2025年7月15日、JTBは虎ノ門ヒルズフォーラムにて法人顧客向けイベント「JTB Engagement Festival」を開催しました。行動経済学の知見を取り入れたイベント設計により、参加者の96%が「10点満点中7点以上」と回答する高い満足度を達成。JTBが旅行業にとどまらない幅広いビジネスソリューションを展開していることを、体験を通じて伝える取り組みとなりました。
本記事では、単なるセミナーや展示会とは一線を画す、参加者の「感情」と「行動」に着目して設計されたイベントの模様をレポートします。

開催の背景:なぜ今、「ビジネスの祭典」なのか?
近年、デジタル化の進展と価値観の多様化により、企業と従業員、あるいは企業と顧客との「つながり(エンゲージメント)」の在り方は劇的な変化を求められています。
多くの企業が、従業員の離職防止やパフォーマンス向上、あるいは顧客のLTV(Life Time Value)向上といった課題に直面する中で、JTBは「交流」をプロデュースすることでこれらの課題解決を支援してきました。
特に顧客を招いたイベントにおいては、ブランディングや認知度向上を目的とした活用が増えています。
一方で、リアルイベントを開催するにあたり、「参加者に何を体験してもらうべきか」「どのように満足度を高めるか」といった企画設計に悩む声も多く、イベント担当者の多くが課題を感じているのが実情です。
本案件を企画した、JTBビジネスソリューション事業本部の岡田は以下のように語っています。
「その背景にあるのが『顧客体験価値』です。お忙しい中、時間を割いてご参加いただく以上、本当に参加する価値のある体験を提供できているのかが問われています。参加者の心に響き、記憶に残る体験を創出できれば、ブランディングや認知度の向上にとどまらず、顧客とのエンゲージメント課題の解決にもつながると考えています。」

ビジネスソリューション事業本部 事業推進部 マーケティングチーム/政策担当 岡田 裕介(Okada Yusuke)
JTB入社後、法人営業を経て、BtoBマーケティングおよび事業戦略の立案・推進に従事。現在はABM(Account Based Marketing)を軸に、デジタルマーケティング戦略設計やブランドメッセージ・顧客体験の一貫性設計を担当。
特に「Meetings & Events(M&E)」領域では、JTBの提供価値を"交流"の視点から再定義し、BtoBブランドとしての想起獲得を目指したブランディング施策を展開。営業・事業部門と連携し、マーケティングを通じた需要創出と事業成長に貢献している。
「旅行だけじゃないJTB」を伝えるために
ABM(Account Based Marketing)戦略に基づく顧客関係構築を推進する中、営業現場では「新規部署開拓のハードルが高い」「多様な事業領域の価値説明が困難」といった声が挙がっていました。
実際、本イベントの事前アンケートでも、約73%の方がJTBの「旅行以外のソリューション」について「知らない・わからない」と回答されていました。そこで、「あれもJTB、これもJTB」と感じていただけるよう、多岐にわたるソリューションを一堂に会し、かつ「JTBらしく、楽しく、心地よい」体験を通じて理解を深めていただく場として企画されたのが、この「JTB Engagement Festival」です。
イベント概要
JTB Engagement Festivalは、企業が直面するさまざまな経営課題に対し、「交流」と「体験」を起点に、新たな気づきと価値創出を促すJTB主催のビジネスイベントです。
JTBが長年培ってきた、イベントプロデュース力を活かし、単なる情報提供の場ではなく、参加者の記憶に残り、行動変容につながる“体験型ビジネスイベント”として企画しています。
当日は、JTBの幅広いソリューションをテーマ別に体感できるコンテンツや、第一線で活躍する企業・有識者によるセッション、参加者同士の対話と偶発的な出会いを促す交流プログラムを展開。業界や立場を越えたつながりの中から、新たなビジネスのヒントや共創の可能性を創出します。
本イベントは、法人領域におけるJTBのフラッグシップイベントとして、顧客とのエンゲージメント強化を促すとともに、「JTB Meetings & Events(M&E)」のブランド価値向上を目指す場でもあります。
参加者が「学び」「気づき」「つながり」を持ち帰り、その先の具体的なアクションへとつながる――JTB Engagement Festivalは、そんな“次につながるビジネスの祭典”です。
行動経済学を実装したイベントデザイン
本イベントの最大の特徴は、イベントの設計自体に「行動経済学」の理論が徹底的に組み込まれている点です。
人間の意思決定の多くは、直感的で高速な思考(システム1)によって行われると言われています。本イベントでは、論理的な説明(システム2)による理解促進だけでなく、直感的に「楽しい」「心地よい」と感じていただく体験(システム1)を重視しました。
3つの重要ポイント

具体的には、以下の3つのポイントをベースに演出が施されました。
- 第一印象(WOWファクター)
- 受付エリアではDJによる生パフォーマンスBGMと電飾看板で「フェス感」を創出。来場した瞬間の高揚感を演出しました。
- 心理的なピーク(インパクトモーメント)
- 会場内に実物の新幹線座席を活用した、プロモーション向けの体験型展示や、巨大な「ロス旅缶(規格外野菜を活用した缶詰)」モニュメントを設置。特にユニークだったのは「Funゾーン」の設置で、MLB(メジャーリーグベースボール)スタジアムを再現したビンゴゲームアトラクションです。ゲームでは、参加者同士が声を発して楽しむ、体を動かすといった記憶に残る「インパクトモーメント」を創出しました。
- 最後の印象(ポジティブな記憶)
- お土産の手渡し方一つにも工夫を凝らし、最後までポジティブな感情を持ち帰っていただく設計としました。
これらは、「ずっと居続けたい"ビジネスの祭典"」を実現するための仕掛けであり、参加者のエンゲージメントを高める「交流」の場でもありました。
基調講演・特別講演:エンゲージメントの本質に迫る
メインホールで開催された講演プログラムは、理論と実践の両面からエンゲージメントを深掘りする内容となりました。
基調講演「人はなぜ動くのか? 行動経済学から読み解くエンゲージメント」

基調講演には、行動経済学の第一人者であり、著書『行動経済学が最強の学問である』(累計15万部突破)の著者である相良奈美香氏が、アメリカから来日して登壇しました。
JTBの大塚専務との対談形式で、「人はなぜ動くのか?行動経済学から読み解く、エンゲージメントと意思決定の構造」をテーマに講演が行われました。
講演では、現代のビジネスにおいて顧客や従業員のエンゲージメントを高めるためには、相手の「直感(システム1)」に働きかけるアプローチがいかに重要であるかが語られました。
また、人は1日に約35,000回もの意思決定を行っていることや、変化やリスクを避けて現状を維持しようとする「現状維持バイアス」といった心理的傾向についても解説されました。
さらに、こうした行動経済学の知見をイベント設計にどのように活用できるのかについても触れられ、参加者の行動変容やエンゲージメント向上につながる具体的なお話がされました。
特別講演「サントリー × JTB 共創事業におけるエンゲージメント設計」

続いて行われた特別講演では、サントリー株式会社の芦田雅章氏、サントリーコーポレートビジネス株式会社の坂元泰斗氏をゲストに迎え、「移動時間を"体験空間"に!?」をテーマにしたトークセッションが展開されました。
東海道新幹線を部分貸し切りにして行われたシングルモルトウイスキー「山崎」のファンコミュニケーションイベントなど、JTBとサントリー様、JR東海様による共創事業の事例を紹介。「単なる移動手段」を「ブランド体験の場」へと変える大胆な発想と、それを実現するまでのプロセス、そしてそこから生まれたファンコミュニティとのエンゲージメント深化について、実践者ならではのリアルな裏話が披露されました。
展示・体験エリア:課題解決へのストーリー

講演エリアを飛び出した先の展示エリアは、まさに「フェスティバル」の名にふさわしい空間が広がります。ここでは、単にサービスを紹介するのではなく、企業の「インナー課題(社内)」と「アウター課題(社外)」という2つの軸に沿って、ストーリー仕立てでソリューションを設置しました。
インナー課題ゾーン「従業員エンゲージメントの向上」

アウター課題ゾーン:顧客エンゲージメントとマーケティング
一方、社外に向けた顧客課題を解決するゾーンでは、「認知拡大」から「ファン化・LTV向上」までのフェーズに合わせた提案を行いました。

- イベントマーケティングゾーン
- リアルイベントの効果的な運用や、海外展示会への出展支援を紹介。リアルイベントでは、産官学の豊富なネットワークを活用し、KPIの設計からイベント開催・運営、終了後のレポート分析までトータルでサポートします。
海外展示会の出店ニーズには、アジア・オセアニアの11の国・地域、15拠点のネットワークを活かし、言語・文化の壁を越えた海外プロモーションをワンストップで支援します。
▶ イベントマーケティングの詳細はこちら - ロイヤルカスタマー戦略ゾーン
- 富裕層向けの高付加価値サービスや、優良顧客を囲い込むためのCRM施策を紹介。CRM・MA・CEMなどのツールを活用し、LTV最大化を念頭に置いた長期的な戦略提案が可能です。ロイヤルカスタマー向けサービスの企画から効果測定まで一括でサポートします。
▶ ロイヤルカスタマー戦略の詳細はこちら - 地域共創ゾーン
- 企業版ふるさと納税の活用や、エリアソリューション事業を紹介。そのひとつである、地域・社会貢献を通じたCSR推進やPR効果向上をもたらす「企業版ふるさと納税」では、企業の課題・要望と全国自治体の事業を最適マッチング。47都道府県に支店を持つJTBならではのネットワークで、地域共創を実現します。
▶ エリアソリューション事業の詳細はこちら
"Have Fun"を体現する空間演出とホスピタリティ
本イベントが目指したのは、ビジネスイベントでありながら、参加者がリラックスして心を開ける「居心地の良い空間」です。
五感で楽しむフェスティバル空間

会場に一歩足を踏み入れると、そこにはDJによる生パフォーマンスのBGMが流れ、堅苦しいビジネスイベントとは一線を画すカジュアルで高揚感のある雰囲気が広がっていました。
展示ブースのデザインには、サステナブルな素材を使用した木製ブースとカフェのメニューボード風のパネルを採用。「それって皆様のやるべき仕事ですか?」「今の事業、いつまで続きますか?」といった、顧客のインサイトに問いかけるコピーを並べ、自然な対話を促す仕掛けを施しました。
サステナブルな食のおもてなし

コミュニケーションを円滑にする「食」にも、JTBならではのこだわりが込められました。提供されたケータリングは、SDGsに配慮したサステナブルなメニューで構成しました。
- 認証食材
- MSC(海洋管理協議会)やASC(養殖管理協議会)認証を取得した水産物を使用。
- ジビエ活用
- 農作物被害対策として捕獲された鹿肉などを食材として有効活用し、「陸の豊かさを守ろう」等のSDGs目標に貢献。
- 脱プラスチック
- カトラリーには木製や竹製、PLAカップや草製ストローなど環境配慮資材を採用。
- ロス旅缶
- 第3回「JATA SDGsアワード」環境部門で奨励賞を受賞した、未利用食材を活用した缶詰「ロス旅缶」がお土産として用意され、巨大オブジェとともに展示されました。
また、16時以降はアルコールも提供され、各国のビールやカクテルを片手に、リラックスした雰囲気の中で社員とお客様、あるいは来場者同士の活発な交流が行われました。
遊び心満載の「Funゾーン」

会場の一角には、MLBのスタジアムをイメージした「Funゾーン」が出現。ストラックアウトゲームに挑戦できるエリアが設けられ、見事ビンゴを達成した方には景品をプレゼントいたしました。
ビジネスの場にあえて「遊び」を取り入れることで、参加者の緊張をほぐし、童心に帰って楽しんでいただくこと。これが「JTB Engagement Festival」が大切にしている"Have Fun"の精神です。
参加者が身体を動かし、声を上げて盛り上がる体験は、記憶に残るポジティブな感情を生み出します。
開催成果:数字と声で見る「JTB Engagement Festival」
本イベントの成果は、参加者の高い満足度と意識変容に明確に表れています。
圧倒的な満足度と理解度
事後アンケートの結果、イベント全体の満足度は96%の参加者が「10点満点中7点以上」と回答し、期待値を大きく上回る結果となりました。
また、開催の主目的であった「旅行以外のソリューション事業に対する理解」については、実に98%が「深まった(非常に深まった+深まった)」と回答しています。
当初は「旅行以外のことはほとんど知らない」という方が多かった中で、この数字は、体験型イベントを通じたコミュニケーションがいかに有効であったかを物語っています。
最も印象に残ったコンテンツは「講演内容」(86票)、「会場装飾・イベントの雰囲気」(78票)と、行動経済学に基づく空間設計とコンテンツ設計の両面が高く評価されました。
参加者からの声
「エンゲージメントを高めるには期待以上の楽しさや驚きを提供する必要があることがよくわかりました。御社がそれを実践してらっしゃるので、とても楽しめました」
「今までにないビジネスイベントでJTBさんの本気を感じました。とても印象が変わりました」
「普段仕事でかかわっている貴社の場所だけでなく、それ以外の業務内容や社風を感じ取ることができました」
「リラックスした雰囲気で、緊張せずに必要な情報を得ることができました」
「いつも発見と感動があります。段取りや当日の対応のすばらしさを弊社にも取り入れていきたいです」
「イベントの企画ではこれまでもお世話になっていますが、これからも新しい何かを取り入れたプランをご提案いただけるのではないかと期待しております」
JTB社員への効果
本イベントは、JTB社員にとっても大きな意義がありました。社員アンケートでは、目的達成度として「既存顧客に新しい事業領域を知ってもらうことが出来た」と回答した社員が57%に上りました。
実際に参加者から「これまで旅行・イベントのイメージを強く持たれており、今回のご参加でBPOやプロモーションなど様々な領域を知っていただき、会話の中で新しい課題も引き出せた」「会場に連れ出すことさえ出来れば、効果的な提供ができ、かつ色々な会話が出来、顧客解像度があがる」といった声が挙がり、リアルイベントにおける「場」の力が、営業活動を強力に後押しすることが実証されました。
こうした手応えは、具体的なビジネス成果にも表れています。本イベントを契機として、イベント関連の引き合いや新規案件が数多く生まれ、実際のビジネス機会の創出につながりました。参加者の「体験」が「行動」へと転化したことは、エンゲージメント型イベントの有効性を示す確かな示唆といえます。
まとめと今後の展望
「JTB Engagement Festival」は、「Have Fun!とにかく楽しく!」を合言葉に、行動経済学に基づく空間設計、サステナブルな食体験、社員のホスピタリティを通じて「感動のそばに、いつも。」を体現した場となりました。
参加者の73%が「JTBの旅行以外のソリューション認知度が低い」状態からスタートし、終了後には98%が「理解が深まった」と回答。デジタル化が進む今だからこそ、五感を通じたリアルな体験と「共感」「熱量」がビジネスを動かす力になることが実証されました。
これからもJTBでは、人が行き交う場所、笑顔が生まれる場、人々が交流するあらゆるシーンをプロデュースし、非日常の体験と感動を新たな価値としてお届けしてまいります。企業が開催するミーティングやイベントの参加者の皆さまにとって本当に意味のある、価値ある「場」をこれからも創っていきたいと思っています。
本記事は2025年7月15日開催のイベント実施報告に基づいて作成されています。