コロナ禍でリアルの商談会や見本市が開催されない中、海外販路の開拓について悩んでいた兵庫県鞄工業組合様。これからはただ一方的に情報発信するのではなく、本当のペルソナは誰なのか、どこの国のどの年代層・性別なのか。ターゲットを明確に絞り込んだ上でプロモーション活動を進めようと、「越境EC」をご活用いただいた事例をご紹介します。
- 背景
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国内最大の鞄の産地である兵庫県豊岡市。国内市場が縮小していく中、兵庫県鞄工業組合様は、数年前から海外市場に着目し、商談会や見本市などBtoB領域を中心に海外販路開拓を進めていました。BtoBでは取引価格(卸値)の交渉などの課題に苦戦しつつ取組みを推進していたところ、新型コロナウイルスが発生しました。そして2021年、越境ECによるBtoC領域への戦略変更を検討されていたところ、JTBとの商談の機会がありご相談いただきました。
- 課題
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コロナ禍で海外販路の開拓が困難に
- 豊岡鞄にとってのペルソナ(ターゲット国や年代層、性別など)が明確になっていない。
- 豊岡鞄の特徴や魅力の中での訴求ポイントが明確になっていない。
→ペルソナや訴求ポイントを捉えたブランディングと販売戦略が明確に立てられない。
- 実施内容
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海外消費者に対する豊岡鞄が当選するオープン懸賞(アンケート回答)の企画・設計
- キャンペーンサイトの構築(ブランド訴求と越境ECによる購買促進)
越境ECでアパレル・ファッションのカテゴリで日本製品を購入している海外消費者をオーディエンス化
キャンペーンの開催を会員10万人にメルマガ配信キャンペーン参加条件:「豊岡鞄の魅力」の記事を読んでもらう
(記事には、豊岡市が日本最大の鞄の産地であること、端切れを活用したSDGsへの取組み、職人を養成するスクールの運営などについて記載) - アンケート調査によるターゲティング
アンケート結果の考察と戦略策定(ペルソナ設定)
キャンペーンで世界各国から集まった3,000名以上の海外消費者の声を分析- ターゲット設定
- 「どの国のどういった層にどこを訴求ポイントとしてアプローチするか」
- 訴求ポイント
- 「豊岡鞄のどのような取組みや特長を価値として捉えていただけたか」
- ターゲット国
- 台湾
- 性別
- 男性
- 年代
- 30~40代
- 訴求手段
- インフルエンサー、SNS 広告(特に旅行系コンテンツ、リアル店舗)
- 訴求ポイント
- 「日本最大の鞄産地」「認定制度・品質」「価格帯は10,000 円~ 30,000円」
- ターゲットへの豊岡鞄の魅力発信と越境ECサイトへの集客プロモーション
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- JTBならではのサポート
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- 越境EC事業に対する豊富な知見(年間商談件数150件以上)でサポート
- 異業種パートナーとのアライアンスにより世界120ヵ国のマーケティングから出店・集客支援までサポート
- 将来的なインバウンド戦略を見据えた越境ECの企画設計をサポート
- 国内外に持つ拠点から幅広くサポート
- 制作スケジュール
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2021年
8月 企画の設計9月~10月 越境ECサイトの構築、キャンペーンサイトの制作、アンケートの設計11月 キャンペーン実施12月 アンケート結果の分析とターゲット選定(戦略策定)2022年
2月 ターゲットへのプロモーションの企画・設計4月 プロモーション開始
- お客様の声
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市場調査の結果、予想を遥かに超える3,000人の声を集めることができました。そこからターゲットを台湾に絞ってプロモーションを進めることに決めました。その際にみんなが腹落ちできたのは、数字に信頼性があったからだと思います。これまで製品の良さや価格を伝えることに目が行きがちでしたが、製品がどんなところで作られたのか、土地の文化や歴史、風土など、今後打ち出していくべきセールスポイントにも気づくことができました。また、世の中のトレンドがカジュアルに振れる中、豊岡のブランドはフォーマル、クラシカルな部分があり、そのギャップが心配でしたが、ターゲットが30代と若い世代に好まれている事実がわかり安心しました。ターゲットが明確になったので、一方的に発信するのではなく、どう商品開発すれば良いか、どう広告を発信すれば良いか、 今後は双方向の目で進め、海外2割という売上目標に向かって、まずは台湾での成功体験をしっかりつかみたいと考えています。
- おすすめポイント
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海外販路の開拓でお悩みの企業担当者様。インターネット環境が整い、PCとスマートフォンの普及により、世界のEC市場規模は拡大傾向にあリます。海外消費者の生の声の調査、調査を通じた魅力発信やブランド訴求、売り手の提供価値と買い手が求める価値の擦り合わせなど、幅広い領域にわたり貴社の「越境EC」をサポートします。お気軽にご相談ください。
JTB=「旅行を販売する会社」というイメージが、当然お客様の多くがお持ちのイメージだと思いますが、これからのJTBは、従来の「旅行=目的」ではなく、「旅行=手段」として、JTBのリソースを最大限活用して、企業や自治体、組織団体といったお客様の多様な課題をいかに解決し、価値向上に繋げられるか?をトコトン考えて、さまざまな領域で、人と人、人と場所、人とコトをつなぎ、新たな価値を創出して参ります。
コロナ禍で消費者の趣向も大きく変化をしていますが、越境ECで日本の商品を購入されている海外消費者に関してもトレンドやニーズに変化が出てきています。例えば、SNS等で瞬発的にブームが起こり関連商品の売上が伸びたり、他社が市場開拓したことでライバル商品も相乗効果で売れだしたり、途上国を中心に経済成長・ECインフラの整備により急に市場が大きくなるようなケースもあります。海外消費者の生の声(=ニーズや興味度)を把握することで、海外販路開拓の各種施策を効果的に展開することができます。またこれらの海外消費者データはインバウンド需要が戻ってきた際にも活用して頂けると考えています。
越境ECのご相談を受ける際に、ある程度、ターゲット国を決めていらっしゃる事業者様が多いと感じます。中国市場が大きい、これからは東南アジアだというようなオープン情報からターゲティングされているケースが一般的ですが、我々は「海外消費者の声」にこそ戦略のヒントが隠されていると思っています。大阪第三事業部の越境EC事業は「コーディネーター」というポジショニングです。マーケティングから戦略策定、出店支援から集客プロモーション、施策の検証からまた軌道修正を図るという中長期的な伴走が特徴です。