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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【ウェビナーレポート】注目の「ワーケーション」にはどんな魅力がある?神奈川県逗子市の取り組みに見るワーケーションの展望

2021.06.09
HR(Human Resources)
働き方改革
従業員満足

ワーク(仕事)とバケーション(余暇)を組み合わせた「ワーケーション」。新しい働き方として注目を集めていますが、コロナ禍で働き方が変わった今、より一層注目度が高まっています。導入する企業や推進する自治体が増加しているなか、積極的に取り組んでいる自治体のひとつが、神奈川県逗子市です。

逗子市は企業向けに、慶應義塾大学SFC研究所と共に「逗子市のワーケーションの取り組み」を伝えるオンラインイベントを開催。JTBも登壇者の一人として「ワーケーションの実証実験及び今後の展望」についてお話しさせていただきました。

ワーケーションってどんな魅力があるの?とお思いの方は、本セミナーレポートをぜひご一読ください。

オンラインセミナー開催概要

セミナー名
逗子市ワーケーションウェビナーイベント(参加無料)
日時
2021年3月23日(火) 14:00~16:00
主催
逗子市経営企画部企画課
共催
慶應義塾大学SFC研究所「仕事とウェルビーイングコンソーシアム」
慶應義塾大学SFC研究所 「湘南みらい都市研究機構」

内容及び登壇者

ワーケーションの科学的検証と可能性について

島津明人教授/慶應義塾大学総合政策学部

ワーケーションの実証実験及び今後の展望

原周太郎/株式会社JTB 新宿第一事業部 営業課長

逗子市におけるワーケーションの在り方~体験者とのパネルトーク~

島津明人教授/慶應義塾大学総合政策学部
原周太郎/株式会社JTB 新宿第一事業部 営業課長
林智美氏/逗子市でのワーケーション体験者

科学的検証によるワーケーションの可能性

(島津明人教授/慶應義塾大学総合政策学部)

 

神奈川県逗子市は都心から電車で約1時間の「地の利」を活かして、ワーケーションの活性化に取り組んでいます。そんな逗子市と共にワーケーション事業を推進しているのが、慶應義塾大学SFC研究所です。逗子市をはじめとする行政や中央省庁などと共に、職業生活を通じてどのようにウェルビーイング※を発展させるかを中心に研究を行っています。

身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること

ウェビナーでは、研究所を代表して慶應義塾大学総合政策学部の島津明人教授が登壇。「充実したオフが充実したオンに繋がる」という仕事と休日の関係性から、ワーケーションという働き方の可能性について講演を行いました。

リカバリーとアウトカム

就業状況、リカバリーとアウトカム

リカバリーとは、ストレスフルな体験によって消費された心理社会的資源を、ストレッサー体験前の水準に回復させるためのプロセスです。

島津教授によると、仕事によるストレスや疲労をリカバリー(回復)させるための方法は2つ。仕事中に行う内的リカバリーと、仕事中以外に行う外的リカバリーがあります。図のように、これまでは内的、外的の2方向からリカバリーを行ってきましたが、コロナ禍で在宅仕事が増えてオンオフの区切りが付けにくくなり、会社に通っていた時以上に疲労を感じる人が増えていることが分かっています。そういった背景から、「昼休みや休憩といった内的リカバリーの部分に、より注目するべきだと考えている」と話す島津教授。仕事と休みの境界がつけにくくなった現状を踏まえ、こまめな休み方に注目する重要性に言及しました。

心理的距離と精神的健康、ワーク・エンゲイジメントとの曲線関係

精神的健康(SF-36) / 心理的距離と、ワーク・エンゲージメント / 心理的距離

ワーケーションを考えるにあたり、「仕事と休みはどのように組み合わせるべき?」「職場以外の環境でも仕事に対するモチベーションを良好に保つには?」など、仕事と休みのバランスが気になる人もいると思います。仕事に対してのモチベーションのことを「ワーク・エンゲイジメント」といいますが、実際に仕事のことを忘れる(頭から仕事を切り離す)ほど、ワーク・エンゲイジメントが上がることが分かっています。しかしその数値には天井があり、忘れすぎると仕事開始時に影響が出てパフォーマンスが低下することも分かっているのです。

その点、ワーケーションは仕事を完全に切り離すことなく過ごせる休暇。仕事のことをどれくらい忘れてどれくらい気にしておくかという塩梅は今後の課題ではありますが、ワーケーションのように「半分仕事、半分リラックス」というハイブリッドな過ごし方は、ワーク・エンゲイジメントの向上に貢献するのではないかと関連性を示唆しました。

ピンチはチャンス!コロナ禍によって広がる働き方の選択肢

コロナ禍で働き方の変更を余儀なくされている現在、働く人々の意識も変化しています。働く場所の制約がなくなり、郊外に移住する動きが増えているのです。島津教授が示した日本経済新聞電子版のデータによると、逗子市を含む都心から100キロ以内のエリアに関心が高まっており、都心へのアクセスの良さと自然や静かな環境の両立を求めている人が多いことが伺えます。

コロナ禍はピンチである一方で、これまでの画一的な働き方を見直すチャンスでもあると言えるのではないでしょうか。そのひとつが、「オフィスのあり方」の再考。コワーキングスペースやワーケーションなどによってリモートワークの拠点整備を行うことが早急に必要だと言えそうです。

ワーケーションの実証実験及び今後の展望

(原周太郎/株式会社JTB 新宿第一事業部 営業課長)

 

多様化する働き方に対して、環境や制度を整えることが重要視される時代に突入した今、JTBでもさまざまな「働き方改革」を行っています。現在、在宅ワーク率は75%以上にのぼり、2020年にはふるさとワーク制度の導入やテレワーク勤務制度の拡大などに取り組みました。しかし、そういった働き方には良いことがある一方で課題もあります。

JTBの調査結果によると、「心身ストレスや非対面コミュニケーションによるチームの生産性低下」といった課題が発生していることが分かったのです。その解決策のひとつとして、 JTBではワーケーションを推進。実際に実証実験を進めています。沖縄と山梨のワーケーション実証実験では、以下のようなポジティブな効果が見られました。

沖縄県でのワーケーション実証実験の概要と結果

概要

東京勤務の20~40代の男女18名で金曜日から2泊3日のワーケーション。

実験環境は無線LAN、ソーシャルディスタンスを保持した執務エリアあり。宿泊部屋の自室でも仕事が可能。

結果

「メリハリがつかないのでは?」という意見もあったが、実際は仕事とプライベートの切り分けが促進された。参加前と比較して仕事のパフォーマンスが約20%上昇し、さらにその効果は最大5日間持続した。

山梨県でのワーケーション実証実験の概要と結果

概要

さまざまな業種の男女18名で木曜日から1泊2日のワーケーション。

自然豊かで開放的な環境を生かした空間で仕事に取り組めるスペースを用意。業務時間前後には無農薬野菜の収穫や朝ヨガ、森林散策など豊富な体験プログラムを用意。

結果

生産性の向上や心身的ストレスの低下はもちろん、ワーケーションにチームビルディング要素を取り入れることでコミュニケーションスキルの増加が確認された。

ワーケーションの活用術と逗子ワーケーションの魅力

実証実験の結果からも分かるように、ワーケーション期間中は仕事だけでなく、滞在先でグルメやさまざまな体験をすることで新たな出会いや気付きに触れることができます。そして、その体験が仕事への活力やアイディアに繋がる...と、オンオフともにポジティブな相乗効果が期待できるのです。

企業が従業員のワーケーションを成功させるには場所選びが大切ですが、逗子市にはまさに最適な環境が整っています。海、山、花、グルメが充実し、ハワイを連想させるような青空が広がっているにもかかわらず、都心から約1時間でアクセスが可能です。

ワーケーション整備に関する逗子市のこれまでの取り組みと今後の展望

ここからは「近くにある非日常リゾート空間」として、ワーケーション事業を進める逗子市のご担当者様に伺った、ワーケーション整備に関するこれまでの取り組みと今後の展望について紹介します。

取材協力:逗子市経営企画部企画課

Q.ワーケーション整備・誘致を始めたきっかけは何ですか?

逗子市におけるテレワーク誘致は、地域課題である「空き家問題」や「人口減少」への対応策として30年ほど前から議論されてきました。ここ数年は、都市部から企業を誘致する「関係法人づくり」の一環として、本格的なワーケーションの受け入れ整備に取り組んでいます。ワーケーションでの来訪を機に逗子の魅力を多くの方に知ってもらうことで、観光産業の活性化や移住・定住の促進にもつなげたいと考えています。

Q.域内に魅力的なワーケーション施設を整備するための工夫を教えてください。

逗子市のワーケーションは「企業誘致」を最終目標としていますので、コワーキングスペースや飲食店、宿泊施設の整備もできるだけ民間ベースで進めています。市内には魅力的なワーケーション施設が多数ありますが、これらは逗子の魅力に目を付けた民間の事業者がそれぞれのビジネスとして作り上げたものです。ON/OFFice ZUSHI※は、市有建物を利用して民間ベースで運営しています。

ON/OFFice ZUSHI
市所有の施設を活用し、民間事業者と市で実証実験を行っている。JR逗子駅、京急 逗子・葉山駅から徒歩5分~7分、逗子海岸へは一本道で徒歩10分以内というアクセスの便利さが魅力。利用形態は1日1社専有の企業向けのサービスとなっている。

市はそれぞれの事業者の取り組みをつなげたり、ワーケーション関連施設をマップにまとめたりすることで、エリアとしてのムーブメントを作る動きに注力しています。新しいコワーキングスペースが開設されたという情報が入り次第、実際に見に行って「市のサイトにリンクを貼ってもいいですか?」など、積極的なコミュニケーションをとっています。ありがたいことに、市内のワーケーション関連施設はこの1年で増加しました。中には古民家を改装した施設もあります。

Q.ワーケーション整備の予算はどのように確保・活用していますか?

逗子市は「地方創生臨時交付金※」を筆頭に、ワーケーション推進に使える補助金を最大限に活用しています。ワーケーションのパンフレットも、以前は手作りのA3用紙二つ折りのリーフレットでしたが、補助金を活用して全30ページの電子書籍を作ることができました。令和2年度の補助金では、その電子書籍を2000部印刷し、都内の企業に配布しましたが、その結果、企業からお電話で問い合わせをいただくこともできました。

逗子市ワーケーション冊子「A to Z 逗子ワーケーションのこと、ぜんぶ。」

正式名称:新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金

Q.ワーケーション整備・誘致の今後の展開を教えてください。

海や山などの自然に囲まれた逗子のまちは、ゆったり仕事をするにはピッタリの環境です。観光地としてクローズアップされる機会こそ少ないですが、マリンスポーツや昭和の雰囲気を残した商店街など、バケーションを楽しんでいただける観光資源もあります。今後はワーケーションを推進する企業に向けて、逗子市の魅力を積極的にアピールしていきたいですね。

Q.ワーケーション導入を検討中の企業にメッセージをお願いします。

ワーケーション推進はCSR活動やSDGsの取り組みとして、インナー向けにもアウター向けにもアピールできるアクションです。逗子市はワーケーション受け入れ地としての魅力を磨きながら、地域課題の解決に力を貸してくださる企業の皆様をお待ちしております。従業員のワーク・エンゲージメント向上や、多様な働き方の推進のためにも逗子市でのワーケーションをぜひご検討ください。


まとめ

企業と地域の交流で「価値」を生みだすワーケーション

ワーケーションというと、まだまだ「旅先で仕事をする」というイメージが強いと思いますが、実はそれだけではないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。企業のワーケーション推進は従業員のウェルビーイングの向上だけでなく、地域課題の解決や経済活性化にもつながります。

JTBが考える、ワーケーションを楽しくかつ効果的に実践するポイントは以下の3つ。

  1. 仕事の内容に合わせて働く場所を変える
  2. 仕事以外の時間から気付きや発見が生まれる
  3. 継続的にワーケーションを実践してみる

これらを踏まえて、時代に合わせた新しい働き方、休み方について考えてみてはいかがでしょうか。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)ワーケーションへの旅立ち ~企業・従業員・地域を豊かにするワーケーションの魅力と型がわかる!~

「新しい働き方」が少しずつ社会で定着しはじめています。そんな中、注目されているのが「ワーケーション」です。ワーケーションは、「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」の造語であり、リゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組みです。テレワークと心身の健康・生産性を両立できる働き方として注目されています。この注目の「ワーケーション」をわかりやすく漫画にしました。ぜひ、ご覧ください。


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