広島県呉市は、瀬戸内海のほぼ中央部に位置しており、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれたまちです。海のまち呉には、瀬戸内海の美しい島々の風情や、人々の人情、まちに息づく活気、受け継がれるたくさんの歴史、おいしいグルメなどたくさんの魅力があります。また、戦前は海軍のまちとして栄え、戦後は瀬戸内有数の臨海工業都市として発展してきた呉市は、さまざまな企業が立地し、独自技術や全国的、世界的に高いシェアを持つ企業を有する「ものづくり」のまちです。
本記事では、「せとうち くれ ワーケーション」の魅力や誘致の取り組み、ワーケーションができる施設などを紹介します。「ワーケーションで何が得られるのか」「ワーケーションをするなら、どこが良いのか」といった疑問をお持ちの方は、ぜひご覧ください。
「せとうち くれ ワーケーション」について、詳しくはこちらをご覧ください。
呉市のみどころ
「せとうち くれワーケーション」誘致の取り組み ~呉市~
瀬戸内海に面する自然豊かな地、呉市。呉市では、「せとうち くれ ワーケーション」として、さまざまな誘致活動に取り組んでいます。エリアによって文化・歴史が異なる呉。それぞれのエリアだからこそ体験できるワーケーション、アクティビティ、食体験があります。ひとことで「呉」と言っても、各エリアによって行えるワーケーションスタイルは異なります。
呉市のご紹介
戦艦「大和」を建造した海軍のまち。瀬戸内の穏やかな海や野呂山をはじめとする豊かな自然環境に恵まれています。市内全域に光通信環境を整備しており、瀬戸内海の魅力あふれる島々でのワーケーションがおすすめです。
呉市のエリア紹介
呉市の食
呉には美味しいグルメがいっぱいです!
呉市での体験
呉市ワーケーション協力施設のご紹介
呉市では,ワーケーションの受入れに必要となる民間の宿泊施設やコワーキングスペース等を募集し、「ワーケーション協力施設」として登録しています。 呉市では、協力施設と一体となって、「せとうち くれ ワーケーション」の取り組みを進めていきます。
呉市ワーケーション協力施設については、こちらをご覧ください。
ワーケーション誘致の取り組みの現状と今後の展望
令和3年12月にはワーケーション・モニターツアーを実施しましたが、次年度も実施する予定です。詳細はこちらのサイトをご覧ください。
呉市の魅力を多くの人に知っていただけるように、引き続き情報発信やプロモーションに取り組んでいくとともに更にワーケーション協力施設も増やしていき、新たな交流人口や関係人口の創出につなげたいと考えています。
また、ワーケーションの受け入れにおいて、積極的に取り組んでいるのが、県外からの移住者である高島俊思氏(コワーキングスペース梶ヶ浜を管理)と天本雅也氏(シーサイド桂ヶ浜荘を運営)です。お二人はワーケーションの受け入れ、アクティビティの実施のほか、ワーケーションに来られた方々に、その地域の魅力を伝えるため、さまざまな取り組みを行っています。
コワーキングスペース梶ヶ浜・高島 俊思氏 「面白そうな人がいるから会いにいってみよう」というワーケーションを目指して
呉市の南東に位置する下蒲刈島にある、コテージ梶ヶ浜エリア内に整備されたコワーキングスペース。木をふんだんに使った、ぬくもりあふれる空間で、目の前に広がる海を感じながら仕事や休息ができます。
サイクリングやハイキングなど適度にスポーツを取り入れて、ワークの効率をあげる「スポーツワーケーション」や、ヨガ・アロマタッチ・ロミロミ・星空鑑賞などを取り入れた「癒しワーケーション」、オフサイトミーティングや講習会を行う「研修ワーケーション」など、さまざまなスタイルのワーケーションが可能です。
(コワーキングスペース梶ヶ浜WEBサイトより)
コワーキングスペース梶ヶ浜の管理人・高島 俊思氏に、ワーケーション誘致の取り組みについて伺いました。
新しい感動、自然の中で過ごす気持ち良さを味わってほしい
コワーキングスペース梶ヶ浜があるエリアには、古民家風の宿泊施設のほか、キャンプ場、レンタサイクル、海水浴場などのレジャー施設が揃っているので、さまざまなスタイルのワーケーションが可能です。海が近いということで新鮮な魚が食べられて、柑橘類も豊富。そういった中で過ごす気持ち良さを存分に味わえます。
(コテージ梶ヶ浜WEBサイトより)
- 高島氏
- 「ここ下蒲刈でのワーケーションのメリットは、魅力あふれる環境でリフレッシュできて、やる気が満ちることです。私自身、7年前にこちらに移住してきた時には感動の連続でした。日々の生活の中に新しい感動があり、アドレナリンが出てくる、そういった感覚を体感しました」
外からこの地に来た高島氏の言葉には説得力があります。自分が味わった感動や感覚を、たくさんの人に同じように感じてほしい、ここで得られるものは大きいと確信しているのでしょう。
地域おこし協力隊として移住。地域を元気にする活動のステップアップがワーケーション誘致
愛知県出身の高島氏が、呉市に移住したのは7年前。その前は南国パラオでツアーコーディネーターとして働いていました。日本に帰国する際に考えたのは、やはり海の近くに住みたい、田舎暮らしがしたいということ。瀬戸内に候補を絞ったところ、呉市の「地域おこし協力隊」の制度に出会いました。応募して採用になったので、家族で移住してきたそうです。
地域おこし協力隊のメンバーとして3年間、地域活動に携わり、卒業後も協力隊OBという立場でさまざまな活動を行ってきました。今後さらに地域を元気にして活性化していくためには別のアプローチも必要で、その効果が期待できるのがワーケーションであると、高島氏は考えています。
- 高島氏
- 「ワーケーションによって、それまで出会ったことのない人たち同士の間に関わりが生まれ、そこから新たなアイデアが生まれたり、発想の転換ができたりします。これは地域だけではなく、ワーケーションで来られる方にとっても、大きなメリットになるはずです」
地域と接点を持ちたい、交流がしたいという人は、ワーケーションを活用してほしい
ワーケーションは、地域の人たちとの交流ができるのも魅力のひとつ。高島氏も、ワーケーションで来る人は地域と何らかの接点を持ちたい、単なる観光ではなく、もう少し深掘りしたいという意向を持っていると感じているそうです。
- 高島氏
- 「移住してきて7年が経ち、地域での人脈も広がっているので、『こんな人に会ってみたい』『話が聞いてみたい』という要望にもお応えできます。地域に関わるのは難しい側面もあるので、関心を持ちつつも迷っている場合は、お声がけしてもらえると嬉しいですね」
梶ヶ浜コワーキングスペースのWEBサイトでは、地域で活躍する人たちを紹介。国体優勝経験を持つバドルスポーツ愛好家、移住して食堂を経営している人、イギリスと日本のハーフの写真家・翻訳家など、多種多様な人材が並んでいます。
コワーキングスペース梶ヶ浜WEBサイト:ACTIVITYより
高島氏自身も、「下蒲刈にちょっと面白い、刺激的な人がいるから会いに行ってみよう」と思ってもらえるように、自分をセールスしていこうと考えているとのことです。
人のつながりがもたらす成果を信じて、さまざまな取り組みを続ける
施設のオープンが2021年11月ということで、取り組みの成果や効果が明確に出ている段階ではありません。しかし高島氏は、将来に向けて明るい材料が集まってきているという手応えを感じているそうです。
- 高島氏
- 「全国各地の人が、コワーキングスペースがあることによって下蒲刈に来る。そしてワーケーションを通じて、地域の人と交流を持つ。そこから両者にとって有意義な、良い成果が生まれるように活動を続けていきます」
モニターツアー参加者の感想
コワーキングスペース
- 施設がきれいで、海が見えるロケーションなど、リラックスした環境で仕事ができた
- 気分転換に散策ができたり憩えるベンチがあったりと、周辺環境も好ましく感じた
- 外の壁際のベンチまでWi-fiが届き、発話を伴うリモート会議が心置きなく行えた
アクティビティ:サンセットサイクリング
- 自転車の性能がよく、コースも手軽でよかった
- eバイクの性能、夕日に感動した
(コワーキングスペース梶ヶ浜WEBサイトより)
シーサイド桂ヶ浜荘・天本雅也氏 企業や個人の思いに寄り添ったワーケーションを目指す
昭和47年(1972年)創業の旅館。日本の渚・百選に選ばれている白砂青松の桂浜海岸に建っています。美しい砂浜と海、後ろには400mほどあるシンボル的な山、すぐそばに温泉と、豊かな自然が魅力です。
館内および併設のブックカフェ「seaside cafe ALPHA」と、全館でテレワークが可能。自然の中でのアクティビティはもちろん、体育館やグラウンド、プールなどを利用するプログラムも実施できます。
(シーサイド桂ヶ浜・シーサイドカフェ アルファWEBサイトより)
シーサイド桂ヶ浜荘、 seaside cafe ALPHAを運営する天本雅也氏に、ワーケーション誘致への取り組みや事例などについて伺いました。
ワーケーションやオフサイトミーティングは、コロナ禍の前から取り組む
シーサイド桂ヶ浜荘には、20年以上前から企業の研修、学生の合宿などにも利用されてきた実績と経験があります。企業のオフサイトミーティングも、コロナ禍以前から実施しています。
- 天本氏
- 「倉橋に来る前は会社員で、その会社がオフサイトミーティングやワーケーションを取り入れていました。そういったプログラムへの参加者としての経験上、一定の需要はあるだろうとコロナ禍よりも前から感じていました」
会社の中といった、いつも同じ環境にいると考えが固まってしまいます。オフサイトミーティングやワーケーションなど、普段の職場から離れた場所に身を置くと、斬新なアイデアも生まれやすいと、天本氏は自身の経験を踏まえて話します。
アクティビティとしては、朝ヨガやトレッキング、SUPといった体験プログラムも用意しています。リフレッシュして仕事の効率アップや発想の転換を促すのが目的です。天本氏は、ワーケーションは基本的に仕事がメインであると考えています。良い仕事をするためにはリフレッシュも必要であるため、アクティビティや各種プログラムを用意しているといえるでしょう。
- 天本氏
- 「ワーケーションにおいては、この場所で何を達成したいのかという、参加する企業や個人の思いを優先することが重要で、それに合うワーケーションのスタイルを提案します。地域の特色を盛り込んだプログラムやアクティビティでなければならないという、こだわりはありません」
地域課題解決型のスタディツアーで地域と参加者をつなぐ
参加者側のニーズにマッチするのであれば、地域課題解決型のスタディツアーも良い効果が期待できます。スタディツアーとは、課題をどのようにして解決していくのかというプロセスを、何日間かを費やして学ぶプログラムです。地域課題に触れ、解決方法を一緒に考えて行動するというプロセスそのものが、仕事の思考に活かせるといわれています。
- 天本氏
- 「地域課題のひとつに農家が抱える問題があります。トマトなどの農作物で出荷できないものを、どのように活用するのか。そういった課題について皆で考えます」
その他の地域課題としては、後継者不足があると天本氏は話します。倉橋で長きにわたって続いてきた事業が、後継者がいないことで事業が継続できない。ワーケーションを通して、そのような現実を知ってもらい、ゆくゆくは事業者と、移住を考えている人とのマッチングにつなげたいとのこと。
- 天本氏
- 「移住に関心のある人がワーケーションを活用してこちらに来てみる、あるいは、ワーケーションを移住や二拠点生活の基盤として使ってもらいたいですね」
移住の理由は「大好きな倉橋を、より楽しい場所にするため」
天本氏自身も、6年前に倉橋に移住してきました。出身は福岡県、倉橋は奥様の出身地であるとのこと。
- 天本氏
- 「妻の実家に帰省するたびに、すごく良い所だと感じていました。いつかはここに住みたいという気持ちもありましたし、かといって定年後に来て何かを始めるのは大変だろうなあと考えていました」
その倉橋も年々人口が減って店も少なくなってきました。天本氏は「せっかく良い場所なのに寂しい、もったいない」と思い、倉橋で何かやってみようということで移住を決めたそうです。
ワーケーション誘致に際しては、前述のとおり、もともと参加者としての経験があったこと、需要があると感じていたこともあって、積極的に取り組んでいます。ただしワーケーション受け入れ自体が目的ではないと、天本氏は話します。
- 天本氏
- 「ワーケーションは、ここ倉橋を楽しい場所にするための手段と考えています。楽しい場所にするには、倉橋で何か新しいことを始める人が増えてくれるといいな、と」
呉市全体での受け入れを視野に入れたワーケーション誘致を
この施設だけではなく、エリア全体でワーケーションを受け入れるような仕組みづくりをしたいと、天本氏は考えているそうです。ワーケーションはアイデア出しやチームでの取り組みにさまざまなメリットがありますが、事務的な作業には向いていません。
- 天本氏
- 「たとえば呉市内など、街なかのコワーキングスペースで事務作業をする。仕事を終えたら自然豊かな滞在先に戻ってリフレッシュする。そのようなかたちでワーケーションができるように、協力施設も増やしていきたいと考えています」
モニターツアー参加者の感想
コワーキングスペース
- 全館で仕事ができる考え方に共感した
- 多様な環境が用意されているので飽きがこなく、気分によって場所を変えられるのが良いと思う
- 多様なワークスペースや温浴施設が整っていて非常に満足できた
アクティビティ:朝ヨガ
- 心や体が活性化されて、仕事の生産性が上がりそうだと感じた
- 身体が熱く血行も良くなり、一日の活力がわいてくる感じがした
(シーサイド桂ヶ浜・シーサイドカフェ アルファWEBサイトより)
まとめ
ワーケーションは、仕事とリフレッシュをバランスよく組み合わせられる環境でなければなりません。呉市は、仕事に集中できる環境とリラックスできる豊かな自然が共存しており、ワーケーションには絶好の場所といえます。
また、県外から移住してきた方々が中心となり、人と人とのつながり、地域とのつながりを創り出そうとしています。
リフレッシュできることに加えて、新しい出会いや視点、気付きを得るための機会として、ワーケーションを活用してみてはいかがでしょうか。
ホワイトペーパー(お役立ち資料)ワーケーションへの旅立ち ~企業・従業員・地域を豊かにするワーケーションの魅力と型がわかる!~
「新しい働き方」が少しずつ社会で定着しはじめています。そんな中、注目されているのが「ワーケーション」です。ワーケーションは、「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」の造語であり、リゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組みです。テレワークと心身の健康・生産性を両立できる働き方として注目されています。この注目の「ワーケーション」をわかりやすく漫画にしました。ぜひ、ご覧ください。