現代では新たな商品・サービスが次々に登場し、新規顧客の開拓や既存顧客の維持が難しくなっています。そこで、重視されるようになったのがロイヤルカスタマー戦略です。企業が顧客とコミュニケーションを継続、良好な関係を築き、顧客からの信頼や愛着を得ることで、中長期的な収益の基盤になりうる顧客を作っていこうという戦略です。この記事では、ロイヤルカスタマー戦略の基本情報からメリット、実践にあたっての手順などを紹介します。自社のロイヤルカスタマーを増やしたいと考えている方は、ぜひご覧ください。最後に、お役立ち資料「CventConnect2023から学ぶ「オフラインイベントで顧客エンゲージメントを高めるポイント」(全4編)」を紹介しています。こちらもご覧ください。
INDEX
そもそもロイヤルカスタマーとは?
そもそも、ロイヤルカスタマーとはどのようなものなのか、はじめに基本情報を整理します。
ロイヤルカスタマーとはどういうもの?
ロイヤルカスタマーとは、企業が展開する商品・サービスやその企業自体への忠誠心が高い顧客のことです。自社や自社の商品・サービスに信頼と愛着を示し、滅多なことでは競合他社の商品・サービスを利用しない顧客を指します。
なお、商品・サービスによってロイヤルカスタマーの定義は変化します。毎年購入してくれる顧客がロイヤルカスタマーになる場合もあれば、毎週購入してくれる顧客がロイヤルカスタマーになる場合もあります。
ロイヤルカスタマーと優良顧客との違い
ロイヤルカスタマーは前述の通りです。一方で、優良顧客は商品・サービスの購入頻度が高く、購買金額の大きな顧客です。自社への利益をもたらす点はロイヤルカスタマーと同様ですが、優良顧客は代替品が見つからないため使用しているだけで、信頼と愛着はないケースも見られます。そのため、競合他社の商品・サービスに魅力を感じると、早期に乗り換える可能性があります。
ロイヤルカスタマー戦略のメリット
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違いを説明しましたが、ではロイヤルカスタマーを増やすことで、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか?3つのメリットを紹介します。
MERIT01顧客獲得のコストを抑えられる
ロイヤルカスタマーが増加すると、顧客獲得のコストを抑えられます。新規顧客の獲得には多くのコストがかかりますが、企業や商品・サービスに愛着を持っているロイヤルカスタマーの維持には、新規顧客の獲得ほどコストがかかりません。
顧客獲得のコストパフォーマンスには「1:5の法則」と「5:25の法則」というものがあります。「1:5の法則」とは、既存顧客を獲得するコストが新規顧客と比べて5分の1で済むというものです。「5:25の法則」とは、顧客離れを5%改善できれば、利益は25%改善できるという考え方です。2つの法則から、新規顧客の獲得以上に既存顧客の維持に力を注ぐほうが効率的だということが分かります。
MERIT02宣伝効果がある
ロイヤルカスタマーは自社や自社の商品・サービスのファンであり、周囲に魅力を発信してくれます。口コミに加え、SNSやブログなどで情報を拡散してくれることもあります。ロイヤルカスタマーの宣伝効果によって、コストをかけずに新規顧客の獲得が可能です。また、消費者による宣伝は、企業自身の宣伝よりも信頼されやすく効果的です。
MERIT03収益の安定につながる
ロイヤルカスタマーの存在は、自社の収益の安定につながります。競合他社に乗り換える可能性が低く、長期間愛用してくれるためです。長期的な収益が見込め、経営計画を立てやすくなります。また、商品・サービスを価格で選択しないロイヤルカスタマーの存在により、低価格路線からの脱却も狙えます。
ロイヤルカスタマー戦略 実践の手順
自社のロイヤルカスタマーを育成するにはどのようにすべきなのか、3つの手順を紹介します。
01ロイヤルカスタマーを定義し明確にする
はじめに、どのような顧客がロイヤルカスタマーなのかを定義します。企業や商品・サービスによって、ロイヤルカスタマーの定義は異なるためです。年齢層や性別、地域などを絞り、顧客分析をしてロイヤルカスタマーを定義します。ロイヤルカスタマー像が明確になったのち、顧客のうちロイヤルカスタマーにしたい割合や、そのための改善点などを設定します。
02カスタマージャーニーマップを作る
続いて、カスタマージャーニーマップを作ります。カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客から商品・サービスの購入、既存顧客になるまでのプロセスを図式化するものです。以下の3つの手順で作成します。
- ペルソナ(ターゲットに合致する顧客)を設定する
- 購入までのプロセスを整理する
- ペルソナとのタッチポイントを整理し、ペルソナの動きや行動の変化、感情の変化を検討する
ロイヤルカスタマーになるであろう道筋や仮説を立て、施策を実施していきます。特に重要なのが、顧客接点の洗い出しです。
03効果の測定・分析を実施する
データを測り、実施した施策の効果測定・分析を行います。来客頻度や購入頻度、金額などを定期的に測定して、実施した施策との関連性を分析し改善点を探ります。購入が止まるといった変化がある場合は、早期に原因を発見し対策しなければなりません。
ロイヤルカスタマー育成のポイント
ロイヤルカスタマーを育成する際は、顧客とのコミュニケーションが重要です。3つのポイントを紹介します。
POINT01顧客とのコミュニケーションを増やす
顧客に自社の商品・サービスへの愛着を持ってもらうには、コミュニケーションを増やすことが重要です。顧客側は商品・サービスを使用するだけでなく、スタッフとのやり取りなどの体験から、愛着を感じやすくなります。SNS、LINEアプリなど、双方向のコミュニケーションを増やせるツールの活用も効果的です。
POINT02定期的に情報発信する
企業からの定期的な情報発信も欠かせません。ただし、商品・サービスの情報をひたすら発信するのではなく、自社サービス・商品のこだわりや競合他社との違いなど、顧客が興味を抱く内容がおすすめです。また、Q&Aやお客様の声など、顧客の疑問や不安を解消できる情報発信も重要です。顧客を積極的にサポートする姿勢が、信頼につながります。
POINT03特別感を持ってもらう
ロイヤルカスタマーになってもらうには、顧客に特別感を提供することも欠かせません。1度訪れた顧客に、2回目以降も訪れてもらう工夫が必要です。ロイヤルカスタマー限定の商品・サービスを用意したり、リピート回数に応じてランクが上がったり、ロイヤルカスタマーのみ参加できる会員サイトを作成するなどの方法があります。
ロイヤルカスタマー戦略の分析に適した4つのツール
ロイヤルカスタマー戦略において分析は欠かせません。適した4つのツールを紹介します。
01CRM
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、顧客との関係性を管理するツールです。顧客側の視点で、求める商品・サービスを考えます。属性や購入履歴など顧客の情報を一元管理し、適切なアプローチのために役立ちます。顧客情報を蓄積することで、顧客ニーズの把握が可能です。
02MA
MA(マーケティングオートメーション)は、顧客との長期的な関係性を構築するためのツールです。見込み顧客をデータ分析し、最適なタイミングや方法でマーケティングを自動化します。現代では顧客情報が膨大であるため、それぞれの顧客との関係性を構築するうえで役立ちます。
03CEM
CEM(カスタマー・エクスペリエンス・マネージメント)は、顧客との接点ややり取りを管理するツールです。やり取りを分析して顧客の潜在的なニーズを引き出し、収益とロイヤルカスタマーの増加を目指せます。顧客の感情を分析し価値を感じられる経験を生むことで、効率的なマーケティングにつながります。
04SFA
SFA(セールス・フォース・オートメーション)とは、営業支援システムのことで、営業のプロセスや情報を可視化し、自動で分析してくれる営業支援ツールです。顧客や案件・案件の管理などの機能が搭載されており、営業活動のプロセスを可視化してくれます。顧客情報や進捗情報を把握・共有でき、均一性ある顧客対応につながります。
ロイヤルカスタマー戦略をサポートするサービスを紹介
自社で長期的にロイヤルカスタマー戦略を続けるのは、容易ではありません。サポートしてくれる2つのサービスを紹介します。
興味・関心醸成施策
ロイヤルカスタマーになる顧客を増やすには、まずは「興味・関心」を持つ顧客の醸成が重要です。そのためには、最適なアプローチが欠かせません。また、単なるきっかけ作りではなく、顧客をロイヤルカスタマーへと育てる土台作りも重要です。JTBでは、LTV(顧客生涯価値)の最大化を念頭に、長期的な戦略を提案しています。
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- 興味・関心醸成施策
ロイヤルカスタマー向け施策
ロイヤルカスタマー向けの満足度の高い施策は、新規顧客の獲得にもつながります。ただし、何年もの間、提供し続けるのは容易ではなく、多くの労力が必要です。JTBでは、ロイヤルカスタマー向けのサービスの企画・案内・イベント運営・効果測定などを一括でお引き受けしています。
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まとめ
今回は、ロイヤルカスタマー戦略の基本情報からメリット、実践にあたっての手順などを紹介しました。現代では新たな商品・サービスが溢れており、新規顧客の開拓や顧客の維持が難しくなっています。そこで、重視されるようになったのがロイヤルカスタマー戦略です。
ロイヤルカスタマー戦略は、自社や自社の商品・サービスへの忠誠心が高く、信頼と愛着を示す顧客を増やしていく戦略です。そのメリットとして、顧客獲得コストの抑制、宣伝効果、収益の安定の3点があることをお伝えしました。
ロイヤルカタマーを育成するためには、顧客とのコミュニケーションを増やし、定期的に情報発信し、特別感を与えることが重要です。しかし、自社で長期的にロイヤルカスタマー戦略を続けるのは、容易ではありません。社外のリソースをうまく活用し、実施していくことがポイントです。この機会に貴社の戦略を見直してみてはいかがでしょうか?
最後に、お役立ち資料「CventConnect2023から学ぶ「オフラインイベントで顧客エンゲージメントを高めるポイント」(全4編)」を紹介します。世界最大級のイベントプラットフォーマー「Cvent社」は、3つのニーズである「エモーショナルニーズ」「フィジカルニーズ」「ビジネスニーズ」を満たすことが重要だと謳っています。オフラインイベントで参加者のエンゲージメントを高める秘訣を紹介しています。こちらもぜひ、ご覧ください。