MICEとは、企業の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive)、国際機関・団体、会議等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字で、多くの集客交流が見込まれるイベントなどの総称です。大手不動産会社A社様は、所有するカンファレンスホールをMICEを実施する他の企業や団体に活用いただいていましたが、コロナ禍で稼働率が落ち込んでいるのが悩みでした。カンファレンスホールの利用促進は当然のこと、今後のカンファレンスホールのあり方を見直す必要が生じました。
本事例は、JTB総合研究所の豊富なデータに基づく現状把握と解決法を提案した「MICE施設ビジネス調査」のレポートを、自社が所有するカンファレンスホールの利用促進・販売に活用したものです。
- 背景
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A社様は、複数のカンファレンスホールを所有しており、企業などの会議やイベントに貸し出していました。しかし、このコロナ禍によりカンファレンスホールの稼働率低下という課題を抱えることに。そこで、多くの企業の会議やイベントに携わってきたJTBにご相談いただきました。
A社様がJTBに相談された当初の目的は、利用が落ち込んでいるカンファレンスホールの稼働率を上げる事でしたが、コロナ禍によって世界的にMICE事情が変化しているため、カンファレンスホールのあり方を根本的に見直す必要があるという事にもなりました。
- 課題
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- 所有するカンファレンスホールの稼働率を上げたい
- 世界の潮流を含めた現状把握がしたい
- 将来に渡ってカンファレンスホールを所有する意味を考えたい(手放すのか、在宅勤務に対応したシェアオフィス等に作り直すか)
- 実施内容
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ご相談当初からの課題であるカンファレンスホールの稼働率向上に向けては、JTBの法人事業のノウハウを活かした販売強化策を実施しました。カンファレンスホールのあり方の根本的な見直しについては、調査業務、データ分析、今後の在り方の検討を行いました。
稼働率向上施策
- A社様のカンファレンスホールのJTB特別料金を設定
- A社様のカンファレンスホール利用促進について、JTBの営業個所で共有
調査業務
01一次調査:MICEビジネスの概況調査
- MICEの基本と最近の動向
- MICE施設運営ビジネス
- 企業ミーティングマーケット概況
02二次調査:個別施設のビジネス環境調査(ヒアリング、会場視察を実施)
- 各施設の特徴(SWAT分析)
- 顧客層と施設のマッチング状況の検証
- 周辺環境、競合環境の調査
- オペレーション上の課題、等
データ分析・今後の提案
01レポート「MICE施設ビジネス調査」作成
- MICEの基本と最近の動向
- MICE施設運営ビジネス
- 企業ミーティングマーケット概況
- 調査結果まとめ
02提案内容
- MICE1施設ではなく、エリアとして考える。=点ではなく、面で集客
- 国際的なMICEエリアとして、国際会議等の集客を目指す
- 導入のスケジュール
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2021年10月
初回打合せ。A社様の所有するカンファレンスホールの稼働率が下がっているという課題共有
11月A社様の所有するカンファレンスホールの販売協力と同時に、今後のカンファレンスホールの活用方について調査・検討する事をJTBよりご提案
12月末施設調査業務について、正式契約
2022年1月調査レポート作成開始
2月調査レポート中間報告
3月末レポート「MICEビジネス調査」納品
- JTBならではのサポート
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- JTB総合研究所の豊富なデータを利用できること
- インバウンドを意識したコンサルティングが可能であること
- MICEを実施する多くの企業を顧客に持つため、調査と同時に販売協力がセットで行えること
- 導入効果
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導入前は、どのようなお客様にどういったMICE案件があるのかという現状把握が十分にできていませんでしたが、調査レポートにより、データに基づき、MICEビジネスの基本や動向を掴むことができました。
所有するカンファレンスホールの活用法として、企業の研修利用、展示会利用だけでなく、国際会議等の可能性もあることがわかり、カンファレンスホールの今後の在り方について、自治体との連携も視野に入れて、幅広く検討することができるようになりました。調査結果を踏まえたマーケティング観点から、次のアクションを考える良いきっかけになりました。
当初は別案件で提案を重ねておりましたが、お客様と面談を重ねていく中で、保有されるホール・カンファレンスの利活用について、お悩みになられていることが把握できました。企業様の課題に対して、当社が大小様々なMICE案件オペレーション通じて積み重ねた知見、JTB総合研究所の豊富なデータに基づく調査・コンサルティング能力、双方の強味を融合させて提案をした事例となります。
お客様の課題を丁寧にお伺いすることを大切にし、本施策に取り組んできました。お客様施設の利用者(これまでご利用いただいたお客様や関連する代理店様)情報は把握されていましたので、これまでとは違った視点からのアプローチでお客様の課題の解決を目指しました。お客様からも『グローバルマーケットの潮流やその中での日本のポジショニングを捉えることができた。この視点は今まで考えたことがない視点であったので、今後の事業戦略およびチーム内でのアクションに活用できました。』とのお言葉を頂くことができました。JTBグループの組織力、情報力がお客様のお役に立ったことが何よりの喜びです。