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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 コロナ禍における留学事情 ~大学や学生が留学再開に向けて押さえておきたい6つのポイント~

2022.02.18
(220407非公開)海外プログラム
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大学向け

世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの国で入国制限措置・行動制限措置が講じられています。この状況は当然国内の大学の留学事情にも大きな影響を与えており、各大学で海外留学や海外研修旅行の中止を余儀なくされています。しかし、2021年はワクチン接種の普及により、一時は各大学で留学再開の動きも見られました。「感染症対策」という大きな課題を前に重要となるのが「情報収集」と「危機管理」。今回は、近年の留学事情を振り返りながら、大学や学生が留学再開にあたって押さえておきたいポイントを解説していきます。

コロナ禍における留学事情

INDEX

  1. 依然先行きが見えない状況。だからこそ、大学は留学再開に向け準備が必要
  2. 留学再開に向けて大学や学生が押さえておきたい6つのポイント
  3. まとめ

依然先行きが見えない状況。だからこそ、大学は留学再開に向け準備が必要

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、海外で学ぶ機会が失われてしまった昨今。まずは2019年度以降の留学事情を振り返ります。

2019年度以降、日本人留学生数は減少傾向に

多くの大学で留学プログラムが中止されていますが、留学生数はどれだけ減少しているのでしょうか。日本学生支援機構の「2019(令和元)年度日本人学生留学状況調査結果(2020年12月21日時点に集計)」によると、2009年度には36,302人だった日本人留学生数は右肩上がりで増え続け、2018年度には115,146人にまで上ります。わずか10年で3倍近く増加しており、学生たちの留学意欲の高さがうかがえます。

日本人学生留学状況の推移

出典:「2019(令和元)年度日本人学生留学状況調査結果」|日本学生支援機構

しかし、新型コロナウイルス感染が世界に広がり始めた2019年度から減少し始めており、この数はさらに減っていくことが予想されます。

2021年度には各大学で留学再開の動きも

2021年度には国内外でワクチン接種が普及し、特に国内では感染者数が夏以降大幅に減少。こういった背景もあり、各大学で留学再開の動きが出てきました。しかし、その後、新たな変異株が世界中で広がったことから、再び様子を見ざるを得ない状況が続いています。

これまで右肩上がりで大幅に増加し続けていた日本人留学生数。海外渡航して現地で学びたい学生は多く、大学としてもグローバル化を推進していきたい意向は強いのではないでしょうか。未だ先行きが見えない不安定な状況が続いているからこそ、万全を期して留学再開するためにも、「情報収集」や「危機管理」が重要です。

留学再開に向けて大学や学生が押さえておきたい6つのポイント

多くの情報を多角的に収集することが求められている近年。どこから情報を集めればよいのか悩むこともあるかもしれません。ここでは留学再開に向けて押さえておきたいポイントを6つに絞って解説していきます。

POINT01感染症危険情報

外務省「海外安全ホームページ」では、「感染症危険情報」が掲載されています。この「感染症危険情報」では、高い危険度の感染症について注意が必要と考えられる国・地域を示しており、4段階のカテゴリーで予防対策の目安を表示しています。

出典:「海外安全ホームページ - 「感染症危険情報」とは?」|外務省

2021年度、さまざまな大学でレベル2以上の国への海外留学や研修を原則禁止(中止)としていますが、学生の安全を守るさまざまな策を講じたうえで、海外留学の方針を固めています。

POINT02入国制限措置・行動制限措置

世界各国・地域で、日本からの渡航者や日本人に対する入国制限措置および行動制限措置を講じています。国・地域によって制限の内容が異なり、情報は随時更新されるため外務省の「海外安全ホームページ」などを留学再開にあたっては日々チェックすることが必要です。

入国制限措置の例 01

  • 原則入国禁止
  • 政府が指定する条件を満たすワクチン接種証明書がある場合に限り入国対象になる。

入国制限措置の例 02

  • 原則入国禁止
  • ただし長期滞在許可証を所持し、かつ以下の要件を満たした場合は入国可能。
    1. ワクチンの2回接種を済ませ2週間以上経過している。
    2. 日本出国前48時間以内にPCR検査を受け、陰性証明書を取得している。
    3. 入国時にPCR検査を実施
    4. 入国後1週間の宿泊施設での隔離

行動制限措置の例

  • 12歳以上の渡航者が入国する場合、出発前48時間以内の新型コロナウイルス検査の実施が必要。また、渡航前と到着時に陰性証明書の提示が義務づけられる。
  • 10日間の自己隔離が必要であり、入国2日目と8日目に検査を実施。
  • 自己隔離や検査について違反した場合、罰金や禁固刑の対象となる。

これらはあくまでも例です。正確な詳細情報は外務省「海外安全ホームページ」や大使館ホームページなどをご参照ください。

入国制限措置・行動制限措置はいつ更新されるか定かではありません。自己隔離が不要な国への渡航で航空券を予約していたにも関わらず、突然隔離措置が必要となることも想定されます。日々情報をチェックするのはもちろん、航空便の手配を柔軟にできるよう準備しておくことも大切です。

POINT03現地や留学先機関の状況

各国・地域の状況を把握するのはもちろん、留学先の滞在都市や大学・語学学校についても情報を得る必要があります。入国以外にも各都市の入境規制の確認、または各州など目的地の入境規制やアプリなどの準備の必要有無も事前に確認しておくとよいでしょう。都市により規制(人数制限や移動制限など)が設けられているケースもあり、また、マスク着用が義務化されている場合もあります(マスクを外して行動することで罰金が課せられることも)。留学先の教育機関が対面授業を行っているのか、そして対面授業の条件としてワクチン接種が含まれているのかなどもチェックしておきたいポイントです。

POINT04水際対策含む帰国時の検疫など

2021年12月には、新たな変異株に対する水際措置が強化されました。具体的には「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」からのすべての入国者に対して検疫を強化しています。変異株の流入リスクに応じて入国後10日間、6日間、3日間のいずれかの期間、検疫所長指定の場所で待機することになります。この待機期間中の検査で陰性と判定されたあとも入国後14日目まで自宅などで待機することが求められています(※注)。

「水際対策上、特に対応すべき変異株以外の新型コロナウイルスに対する指定国・地域」からの入国者に対しても同様に検疫を強化。期間や内容は異なるものの、同様に待機が求められます。帰国時の検疫についても状況により措置の内容などが変更となる可能性があるため、随時情報をチェックすることが必要です。(2022年2月6日現在)

出典:「留学中・留学予定の日本人学生の皆さんへ(2021年12月13日更新)」|文部科学省

注 検疫所の待機施設の稼働状況により、14日間の自宅などでの待機のみになることもあります。

POINT05危機管理などサポート体制の構築

感染症危険情報や入国制限措置・行動制限措置の内容は状況により随時更新されています。また、現地ではPCR検査やワクチン接種が場合により必要になることもあるなど、学生自身が臨機応変な対応や情報収集・危機管理を主体的に行う必要もあります。

大学としては、学生が現地で万が一の事態に対処できるよう危機管理体制や連絡手段を予め構築しておかなくてはなりません。大学によっては独自の留学安全ハンドブックや24時間相談デスクを設けるなど、留学のサポート体制を整えています。

留学サポートの例

  • 留学に関するハンドブックの配布
  • 24時間365日対応の相談デスク
  • 「在留届」「たびレジ」の案内
  • 日常生活に関わる情報提供
  • 安否確認体制の構築 など

POINT06現地の医療体制の確認と海外渡航保険の確認

万が一の事態に備え、新型コロナウイルスに感染した場合の現地の医療体制やひっ迫状況、日本語に対応している病院があるかなども確認しておきたいポイントです。また、PCR検査などで医療機関を利用する可能性も踏まえると、海外渡航保険の新型コロナウイルスに関する補償がとても重要な役割を果たします。指定の海外渡航保険に加入することを留学の条件としている大学も多く、新型コロナウイルスに関する補償は無視できない項目です。

新型コロナウイルスに関する補償の例

  • 現地で新型コロナウイルスに感染した場合の治療費を補償
  • 現地で新型コロナウイルスに感染し、医師の指示によりホテル療養を行った場合のホテル客室料を補償
  • 現地で新型コロナウイルス感染の可能性があり、医師の指示によってPCR検査を受検する場合の補償
  • 医師の指示によるPCR検査の場合、「医療通訳」も補償

こちらはあくまで一例です。加入する保険によって補償内容は異なります

日本入国時必要になる「検査証明書」の確認も大切

日本へ帰国する際にどんな準備が必要になるかを事前に把握しておくことも重要です。

現在、帰国者含めて日本への入国にあたっては、出国前72時間以内に実施した新型コロナウイルスに関する検査および「陰性」の検査証明書の提出が必要です。

なお、検査証明書の様式は原則として厚生労働省の所定フォーマットとなります。所定のフォーマットを使用することが困難な場合には、任意フォーマットの提出も妨げられませんが、有効な検体や検査方法など、検査証明書へ記載すべき事項が満たされている必要があります。

詳細は、厚労省ホームページ「検査証明書の提出について」をご確認ください。(2022年2月6日現在)

急な一時帰国で搭乗前の検査証明書が必要になった場合に備えて、証明書を発行してくれる検査を現地のどこで受けられるのか事前に確認しておくことも大切です。


まとめ

新型コロナウイルス感染拡大の状況は常に変化しており、国・地域によって感染症危険情報や入国制限措置の内容なども異なります。めまぐるしく状況が変わり続けているからこそ、学生が留学先で万が一のときも適切に対処できるように、そして大学が学生をしっかりサポートできるように、情報を集め、確かな危機管理体制を構築することが重要です。留学再開に向けて多角的かつ継続的に情報収集をするうえで、今回ご紹介したポイントをぜひ一つの参考にしてみてください。


ホワイトペーパー(お役立ち資料) 留学再開に向けた準備ハンドブック ~コロナ禍だからこそ情報収集・危機管理がもっと重要に!~

新型コロナウイルスが世界中で流行し、各国で入国制限措置や行動制限措置が講じられています。外務省が発出している「感染症危険情報」を見ても、2022年2月時点でも多くの国・地域でレベル3(渡航中止勧告)になっており、未だ収束の兆しが見えていません。当然、この事態は大学の留学事情にも大きく影響を与えています。

留学プログラムの中止、ワクチンの普及による留学再開の動き、新たな変異株の流行と、めまぐるしく状況が変化する昨今。重要になってくるのが「情報収集」と「危機管理」です。このホワイトペーパーでは、留学再開に向けて押さえておくべきポイントなどを紹介しています。ぜひ留学の準備ハンドブックとしてお役立てください。

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