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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 コロナ禍における多言語コールセンターのニーズの変化にみる今後の外国人対応のポイントとは?

2020.07.17
リスクマネジメント
インバウンド

訪日外国人に対する接客の最前線で、スムーズなコミュニケーションを支えているのが多言語コールセンターです。すでにさまざまな自治体や民間企業にご利用いただいており、訪日旅行者の増加とともに、多様化する問い合わせにきめ細かく対応しています。またインバウンド市場の拡大に伴い、訪日外国人のケガや病気が増えており、医療通訳サービスのニーズも大きく高まっています。今回、新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大したことで、日本のインバウンド市場は過去に類を見ない打撃を受けました。その渦中で「感染症」という新たな危機に直面し、多言語コールセンターにはどのような情報が求められ、どのように対応したのでしょうか?緊急事態宣言が解除されても、感染症の危機が完全に去ったわけではありません。多言語コールセンターへのお問合せ内容の変化から、これから先、訪日外国人への対応にはどういった備えが必要なのか、今後のヒントを探ってみました。

訪日外国人からの問合せが急増

4月は6000件以上の問い合わせ、訪日客に加えて在住外国人の相談も増加しました。多言語コールセンターでは非常時の外国人旅行者の安全・安心確保のため、24時間365日、英語、中国語、韓国語、日本語で電話対応する業務を請け負っています。国内で感染者が発生する前の1月前半から、「高熱が続いている」といった新型コロナ感染が疑われる相談案件が見られ始め、1月後半になると「自分は新型コロナに感染しているのでは?」といった問い合わせも入ってくるようになりました。2月以降は問い合わせ数が大きく増加し、ピークを迎えたのが4月でした。平常時の問い合わせ件数は1ヶ月間で100件ほどですが、この月だけで6000件以上の問い合わせがありました。全部が新型コロナ関連ではありませんでしたが、7~8割は新型コロナに関する内容でした。訪日旅行者だけでなく、在住外国人と思われる相談者からの問い合わせも一部入っている状況で、新型コロナ感染が疑われた場合の対応について、多言語による周知体制が十分整っていない自治体も多く、情報源が限られるのでここに問い合わせたというケースが多く見られました。4月以降は多くの国・地域に入国制限が設けられたため、旅行者からの問い合わせは減りましたが、今後の訪日旅行の見通しについての問い合わせが海外から入るケースが増えており、現在も継続して入ってきています。

通訳支援ニーズの変化

医療機関における通訳のニーズも急増しました。新型コロナ感染の疑いがある訪日旅行者や在住外国人が全員、医療機関に直接行ってしまうと医療現場の混乱を招き医療崩壊をきたす恐れもあります。その前段階での聞き取りや「直接医療機関に行くのは控えてください」というアナウンスをするため、自治体の一部からは「医療機関に加えて、保健所に対する通訳支援ができないか?」という相談もありました。多言語コールセンターを利用している事業者や自治体では、訪日旅行者の激減に伴い問い合わせも減っていますが、契約を解除するケースはほとんどなく、今後のインバウンド来訪に向けて継続している事業者や自治体がほとんどです。最近は、百貨店などの営業再開に伴い、具体的な再開時期や商品の取り扱いについての問い合わせが徐々に増えてきています。

多言語コールセンターの体制強化

~通訳センターを3カ所に分けオペレーターを増員、内部の感染対策を徹底~

多言語コールセンターの体制も、状況に合わせた対応を随時行いました。新型コロナウイルスが中国で発生したことを受け、中国語での問い合わせの増加が見込まれたため、2月に中国語対応のオペレーターを約20名増員。その後、欧州や米国への感染拡大に伴い、3月に英語対応のオペレーターを約20名増員しました。オペレーターの増員に伴って、拠点となるセンターのスペース拡大も行いました。

通常時は約100名が東京のセンターに勤務していますが、同じオフィスにある会議室に電話回線を引いて第2センターを設置したほか、緊急事態に備え国内にあるBCPセンターにも人員を追加し、3拠点での対応を行いました。また、個人情報の管理が必要となる医療通訳や緊急性が高い案件はこれらの拠点で対応しますが、そうでないものは在宅対応も可能としました。各拠点ではオペレーター同士の接触を減らし、感染のリスクを最低限に抑えるため、シフト制を組み、1回あたりのシフトは拠点ごとに20名程度を上限としました。センター内ではソーシャルディスタンスを確保するため、オペレーターは間隔をあけて座り、定期的に換気の時間を設けて外気を取り入れています。また、マスクや消毒液などの備品を確保して出勤者に対して提供するほか、チェック表を作って手洗い・うがいやマスク着用などを励行するとともに、首からかけるタイプのウイルス除去グッズや免疫力を高めるための乳酸菌飲料の配布なども行われました。緊急事態宣言が解除された6月以降も3拠点での運営や、これらの取り組みを継続しています。

POINT 01通常時と非常時の複合的な体制づくりを

今回、健康や生活に関する通訳や情報発信のニーズが大きく高まった一方、観光案内に関する通訳ニーズは激減しました。インバウンドが回復すれば再び観光通訳のニーズも高まると考えられますが、通常時は観光に関する通訳を行い、今回のような事態が起これば在住外国人も含めて健康や生活の相談に対応するといった、複合的な体制づくりも必要ではないかと考えられます。また、地域によって訪日外国人や在住外国人の傾向も異なることから、各地域の特性に合わせたコールセンターの運用も今後の課題と言えます。

POINT 02第2波到来や新たな感染症に備え、今からサポート対象拡大などへの備えを

多言語コールセンターでは、これまで地震や台風などの災害対応を経験してきましたが、感染症への対応は実質、今回が初めての経験となります。他の災害と異なり、対応期間が長期に渡るのが感染症の大きな特徴であり、世界的な感染フェーズに応じた言語ニーズの変化も見られました。また、在住外国人や保健所など、サポートが必要とされる対象の拡大も特徴として挙げられます。今回のコロナ禍で、特に言語的な支援や情報提供を必要としたのが在住外国人です。在住外国人による自国の友人や家族への口コミは、インバウンドマーケティングの重要なツールの一つであり、訪日外国人だけでなく、こうした人たちをバックアップする体制を平常時から整えておくことは、日本滞在に対する安心感を高め、ひいてはインバウンド誘致にもつながると考えられます。

今回のコロナ禍は、訪日外国人がサステナブルに観光するために必要なサポートについて、改めて考えさせられる機会となりました。さまざまな種類の災害が発生する中、多言語コールセンターは接客サービス支援にとどまらず、社会インフラに近い役割を求められるようになりました。緊急事態宣言が解除されても感染流行の第2波の到来や、他の感染症が流行する可能性は十分あり、そうした観点から、通常時の対応に留まらず、非常時の対応を再考し、対応体制の充実と整備を図っていく必要があると考えられます。

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