グローバルイベント成功の鍵とは?
~日本とインドの文化を融合したセレモニー運営~
グローバル展開を加速させる企業にとって、海外拠点の開設セレモニーは重要なイベントです。しかし、文化や商慣習の違いから、想定外の課題に直面するケースは少なくありません。本記事では、JTBシンガポール支店とインド支店が協業し、インド南部で実施したNIPPON EXPRESS様の新倉庫開所式の事例をもとに、海外でのセレモニーイベントを成功させるポイントをご紹介します。

プロジェクト概要
| お客様 | NIPPON EXPRESS 様 | |
|---|---|---|
| 開催地 | インド南部 | |
| 参加者 | 約100名(日本とインドの政府関係者、ビジネスパートナー等のVIPゲスト) | |
| 準備期間 | 約2ヶ月 | |
| 開催時期 | 2025年1月 | |
新設された大規模倉庫を会場として、日本とインド双方のVIPゲストを招き、両国のビジネス関係強化と今後の成長を祈念するセレモニーを開催。JTBシンガポール支店が出張などの旅行業務を受託していたことがきっかけで相談をいただき、さらにJTBグループがインドに拠点を持つことが評価され、イベント開催の約2ヶ月前に受注が決定しました。
プロジェクトで直面した3つの課題
課題01約2ヶ月という限られた準備期間
準備開始時点では倉庫の外観も一部しか完成しておらず、周辺道路も未舗装の状態でした。完成後の倉庫をイメージしながら、インドの現地スタッフとプロジェクトを進行する必要がありました。
課題02日本とインドの商慣習の違い
日本では細かく段取りを行い、進捗状況とルールを共有しながらイベントの準備を進めることが一般的です。一方で、インドのビジネス習慣では緻密な報告や状況共有の文化は強くなく、開催日が近づいてから一気に準備を進める傾向があります。この文化の違いを把握し、調整しながらプロジェクトを進める必要がありました。
課題03日本とインド双方の文化への配慮
参加者の半数が日本人、半数がインド人であったため、両者が満足するセレモニーを企画する必要がありました。単一の文化に偏ることなく、双方に配慮したプログラム構成が求められました。
課題解決のための4つのアプローチ
アプローチ01JTBシンガポール支店とインド支店の役割分担
短期間で効率的な準備を進めるため、JTBはシンガポール支店とインド支店で役割を分担しました。
シンガポール支店の役割
- お客様からの要望ヒアリング
- プロジェクト全体の進行管理
- 週に3回程度のオンライン会議を実施し、進捗状況を細かく共有
インド支店の役割
- 会場設営とオペレーション
- 日本企業関連のイベント設営経験が豊富なスタッフをリーダーに起用
- 日本とインド両国の文化に配慮したイベント実現のサポート
この明確な役割分担により、お客様との認識のずれを防ぎ、効率的なプロジェクト進行が実現しました。
アプローチ02インドの商慣習に合わせたコミュニケーション手法
インドの現地スタッフと緻密なコミュニケーションを行うため、インドの商慣習で馴染み深い「Whats App」を採用し、プロジェクトを進行。即座に最新の情報を共有できる体制を重視し、現地スタッフが使い慣れているアプリを活用しました。
また、日本とインドではセレモニーに必要な演出の認識が異なるケースがあります。例えば、日本式のセレモニーで実施されるテープカットは、他国の参加者にとっては実際の段取りや細かい所作がイメージしにくい場合があります。そこで、事前に必要なテープの長さを写真とともに指定し、現地スタッフが認識しやすいように情報を伝えるなど、細部にまで配慮しました。
アプローチ03現地の文化を尊重したプログラムの立案
商慣習だけでなくインドの文化も尊重し、インド式のプログラムを採用しました。開幕時にはインドのセレモニーで定番となっているセレモニーランプの点灯を実施し、祈りを捧げる時間を確保しています。
また、立食パーティでの食事は日本とインドの双方の料理を準備しました。インドの料理としてはカレーやビリヤニを用意し、日本の料理は天ぷらや握りたての寿司等を提供。両国に馴染み深い料理を、適切な量と種類で提供したことで、参加者から高い評価をいただきました。
アプローチ0460ページ超のオペレーションマニュアルの作成
現地スタッフと円滑に連携するため、社内スタッフ向けの詳細なオペレーションマニュアルを作成。マニュアルは60ページ以上にわたり、当日のスケジュール、受付対応、VIPゲストの案内、ステージ演出の進行、ランプ点灯やリボンカットの手順、さらには昼食の配膳サポートに至るまで、各セクションの役割や動線を詳細に記述しました。
マニュアルに含まれた主な内容
- 当日のタイムスケジュール
- 受付対応フロー
- VIPゲストの案内動線
- ステージ演出の進行手順
- ランプ点灯・リボンカットの詳細手順
- 食事配膳のサポート方法
このマニュアルにより、文化や習慣の違いによる混乱を防ぎ、当日のスムーズな運営を実現しました。

プロジェクトの成果と成功要因
JTBシンガポール支店とインド支店が協業したインド南部における倉庫の開所セレモニーは短い準備期間であったものの、滞りなく準備が整いセレモニー開催を迎えました。VIPゲストからは「落ち着いた雰囲気の内装がよかった」「食事の種類が豊富で美味しかった」と好評をいただきました。
成功の主な要因
- シンガポール支店の他国イベント開催経験
商慣習の違いによるすれ違いを防ぐ方法や、プロジェクトチームの構築方法に知見を有していた。 - インド支店のイベント開催実績
インド支店でのイベント開催事例が豊富だったことが、現地のゲストから期待以上の評価をいただいた要因の一つとなっていた。 - グローバルネットワークの活用
シンガポール支店とインド支店の強みを組み合わせた協業体制により、短い準備期間の中、質の高いイベント開催を実現できた。
海外拠点開設セレモニー成功の3つのポイント
本事例から得られた、海外でのセレモニーイベントを成功させるためのポイントは、以下の3点があげられます。
POINT01現地の商慣習に合わせた柔軟なコミュニケーション
現地で一般的に使用されているコミュニケーションツールを活用し、相手が理解しやすい形で情報を伝えることが重要です。テキストだけでなく、写真や図を用いた視覚的な情報提供も有効です。
POINT02相手国の文化を尊重したプログラム設計
現地の文化や習慣を理解し、それを尊重したプログラム構成を行うことで、参加者の満足度を高めることができます。食事やセレモニーの演出など、細部にまで配慮することが重要です。
POINT03グローバルネットワークを活かした協業体制
現地拠点と本社または他拠点が明確な役割分担のもとで協業することで、効率的かつ質の高いイベント運営が可能となります。各拠点の強みを活かした体制構築が成功の鍵となります。
まとめ
海外でのセレモニーイベントを成功させるには、単なる言語対応だけでなく、文化・商慣習への深い理解が不可欠です。本事例のように、現地の文化を尊重したプログラム設計、現地の商慣習に合わせたコミュニケーション、そしてグローバルネットワークを活かした協業体制が、成功への重要な要素となります。
グローバルネットワークを活用した大規模プロジェクトの企画・開催は、JTBの強みです。JTBは世界中で現地の文化に配慮したイベントを開催し、クライアントにご満足いただける運営体制を提供しています。今後もこの強みを活かし、多様な国際イベントの実現をサポートしてまいります。