スポーツスポンサーシップは、企業のブランド認知向上や社会的プレゼンスの強化に加え、顧客・従業員・地域社会との関係性を深める手段として注目されています。かつては、スタジアム看板やユニフォームロゴなどの「露出」が主な価値とされてきました。しかし現在では、スポンサー権利を活用して、顧客との接点を創出する、従業員のエンゲージメントを高める、地域との共創を生み出すといった、より戦略的な活用が求められています。つまり、スポーツスポンサーシップは単なる広告枠ではなく、企業価値を高めるための経営資源へと進化しています。
本記事では、スポーツスポンサーシップ市場が拡大している背景、企業が直面しやすい課題、スポンサーシップの価値を最大化する「スポーツアクティベーション」の考え方、そしてJTBが支援できる具体的な領域についてご紹介します。

スポーツスポンサーシップ市場はなぜ拡大しているのか
世界のスポーツスポンサーシップ市場は、ここ数年で大きく成長しています。GlobalDataによると、世界のスポーツスポンサーシップ市場は2020年の9.6兆円から2025年には10.4兆円へ拡大し2034年には倍以上の21.7兆円へ拡大する見通し、スポンサーシップ件数も2020年の27,314件から2025年には41,674件へ増加しています。
しかし、この成長を支えているのは、単純なスポンサー契約数の増加だけではありません。近年、世界のスポンサー企業は「スポンサー権利を購入すること」から、「スポンサー権利を活用して体験価値を創出すること」へと投資対象を大きくシフトさせています。かつてのスポーツスポンサーシップは、スタジアム看板やユニフォームロゴなど、企業名やブランドを露出することが主な目的でした。
一方で現在は、VIPホスピタリティによる顧客接点創出、ファン参加型キャンペーン、SNSや動画を活用したデジタル施策、会員向けロイヤルティプログラム、従業員エンゲージメント施策、地域共創イベントなど、スポンサー権利を活用したアクティベーション施策への投資が世界的に拡大しています。実際にグローバル企業では、スポンサー権利費と同額、あるいはそれ以上の予算をアクティベーションに投資するケースも珍しくありません。
市場成長の原動力は“権利”ではなく“活用”にある
ロゴ露出だけでは差別化が難しくなった一方で、スポーツを活用した体験施策は、ブランド好意度、顧客ロイヤルティ、商談機会創出、従業員エンゲージメント向上など、企業が求める具体的な成果に直結しやすいためです。つまり現在のスポーツスポンサーシップ市場は、「権利を買う市場」から「体験を設計する市場」へ進化しているのです。市場成長の背景には、リアル観戦需要の回復、デジタル接点の拡大、企業課題の多様化、に加え、「スポーツアクティベーション投資の拡大」という大きな変化があります。
だからこそ企業には、スポンサー権利を保有するだけではなく、その権利をどのような体験として顧客・従業員・地域社会に届けるのかが求められています。スポーツスポンサーシップの価値は、「契約した瞬間」ではなく、「活用した瞬間」に生まれる時代になっているのです。
スポンサーシップを経営資源へ変える「スポーツアクティベーション」
スポーツアクティベーションとは、スポーツスポンサーシップで得た権利やスポーツコンテンツを活用し、企業のマーケティング・営業・人事・CSRなどの課題解決につなげる取り組みです。従来のスポーツスポンサーシップは、スタジアム看板、ユニフォームロゴ、広告掲出などによるブランド露出が中心でした。しかし、現代の市場環境では、単なる露出だけで顧客や従業員との深い関係性を築くことは難しくなっています。
そこで重要になるのが、スポンサー権利をそれぞれ目的別に再設計する必要があります。
チケット:重要顧客の招待、商談化見込みの高い顧客との関係深化
VIP席:役員同士の接点創出、意思決定者との関係構築
会場スペース:製品・サービス体験ブース、顧客向け展示
選手・OB出演:セミナー、社員研修、顧客イベント
SNS権利:共同キャンペーン、ブランド認知拡大
称号使用:営業資料、採用広報、Webサイトでの信頼性向上
ホスピタリティ:顧客ロイヤルティ向上、既存顧客の継続率向上
スポーツアクティベーションの本質は、スポーツが持つ「共通体験」を、企業活動の目的に合わせて設計することにあります。試合の興奮、選手への憧れ、チームを応援する一体感、地域とのつながりといった感情価値を、顧客接点や組織づくりに変換していくことが重要です。スポンサーシップは、契約して終わりではありません。契約後にどのような体験を設計し、誰に届け、どの成果につなげるかによって、投資対効果は大きく変わります。
アクティベーション予算を確保できるかが成果を分ける
スポンサーシップで成果が出ない大きな理由の一つが、アクティベーション予算の不足です。協賛費を支払っただけで予算を使い切ってしまい、権利を活用するためのイベント設計、クリエイティブ制作、顧客招待、会場運営、コンテンツ制作、効果測定に十分な費用を割けないケースは少なくありません。ニールセンの調査では、海外では協賛金を1ドルとした場合に平均で2.2ドルの権益活用予算を確保している一方、日本では協賛金1円に対して権益活用予算が0.4円にとどまると紹介されています。アクティベーション予算が不足すると実施できる施策が限定的になり、スポンサーシップで得た権利を十分に活用できない可能性があります。これは、日本企業にとって重要な示唆です。スポンサーシップの成果を高めるには、協賛費だけでなく、権利を活用するための実行予算をあらかじめ設計する必要があります。
企業がスポーツスポンサーシップを活用する具体的な施策
企業にとって、スポーツアクティベーションの最大の価値は「顧客との関係性を深める体験」を作れることです。例えばBtoB商談では、製品やサービスの機能比較だけでなく、信頼関係、担当者間の相性、経営層同士の関係、長期的な伴走期待が重要になります。スポーツ観戦や大会体験は、通常の会議室では生まれにくい人間的な接点を作ることができます。
JTBがスポーツアクティベーションで支援できること
スポーツアクティベーションの成果を最大化するには、企画力だけでなく、運営力、関係者調整力、ホスピタリティ設計力、旅行・移動・宿泊を含む実行力が求められます。JTBは、旅行・交流事業で培ったノウハウと広範なネットワークを活かし、スポーツを通じた“共通体験”を、企業のマーケティング・営業・人事・地域共創の施策へとつなげる支援が可能です。
01 目的設計・アクティベーション戦略策定
スポンサーシップを単発施策で終わらせず、企業の経営課題やマーケティング課題に接続します。
- スポンサー権利の棚卸し
- ターゲット設定
- 活用テーマの設計
- 年間アクティベーション計画の策定
- KPI設計
- 社内説明用資料の作成支援
- 営業・人事・広報・CSR部門との連携設計
02 顧客・取引先向けホスピタリティ企画
スポーツ観戦を、単なる招待ではなく、顧客との関係を深める体験へと設計します。
- VIP観戦プログラム
- 専用ラウンジや特別席を活用した接遇
- 競技解説付き観戦
- ゲストスピーカーや元選手によるトークイベント
- 取引先同士のネットワーキング
- 商談・懇親会との組み合わせ
- 経営層向けの少人数制プログラム
- 招待前後のコミュニケーション設計
特にBtoB企業においては、スポーツホスピタリティを活用することで、通常の商談や会食では生まれにくい自然な対話や関係構築の機会を創出できます。
03 従業員エンゲージメント施策
スポーツを社内コミュニケーションや組織活性化に活用します。
- 社員・家族向け観戦イベント
- 社内表彰と観戦体験の連動
- チームビルディング型スポーツイベント
- 健康経営プログラム
- アスリート講演やワークショップ
- 採用・インナーブランディング施策
- 拠点横断の社内交流イベント
スポーツは、世代や部署を超えて共通の話題を生み出しやすいコンテンツです。社員同士のつながりを強め、企業理念やブランドメッセージを体験として浸透させる場としても活用できます。
04 地域共創・スポーツツーリズム
地域・自治体・競技団体と連携し、スポーツを起点とした交流人口の創出や地域活性化につなげます。このようなネットワークを活かすことで、試合観戦だけでなく、地域周遊、宿泊、飲食、観光コンテンツ、教育プログラムなどを組み合わせた体験設計が可能になります。
05 効果測定・次年度改善
アクティベーションは、実施して終わりではありません。施策後の振り返りと改善により、スポンサーシップの価値を継続的に高めていくことが重要です。
- アンケート設計・集計
- 来場者満足度分析
- 商談・リード創出数の把握
- SNS反応分析
- 社員エンゲージメント調査
- 次年度施策への改善提案
- 経営層向けレポート作成支援
目的設計から実施、効果測定までを一気通貫で支援することで、スポーツスポンサーシップを“使って終わる施策”ではなく、“成果につながる経営資源”へと変えていきます。
スポンサーシップは単発施策ではなく、継続的に磨き込むことで成果が高まります。JTBは、単なる実施会社ではなく、スポンサー権益を事業成果につなげる伴走パートナーとして支援できます。
JTBのスポーツ領域における実績と強み
JTBの強みは、スポーツ観戦ツアーやイベント運営にとどまりません。国内外の大型スポーツイベント、公式ホスピタリティ、競技団体との連携、地域共創、旅行・宿泊・輸送を含む総合的な設計力を有しています。
JTBはMLB™(メジャーリーグベースボール)のアジアにおけるトラベル&ホスピタリティ事業のオフィシャルパートナーとなり、アジアのファン向けにMLBレギュラーシーズン観戦チケットと旅行商品を組み合わせたホスピタリティパッケージを販売しております。
(参照:新しいビジネスのつながりを生み出す方法、スポーツホスピタリティがもたらす関係構築とは?)
またPGA TOURが主催するアジア唯一の公式大会「Baycurrent Classic Presented by LEXUS」において、特別な体験価値を提供する公式ホスピタリティ商品を設計し販売しています。Baycurrent Classic Presented by LEXUSの公式ホスピタリティプログラムでは、ホスピタリティラウンジ、飲食提供、オリジナルギフト、出場選手とのミート&グリート、大会公式プロアマトーナメントなど、観戦を超えた特別体験が用意されています。
(参照:Baycurrent Classic Presented by LEXUS 2026を商談の場に!?)
これらの実績は、JTBが単なる旅行手配会社ではなく、スポーツを起点に「移動」「宿泊」「観戦」「接遇」「交流」「地域回遊」「効果測定」までを組み合わせ、企業や団体の目的に応じた体験設計を実施している企業だからです。
スポンサーシップは“持っている権利”ではなく“活用して初めて価値になる”
スポーツスポンサーシップは、かつてのような広告露出中心の施策から、企業価値を高める体験設計の手段へと進化しています。市場が拡大するなかで、企業に求められるのは「協賛すること」そのものではなく、スポンサーシップをどのように活用し、顧客・従業員・地域社会との関係性を深めるかです。スポーツアクティベーションは、スポンサー権利を経営資源へ変える取り組みです。ロゴ掲出や広告露出にとどまらず、ホスピタリティ、顧客接点、社員エンゲージメント、地域共創、デジタル施策、効果測定までを一体で設計することで、スポーツの価値はより大きく広がります。
JTBは、旅行・交流事業で培ったノウハウ、全国・海外に広がるネットワーク、大型スポーツイベントや公式ホスピタリティに関わる実績を活かし、企業の目的に応じたスポーツアクティベーションをワンストップで支援します。
スポーツを「広告」から「体験」へ。そして、スポンサーシップを「コスト」から「企業価値を生み出す投資」へ。スポーツを活用した新たな顧客接点づくり、従業員エンゲージメント向上、地域共創、ブランド価値向上に関心をお持ちの企業の皆さまは、ぜひJTBにご相談ください。
