福岡県八女市に位置し、約1,300名の生徒が通う八女学院中学・高等学校。
今回、中学2年生を対象とした「コミュニケーション力向上プログラム」において、教育活動効果測定システム『J’s GROW』を導入し、プログラムを構成する個々の活動が生徒のコンピテンシー変化にどのような影響を与えたかを測定しました。今回はその事例と先生が感じた効果についてご紹介します。
- 背景
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八女学院中学・高等学校では、学校が掲げる生徒像である『社会に適応し、貢献できる人物』の育成に向け、中学1年生から高校1年生までの4か年を通じた~未来創造∞プログラム~を実施しています。その一環として、アウトプット機会を意識した地域課題や異文化・多様性理解を深めていくプログラムを学年毎に段階的に実施しています。
同校では、これまでも定期的に生徒のコンピテンシー測定を行っていましたが、活動ごとの効果を可視化するため、中学2年生でJ’s GROWを導入することになりました。
- 課題
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J’s GROWを導入する前、学校は以下のような課題を感じていました。
- アンケートで、行事に対する生徒の満足度は集計できるが、その行事が生徒の成長に与えている影響までは測れない
- コンピテンシー測定で生徒の成長を実感していたが、個々の行事がコンピテンシー変化に与えた影響が不明確だった
- 次年度の行事の見直しをする際の客観的な根拠がないため、JTB担当者と先生の感覚のみでしか検討ができなかった
- J’s GROW実施スケジュール
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- 2023年11月17日
- 事前測定、事前アンケート受検
- 2023年11月下旬~2024年2月上旬
- コミュニケーション力向上プログラム実施
- 2024年2月27日
- 事後測定、事後アンケート受検
J’s GROWについてはこちら
- コミュニケーション力向上プログラム
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目的
自分から質問をして、自分の意見が言えるようになる、人に伝える楽しさを理解する
概要
01事前研修
日本経済新聞社との協業プログラム~取材力・表現力・読解力を高める~/訪問企業について調べる
取材のプロからインタビューの手法を学び、企業が大事にしていること/業界・商品について調べ学習を実施。
02フィールドワーク
企業訪問/インタビュー活動
丸永製菓㈱、サクラみそ食品㈱、㈱紅乙女酒造、巨峰ワイナリーに訪問。
事前学習で学び、調査した内容をもとに各企業でインタビュー活動を実施。03事後研修+企業プレゼンテーション
インタビュー内容のまとめ/企業への提案検討/企業プレゼンテーション
インタビュー内容をグループで深掘りし、商品の魅力を高めるディスカッションを実施。
最終的には企業担当者を学校に招きプレゼンテーションを実施しました。04オンライン国際交流
英語でフィリピンの社会課題を学び、現地の方と交流
フィリピンの孤児院とオンラインでの交流プログラムを実施しました。
- J’s GROW測定結果
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J’s GROWの測定結果からは、コミュニケーション力と関連性の高いコンピテンシーのうち、組織への働きかけ(協働力・前向きな雰囲気を作りだす能力)は「プログラム③事後学習・企業プレゼンテーション」、共感・傾聴力は「プログラム④オンライン国際交流」が最も相関性が認められる活動であることが読み取れました。
測定結果は「フィードバックレポート」にまとめられ、JTB担当者から先生に対して、行事の振り返りと価値の可視化に向けたフィードバックを実施しました。
フィードバック資料を基に、次年度実施に向けた改善策についても話し合い、実施内容を調整を行いました。
- 先生の感想
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担当:龍 勲先生
今回の行事に関しては、1つのプログラムで生徒の期待度が高かった一方、積極的参加度が低かったことがデータから分かりました。そこでJTB担当者と話し合い、次年度のプログラム実施時間を検討することができました。今までにない客観的な数値があることで、合意形成を早く進めることができ、深い振り返りにも繋がりました。
今後、このデータが蓄積されていくことで、より行事自体の価値が予測しやすくなることを期待しています。他の先生方の感想
- 三者面談の際に個人レポートを活用し、客観的な見方ができるようになりました
- 行事でのグループ編成の際に、一つの判断材料として有効に活用しています
- 自分に自信が持てない生徒に、自分では気づいていない自分の強みを理解してもらえるので助かっています
- 考査の結果や授業以外での、数値では測れない内面の変化を見る一つのツールとして保護者面談で紹介させてもらっています
- 保護者に対して、日常の学校生活で将来の人間力が変化するかを紹介しています
この数年、八女学院中学・高等学校様と様々なプログラムを実施している中で、その行事が生徒に与える効果が可視化できればと考えていました。
今回、生徒のコンピテンシー変化とそれに影響を与えた活動との相関性を可視化するJ’s GROWを導入いただいたことで、次年度はより効果を高められる内容に繋げられると感じました。
今後もプログラムを実施だけで終わらず、エビデンスデータに基づいたPDCAサイクルを意識しながら、J’s GROWを活用して行事の目的達成に向けたブラッシュアップに貢献していきたいと考えています。