乗するフライトで発生するCO₂排出量を相殺し、生徒のSDGsに対する意識の醸成を図った事例です。
1 「持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel):現在、SAFの原料となるのは、主に植物などのバイオマス由来原料や、飲食店や生活の中で排出される廃棄物・廃食油などです。持続可能な原料から製造されるSAFは、従来使われてきた化石燃料と比較して、約80%の二酸化炭素排出量を軽減することができます。
- 背景
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大阪国際高校は、2022年4月に大阪国際大和田中学校高等学校と大阪国際滝井高等学校が統合して誕生した学校です。22年春に入学した第1期生修学旅行の計画にあたっては「SDGs」を最重要テーマに掲げ、環境先進都市の視察や世界自然遺産の訪問など、SDGsに関する実践的な学習機会を多く盛り込んだコースを設計しました。そうして計画されたドイツ、アメリカ(サンフランシスコ)、オーストラリア(ケアンズ)、北海道の4コースの中から、生徒が参加したいコースを選択し、23年7月に修学旅行が実施されました。
- 経緯
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ある日、大阪国際高校を担当するJTBの担当者に、ルフトハンザドイツ航空から「Compensaid Program※2」を修学旅行で活用しませんか?という提案がありました。担当者は他にもヨーロッパに行く学校を複数担当していましたが、その中でも修学旅行をSDGsに関する学びの場と位置づけている大阪国際高校が最もふさわしいと考え、学校にこのプログラムを提案。大阪国際高校のドイツコースは、環境先進都市フライブルクを訪れるなど地球環境をテーマにしていたため、学びの内容ともリンクするSAFの購入には賛同いいただけるのでは、という思いもありました。
2 Compensaid Program:お客様が飛行機を利用する際に、持続可能な航空燃料(SAF)を利用することで、フライト時に発生するCO₂排出量を削減できるルフトハンザドイツ航空のプログラム
- 導入
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そんな思いを胸にJTBの担当者が「Compensaid Program」を大阪国際高校に提案したところ、ドイツコースの修学旅行でSAFを購入することを決めていただきました。SAFの購入は学校とJTBが共同で行い、学校購入分の費用は、修学旅行代金とは別に学校法人が負担する形にしたのです。こうすることで保護者の理解もスムーズに得ることができました。SAFの購入によってSDGsに対する生徒の意識を高められると同時に、学校法人がSAFを購入する事例は「アジア初」として話題性もあったことから、地球環境に対する学校の取り組みを広く社会に発信できるという点も購入を決めた大きな理由になりました。
- 事前学習
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- 実施日
- 2023年5月24日(水) 14:40~15:30 大阪国際高等学校キャンパス内
- 証明書交付式
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証明書交付式は、ルフトハンザドイツ航空やJTBの代表者が参加し、学校で開催されました。
- 実施日
- 2023年6月13日(火) 14:30~15:30 大阪国際高等学校キャンパス内
- 出席者
- 大阪国際高等学校 校長 松下 寛伸
ルフトハンザドイツ航空会社 日本・韓国地区支配人 ローレンス・ライアン
JTB大阪教育事業部 事業部長 鷲見 匡紀
- ドイツ修学旅行
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- 旅行期間
- 1班:2023年7月9日(日)~14日(金)
2班:2023年7月10日(月)~15日(土)
- 学校のコメント
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大阪国際高校では、今回の取り組みをきっかけに、カーボンオフセットに限らず、SDGsに対して具体的にアクションできる人材の育成を目指して、教育活動に取り組みます。
今回SAFを大阪国際高校に提案しようと考えたのは、本質を伴った活動を通して学校のお手伝いをしたいという思いからです。SAFの購入を通して生徒のSDGsに対する意識を高めると同時に、「アジア初」という話題性を活かしてそうした学校の取り組みを社会に発信できるのではないかと考えたのです。私は日頃から、「その提案は本当にお客様本位なのか?」ということを自分に問い続けるようにしています。今後も、お客様にとっての価値をしっかりと見極めながら提案を続けてまいります。