グローバルに事業を展開する企業にとって、世界各国の社員が一堂に会する社内イベントは、方向性の共有・エンゲージメント強化・ベストプラクティスの浸透を同時にかなえる重要な機会です。しかし、国や文化、働き方の多様性が増すいま、「集めるだけで一体感が生まれる」時代ではありません。
本稿では、JTBグローバル統括本部が実施した社内表彰イベント「GBU AWARDS」の取り組みを題材にしながら、企業が悩みがちな4つの論点を整理し、成果につながるグローバルイベント設計のポイントを解説します。

グローバルイベントに、いま求められていること

グローバルに事業を展開する企業にとって、世界中の社員が一堂に会するイベントは、組織の方向性や価値観を共有するうえで欠かせない重要な場です。
近年は拠点の分散や働き方の多様化が進み、オンラインで情報を共有する機会も増えています。しかし、情報を届けることができても、一体感や当事者意識、次の行動につながる熱量を生み出すことは簡単ではありません。
こうしたグローバルイベントを難しくしている大きな要因が、参加者の文化・習慣・価値観の違いです。
グローバルイベントにおける多様性
多様性とは、単に国籍が違うということだけではありません。
- 時差
- 食文化や宗教的配慮
- 服装や振る舞いに対する価値観
- 「おもてなし」への期待水準
- 発言スタイルの違い(積極型/熟考型)
など、さまざまな違いに配慮する必要があります。
こうした前提を理解しないままイベントを設計すると、同じメッセージでも受け取られ方は大きく変わります。
だからこそ“多様性を前提にした参加設計” が欠かせません。
参加方法・役割・言語・体験価値などを工夫し、すべての参加者が同じ目線で関われるイベントこそが、グローバル組織において効果を発揮します。
事例:JTB「GBU AWARDS」での取り組み

JTBグローバル統括本部が主催する社内表彰イベント「GBU AWARDS」は、世界36カ国から現地・オンラインあわせて600名以上が参加する大規模なグローバルイベントです。
2012年から継続開催されており、事業成果の称賛、ベストプラクティスの共有、未来に向けた方向性の提示を目的としています。
今回の開催テーマは「個々の強みを磨き、次の成長につなげる(Rise to Shine)」。
基調講演・表彰式・パーティーの三部構成で、社員が主体的に参加する設計が徹底されました。

「GBU AWARDS」は過去を振り返る場にとどまらず、受賞者の姿を通して他の社員が挑戦意欲を高められる場にしたいという思いがありました。
一方で、毎年開催されるイベントだからこそ、内容がマンネリ化してしまうリスクもあります。
そこで、イベントが常に新鮮で成長を感じられる場となるよう、
- 継承すべき点
- 改善すべき点
を丁寧に整理し、翌年へ向けたブラッシュアップを行いました。


【事例に基づき解説】企業が悩む4つの論点
①費用はどこの部署が負担する?
「GBU AWARDS」では、JTBグローバル統括本部が主催・設計を担い、イベント全体を “社内横断の投資”として位置づけました。インナーブランディングとイベント価値を同時に高める考え方です。
一般的には下記のようなモデルが採用されます。
- 本社主導型
- 企画・制作・配信は本社、各拠点は移動・宿泊費を負担
- マッチング型
- 本社70~80%、各拠点 20~30%で費用分担
- 横断プロジェクト型
- 人事・広報・事業推進など複数部門で予算を束ねる
費用妥当性をチェックするためには、
- 離職率低下
- 社内公募への応募増加
- クロスリージョン案件の創出数(海外拠点同士の連携強化)
などのKPIと紐づけた投資対効果(ROI)可視化が有効です。
②招待対象はどこまで?
グローバルイベントにおいて、「誰をどこまで招待するか」は企画段階で必ず議論になるポイントです。
「GBU AWARDS」では、受賞者・候補者だけでなく、全社員がオンライン投票に参加できる仕組みを導入し、“誰ひとり蚊帳の外にしない”方針を取りました。
一般的には下記のように整理されます。
- コア層
- 受賞者、候補者、推薦者、経営層
- 拡張層
- 関連プロジェクトメンバー、次世代リーダー(タレントプール)
また、現地参加枠は、登壇・運営・ネットワーキング価値など“役割ベース”で選定し、その他はオンライン参加とすることで公平な参加体験を確保します。
③開催を検討すべき時期は?
「GBU AWARDS」は告知時期を約7か月前に前倒しし、海外参加者のビザ取得や旅程調整をスムーズ化しました。これにより、出張と顧客訪問を組み合わせるなど、来日の価値最大化にもつなげました。
一般的には下記のような設計が推奨されます。
- 告知
- 6~8か月前
- 正式案内
- 3~4か月前
- 旅程確定
- 2か月前
また、GW・夏休み・年末年始・大型展示会シーズンなどの旅行高騰時期を避けることで、移動コストも最適化できます。
④効果検証
グローバルイベントの効果を最大化し、継続的に価値を生むためには、成果指標の明確化とマンネリ化防止の仕組みづくりが欠かせません。
「GBU AWARDS」では、前年のアンケートをもとに
- シンボルツリーの進化
- 会場演出の強化
- 空調やサービスの改善
など、PDCAに基づくアップデートが行われました。
一般的には、以下のような指標が効果測定に利用されます。
- 参加率(現地・オンライン)
- 従業員満足度(NPS/CS)
- 投票参加率
- ネットワーキング接触数
まとめ

JTB グローバル統括本部 / 事業企画担当マネージャー 櫻井 晴乃
「GBU AWARDS」を通じて改めて実感したのは、一体感は自然には生まれず、文化や習慣の違いを前提に設計することで育まれるということです。
全員参加型の仕組みを取り入れることで、発言スタイルや自己表現が異なる参加者も同じ目線で関わることができ、表彰を通じて自分の仕事の意義を再確認する機会にもつながりました。
イベント後には、地域を越えた事例共有や新たな協働の動きが自然に生まれ、グローバルな横のつながりが広がりました。
文化の違いを「調整すべき課題」として捉えるのではなく、最初から前提条件として設計に組み込む姿勢こそが、グローバルイベントの成功を左右します。
グローバルイベントは、単なる情報共有の場ではなく、多様な人材が同じ方向を向き、次の行動へ踏み出すきっかけをつくる場として設計することで、組織に持続的な影響をもたらすことができます。
JTBは、
- 世界各国をつなぐグローバルネットワーク
- MICE分野で培った企画・演出・運営力
- 日本ならではのきめ細やかなホスピタリティ
を組み合わせ、国・文化・距離を越えてメッセージが伝わるグローバルイベントを実現します。
企業のグローバルコミュニケーションを成功に導くパートナーとして、ぜひともご相談をお待ちしております。
