アサヒビール株式会社様は、持続可能な社会の実現と地域活性化を目指し、JTBとの「共創」を通じて、多岐にわたる地方創生プロジェクトを展開しています。2022年の「ひろさき援農プロジェクト」を皮切りに、企業版ふるさと納税を活用した地域支援をスタートさせ、両社の強みを掛け合わせた効果的な共創プロジェクトに取り組んできました。今回の事例では、2024年度の取り組みが内閣府から認められ、大きな注目を集めた、総額1億円の企業版ふるさと納税プロジェクトを紹介します。

- 背景
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アサヒビール株式会社様は、グループ理念である「期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造」の実現に向け、事業活動を通じた社会貢献、特に「コミュニティ」の活性化を重要課題と位置付けています。少子高齢化や人口減少が進む中で、地域社会の持続可能性を高めることは喫緊の課題であり、企業としてその解決に貢献することの重要性を認識していました。自社だけでは解決が難しいこれらの課題に対し、地域とのネットワークや交流創造のノウハウを持つJTB法人サービスとの連携に可能性を見出しました。
- 課題
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- 具体的な地域課題に対し、解決策へのアプローチや実行の困難を抱えている。
- 地方公共団体との連携や、地域に根差した活動を展開するためのネットワークやノウハウが不足している。
- 企業版ふるさと納税という制度を効果的に活用し、継続的な支援に繋げるための専門性を持っていない。
- 実施内容
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JTBは、アサヒビール様が総額1億円を拠出した「戦略公募型地方創生プロジェクト」において、企画立案から実行までを一貫して支援しました。このプロジェクトは、アサヒビール様からの「インパクトのある投資を行いたい」という相談に対し、JTBが企業版ふるさと納税を活用した「逆公募」スキームを提案したことから始まりました。
アサヒビール様の意向を深く汲み取り、2024年度は「祭り・花火の支援」「食文化の継承」、そして2025年度は「スマートドリンキングの推進」とテーマを設定。全国の自治体に向けて公募を行い、JTBが企業と自治体双方の間に立ち、180件を超える応募の中から、アサヒビール様の想いに合致する自治体を選定しました。これにより、自治体は新たな財源を確保し、地域の伝統文化の継承や活性化に繋がるプロジェクトを推進。JTBは、企業版ふるさと納税の制度設計から、自治体との合意形成、プロジェクトマネジメントまでを担い、各自治体の持続可能な発展を支援しました。
2024年度
【第1弾:祭り・花火】 全国各地の祭り・花火の存続・活性化を目的に、各地方公共団体へ1千万円寄付(計5千万円)
自治体 時期 祭り・花火 北海道余市町 2024年7月6日~7日 第56回北海ソーラン祭り 山形県山形市 2024年8月5日~7日 第62回山形花笠まつり 群馬県沼田市 2024年8月3日~5日 沼田まつり 千葉県木更津市 2024年8月14日~15日 第77回木更津港まつり 大阪府泉佐野市 2025年11月1日 大阪湾りんくう芸術花火2025 雨天中止のため2025年に延期
省エネの提灯に更新し、沿道を照らした「第62回山形花笠まつり」

【第2弾:食文化の継承】 世代を超えて受け継がれてきた食文化の継承を目的に、各地方公共団体へ5百万円寄付(計5千万円)
自治体 事業名 山形県米沢市 “すき焼き”のまち米沢 福島県いわき市 あんこうのどぶ汁
サンマのポーポー焼き・サンマのみりん干し
メヒカリの唐揚げ
ウニの貝焼き茨城県かすみがうら市 霞ヶ浦ガストロノミーツーリズム 埼玉県 スタートアップ!卵肉いいとこどり開発事業 岐阜県大野郡白川村 世界遺産白川郷を持続可能な未来へに向けた地域産業振興プロジェクト 兵庫県西脇市 日本のへそ 西脇 食のおもてなしフェスタ 和歌山県すさみ町 イノブタ生産の促進・食文化のPR事業 島根県鹿足郡津和野町 津和野街道食まつり~歴史が繋ぐ海と山の食文化~ 福岡県小郡市 鴨のまち小郡プロジェクト~鴨を取り巻く食文化の発信~ 宮崎県宮崎市 【市制100周年記念】 農の魅力発信事業 2025年度
【第3弾:スマートドリンキングの推進】 地方公共団体と連携した“新しいお酒文化=スマドリ社会の創造”と“飲酒にまつわる社会課題の解決”を目的に、各地方公共団体へ1千万円寄付(計1億円)
自治体 事業名 群馬県片品村 スマドリと村の資源を活かした交流と誘客を促進する地域共創事業 新潟県湯沢町 湯沢駅100周年を契機とした「スマートドリンキング宣言の町」発信事業 静岡県熱海市 スマドリ×夜の熱海の周遊促進、賑わい創出事業 愛知県豊橋市 豊橋まつりを通じた地域へのスマドリ概念の普及促進事業 三重県鳥羽市 鳥羽の文化と融合したスマートドリンキング体験プロジェクト 鳥取県倉吉市 スマドリ×祭りや市内ループバスを活用した地域活性化事業 京都府宇治市 スマドリと掛け合わせた地域ならではの食体験創出事業 大阪府岸和田市 だんじり祭りにおけるスマドリ推進と地域課題解決事業 福岡県嘉麻市 スマドリ文化の浸透×魅力あるまちづくり推進事業 長崎県平戸市 飲む人も飲まない人も楽しめる夜間観光の促進事業
- 導入効果
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地域全体の持続的な発展と楽しい生活文化の創造を後押ししたことが評価され、内閣府が表彰する令和7年度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」の企業部門において、2024年度(第1弾・第2弾)の取り組みが受賞しました。この受賞は、単なる社会貢献に留まらず、企業様の事業成長と地域課題解決が有機的に結びつき、持続的な価値を創出する共創モデルが評価された証です。
アサヒビール株式会社
企画・支援本部 S&OP企画部 田上様企業版ふるさと納税プロジェクトは、自治体との関係深化や地域課題への理解を促す取組として非常に大きな成果をもたらしました。国策と連動した本制度を活用することで、官民連携の事業に大きく貢献することができ、自社のマテリアリティにも寄与する取り組みとなったと実感しています。
また、本プロジェクトが評価されて、令和7年度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)大臣表彰」の企業部門を受賞できたことは、大きな喜びであり、社員の励みにもなりました。今後も、JTBが有する交流創造や制度活用の知見を借りながら、地域と歩む取り組みを継続し、さらに発展させていきたいと考えています。所属名・肩書はプロジェクト当時のものとなります。
応募件数
【第1弾:祭り・花火】101地方公共団体
【第2弾:食文化の継承】46地方公共団体
【第3弾:スマートドリンキングの推進】38地方公共団体
- JTBならではのサポート
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JTBが運営する企業版ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとコネクト」を通じて蓄積された、制度に関する深い専門知識と実務経験は、アサヒビール様の地方創生プロジェクトを強力に後押ししました。寄付先の選定から、手続き、そして寄付金を活用した事業の具体的な検討・推進まで、単なる制度活用に留まらない戦略的な地方創生を強力にサポートしました。
- 企業版ふるさと納税の専門家集団としての知見提供
- 戦略的な寄付先選定を可能にする「逆公募」スキームの提案と実行
- プロジェクト全体を支える一貫した伴走型支援
地方創生の文脈において、この企業発“逆公募”のスキームは珍しいパターンですが、公募に手を挙げる自治体には強い意思があり、地域課題を解決したいという切実な想いがにじみ出ております。
この想いの強さが企業との信頼関係を深め、交流創造を掲げるJTBとしても大きな価値を感じています。こうして育まれた関係は一時的な支援にとどまらず、官民連携による新たな展開へと広がる可能性を持っています。企業と地域が継続的に関係を築くことで、双方に持続的な価値を生む基盤になると確信しています。
※所属名・肩書はプロジェクト当時のものとなります。