コロナ禍により、在宅勤務やテレワークが珍しいことではなくなってきました。それにともない、働き方改革の一環として「ワーケーション」が注目されています。とはいえ、最新の調査によると、テレワーク経験率39.6%に対し、ワーケーション経験率は6.6%(※)。まだまだ経験者が少ない状況です。こうした背景には、企業側に「ワーケーションのメリットがわからない」「社内制度の関係で見送っている」という声があるようです。今回は、ワーケーション導入のメリット、地域への貢献、企業が実際に活用するワーケーションの事例についてご紹介します。
出典:ワーケーションに関する調査(2021年3月)(株式会社クロス・マーケティング)
働き方改革とも合致した新たなワークスタイルであり、旅のスタイル
ワーケーションは、企業・従業員・地域にそれぞれメリットがあり、「三方よし」の持続可能な働き方です。
企業にとっては、仕事の生産性向上はもちろん、社員のニーズにマッチした働き方を実現することで社員エンゲージメントの向上が期待できます。また、このような働き方を認めることは、人財確保にもつながります。
従業員にとっては、有給休暇が取得しやすくなり、ストレス軽減やリフレッシュ効果が期待できます。
地域にとっては、ワーケーションは働く場所を選ばないため、さらに多くの旅行機会を生み出します。平日の旅行需要の創出や関係人口の増加などのメリットが享受できます。
ワーケーション導入のメリット
企業 | 有給休暇の推進、帰属意識の向上、人材確保、離職率低下、イノベーション創出、地方創生への寄与、CSR・SDGsの取り組みによる企業ブランド向上 | |
---|---|---|
従業員 | 長期休暇取得推進、働き方の選択肢増加、業務効率の向上、リフレッシュ効果・ストレス軽減、リモートワーク推進、新たなアイディアの創出 | |
地域 | 平日の旅行需要の創出、交流人口及び関係人口の増加、関連事業の活性化・雇用創出、遊休・宿泊施設の活用 |
出典:企業・従業員の皆様|ワーケーション&ブレジャー
ワーケーションは、都市部と地域をつなげることから、地域の活性化にもつながります。2021年現在、空き家のリノベーションや温泉街の宿泊先の用意、中長期で働くための環境整備など、徐々に地方でもワーケーションを受け入れるための動きが見られます。普段なら接点のない地域の人々と交流することで、オフィスや会議室では生まれないようなアイディアが出てくるといった期待もあります。温泉旅行を楽しみながらワーケーションをすることも可能になってきています。
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ワーケーションのタイプと実施するためのポイント
ワーケーションは、休暇中でも仕事ができる環境を整備して、働いた時間を勤務時間に組み入れるという考え方です。取り入れ方や効果によっていくつかの区分に分けられます。観光庁はワーケーションを特性により、休暇型(福利厚生型)と、業務型(地域課題解決型、合宿型、サテライトオフィス型、ブレジャー型)に分類しています。
ワーケーションのポイントは、「社員がその価値を認めて主体的に活用すること」です。会社や上司に命令されて参加するものは、そもそもワーケーションの定義から外れるため、社内制度や運用ルール、風土づくりといったソフト面の整備も進めていく必要があります。
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また、どの自治体がワーケーションを誘致しているのかを調べるには、ワーケーション自治体協議会のSNS公式アカウントを参考にしてみましょう。2021年6月時点で、194(1道22県171市町村)の自治体が参加し、ワーケーションの受け入れ推進を行っています。
ワーケーションを推進する企業×地域の共創事例
ここで、企業と地域におけるワーケーションの事例を3つご紹介します。
共創事例01国内有数のリゾート地×ワーケーションで働き方改革
日本でも有数のリゾート地である和歌山県白浜町。こちらでは、NICTとNerveNet(ナーブネット)という国の機関が耐災害ネットワークの実証実験を行っており、普段からWi-Fiを無料開放しています。こうした背景から近年はICT企業誘致にも力を入れており、多くの企業が白浜町にサテライトオフィスを開設しています。 また、大手消費財メーカーのA社と提携し、ワーケーションと地域創生を組み合わせたプロジェクトに取り組んでいます。社員がいつでも使えるコワーキング・スペースの貸与と宿泊代金へのサポートを行う代わりに、地域に滞在する社員はそれぞれの知識や経験、労働力を使って地域の課題を解決していくことが求められています。ワーケーションを活用する企業と地域、お互いがメリットを受け取る仕組みを構築しています。
また、町内には空港があり、東京から約1時間で白浜を訪れることができるのもポイント。白浜町は通信環境・アクセスが良好なことはもちろん、休暇を過ごす場所としても最適と言えるでしょう。
共創事例02雇用創出×ワーケーションで地方創生へ貢献
ITコンサルティング会社のB社はワーケーションを通じて地方の雇用に関する社会課題の解決に取り組み、沖縄・長野・宮城の地方創生に貢献しています。
沖縄県久米島は、澄んだ海と豊かな自然が楽しめる県内有数の観光スポットです。B社は久米島のコワーキングオフィスで仕事を行うと同時に、現地と離島の在住者に向けたテレワークスキルアップ研修を行いました。テレワーク研修には、沖縄の40近い離島から多くの方が参加しました。訪れた社員は、地域の方と触れ合うことで、ニュースで見聞きしていた地域特有の課題をリアルに感じることができました。
共創事例03ICTノウハウ×ワーケーションで地域課題を解決
総合エレクトロニクスメーカーC社では、2020年より働き方改革の一環として単身赴任の解消や家族事情によるテレワークを進めていました。そして、大分県における観光業への貢献や産業の活性化、同県が抱える地域課題の解決などを目的に協定を締結。この協定には、同社グループ社員が持つICTの知識や経験を活用した社会貢献活動や、副業を含む多様なキャリア形成支援を行うという取り組みが含まれています。現地への移住希望者は、大分県からの助成も受けられます。
C社はこうした地方との連携により、社員のリフレッシュを図るワーケーションの促進と地方創生に同時に取り組み、ニューノーマルな働き方の推進を今後も図っていきます。
まとめ
多様な働き方を推進することで社員のワークライフバランスを実現し、ダイバーシティ経営に効果的なワーケーションは、これまでにない新たな働き方です。
企業・従業員・地域にそれぞれメリットがあり、「三方よし」の持続可能な働き方であるワーケーションを活用は、有給取得率や従業員エンゲージメントの向上といったメリットだけではなく、地域の課題解決に関わることで、自社社員の成長、新たな事業の創出にもつながります。地域と連携して、貴社だけのワーケーションを創るのがおすすめです。貴社の働き方改革の一環として取り組んでみてはいかがでしょうか。
どんなワーケーションのスタイルが自社とマッチするのかもっと詳しく知りたい方は、以下の資料をぜひご覧ください。