「Global Link Singapore」――この言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
「英語で研究発表をする世界大会」「ハイレベルな課題研究」「海外の生徒と交流できる舞台」
もしかすると、「うちの生徒にはハードルが高い」「特別な生徒だけが挑戦するもの」
そんな風に感じている先生も少なくないかもしれません。
けれど、実際にこの舞台へ飛び込んだ生徒たちの表情や言葉に触れると、「敷居が高い」だけではない、もっと身近な成長の物語が見えてきます。 今回は、千代田中学校・高等学校(東京都)から参加した4名の挑戦と成長の軌跡をご紹介します。

大会期間中には、引率した先生方による座談会を実施しました。座談会で先生方からお聞きしたGlobal Link Singaporeや日頃の探究活動に対する生の声をまとめました。こちらも是非ご覧ください。
密着取材をした生徒と研究テーマ
はじまりは「ちょっとした興味」から
それぞれの「挑戦のきっかけ」
嶋田さんは、生活の中でふと芽生えた興味を追いかけるうちに、「自分の探究を外部に発信したい」と考えるようになりました。昨年は見学者としてGlobal Link Singaporeに参加。海外の生徒たちが自分の研究を堂々と発表し、友人を作り、分野を超えて語り合う姿に強い刺激を受けました。
「来年は自分も発表者として参加したい」――その想いが、彼女の1年間の探究活動の原動力となりました。
篠木さんは、「海外に興味があった」という素朴な気持ちからこの大会を知ります。「英語は得意じゃないけど、まずは行動してみよう」難しく考えすぎず、一歩を踏み出す勇気。そのシンプルな動機が、後に大きな成長へと繋がっていきます。
池田さんと川上さんは、「自分たちの研究を海外の人に英語で伝えたい」との思いから参加を決意。高校1年の秋から、深海生態系の謎に挑む研究パートナーとして活動を続けてきました。
彼女たちのスタート地点は、決して特別なものではありません。「自分の探究をもっと広い世界に伝えたい」「英語は苦手だけど挑戦したい」 その気持ちこそが、世界への扉を開く鍵なのです。
不安と期待──「英語の壁」の向こうに見えたもの
海外発表への「ドキドキ」と「ワクワク」
発表を前にした生徒たちの心には、不安と期待が入り混じっていました。
- 「英語は日常会話レベル。専門用語や訛りに対応できるか不安です」(嶋田さん)
- 「語学面で不安はあるけど、同じ研究をしている人との交流が楽しみ」(篠木さん)
- 「英語で自分たちの想いを伝えられるかが心配。でも新種発見への情熱は本物」(池田さん&川上さん)
発表の舞台は、シンガポール・ナンヤン工科大学。7カ国・地域から集まった392名の中高生たち。
その中で自分の研究を英語で伝える――
「本当にできるのだろうか」「伝わるのだろうか」 そんな不安が、彼女たちの表情に滲みます。
けれど同時に、「自分のレベルを知りたい」「他のチームから学びたい」「自立心を高めたい」
そんな前向きな期待も、彼女たちの胸の奥に確かに宿っていました。


世界とつながる瞬間──「挑戦」が生んだ変化
交流が生んだ「新しい自分」
大会終了後、3人の表情は明らかに変わっていました。
嶋田さんは、台湾やシンガポールの生徒と友達になり、「世界には色んな人がいる。自分の世界が広がった」と語ります。
篠木さんは、インドネシアやマレーシアの生徒たちと研究を語り合い、「多様な視点に触れることで、自分の研究への新しい気づきがあった」と振り返ります。
池田さん&川上さんは、同世代の日本人生徒が海外の生徒と堂々と英語で交流する姿に刺激を受け、「自分ももっと頑張ろう」と英語学習への意欲を新たにしました。


「英語の壁」を乗り越えた瞬間
篠木さんは、ポスターセッションでインドネシアの生徒と英語で話す中、「苦手でも、伝えようと努力すれば思った以上に伝わる」と実感。「まずはやってみることが大事だと気づき、行動力に自信がついた」と語ります。
池田さん&川上さんは、審査員からの英語の質問に最初は戸惑いながらも、「わかる単語から連想して最後まで頑張って答えた。今までなら諦めていたけど、今回は最後まで挑戦できた」と、自分自身の成長を強く感じていました。



「世界」を体験することで見えた新しい可能性
自分の可能性への気づき
嶋田さんは、「こういう大会に参加できる環境に感謝し、興味を持った時に突き進めることが大切だと実感した」と語ります。
篠木さんは、「海外の人と英語で話して伝える喜びを知り、今後も海外で発表したいと思うようになった」と、進路や将来の選択肢が広がったことを嬉しそうに話してくれました。
池田さん&川上さんは、「英語が苦手だからと避けてきたけど、周りの人たちのように話したいと思ったことで、これからは勉強を避けずに取り組もうと思う」と、自分自身の意識の変化を感じていました。


後輩たちへ──「一歩踏み出す勇気」を
最後に、これから挑戦する後輩たちへのメッセージを聞きました。
- 「計画的に準備を進めて、質疑応答までしっかり対応を考えてほしい」(嶋田さん)
- 「英語に不安があっても、仲間がいるから勇気を持って一歩踏み出して」(篠木さん)
- 「英語の勉強は大事だけど、座学よりもまずはこういう場に飛び込んでみてほしい。本場の空気感を感じてから勉強するのが一番」(池田さん&川上さん)
彼女たちの言葉から伝わるのは、「賞を取ること」や「完璧な英語力」ではありません。
「挑戦の先にある、自分自身の成長」こそが、Global Link Singaporeの本当の価値なのです。
引率の先生から見た生徒の成長──千代田中学校・高等学校 堀内陽介先生
学校では体験できない「世界」との出会い
Global Link Singaporeは、生徒たちが「世界」と出会い、「自分の可能性」を広げるための舞台です。
英語が特別得意でなくても、初めてのコンテストでも、入賞出来なかったとしても――
その「一歩」が生徒たちの人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
「うちの生徒にはまだ早い」「ハードルが高い」と感じる先生もいるでしょう。ですが、実際に参加した生徒たちの成長の記録は、「初めての挑戦」だからこそ得られる気づきや、「学校では体験できない経験」が詰まっています。
この大会は、世界中の同世代と語り合い、異なる価値観や文化に触れ、自分の殻を破る絶好のチャンスです。
先生方へ──「生徒の未来」を広げるために
Global Link Singaporeは、「探究学習」「課題研究」の延長線上にある、本物のグローバル体験です。
- 英語力は重要だが、それが全てではない
- 学校では得られない「世界」との出会い
- 生徒が自分の可能性を実感できる場
ぜひ、あなたの学校の生徒にもこの挑戦の機会を届けてください。「特別な生徒」だけではなく、「ちょっとした興味」や「一歩踏み出したい気持ち」を持つ生徒たちこそ、Global Link Singaporeの舞台で大きく成長できるはずです。
Global Link Singaporeで、生徒たちは「世界」と出会い、「自分自身」と出会います。
その成長の物語を、次はあなたの学校で紡いでみませんか?
大会概要(Global Link Singapore)
- 会期
- 2025年7月26日(土) ~ 7月28日(月)
- 会場
- シンガポール ナンヤン工科大学
- 主催
- 一般社団法人次世代教育ネットワーキング機構
- 企画・運営
- 株式会社JTB
- 協賛
- シンガポール航空、読売新聞社、TSP太陽株式会社、株式会社ジージー、PMY Academy、インフロニア・ホールディングス、第一三共ヘルスケア株式会社、株式会社バンダイナムコホールディングス、キュリー株式会社、株式会社SUN Reality、株式会社PLAY SPACE、つくばScienceEdge2025実行委員会、株式会社クロスザボーダー
- 後援
- 在シンガポール日本国大使館、シンガポール政府観光局、国立研究開発法人科学技術振興機構、公益財団法人日本修学旅行協会
日本から出場した生徒も大活躍した今年度の大会
今年の大会には日本から28校77チーム184名※の生徒が参加し、非常に優秀な成績を収めました。
見学者を含む
日本から参加した受賞校
- 【基礎科学分野】
- 3位:奈良女子大学附属中等教育学校、4位:玉川学園高等部、Fine Work:鹿児島県立国分高等学校、Analysis:池田中学・高等学校、Creativity:玉川学園高等部、Presentation:三田国際科学学園高等学校
- 【応用科学分野】
- 2位:三田国際科学学園高等学校、3位:お茶の水女子大学附属高等学校、Analysis:都立大泉高等学校
- 【社会科学分野】
- 2位:大妻高等学校、Fine Work:玉川学園高等部、Analysis:成田高等学校、Creativity:大門高等学校
参考リンク
Global Link Singapore 2025 https://www.edunet.or.jp/gl/singapore/
PMY専用サイト https://pmyacademy.jp/