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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 人事が取り組むべきEVP(Employee Value Proposition)とは?意味や進め方を紹介!

2023.03.19
HR(Human Resources)
生産性向上
従業員満足(ES)向上
人材・組織力強化

人材確保は企業にとって、事業を推進し経営を安定させるために不可欠です。しかし近年は、人口減少と高齢化という大きな社会変化を受け、人材不足が懸念されています。それにより、これまでのような人材を「選ぶ時代」から「選ばれる時代」に変わりつつあります。

こういった背景の中で注目されているのが、「EVP」です。EVPとは、Employee Value Proposition(エンプロイー・バリュー・プロポジション)のことで、企業が従業員に提供する価値を指します。優秀な人材から「この企業で働きたい」と思われるため、また従業員に「この会社で働き続けたい」(エンゲージメント向上)と思われるために企業はどのような価値を提供すべきなのでしょうか。離職率を低下させ、優秀な人材を確保するために取り組むべき「EVP」についてご紹介します。

EVPとは「企業が従業員に対して提供する価値」のこと

「EVP」とは、企業が従業員に提供する一連の価値提案のことです。これまでは、働くことで得られる報酬や福利厚生といったものがその提供価値に値するものでしたが、それだけにとどまらず従業員の働く意欲やエンゲージメントをより高めるためのあらゆる施策や取り組み、企業風土全般を指す言葉として定着しつつあります。従業員が企業で働くメリットとして感じられる代表的な提供価値は、おおまかに次の5つに分類されます。

報酬・評価
満足できる給与やボーナス、納得感のある昇給制度・適切な人事評価制度
福利厚生・勤務体制
ワークライフバランスを考慮した勤務形態、育児休暇・有給取得の推進、リモートワークの導入、各種保険・手当
キャリア
キャリアアップやキャリアチェンジ実現のサポート、資格取得支援制度、キャリア研修・セミナー参加費の負担
職場環境
基本的人権や個性の尊重、IT機器や設備の充実、コミュニケーション促進のための設備・制度の導入
風土・文化
経営理念やビジョンの浸透、CSR活動、コンプライアンス

大手ファーストフードチェーンA社は、「働く人ファースト」という人材価値を通じ、企業風土やカルチャーを従業員に浸透させ、人材の定着化を実現しています。この会社では見えない価値を「Flexibility=労働時間の自由さ」「Family and Friends=チームで仲良く働くこと」「Future=将来に役立つスキルが身につくこと」の3つのバリューに定義し、多様な人材が活躍できる環境を目指しています。

また大手消費財メーカーB社では、2016年よりLGBTQ支援プログラムをスタートしました。ワークフォース(人材)、ワークプレイス(職場)、マーケットプレイス(パートナーとの協働)、コミュニティ(社会活動)の4つの枠組みのもと、LGBTの人々がより自分らしく働き、生きられる社会の実現に取り組んでいます。また、ダイバーシティ推進を経営戦略のひとつに位置づけており、2025年までに「全世界で障がいのある人々が働きたい企業No.1になる」を目標に掲げ、採用活動において障がい者の採用を積極的に行っています。障害のある人々が雇用や教育などに参加することを促進し、サポートする「ディスアビリティ・インクルージョン」という考え方を取り入れたプログラムを2018年から10ヶ国に導入し、障がいのある人々がより働きやすい職場環境作りを推進しています。

各社とも「EVP」の考え方に基づき、従業員に対して経営方針や提供価値を明確化し、働きやすさやモチベーション向上に取り組んでいます。

なぜ今、EVPが注目されているのか?

「EVP」が注目されている背景には、2つの社会変化があります。

01高齢化・労働人口減少という変化

団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年には、働き盛りの現役世代が急減すると言われています。厚生労働省の予測では、日本の生産年齢人口は2017年の6,530万人に対し、2025年時点で6,080万人に、2040年には5,245万人に落ち込むと試算しています。つまり、2040年には高齢化の加速に伴い医療・介護などさまざまな業界で人材需要が高まる一方で、労働力が不足する事態に陥るということです。

売り手市場が長期に続く中でいかに優秀な人材を勝ち取り、離職率を下げるかが大きな課題になると言えるでしょう。

02働くことへの価値観が変化

終身雇用制度が崩壊し、最初に入社した企業で長く勤める時代は終わりました。転職は一般化し、スキルアップやワークライフバランスを重視した働き方へと変化してきています。

今後、人材の流動化はより活発になることが予想され、企業はますます人材不足に苦しむことになるでしょう。帝国データバンクの調査によると、「企業の50.1%が正社員不足」とあり、回答企業約10,000社の半数が人手不足だと感じています。企業規模別に見ると、大企業で61.4%、中小企業で47.3%となっています。

また、働き方の変化に伴い、従業員が企業に求めるものが多様化している面も見逃せません。働くモチベーションは給与だけでなく、充実した福利厚生や副業の促進、ワークライフバランスの取れる環境、サステナビリティを軸としたCSRなど、自分らしくイキイキと働くための制度や取り組みを企業側に求めています。そのため、従業員が求めるものに企業は何を与えられるかという観点から、EVPを重視する企業が増えています。

EVP、どう進めればいい?

では、どのようにEVPの取り組みを進めればいいのでしょうか?EVP策定のステップには以下のようなものがあります。

自社のEVPを策定するためには、まず提供価値を言語化してみることが大切です。そうすることで、人材確保のために必要なものが見えてきます。では、どのように言語化すればよいのでしょうか。それには、企業が従業員へ提供している価値の「棚卸し」が必要です。給与や福利厚生など入社時にすでに提供できている価値と、今後提供していきたい価値を明確にしましょう。

EVPを定義・策定した後は、EVPを高めるための具体策(打ち手)を企画します。EVPそのものの考え方はもちろん、企画した具体策を広く知ってもらう必要もあります。これが、「EVPを周知」のステップです。そして、企画した具体策を従業員個々、そして組織に実行・実践してもらい、効果測定により定点チェック、PDCAサイクルを回していきます。


まとめ

今回は、優秀な人材に「選ばれる時代」に変化する中、これからのキーワードである「EVP」についてお届けしました。コロナによって否応なくもたらされたニューノーマル時代。企業にとっても働く従業員の皆様にとっても悩みは尽きないと思います。そんな激変する時代を生き抜いて、持続的な成長を遂げていくためのカギは、何といっても、『イキイキと自律的に輝き続ける従業員に選ばれる企業へと変革すること』です。優秀な人材を獲得するためにも、すでに働いている従業員のエンゲージメント向上のためにも、EVPを高めることが重要になってきます。貴社でもEVPの考えに基づいた取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。


ホワイトペーパー(お役立ち資料)EVP経営のすすめ ~人事管理から人的資源管理、そして人的資本経営へ~

持続的な成長を遂げていくためのカギは、『イキイキと自律的に輝き続ける従業員に選ばれる企業へと変革すること』です。そんな今注目の「EVP」。「自社ならではの体験価値」を意識したEVP経営により、エンゲージメント向上に取り組むことで、採用難・定着難の時代も乗り越える、そのための必読書です。


動画でわかる「EVP」(約3分)

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