2026年はサッカーの国際大会もあり、8年連続出場を果たしているサッカー日本代表。サッカーへの注目度が一段と増している中、その成長を日々支えている「公益財団法人日本サッカー協会(以下、JFA)」と、日本国内の最高峰リーグを運営する「公益社団法人日本プロサッカーリーグ(以下、Jリーグ)」では、サッカーを通じ日本全国で、地域に根ざしたさまざまな活動をしています。今回は、主に2つの活動のお話を伺いながら、活動を推進する上でひとつの手段となる【企業版ふるさと納税 全国サッカー応援プロジェクト】の可能性、そして日本サッカーと共に歩んでいく地域社会の未来を語っていただきました。
公益財団法人日本サッカー協会 47FA・加盟団体・普及推進部 部長 青木 克史 氏
1999年「財団法人日本サッカー協会」入局後、2016年「公益財団法人日本サッカー協会」技術部 部長に着任。2018年にはプロモーション部の立ち上げの指揮を執り、サッカーファン、サポーター、サッカーファミリーに向けた動画コンテンツ「Team Cam」を発信。中でも、遠征先などでの選手の密着映像も話題に。現在は普及推進部に従事し、日本サッカーの普及と発展に尽力。
公益社団法人日本プロサッカーリーグ 総務企画部 部長 太田 晃 氏
2016年「公益社団法人日本プロサッカーリーグ」入社後、財務室、財務経理部などを経て、2024年に総務企画部 部長に着任。多岐に渡る事業を行っているJリーグの組織運営を支えている。
株式会社JTB ツーリズム事業本部 企画開発プロデュースセンター 企画開発課
企画開発担当部長 曽根 進
1998年「株式会社JTB」入社。2014年より「内閣府地方創生推進事務局」「内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室」併任。主に、内閣府大臣官房政府広報室で地方創生、明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録、ジオパーク、企業版ふるさと納税、国家戦略特区、総合特区等、公務・政務業務に従事。その後、地方創生、SDGs、サステナブル・ツーリズム、企業版ふるさと納税、脱炭素まちづくり、洋上風力地域共生などを推進。
株式会社JTB ツーリズム事業本部 スポーツマーケティング事業部 水上 知香
2021年「株式会社JTB」入社後、国際スポーツ大会の運営・選手派遣業務等に従事し、現在はサッカーマーケットを担当。「企業版ふるさと納税 全国サッカー応援プロジェクト」に携わり、各Jクラブ、自治体との個別対応を推進中。サッカー好きが高じ、見る側だけでなく学生時代より全日本・関東大学サッカー連盟での大学サッカーの運営、Jクラブでのインターンシップなど、「支える側」としても活動を継続している。
全国で展開している地域スポーツ振興活動
共通点は「サステナビリティ」
──地域スポーツ振興という側面において、JFAとJリーグの取り組みをお聞かせください
青木氏(JFA)
JFAでは、47都道府県のサッカー協会と連携して、サステナビリティ活動『アスパス』に取り組んでいます。「環境・人権・健康・教育・地域」の5つ分野に重きを置き、全国各地でイベントなどを展開しています。例えば過去の事例で「地域」において、震災などがあった場所では、トレーラーハウスを設置して基地にし、まずはインフラの確保に回る。その後、子どもたちに身体を動かしてほしいと思い、“サッカーができる場所”を確保して交流を深めてきました。
特に、能登には契約したコーチが足繁く通い、現地を回っています。今では、まちに溶け込むまでになり、イベントを楽しみにしてくれている方も多いです。時には日本代表選手と一緒に行き、現在JFAが力を入れているウォーキングフットボール(走らず、接触プレーやヘディングを禁止する、性別や年代、障がいの有無を問わず誰でも参加できるサッカー)を楽しんでいただき、普及にもあたっています。こういった活動は、日本財団にもご協力いただき実現しています。
太田氏(Jリーグ)
Jリーグでは、理念のひとつに「豊かなスポーツ文化の振興と国民の心身の健全な発達への寄与」を掲げています。また、Jリーグ百年構想の中でも「スポーツで、もっと、幸せな国へ。」を合言葉にしていて、Jクラブ(プロクラブ)の方々にもサッカーやスポーツを通じて、社会の力になるという理念を理解いただいております。各クラブのホームタウン活動は年間30,000件を超えていまして、中でもJリーグの社会連携『シャレン!』では、自治体・企業・NPO法人等と3社以上で連携した取り組みを行っています。

印象に残っているのは、茨城県のプロサッカークラブ 水戸ホーリーホックで小学生からのメールがきっかけとなり、環境保全のための大豆ミートバーガーを作るプロジェクトが実施されたことです。小学生がプロジェクトリーダーとなり地域の方々と水戸ホーリーホックと協働し実際にスタジアムでも販売されるなど、地域連携が実現した事例があります。また、近年では気候アクションにも力を入れています。2021年に環境省と連携して環境問題に協力していく姿勢を示し、2024年にはJリーグ地域再生可能エネルギー助成制度を新設するなど、ソーラーシェアリング、脱炭素事業の推進を後押ししています。先ほど事例に挙げた水戸ホーリーホックでは、再生可能エネルギーを使用した農業も実践しています。
「人材」と「財源」の確保が未来へつながる
──JFA、Jリーグ、それぞれ地域・社会観点から、多くの活動をされていることがとてもよくわかりました。では、そういった活動の中で、難しいと感じる点はありますか?
青木氏(JFA)
課題は大きく2つありまして、それは「人材と財源」です。「人材」については、地域で何かをしようと思っても、人口減少・過疎化が進み、担い手が少なくなっている現状があります。「財源」は、学校の運動部活動から地域スポーツと連携するとなっても、そのお金はどこから?となり各自治体の皆さんも頭を悩ませていると聞きます。
今、全国ではサッカー以外にもいろいろなプロクラブがあり、バスケットボールやバレーボールなども盛んになってきています。それはとても良いことで、スポーツ全体の普及・発展にもつながります。一方で、スポンサーの取り合いにもなってしまい、本来、地域のシニア・子ども世代に使いたい財源が確保されないという現状もあります。

太田氏(Jリーグ)
まさに「人材と財源」という部分ではJFAと同じ課題ですね。「人材」は、Jクラブがある42都道府県で満遍なく取り組んでいけるかも考えていかねばならない部分です。また、フロントスタッフの継続について、人材を育て、定着させて地域連携で人を立てていくという面でも課題はあります。特に、気候アクションへの理解と地域協力を得て仲間を増やしていく面でも、人材育成をしていかねばならないと思っています。
「財源」でいくと、Jクラブによっては理念や経営方針のもとで地域連携に力を入れているところももちろんありますが、昇降格が厳しい世界で競技が第一という考えもありますし、競技以外の取り組みにどれくらいリソースを確保できるかは難しい課題です。
──課題がありつつも、それぞれの地域・社会活動に対する未来像をお聞かせください。
青木氏(JFA)
JFAの理念の中には『サッカーを通じて、スポーツ文化をつくる。地域を発展させていく』ことが大前提としてあります。そうした中で、全国各地にサッカーができる“環境”を作っていきたい。ある地域ではサッカーができて、ある地域ではサッカーができないという事象は起こしたくない。そのために、JFAと自治体が連携し続けていくことが大切です。
フットサル、ウォーキングフットボールなど、サッカーが上手な人だけでなく、誰でもできるサッカーを普及していくと同時に、現在47都道府県に施設づくりを推進しています。このプロジェクトは2031年まで実施されますが、こうした取り組みの積み重ねが次世代へとつながると思います。
太田氏(Jリーグ)
日頃よりサッカーを支えていただいているパートナー企業との連携が重要で、この輪を広げていくことが未来へとつながります。私たちは年間30,000件を超えるホームタウン活動をしていますが、それが皆さんに広く伝わっていない現状もあります。気候アクションにしても、まずは知っていただき、そしてサッカーを応援する、スポーツを通じて地域を応援する企業の輪を広げることがJリーグとしてやっていくべきことだと考えます。この輪が広がるともっと地域との連携にもつながり、サッカーの普及・振興にもなります。当初10クラブからスタートし現在は60クラブまであるので、確実に輪は広がり、支援したいと思っていただける企業も増えていますし、今後もっと増やしていくことが重要です。そういった観点でも、企業連携は必須ですね。
JFA、Jリーグ、JTBの強みと想いが合致した
【全国サッカー応援プロジェクト】
──今までのお話の中で、課題解決のひとつの手段として[企業版ふるさと納税]の存在がありますね。
曽根(JTB)
はい。企業と地域をつなげるひとつの手段として、JTBの47都道府県のネットワークを活かせる[企業版ふるさと納税]があります。全国の自治体でサッカーを通じた地域活動も多く展開している中、JFA、Jリーグ、JTBそれぞれの立場から「サッカーを通じて地域にどのような価値を生み出せるか」という議論を重ねる中で、[企業版ふるさと納税]に着目したことが、【全国サッカー応援プロジェクト】の出発点です。
──現在【全国サッカー応援プロジェクト】は、JTBとして具体的にどのような動きをされていますか?
水上(JTB)
このプロジェクト自体はまだ立ち上がったばかりで、JTB社内の広報やJFAと認知・拡大に向けた方法を連携して進めているところですが、新しい視点でサッカーの発展にもつながると思いますし、JFA、Jリーグ単体で動くよりも、そこにJTBが加わり、47都道府県のネットワークを活かせることが企業と地域の新しい形の連携方法でもあると考えます。
曽根(JTB)
まず、[企業版ふるさと納税]は、主に「社会貢献」「自治体とのパートナーシップの構築」「地域資源を活かした新事業展開」と3つのメリットがあります。
その中で、地域課題解決や企業価値を高める手段のひとつですが、「財源」においては、企業の枠と幅が広がっていければよいと思います。企業側もただ社会(地域)貢献をするのではなく、企業側のメリットと企業価値を高めることをいかにマッチングできるか、ストーリー立てをしていく必要もあります。
例えば、先ほど青木さんからお話があったウォーキングフットボールの取り組みは素晴らしいと思います。「シニア層との関係構築を重視する企業が全国サッカー応援プロジェクトを通じた寄附により、ウォーキングフットボールの実施で地域を支援→ ウォーキングフットボール活動が広がり、シニア層が無理なく身体を動かせる機会が増える→ シニア層が元気になり、地域の活性化につながる→ 企業の取り組みや商品・サービスの認知向上にも寄与する」というストーリーを立て、連携することは十分考えられると思います。こういった道筋を描き、つないでいくことが私たちJTBの役割でもあります。
JTBのネットワークと経験と実績がサッカー界、
そして地域スポーツ振興の貢献にもつながる
──最後に、地域・社会活動を行ううえで「サッカーにできること」はなんでしょうか?
青木氏(JFA)
やはり、「サッカーは誰でもできる」ことにあります。サッカーファミリーが楽しくなると、地域が楽しくなると思っています。47都道府県を回った際、場所によっては過疎化・高齢化が進み元気がないかなと感じました。こういった現象は都会への流出と言われがちな一方で、見方を変えると、“人材輩出”と捉えることもできますよね。輩出して、自分たちの故郷へ還元していくというサイクルができあがるとよいと思います。コミュニティをつくり、高齢者や子どもたちに楽しんでもらう、そして皆さんのふるさとを盛り上げていきたいという想いが強くあるので、そういった側面からも、企業の皆さんにはひとつの手段として[企業版ふるさと納税]を活用いただき、ご協力いただきたいです。
太田氏(Jリーグ)
Jリーグはこれまで地域・社会活動を企業様等とご一緒させていただくうえで、Jクラブを通じて「人と人を結びつける力」「企業を結びつける力」「発信力」に期待いただくことが多いです。そういった中で、[企業版ふるさと納税]のよいところは、社会貢献の中で使える予算のレバレッジが利くという部分です。サッカーのために使いたいという企業側の想いを、より大きくできるのではないかとも思います。
曽根(JTB)
JTBの強みは、全国の自治体・企業とのネットワークと、“地域と企業をつなぐコーディネート力”にあると考えています。JTBは、企業が持つ想いや課題、目指す姿をていねいに理解したうえで、自治体側の取り組みと結びつけ、双方にとって価値のある形へとコーディネートしていくことができます。
水上(JTB)
【全国サッカー応援プロジェクト】では、JFA、Jリーグが持つ「サッカーの力・発信力」と、JTBが持つ「地域との接点・企業との接点」を掛け合わせることで、全国各地の自治体のプロジェクトをより多くの企業や社会へ届けられる点も、大きな特徴だと考えています。[企業版ふるさと納税]を利用することで、単なる寄附の枠組みにとどまらず、“地域・企業をつなぐ共創の仕組み”として推進できることが、JTBの力でもあります。そして、ゆくゆくはサッカー界への貢献、地域社会の寄与にもつながると確信しています。
サッカーやスポーツを愛する想いを、地域の未来につなげていく──その一歩として、ぜひ本活動にご賛同いただき、地域スポーツ振興にご協力いただけますと幸いです。
本記事は2026年5月に取材しました。
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