新型コロナウイルス拡大前の営業と言えば直接クライアントにお会いして、相手の表情や言葉遣いなどを感じつつ、担当者が自分の経験やスキルを活かしながら行うチャレンジングな仕事でした。しかし、コロナ禍が長引き、慣れないオンラインでの営業を余儀なくされ、モチベーションがなかなか上がらない営業職の方も多いのではないでしょうか。このような状況の中、営業企画・推進を担当する部署としては、どのようにマネジメントすれば、営業職の心を動かせるのでしょうか?基本的な考え方とすぐに活用できる具体的な方法をご紹介します。
アフターコロナはモチベーション維持が大変...
モチベーションの定義
一般的に「動機づけ」「やる気」と訳される「モチベーション」という言葉ですが、ビジネスにおいて求められるモチベーションは、以下のように定義することができます。
- 個人内に生起するエネルギッシュな一組の力
- 行動を引き起こし、その形態、方向、強さ、継続性を決定する
つまり、個人が主体的かつ継続的に仕事に取り組むための原動力、それがモチベーションと言えます。
コロナ禍において営業職のモチベーション維持が難しい理由
顧客への訪問セールスができない
新型コロナウイルス拡大によって対面での営業が困難になりました。適切な距離を保ったり、マスクやフェイスシールドを着けたりすることで感染防止対策をしても、顧客が不安を感じてしまえば、どうしようもありません。さらに緊急事態宣言や営業自粛などで、顧客が営業していなかったり、テレワークが推奨されているため、担当者が出社せず在宅勤務しているケースもあります。
チームや部署内でのコミュニケーション不足
コロナ禍以前は、オフィスで直接顔を会わせて情報交換をしたり、上司も部下を激励したりとチーム内でモチベーションを高める機会を持つことができましたが、テレワークではそれも難しくなっています。
企業の業績悪化
新型コロナウイルスの感染拡大は国内経済に大打撃を与えています。財務省「法人企業統計」によると2020年10~12月期の国内全産業の売上は前年同期比で4.5%(製造業は5.4%、非製造業は4.1%)減少しています。顧客が企業か個人かに関わりなく、業績が悪化すれば新たな商材やサービスを検討・導入する余裕がなくなり、結果的に営業する機会そのものが失われてしまいます。
引用元:国内統計:売上高、営業利益、経常利益、設備投資|新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響(新型コロナウイルス感染症関連情報)|労働政策研究・研修機構(JILPT)
組織・チームメンバーのモチベーションを高める3つのマネジメント術
このような中、営業職、営業チームのモチベーションを高めるにはどのような取り組みをすればいいのでしょうか。インセンティブや研修などモチベーションを高める施策はいろいろと考えられますが、すべての従業員に同じだけの効果を発揮する「特効薬」のようなものはなかなかありません。逆に効果的だと思って導入したものの、望んでいたような成果につながらないケースもあるのではないでしょうか。以下ではオフィスで顔を会わせることができないテレワーク時代に特に意識したい「3つのコツ」をご紹介します。
01一人ひとりのメンバーを知る
リクルートマネジメントソリューションズによると、モチベーションには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2つがあるそうです。「外発的動機づけ」は、ほかの人からの評価や社内での地位向上、ボーナスや報酬アップなどの金銭的インセンティブによって人を動かすアプローチで、「内発的動機づけ」は個人の内面から生まれる興味や意欲などが行動要因になるという考え方です。
参照元:モチベーション・アップ(基礎から押さえて今日から使えるマネジメント①) | 弁護士法人たくみ法律事務所
前述のとおり、コロナ禍では外発的動機づけの維持が特に難しくなっています。そのため、営業職・営業チームのモチベーションを維持するためには、外的要因に左右されにくい内発的動機づけにフォーカスしていくのがおすすめです。
ダイバーシティ経営が推進され、企業にもさまざまな人材が集まり、価値観も多様化しています。コロナ禍がきっかけとなり、一人ひとりの目標や理想の違いもより鮮明になっているため、営業推進部門としては、上司がまず部下一人ひとりを知り、何が相手のモチベーションアップのポイントなのかを分析し、見極めるように後押しすることがポイントだと言えます。
引用元:「外発的動機付け」とは | 用語集 | 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ
02使命感の付与
10年以上前からテレワークを導入しているA社では、社員のモチベーションをセルフコントロールするためにあるメソッドを用いています。
参照元:モチベーション創造メソッドとは?――「やる気」のセルフコントロール | サイボウズチームワーク総研
「やりたいこと」とは個人の内面から生まれる意欲であり、「できること」とは個人のスキル、そして「やるべきこと」とは会社やチーム内でやるべきことであり「まわりから期待されていること」と言えるでしょう。そして、個人のモチベーションを高める秘訣はこの3つの重なりをできるだけ増やしていくことだとしています。
つまり、個人の内発的な「やりたいこと」がいくら大きくても、「やるべきこと」との重なりが少なければモチベーション維持が難しくなります。モチベーションをアップさせるためには、リーダーがメンバーの一人ひとりをよく知ったうえで、それぞれに何が求められているのか、目標や役割を適切に設定して、その重なりが少しずつ増えるようにしていくことが大切です。
03継続的に鼓舞する
上司が部下一人ひとりを知ったうえで、その役割や目標設定をサポートするために欠かせないのが継続的なコミュニケーションです。しかし、コロナ禍においては、ZOOMなどのオンライン会議ツールやチャット、メールでのテキストベースのやりとりがメインになります。
こうした対面でのコミュニケーションが困難な状況では、部下の側から自分の抱えている課題やコンディション、悩みなどを積極的に上司に伝えるのは敷居が高いでしょう。むしろ、上司から率先してコミュニケーションの機会を作り、そのハードルを下げる必要があります。その際、業務に関する情報だけでなく、個人のコンディションや感情まで含めて共有するなら、互いに対する信頼関係を醸成することができます。
営業職・営業チームのモチベーションを高める4つの方法
ここでは、営業職・営業チームのコミュニケーション向上が期待できる取り組みをご紹介します。
01チームの目標を営業推進部門や上司の言葉で伝える戦略キャンプ
戦略キャンプとは合宿形式でチームメンバーが徹底的に議論を重ね、方向性を策定することです。コロナ禍において以前のような施策は難しいですが、ワーケーションと組み合わせるなどして、感染症対策に配慮しながらチームの一致結束を図ってみてはいかがでしょうか?
02チームの絆も深めるオンライン研修
コロナ禍が長期化する中でコンテンツが充実したオンライン研修も登場しています。あるビジネスゲーム研修では、マーケティング・財務・経営戦略を社内研修と変わらない楽しさ、学習効果で学ぶことができます。オンラインにも対応しているので、在宅勤務を実施している企業にも導入可能です。
03コミュニケーションの機会創出「オンラインイベント」
リラックスした雰囲気で、オンラインでのコミュニケーション機会を創出するために「オンライン海外旅行」や「オンライン運動会」を企画するのもよいかもしれません。実際に旅行に行ったり、運動会を開催したりするよりもコストを抑えて施策可能です。
04定例「雑談」Time (1on1ミーティング)
あるIT企業では、リーダーとメンバーが週1回から月1回の周期で1回30分、1対1で対話して雑談する1on1ミーティングが設けられています。大切なのは、四半期に一回評価のために行われるような「面談」にしないこと。あくまでも主体は社員であり、抱えている悩みや問題を一緒に解決していこうという姿勢が上司側には求められます。
まとめ
今回は、コロナ禍により課題感が増している営業職・営業チームのモチベーションについてお届けしました。顧客との接点がオンライン中心に変わり、今までのように成果を出せない、コミュニケーション機会が減少し、周囲からの刺激を受けにくいなどモチベーション低下の原因もこれまでには見られなかったものと言えます。
そのような状況下で、営業職・営業チームのモチベーションを上げるポイントは、営業チームのリーダーです。リーダーがメンバーの価値観をしっかり把握し、使命感を持たせ、こまめにコミュニケーションの機会をつくり、業務に関わる情報だけでなく、個人のコンディションや感情まで含めて把握するのがポイントだと言えます。今回は、このような取り組みを営業企画・推進部門が後押ししていくためのおすすめの手法もいくつかご紹介いたしました。皆さんの組織でも実践してみてはいかがでしょうか。以下からオンラインソリューションの活用方をまとめた資料をダウンロードいただけます。営業職・営業チームのモチベーション向上にも活用いただけますので、ぜひ、一度ご覧ください。