学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【レポート】卒業を間近に控えた小学校6年生のために行政・学校・企業が団結!コロナ禍の挑戦にみる新しい学校行事のカタチ ~「かわさき子ども元気プロジェクト」~

2021.05.31
国内プログラム
学校運営支援
チームワーク・協働力育成
中学・高校向け

子どもたちにとって貴重な学びの場である「修学旅行」。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で公立小中高校のおよそ15%※が中止を決めました。楽しみにしていた修学旅行がなくなり、コロナ禍で漠然とした不安感をおぼえながら生活する子どもたちに元気を届けたいと、川崎市と市教育委員会が地元の遊園地を貸し切りにした修学旅行の代替行事を実施しました。今回は、2021年3月9日から、3日間開催された「かわさき子ども元気プロジェクト」についてレポートします。

2020年11月8日 朝日新聞デジタルより

開催概要

かわさき子ども元気プロジェクト

開催日
2021年3月9日(火)~3月11日(木)
開催場所
よみうりランド/HANA・BIYORI
対象
川崎市立小学校全114校の6年生 児童数約12,000名
利用可能施設
よみうりランド全域、ゴンドラ「スカイシャトル」、HANA・BIYORI

主催者に聞く!「かわさき子ども元気プロジェクト」への想い

2021年3月、東京都稲城市と神奈川県川崎市多摩区に位置する遊園地「よみうりランド」を貸し切り、川崎市立小学校の6年生(約12,000名)を招待する「かわさき子ども元気プロジェクト」が開催されました。報道されるとともにSNSでトレンド入りするなど話題となり、子どもたちや保護者からも期待されたこのプロジェクトはどのような想いから始まったのか?本行事を担当した川崎市教育委員会事務局 教育政策室 担当課長 二瓶裕児氏にお話を伺いました。

川崎市教育委員会事務局 教育政策室 担当課長 二瓶裕児氏

―本プロジェクトは、どういった経緯で実施されたのでしょうか?

二瓶氏:
川崎市の小学校は毎年、日光修学旅行を実施しています。昭和36年からずっと続いている伝統的な行事です。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年5月には全校で中止が決定しました。その他にも学校行事が次々と中止になる中、子どもたちに元気を届けられる取り組みを検討していたところ、川崎市の子どもたちに馴染み深い遊園地“よみうりランド”を修学旅行の代替行事として活用する案が出たんです。川崎市の理解・バックアップがあったこともあり、よみうりランドさんに相談を持ちかけたところ、快く承諾をいただき企画が動き出しました。

―修学旅行の代替行事として工夫された点は、どのようなポイントでしょうか?

二瓶氏
修学旅行は見聞を広めたり自然文化を親しんだりと、旅先で学べる学習要素が大切です。よみうりランドさんに相談したところ、子どもたちが興味関心を持てる学びの要素を入れようじゃないかという話になり、読売中高生新聞にもご協力いただき、SDGsや脱炭素化といった川崎市の重要施策を取り上げた「KAWASAKIクイズラリーinよみうりランド」を実施しました。また修学旅行の行き先であった日光温泉旅館協同組合様にご協力いただき、よみうりランド内に日光のお土産ショップを設置。また、市消防局による“はしご車”の展示や地震体験車の設置などさまざまな仕掛けを施しました。これ以外にも多くの企業・組織・地域のご協力の申し出をいただき、イベントの魅力が高まったことは非常にありがたいことでした。

―その他、このプロジェクトならではの特徴はありますか?

二瓶氏
修学旅行先の日光では、名物のカレーを食べるのが風物詩になっていました。校長先生方から「旅行が中止になり、日光に行けなくなってしまったが名物カレーをぜひ子どもたちに食べてもらいたい」という声が寄せられました。「日光カレーを、よみうりランド内で再現できないものか」と悩んでいた中、とある日光の飲食店さんからカレーのレシピをいただける話が舞い込み、日光のカレーを再現することができたんです。子どもたちはもちろん、引率の先生方も食べた瞬間「これだ!」と感激され、日光カレーの味に喜んでおられました。

―参加された子どもから、たくさんのお手紙が届いたそうですね。

二瓶氏
いろいろな学校からお礼や感謝の声をいただきました。イベント終了の翌々日くらいにはお手紙が届いたんですよ。中には、お礼のメッセージ動画を送ってくださる学校もあって。本当にありがたいなと、胸が熱くなりましたね。
参加した子どもたちから届いた感謝の手紙

感染対策は万全!3つのポイント

―コロナ禍での開催でしたが、どういった感染対策を講じられたのですか?

二瓶氏
小学校114校で児童は12,000人以上いますので、まず移動時の調整や感染対策が課題でした。子どもの移動には公共交通機関を使わないというのが緊急事態宣言期間中における校外学習の在り方でしたので、今回は貸切バスを使用することにしました。3日間で345台のバスをチャーターし子どもたちの移動にあたりました。
もう一つは、入園の人数制限です。一度に12,000人が園内に入るのは感染リスクを高めてしまうので、「3日間貸し切りにして、4,000人ずつ入れる」というかたちにしました。また、4,000人が入園口に殺到することを避けるため、入園口を4ヶ所に分散し、9時から10時30分まで4回にわけて時差入園を行うことで密を回避しました。

運営上で特に大変だったのが昼食です。現在、学校内では感染対策として、机を寄せて向き合って食事することを避け、子どもたちは全員が黒板を向いて黙々と食べるというスタイルです。よみうりランド内でも同様の昼食スタイルを取れるよう簡易屋根を設けてテーブルを並べた臨時の食事場所を18ヶ所用意しました。

プロジェクトの感染対策3つのポイント

01移動は公共交通機関を使用せず、貸切バスを使用

021日あたりの入園者を4,000人前後に制限。密を避けるため時差入園を実施

03密にならない昼食場所を確保

修学旅行が子どもに与える影響(旅のチカラ)について

―今回のプロジェクトで得られた一番の成果は、どんなことでしょうか?

二瓶氏
ここ1年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響であらゆる学校行事が中止もしくは延期となり、さまざまな制限を受ける試練の日々でした。目標となるものが見失われ、子どもたちは漠然と不安感を抱えていたように思います。

今回のプロジェクトの成功を受け、そういった漠然とした不安を少しは払拭できたのではないか、子どもたちを元気づけられたのではないかと一定の効果を感じています。“イベント当日が待ち遠しい”という、あのワクワク感を子どもたちはきっと取り戻せたことでしょう。

―ニューノーマル時代、学校行事の成功のポイントはどこにあるでしょうか?全国の自治体や教育委員会の皆さまに向けてメッセージをお願いします。

二瓶氏
修学旅行で訪れた旅先での体験は大人になっても覚えているものです。そういった意味で、修学旅行に参加することは「一生に一度の思い出」になります。いろんな行事において体験・体感したこと、また友達とその想いを共有していくというのが一生の思い出になるんだと思います。修学旅行をはじめとする学校行事は、子どもにとってかけがえのないイベントだと言えるでしょう。

しばらくは、マスク着用や移動時の制限などが必要になると思いますが、安全・安心を追求した学校行事の実現は可能だと思います。各地域それぞれに魅力があるかと思いますので、そういうスポットを活用することで、子どもたちの思い出作りを叶えられるイベントが実現できるのではないでしょうか。

「かわさき子ども元気プロジェクト」ドキュメンタリー動画

「かわさき子ども元気プロジェクト」を通じて見えた修学旅行のカタチ

今回のプロジェクトに携わった株式会社JTB川崎支店 営業担当課長 村岡尚美にも感想を聞きました。

村岡
修学旅行には旅先での学習要素や集団生活での関係構築といった狙いもありますが、子どもたちにとっては“一生に一度の思い出が作れること”。やはり、これに尽きるのではないでしょうか。そんな旅のチカラを最大限に活かせるハレの舞台である修学旅行の中止が決定したときの影響は計り知れないものでした。「子どもたちになんとか元気になってもらいたい」というシンプルな想いがあり、その想いが同じタイミングでベクトルが重なり、行政・学校・企業が一丸となり、「かわさき子ども元気プロジェクト」を成功させることができました。こういう状況だからこそ、未来を担う子どもたちのために何かできるのか?を産官学が連携を図りながら、今こそ行動に移すべきであると考えます。
写真左:JTB川崎支店 営業担当課長 村岡尚美 / 写真右:川崎市教育委員会事務局 教育政策室 担当課長 二瓶裕児氏

まとめ

“子どもたちの学びと成長にとって欠かせない重要行事”である修学旅行。さまざまな自治体様・教育委員会様が代替行事を模索する中、「かわさき子ども元気プロジェクト」の成功により、コロナ禍における修学旅行の代替行事の可能性が見えたのではないでしょうか。また行政・学校・企業が一丸となった新たな学校行事のカタチも見ることができました。

コロナ禍で、これまで通り学校行事が実施できない中、子どもたちの思い出作りを一致団結して実現することには大きな意味があります。このような状況において、“子どもたちの心に残ったもの”は、進路選択やキャリア選択にも影響するかもしれません。また携わった大人たちの心にも残るものがあるはずです。「子どもたちの笑顔や成長のため、何ができるのだろうか?」修学旅行の代替行事や新たな学校行事をお考えの方はお気軽にご相談ください。

メッセージ動画「JTBが目指す修学旅行とは?」

昭和19年に始まったといわれる修学旅行。JTBグループはこれまで修学旅行の発展に積極的に関わってきました。コロナ禍で修学旅行の実施が難しい状況ですが、未来を担う子どもたちの夢の実現をサポートし続けます。修学旅行に携わるJTB社員、そして関係機関の皆さまの想いをメッセージ動画にしました。ぜひ、ご覧ください。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

関連サービス・ソリューション

JTBでは、様々なソリューションを組み合わせることで、それぞれのお客さまにあった課題解決⽅法をご提案いたします。

#Think Trunk

WEBマガジン「#Think Trunk」とは

人と人、人と組織、人と社会とのコミュニケーションのヒントをお届けする
WEBマガジンです。

人間・組織の悩みは、コミュニケーション・関係性の場づくりで解決できる。
〜JTBは、新しい形の交流のあり方を創造し、社会に貢献していきたいと考えています〜

JTB法人事業のお客様へお役立ち情報や課題解決のきっかけとなる知見、経験、アイデアを紹介するWebマガジンです。また産・官・学の皆さまとの接点があるJTBならではの垣根を越えた共創のヒントをお届けしたいと考えています。