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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 アフターコロナの海外・国内観光最新動向!~“健康と安全に関するガイドライン”で新たな観光のかたちへシフト~

2020.06.05
インバウンド
リスクマネジメント

新型コロナウイルスの世界的な流行は、社会のあり方や、今までの日常を瞬く間に一変させました。全世界の観光業界が未曾有の困難な局面に直面し、多方面に深刻な影響を及ぼしています。国連世界観光機関(UNWTO)は「2020年の全世界の国際観光客到着数(international tourist arrivals)は、前年より60~80%減少する可能性がある」という見通しを明らかにしています。

日本では全国的に緊急事態宣言が解除され、事態は落ち着きを見せはじめていますが、今後も感染流行の第2波が訪れる可能性は十分あり、引き続きの備えが必要です。また今回の経験を経て、世界全体の観光は再び従来の形に戻るのではなく、いろいろな面で大きく変化が求められていると言えます。

海外や国内の主要な観光関連機関では5月以降、感染拡大を観光の現場で予防するためのガイドラインを作成する動きが相次いで見られます。アフターコロナの新たな観光に向け、どのような取り組みが行われているのでしょうか?海外と国内の最新の動向をまとめましたのでご紹介します。

世界の取り組み 
UNWTOやIATAなどの国際機関が相次ぎ指針示す

国連世界観光機関(UNWTO) 産業回復に向けた3つの柱と具体策を提言

UNWTO は5月12日、 「COVID-19 TECHNICAL ASSISTANCE PACKAGE FOR TOURISM RECOVERY(COVID-19ツーリズム・リカバリー・テクニカル・アシスタント・パッケージ)(英語)」を発表しました。これは新型コロナウイルス流行により多大な打撃を受けた全世界の観光業を、より強靭で持続可能な産業へ回復させることを目指し、各国政府や観光業界向けに策定されたガイドラインです。「1.経済の回復」「2.マーケティングとプロモーション」「3.制度強化と回復力の構築」という3本柱で構成され、それぞれの柱で取り組むべきポイントが具体的に記されており、日本の観光地や事業者にとっても参考となる共通指針と言えます。

主なポイント

01経済の回復
  • 新型コロナによる影響を計測する
  • 各国ごとに観光リカバリープランを作る
  • 観光業界の中小企業に対する支援策を行う
02マーケティングとプロモーション
  • 成長に向けたシナリオを作り、優先的に取り組むマーケットを再検討する
  • テーマや地域など、個別のソースマーケットについて戦略を立てる
03制度強化と回復力の構築
  • 安全と衛生面の対応を含めたCOVID-19に適応する観光企業の回復力の構築
  • 観光復興のために官民がパートナーシップを結ぶ
  • 危機対応コミュニケーション戦略の策定
  • DMOを発展強化させる

USトラベル(全米旅行産業協会) 旅行者と事業者に「新しい常識」を提示

USトラベルは5月4日、「Travel in the New Normal(トラベル・イン・ザ・ニューノーマル)(英語)」をホワイトハウスと各州知事に提出しました。これは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)とホワイトハウスが作成したガイドライン「Opening Up America Again」をベースに、健康と安心に焦点を当て「新しい旅行の常識」についてまとめた旅行者と旅行業界向けのガイドラインです。

このガイドラインでは、新型コロナウイルス流行中及び収束後、旅行者と旅行事業者の安全を確保し、新型コロナウイルスの感染リスクを軽減するための方策を6つのポイントにまとめています。それぞれのポイントと、示された主な具体策は以下の通りです。

01スタッフの慣習とパプリックスペースを再設計

手洗いの徹底、マスクや手袋の活用、ソーシャルディスタンスの確保など

02業務における非接触の促進

支払いやチケット発行、チェックインなどのタッチレス化

03消毒の奨励

アルコールによる手の消毒の奨励、パプリックスペースへの消毒液設置など

04従業員および旅行者の健康チェックの促進

病気あるいは体調不良の従業員は休ませる、病気あるいは体調不良の旅行者は体調回復するまで旅行を延期してもらう

05陽性患者にはCDCのガイダンスに従って対応

06料飲サービスはFDA(アメリカ食品医薬品局)が奨励する対応に従う

国際航空運送協会(IATA) 乗客と乗務員、地上スタッフにマスク着用を奨励

世界の航空会社で構成される業界団体 IATAでは、新型コロナウイルスをはじめとした感染症の流行中、及び流行終了後の客室オペレーションについてのガイドライン「Guidance for Cabin Operations During and Post Pandemic(英語)」を作成しました。最初に発表されたのは4月20日で、5月7日に一部を改定した第2版が出されています。

「オペレーション前の準備」「備品」「清掃と消毒」「客室オペレーション」の4項目から構成され、特に重要な事項は赤字で記されています。

「備品」の項目ではマスクについて赤字で書かれており、感染症の広がりが見られる間は、客室乗務員をはじめとする航空会社及び空港スタッフに対し、業務中のマスク着用を奨励するとしています。ただしN-95 マスクやサージカルマスクなどの医療用である必要はなく、こうしたマスクは医療関係者へ優先的に提供されるべきとしています。 また、搭乗客に対してもチェックイン時から機内搭乗中まで、飲食する間を除いてはマスクを着用することが奨励されています。

「客室オペレーション」の項目では、ソーシャルディスタンスについて赤字で書かれています。 一般的に人と人の間隔を2m保つことが感染予防に有効とされていますが、座席間隔を空けても機内でこの距離を保つことは現実的に不可能であり、機内の乗客間で感染したという医学的証拠がほとんど見られないなどの理由から、IATAでは「座席の間隔を空けて乗客を座らせることは効果的な予防策ではない」としています。

その代わり、飛行機の客室は以下のような構造やシステムにより、感染を防ぐことが可能としています。

  • シートの背もたれによって物理的バリアが設けられている
  • 乗客同士が対面する座席配置はほとんど行われない
  • 機内では上から下へ空気が流れるため、前後間での空気の動きは少ない
  • 新しい航空機材は空気を浄化するHEPAフィルターを採用

国内の取り組み 
JATAや各宿泊業界団体が対応ガイドラインを作成

日本旅行業協会(JATA) 来店は予約制、小グループでの施設入場などを推奨

JATAは5月14日、「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」を発表しました。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言を受け、新型コロナウイルス感染終息までの、旅行業における当面の対策をとりまとめたもので、最新の知見や利用客の要望などに応じ、随時内容を見直すとしています。

ガイドラインは1)全般的な感染防止対策、2)従業員向け対策、3)お客様向け対策、4)旅行業法取扱上における対策の4項目に大きく分かれており、店舗での対応と旅行催行中それぞれの場面についての具体的な対策が記されています。

全般的な対策としては従業員と利用客、及び利用客同士の距離を最低1m、できれば2m確保、従業員・利用客ともに店舗内でのマスク着用が推奨されています。 店舗においては、待ち時間を短縮し、密を避けるため旅行相談や申し込みは事前の来店予約を推奨しています。また電話・オンライン販売への誘導やデジタルパンフレットによる事前案内などを行い、お客様との直接接触する機会を極力低減するよう業務の見直しを行うことも、推奨しています。

旅行催行中については、「三密を避ける旅程管理」として観光地でのガイドレシーバーを利用したガイディング、小グループに分け時間差をつけた入場を行う、旅行中に体調不良となった利用客がいたら最寄りの保健所や医療機関に相談・受診できるよう準備する、要所要所で手洗い・うがいができる適切な休憩場所を選ぶなど、きめ細かく対応策が記されています。

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)など宿泊3団体 エリア・場面別のきめ細かい対策を提示

全旅連、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟の宿泊業界3団体は5月14日、共同で「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」を作成しました。こちらもJATAのガイドライン同様、専門家会議の提言を受けて作成されたもので、状況の変化に応じて随時見直しを図るとしています。

基本原則と宿泊施設内の各エリア・場面別の対応策が挙げられており、基本原則では、従業員と宿泊客及び宿泊客同士の対人距離をできるだけ2m確保すること、従業員の毎日の体温測定と健康チェック、消毒用アルコール液を施設内に設置、バス送迎は乗車人数を制限して運行することなどが奨励されています。

エリア・場面別では、より具体的な対策が挙げられています。例えばチェックイン時ではモバイルによるプリチェックイン、宿泊カードのオンライン化、生体認証やモバイル端末によるキーレスシステムの導入など、大浴場では入場人数の制限や、宿泊客への化粧品・ブラシ等の持参要請などの対策が記されています。

感染のリスクが高い食事の場面については最も項目が多く、きめ細かく対策が記されています。例えば、ビュッフェ方式についてはセットメニューに変更するか、料理を小皿に盛って提供、スタッフが料理を取り分ける、各宿泊客に取り分け用のトングや箸を渡し、使い終わったら回収・消毒して共用はしないなどの具体策が書かれています。

また、座席レイアウトは横並び着席を推奨しており、宿泊客には食事会場の入場時に手洗い又は手指消毒の徹底、食事開始前または食事中にテーブル間の移動などを行う際はマスク着用を要請するとしています。


 

今後、国内外の観光のかたちは大きく変わり、より一層、安心・安全のための様々な対策が求められるようになります。今求められているのは変化に柔軟に対応していく適応力。今回の経験をもとに、みんなで知恵を出し合い、今までとは一味違う「新たな観光」スタイルへの道を切り開いていきましょう。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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